【Web3インタビュー】数値で「熱狂」を創り出すことを使命とする「エンタメアーキテクト集団」 Precious Analytics の実力
ゲームタイトルを生み出すにあたっては、そもそもどんなゲームを創るか?をプランニングする人、ゲームを動かすエンジン(システム)等を作っていく人、イラストや3DCGを担当する人など。様々な役割の方が関わっています。
その中の一つに「バランス調整」という役割があります。ゲームを含むエンターテイメントにおいて、数値とは切っても切れない関係があり、これらの「数値」を少し変えるだけでも、ユーザーの体験は大きく変わります。
ゲーム内での行動量をどう「強さ」に反映させるか?ゲーム内通貨にどれだけの価値を持たせるか?言うは易し、行うは難しがこの分野です。Precious Analytics(以下プレアナ)は、「数値遊びの創造」を理念に掲げ、Web2ゲームのみではなくNFTゲームの数値調整を行う、プロフェッショナルです。今回は、代表の米元様に、プレアナのサービスとその魅力について伺いました。
Precious Analytics 米元 広樹CEO
ゲームと「数字」の切っても切れない関係
ーーープレアナ様は、「数値遊びの創造」を理念に掲げて、「ゲーム×数値」を主軸に事業をしていらっしゃいます。
ーーー初歩的な質問で恐縮ですが、ゲームと数値の関係性はどういったところにあるのでしょうか?
米元「例えば、歴史あるゲームであるスポーツ、例えば「野球」を例に出して考えると、一塁と二塁までの距離とか、ピッチャーとバッターの距離とか、ボールの大きさ、バットの面積など「1点を取る」という行為に至るまでに様々な数字が登場してきますよね?」
米元「一方で、ピッチャーとバッターの距離というたった1つのパラメータを変えるだけで、得点率7~8割にして点の取り合いみたいなゲーム性になったり、1点取れたらほとんど勝負が決まる、というようなゲーム性になったりします。」
ーーー確かに、言われてみれば数字に満ちています。
米元「先ほどは野球を例に挙げましたが、この数字、パラメーターは、いわゆるコンシューマーゲームやスマホゲームの世界にも存在します。私たちは、そのゲームのコンセプトや思想、やりたいこと等に応じて、開発の初期の初期から入らせていただき、そういったパラメーター設計が成立するような企画立案や仕様の提案なども含めて、全面的なサポートをさせていただきます。」
ーーー先ほどのお話ですと、ゲーム性を決める段階から数字の設計は始まっていますからね。
米元「そうですね。あとは、ゲーム内で経済圏を創る際にも、数字は深く関わってきています。」
ーーー経済圏ですか。
米元「例えば、ゲームと一口に言っても、ゲームの中でアイテムを使用したり、獲得したり、ユーザー同士で対戦したり、アイテムを交換したり、場合によっては課金したり、色々な行動があります。行動意外に目を向けても、ゲーム内通貨があり、ゲーム内アイテムがあり、コミュニティで情報交換するという要素がある。普段中々意識する機会はないですが、ゲームの中で、経済の条件である人・物・金・情報が動く訳ですね。現実の世界と同じように、ゲームの中にも経済圏があるんです。」
米元「そして、ゲームタイトルをより長くユーザーの皆様に楽しんでいただくには、この経済圏が持続性のあるものでなければならないと思っています。私たちは、ゲームの中に仕様とか要件とかをこう入れて、こういうサイクルにして、ここで個々のユーザーとユーザーがやり取りをする。だから経済圏が生まれますよねみたいな、そういう設計とか提案をさせていただいています。」
ーーーなるほど、確かにゲームユーザーからしたら「好きなゲームがなくなる」のが一番辛い部分がありますからね。どうやって持続性を生み出していくかは、大事な観点ですよね。
米元「補足すると、経済圏が生まれるようにするには、ユーザー間のトレードが必須となってきます。」
米元「では、トレードを生むためにどうするか?を考えたときに、トレードをするメリットが必要です。そしてそのためには、トレードをすることでそれぞれお互いを補うような関係性を設計しなくてはいけない。そうなってくると、自然とゲーム内において様々な役割を作らなきゃいけなくなってくる。」
米元「これは結構、ゲーム設計の根幹の部分にもなるので、経済圏の設計をする、という場合には、比較的ゲームタイトルの開発の初期のあたり、仕様を決める上流段階から、ゲーム会社様とは一緒にお仕事させていただいています。」
ーーー経済圏にはトレードが必要。トレードを生むためには、役割分担が必要、ということですね。
米元「そうですね。ユーザー間のトレードがないゲームっていうものは、必然的に『目指すべきゴールが決まっていて、あとは時間かけるかお金かけるかしてそのゴールに向かって走る』というようなゲーム性になってくると思います。ですが、そうなってくると中々経済圏になっていかない。」
ーーー経済圏と聞くと、どうしてもGameFiやNFTゲームみたいな部分も連想してします。
米元「まさしくそうで、この経済圏とパラメーター設計という考え方は、NFTゲームにもアプリゲームにも求められてくる要素なのかなと思います。」
経済圏はNFTゲームにこそ求められる
ゲームの中に経済圏と役割分担を生むと語る米元様。
アプリゲームもNFTゲームも「お金」という要素がどこかしらに絡んでくることには変わりなく、そこをマネジメントできることが同社の強みのように感じました。
中でもNFTゲームについては、同社は業界の中では比較的歴史があると語ります。
米元「2020年に『コントラクトサーヴァント』というゲームがリリースされているのですが、プレアナはこちらのタイトルのご支援を皮切りにNFTゲームに取り掛かっております。ですので、NFTゲームに関わり始めたのは、比較的早い段階なのかなと。」
ーーーNFTゲームに、経済圏の設計や数値のロジックの必要性を感じられたということですか?
米元「そうですね。そして、ちょうど1年位前だと、Axie InfinityなどのNFTゲームがあり『Play to Earn』として脚光を浴びる訳ですが、結局、そのゲームで使用している通貨が(経済バランスが崩れて)暴落してしまったりすることがあります。最近で言うとSTEPNも『Walk to Earn』で注目を浴びていましたが、今はあまり稼げなくなってしまい下火になっていますね。なので、いわゆる『Play to Earn』の世界こそ、数値バランスや経済圏の設計は必要だと感じています。」
米元「そうなったときに、私たちの今まで培ってきた数値のノウハウが生かせる、というところと、それ以外にも沢山のご縁をいただいていく中で、NFTゲームにも関わらせていただいております。」
ーーーホームページの事業内容を見ると、そういったNFTゲーム開発運用以外にもNFT『の』ゲーム開発運用も記載されておりますが、これはどう異なるのでしょうか?
米元「端的に言うと、NFTならではの数値特性を用いたゲームを自社開発しています。」
米元「例えば、NFTはブロックチェーン上で取引履歴が追えると思うのですが、例えば『NFT取引回数に応じて結果が変わるアート』みたいなものがあったとしたら、それって多分ゲームになると思うんですね。」
米元「既存のゲームではまだあまり見られない、NFTの取引履歴等の数値データを反映させてデータを育てていく、という仕組みを考えています。これは、既存のNFTゲームとかでも入れやすい要素だと思うんですよ。ですが、いわゆるNFTゲームとはちょっと系統が違うので、そういうNFTを使った『数字遊び』を考えています。」
数字遊びとロジックの精鋭集団「プレアナ」で働く
ーーー現在、採用を強化していらっしゃると思います。
ーーープレアナで「働く」という観点からも、お話お伺いしたいです。
米元「会社のメンバーでいうと、現在業務委託の方や学生インターンを含めると15名程度です。そういった中で弊社の魅力をお伝えするなら、正確な報酬テーブルや論理的なルールが取り入れられているところです。」
米元「まず、正確な報酬テーブルについてですが『仕事ができる』や『仕事ができない』とはどういうことかを整理しています。要件定義がうまかったり、提案力があったり、納期や工数をしっかり守っていたり、ToDoの洗い出しができたり、進捗管理ができたり等、様々な要素があると思います。そういうのがあると思うので、各要件に対して点数をつけてます。その上で、仕事力と専門性と役割分担この三つの係数を使って、弊社のシミュレーションツールにデータを入れると、給料が算出されるようになっています。もちろん、まだまだ発展途上ではありますが。」
米元「後者のルールについてですが、プレアナってほぼ人間関係のトラブルがないんですよ。基本的に『与えられた目標はこれであって、これを誰がどういうふうにこなすか、浮いてる役割をどうしようか』みたいな話とかを徹底的にしているんです。」
米元「あとは『空気を読む』余地があるから人間関係が問題に上がってくる部分があると思っていて、可能な限り空気を読む余地が減るように設計しています。
米元「ルールを設計するにあたっても、労働者の権利は徹底的にちゃんと守る設計にしていて、有給とかも理由は聞かないから『有給取ります』だけ言ってくださいというルールにしています。あとは、上司部下や先輩後輩問わず、全員『さん付け』にする、敬語を使うなども徹底しています。例えば、大学や高校で元々知り合いだったり友達が社内にいたとしても、自分自身も含め、業務時間内は必ずこのルールは徹底するようにしています。
プレアナのサービスの3つの軸
ーーー今後はどういった事業を行っていこうと考えているのでしょうか?
米元「プレアナでは、三つの事業の方向性を考えております。一番わかりやすいのは共同開発運用という形です。内容としては、さきほど申し上げたような、いわゆるアプリゲームからNFTゲームまで、幅広い共同開発運用です。ただ、先ほどの経済圏の話とかもわりと玄人向けの内容が多いので、今ご一緒させていただいているのは、ゲーム業界の中でもほんの一部の、本当に経済圏設計について先進的な考え方を持っているチームやプロジェクトの方々に限定しております。」
米元「二つ目は、ゲーム開発や運用でのバランス調整を自動化したり標準化するミドルウェアで、こちらは共同開発よりやや安価で、汎用的な分少し間口を広めに提供させていただいております。」
米元「三つ目は、NFTゲームの自社開発です。こちらは、自社でも数値遊びを主体的に行いつつ、技術をミドルウェアや共同開発に活かすために取り組んでおります。」
ーーー様々お話を聞かせていただき、ありがとうございました。
ーーープレアナ様が徹底したロジックと数値のもと、ご事業や内部の仕組みを構築されているのだということが非常によくわかりました。
米元「ありがとうございます。この分野では高い専門性を持っていると自負してはおりますので、多くの方に当社を知っていただきたいと考えております。」
ーーー本日はお忙しい中、ありがとうございました。
数字とロジックのプロフェッショナル「Precious Analytics」を知る
会社ホームページ
https://pre-ana.com/
会社採用ページ(Wantedly)
https://www.wantedly.com/companies/company_4987872
米元CEOのnote
https://note.com/ricesource
※今回の記事の内容よりも、はるかに深い部分のNFTゲームと「数値」の関係性、経済圏設計について語っております!
ゲーム関係者は、必見です!!
東京大学卒。東京大学院修了。
機械工学を専攻し、シミュレーション関連の研究を行う。
2009年、旭硝子(現AGC)に入社。ガラス溶融炉のシミュレーション業務やAI開発に携わる。
2013年、株式会社ディー・エヌ・エーに入社。内製運用タイトルの分析チームリーダーを経て、ゲーム分析業務全体の標準化や仕組化を実施。
2015年11月、株式会社Precious Analytics創業。100を超えるゲーム開発運用に関わった経験をもち、数値遊びの創造を通じて、ゲームをもっと面白く出来るように日々奮闘している。