クリエイターが創り、クリエイターと共に生きる祭典「バーチャルマーケット」が目指す先(VR法人HIKKY様)【メタバースインタビュー】
「メタバース」という言葉が生まれたのはここ数年での出来事です。ですが一方で、それ以前から「VR」という名前でバーチャル空間上での活動はずっと行われてきていました。バーチャル空間上でのクリエイターの祭典「バーチャルマーケット」は、2018年から始まり、今日(2022年11月)では「世界最大のVRイベント」としてギネス世界記録™も取得しております。今回はそんな「バーチャルマーケット」を運営する「VR法人HIKKY」様に、バーチャルマーケットのこれまでと、HIKKY様が思い描くクリエイターを愛するメタバースの未来予想図についてお伺いしました。
バーチャルマーケット(Vket)とは?
メタバース上にある会場で、アバターなどの3Dデータ商品やリアル商品(洋服、PC、飲食物など)を売り買いできる世界最大のVRイベントです。
世界中から100万人以上が来場し、ギネス世界記録™も取得しています。
バーチャルマーケットは、その開催を通じて 「バーチャル空間を発展させ、豊かにする」 ことを目指します。
バーチャル空間に、現実空間に比する経済圏を作ることによって、人々の生きる選択肢を増やす 「きっかけ」 であり続けます。
バーチャルマーケットには、思想と機能 があります。
バーチャルマーケットの思想とは 「その開催を通じてバーチャル世界をより豊かにし”バーチャルで生きる”ことを可能とすること」です。
バーチャルマーケットを開催することによって、たくさんのモデルがこの世に生まれ、多くの人がバーチャル空間を訪れ、それに伴い経済圏が構築されていきます。
物理現実と肩を並べるほどの巨大な経済圏をバーチャル空間内に作ることで、バーチャル空間はもう1つの現実となります。
人は、1つの物理現実と無数のバーチャル現実の中で、好きな場所、好きな姿、好きな職を得て、より自由に生きていくことが出来るようになるでしょう。
バーチャルマーケットの機能とは「きっかけ」です。
バーチャルマーケットが開催されることにより、クリエイターは「〆切を得る」ことができます。これにより、創作モチベーションの向上と、作品発表のきっかけとなります。
バーチャルマーケットに来場するユーザーは、会場を見て回ることによって好みの作品や今まで知らなかった推しクリエイターとの出会いのきっかけを得ることができます。
企業にとっては、バーチャルという未開の地に対して、百万人規模の来場者ベースがあるバーチャルマーケットに出展をすることにより、次世代の空間のインターネットで自社がどのような価値を提供できるかの実験を行うきっかけになります。
世界最大級のマーケットフェスティバルであるバーチャルマーケットが開催される度、バーチャル世界に触れる人が増え、いつの日か当たり前のように誰もがバーチャルと現実を行き来する時代が来ることを願っています。
VR法人HIKKY
本インタビューの注目ポイント
- バーチャルマーケット(Vket)は有志のクリエイターが産み出したイベント
- 「バーチャル経済圏」を生み「クリエイターがメタバースで生きる・働く」の実現にチャレンジ
- クリエイターが「バーチャルで生きる」ための仕組み「Vket Crew」
有志で始まった「VR上の展示会」
―――HIKKY様は、バーチャルマーケット(以下Vket)という「世界最大のVR上でのイベント」を運営していらっしゃいます。
―――そもそも、Vketが始まった経緯についてお伺いしたいです。
HIKKY様「まず前提として、メタバースとVRChatの世界ではアバターが非常に重要な役割を占めています。VRchatのユーザーやメタバースの住民は、みんな自分の好きなアバターでメタバース上の自分を着飾りたいという思いがあります。」
HIKKY様「ですが一方で、当時は違法コピーをされてるようなアバターのデータが出回ってたりとか、著作権が非常に不明瞭な形で、きちんとしたアバターを入手できるマーケットが少なかったんですね。そこで、2018年にVRチャット上でいろいろなコミュニティを作っていた有志たちが集まって『アバターなどのバーチャルアイテムを、違法性がなく、人に見せられるような展示会をやろう』という想いで始まったのがVketになります。」
HIKKY様「スタートした当時は企業化もしていないような状況で、VRChat上での有志の集まりだったのですが、当時から展示も80サークルぐらい集まりましたし、展示会場を1つのワールドとして有志のメンバーで作ったりもしていました。」
―――そもそもはバーチャルでのコミュニティだとか、アバターファッションのやり取りが正式にできるような場所を作ろうということで、有志で始められたのですね
HIKKY様「Vketにとって重要なポイントは第1回が成功した後になります。そのあとも参加者を増やしていきたいということで、有志のクリエイターの方以外、企業様にも出展ブースを持っていただけないかと、弊社の代表である舟越を中心にお声かけして回りました。」
HIKKY様「その結果、第2回を開催するまでに、大変ありがたいことに企業様にスポンサーとしてついていただく事ができました。これがきっかけで、出展者も参加者も広がっていきました。」
―――有志で始まってここまで大きくなるのが、まず驚きです。
―――初期の運営の皆様にとって、何が拡大の原動力だったのかをお伺いしたいのですが、いかがでしょうか?
HIKKY様「いくつか理由があると思います。VRChatが始まった当初から皆さんいろんな遊び方をしていますが、そのうちの1つがアバターを作ること。メタバースのアバターは決まった形というのがなく、自分たちで作ることができます。アバターを作ること自体がとにかく楽しいという人も、VRChatにはたくさんいるんですよね。」
HIKKY様「そして、自分の好きな『アバターづくり』をビジネスにしてみたいなと思われてる人も結構いらっしゃった。」
―――なるほど。自分たちの「オリジナルアバター」というクリエイティブを販売できる場を、自分たちで作るんだという想いがあったのだとご推察します。
HIKKY様「そうですね。あとは、そのクリエイター達をどうやって繋いで、どうやって輪を広げていくのかというところが焦点だったのです。」
―――そもそもが、物作りというかキャラクター作成に関心がある人たちが多かった、というところが一つ拡大するポイントだったんですね。
「クリエイターの祭典」としてのVket
―――有志で始まったVketがここまで大きくなれた理由は、どういう所にあるのでしょうか?
HIKKY様「何でここまで広まったかっていうと、3Dモデルやワールドを作るクリエイターの方は、固定のファンをお持ちの方が結構いるんですよね。そういったクリエイターの方々が『バーチャルマーケットに参加します。僕はこんなモデルを出すので、みんな遊びに来てね』とSNSなどで告知していって、その口コミでどんどん広まっていったというのも1つの理由です。」
HIKKY様「そうなると、ユーザーさんも『あの人が出すんだったら見に行こう』とか、それで行ってみて、そのクリエイターたちの作品に触発されたりして『僕も作ってみたいな』という想いを抱いて、自分で勉強を始めて、次のVketでは出展者側でその人が参加する、といった化学反応も起こっています。」
HIKKY様「そして、今度はその新しいクリエイターのファンの方が来場したりと、そういった連鎖、本当にユーザーさんたちの手でどんどん口コミだったりとかで広がっていったという形になります。HIKKY自体、スタートアップの会社なので、広告はほぼ出せなかったんですね。その状態でもここまで大きなイベントになったのは、本当にひとえにユーザーさんのお陰です。」
―――Vketには『アンバサダー』の方も結構いらっしゃって、バーチャルYouTuberの方とかもいらっしゃいますよね。
―――クリエイターについてるファンが多い世界であるからこそ。そういうところがどんどん紐づいて大きくなっていった。
―――そんな横のつながり、コミュニティのつながりを感じました。クリエイターの手で生み出されるイベントの理想像、みたいなものがvketにはあるのかなと思いました。
HIKKY様「付け加えて言うと、最近はメディアの方もVket盛り上がりを取り上げていただいているのもあって、企業側からも出展やスポンサーの声が多く掛かっています。ですので、メディアの方々の力というのももちろんありますね。」
―――貴社のお力になれるよう、いちメディア人として私もがんばります。笑
HIKKY様「付随して申し上げると、私たちは『バーチャル経済圏』を作っていくことを目指しています。」
―――バーチャルの経済圏ですか?
HIKKY様「そうですね。読んで字のごとく、バーチャル空間でヒト・モノ・カネが動くことですね。」
―――なんだかおもしろそうですね。Vket自体もそうですが、バーチャルの世界のクリエイターが、自分の作品をもっと多くの人に知ってもらい、販売することができる。
―――非常にクリエイターにとっては魅力的な世界なように思えます。
HIKKY様「弊社にも社員が100以上いるんですが、VRChatコミュニティの中の出身者が多く、皆さん『バーチャル経済圏を豊かにしたい』や『バーチャルの文化をもっと広めていきたい』という思いを持って参加されてる方がすごく多い。そういう思いがあるので、バーチャルマーケット自体が拡大しているし、多くの人に広まっていってるのかなという気はしますね。」
―――HIKKYさんの、理念みたいなところに近いとは思うんですけれども。そこに共感してる人がもう100人近く集まってるというのは、会社としてもすごい強いと思います。
HIKKY様「当社は、クリエイターを一番大事にするクリエイターファーストをずっと掲げています。」
HIKKY様「当社の代表の舟越もそう申していることが多いですし、そういったクリエイターファースト的な考えにも共鳴していただいてる方が多い。すごく嬉しいなと思いますね」
―――長年Vketを運営されている中で、出展されてるクリエイターさんからどういった声をいただいておりますか?
HIKKY様「バーチャル上で活動するクリエイターさんにとって、実はバーチャルマーケットがすごく大きな役割を担っているというのがあります。」
HIKKY様「実は、クリエイターの方というのはバーチャルマーケットを目標にして自分のスキルを上げているところもあるそうなんです。もっと言うと、先ほど述べた通り、出展しているクリエイターさんに触発されて、ほとんど3Dに触ったことがなかったような人が、Vketを通じて3Dモデリングツールを覚えたりとか、Unityを覚えたりみたいなことが起きてるんですね。」
HIKKY様「クリエイターの方にとっては『展示する場所ができる』ことによって、そこを目標にしてバーチャル空間での表現をしようという人が増えていると感じております。」
HIKKY様「あと、クリエイターさんって期限があるから頑張れるみたいなところがあるそうですね。なのでイベントとして年2回やってるというのもあります。」
―――文章のクリエイティブを扱うライターとして、その気持ちは非常によくわかります。笑
―――Vketを運営していく中で、こういうところに魅力があると感じていらっしゃいますか?
HIKKY様「Vketは順調に拡大をしまして、先日もVket2022Summerが行われました。今では年2回開催がメインで、そのうちの夏のものが8月に行われ、12月に冬を行います。」
HIKKY様「その中で、毎回100万人以上来ていただいております。そして、40%が海外の方です。」
―――海外の方が40%もいるのは驚きです。
HIKKY様「それだけでなく、ブース自体もですね、普通の一般の方が540サークル、企業から60社も出展いただいております。言うなれば同人作品の展示場と、企業の展示会がセットになったものが、年2回メタバースで開催されていて、そこの100万人も来場者がある。メタバースの事例としては非常に成功しているものだと思ってます。」
HIKKY様「来場者にとっても、各クリエイターさんが作っている様々なアバターは、その場で購入することもできますし、手に取ったら自分がそのアバターに変換することができるような試着・テスト機能をされてる方が多いんですね。」
HIKKY様「なので、実際にいろんな服を試着できる、みたいなことも楽しめます。すごくたくさんの、膨大な量のブースがありますので、全部見ようとすると相当時間はかかるのですが。」
HIKKY様「さらに企業ブースというところでは、我々もパラリアルワールド、パラリアルプロジェクトというものを持っておりまして。」
HIKKY様「これは、現実にある都市を再現したワールドで、リアルな風景に仮想のものを組み合わせて作成したものです。前回はニューヨークと大阪を作ったんですが、そこに企業さんを招待して出展してもらいました。すごく力を入れて作っているもので、ちょっとしたアトラクションとしても楽しめるような、非常に生き生きとしたVRで本当におすすめです。」
HIKKY様「2022年冬は『パラリアルパリ』と『パラリアル名古屋』、『パラリアル札幌』が体験できますので、是非ご期待いただきたいです。」
HIKKY様「世界トップクラスの内容で、かつ出展されてる企業様も有名な企業さんがたくさんいる、娯楽の場所としても非常に楽しんでいただいてるなというのを感じているところです。」
―――お話をお伺いしているだけでも、イキイキとした楽しさが伝わってきます。まさしく、トップクラスのクリエイティブがあり、アミューズメントもあるというところですね。
HIKKY様「直近だと2022年12月3日から『バーチャルマーケット2022Winter』が始まりますので、この記事を読んでいらっしゃる方にも是非参加していただきたいですし、体験していただきたいです。」
―――Vketを運営していく中で、メタバースの拡大やクリエイターへの貢献という面で可能性は感じられていますか?
HIKKY様「そうですね、明らかに起きていることは、メタバース内での物販の方法論が広がってきているというところですね。例えば、大丸松坂屋百貨店さんはもう次回で5回連続でのVketに出展をしていただいてます。そこでは、大丸さんのECサイトへの誘導という形でお中元などの食品が買えるようになっています。」
HIKKY様「これは実際の商品を3Dモデル化しているデータが置いてあって、仮想ブースで手に持つことができるんですね。ワイン等の場合は、実物のモデルと同じようなラベリングが貼ってあったり、バーチャルなだではの形で販売のアピールをするという。そういった出展を何回もされていくうちに段々と方法や知識も蓄積されている。実際に販売数に結果が出ています。」
HIKKY様「さらに最近は、そこにバーチャル接客という形で、期間中にVRに知識が深い人たちをアルバイトとして雇って、お客様に対して商品の説明をする、ということもやられています。そうするとただ商品を置いているだけよりも売り上げが伸びる、ということもわかっておりまして、そういう成果も出てきています。」
―――あたらしい市場と共に、VRでのアルバイトという雇用も生まれてきたということですね。
「バーチャル経済圏」を生むVketCrewのチャレンジ
―――クリエイターのコミュニティを作る『Vket Crew』についてもお伺いしたいです。
―――クリエイターのコミュニティを組成するというのは、非常に画期的な取り組みだなと思ってるんですけども。どういう仕組みなのかお伺いしたいです。
HIKKY様「まず、私たちが何をしたいかというと、VRChatのコミュニティの中で仕事を実際に発生させたい。」
HIKKY様「というのも。そういったニーズをお持ちの方はバーチャルの世界には結構いらっしゃいまして。弊社の中でもそうですし、外でもそうです。」
HIKKY様「そういった人たちに対して、簡単に仕事募集をして、お互いに共有できるような場所を作ろうというのが一つの目的でした。」
HIKKY様「弊社自体がそういったコミュニティの方にずいぶん支えられて、実際にそこから仕事をしてた方もたくさんいらっしゃいます。」
HIKKY様「私たちのクリエイターファーストの考え方に基づいてもいるのですが、バーチャル空間上で仕事ができるような仕組みを作ることで、クリエイター全体にとってもメリットが大きいんじゃないかと思うのです。」
―――そうですね。お話を伺っていて、根源にあるのは、メタバースの中で経済圏を作っていくっていう考え方が前で、その入り口としてVketCrewっていう仕事を受けれる人と、HIKKYさんという仕事を発注できる人が一体になって経済圏を作ってるという話なのかなと、お話を聞いて思いました。
―――これって、参加は自由にできたりするのでしょうか?何か自分の技術が向いてる仕事があったらそれに応募して参加するみたいな形式でしょうか?
HIKKY様「はい。VketCrewへの参加は自由にできて、クルーの方には今出ている仕事募集の中からどんな仕事に募集が掛かっているのを見て、各々参加していただくという仕組みです。」
クリエイターと共に作るメタバース
―――HIKKYさんは、結構オープンなメタバースを目指している法人様だと思いますが、あえてオープンなメタバースを構築することを目指しているのは、どういった理由からでしょうか?
HIKKY様「これはすごく端的です。クリエイターにとって一番使いやすい状態はどういうことか、ということですね。プラットフォームに縛られて規制が強まれば強まるほど、クリエイターにとってできることっていろいろ制限かかってくるんですね。」
HIKKY様「なので、きちんとオープンな形でメタバースを実現していくことが、クリエイターにとって一番使いやすい環境になるという理想があります。」
HIKKY様「実は今、弊社で開発しているメタバースエンジンとして、Vket Cloud(ブイケットクラウド)というエンジン開発をしております。」
HIKKY様「これはVR用の専用機器というよりはスマートフォンを対象にしているVR開発エンジンなんですが。これにより独自で自分のメタバースを作ることができるという仕組みになっております。」
HIKKY様「これもオープン性をどこまで担保するのかというのが非常に重要なところで、我々はメタバースサービスをスマートフォン向けに行います。WebXRという機能を使って開発をしておりますので、例えば、ツイッターにこれが映画メタバースですというような紹介を受けたとします。そのURLのリンクを踏むだけでもそこにポーンと飛べるぐらい簡単にしてあるんですね。」
―――Vket Cloudは既にサービスが始まっているのでしょうか?
HIKKY様「βサービスが始まっておりまして、もう既に一部の希望されてるユーザー様に関しては提供開始しております。今までのVketの際も、一部の店舗のワールドに関しては、Vket Cloudで制作したWebブラウザ会場も用意しております。次のVket2022Winterのときにも一部の企業はWebブラウザ会場にも出ます。」
―――ワールドを作るってなったら、多分Unityは触れなきゃいけないだろうなと思ってますし、場合によってはBlenderみたいなところも触れなきゃいけない、結構難しいイメージがあるんですね。御社のエンジンはプロフェッショナル仕様のものとは異なって、触りやすいというところを目指していらっしゃるのかなと思うんですね。
HIKKY様「そうですね。とはいえ、やっぱりUnityの技術は必要なので、ものすごい簡単とまではまだ言えなく、目指しているところです。まだ開発途上で、VRChat等のものと比較すると機能的に足りてない部分もありまして、例えばキャラクターのアバターを変えたりする機能は今開発している最中でございます。」
―――なるほど、実現したらそれは楽しいですね。誰でも自分の理想の世界を作れるわけじゃないですか。月並みの言葉しか出てこないんすけど、非常に夢がありますね。
HIKKY様「VRChatを使ってバーチャルマーケットを展開していて感じたことがありまして。それは『VRハードを持ってる方じゃないと手が出しにくい』ということで、これはアクセス面で大きな障害だと感じております。」
HIKKY様「当然、VR機器は没入感が圧倒的に高いので、そこから得られる満足度は非常に高いということを我々もよく知っております。他方で、もっと手軽にそういったサービスを利用したいという方も潜在的にいらっしゃることもよくわかっています。」
HIKKY様「我々のVketは、1つのプラットフォームに依存する形で提供したくないと思ってまして。提供を許していただける企業さんなりパートナーがいれば、様々なところに展開をしていって、同じデータでも展開できるようなサービスとしていきたいと思っております。」
―――先ほどおっしゃっていただいたように、クリエイターが一番力を発揮できる環境で提供し続けたいっていう思いからですね。
―――私も文章のクリエイターの1人だと思っていますから、そういう話はちょっと単純に熱くなりますね。
HIKKY様「特定のプラットフォームだけに限定するようなサービス展開はすべきではないと思ってます。それがどこまでできるかは、その時々の状況、プラットフォーム側の動きだったり技術の力になるので単純ではないのですが、できるだけオープンにして、クリエイターの方が一番自分にとってフィットするものを選べる環境を維持したいとすごく強く思ってます。」
―――お話聞けば聞くほど、クリエイターファーストなメタバースなんだなっていうのを印象として持っております。
―――HIKKY様は『メタバース』という言葉ができる前からご事業をされている会社さんだと思います。
―――長年VRをやっていく中で、VRやメタバースに感じてる可能性は、どういったところでしょうか?
HIKKY様「たくさんありますね。まず、VRの空間の中では国境がなく、距離を意識することなく人と会って話が出来る。Vketの来場者数の40%は海外の方ですが、そういった世界中の人とコミュニケーションを取れるということ自体が最大のアドバンテージです。」
HIKKY様「かつ、今までのWebブラウザと違うところは、例えばショッピングの会計です。Webで何か商品を購入しようと思ったときはその商品のページ以外はあまり見ないですよね。欲しいものを検索して、最適なものを見つけるだけで終わります。Vketをやってみて、特に友達と一緒に回るとすごくわかるんですが、まさにウインドショッピングができるんですよ。」
―――なるほど、非常によくわかります。例えばヘッドセットって検索してもヘッドセットしか見れないけど、バーチャルマーケットみたいなVR空間上のショッピングだったら、ヘッドセットのコーナーの行く道すがら、本来の目的ではない商品のトラッキンググローブみたいなのが見れて、これ欲しいって思っちゃったりするってことですよね。
HIKKY様「はい、今まではそれがリアルでしかできなかった、ですが、VR化して3D化することによって、メタバース上で同じような体験ができるように変わってきているということなんです。」
―――コミュニケーションとショッピングの概念が大きく変わるのですね。
HIKKY様「雇用の面でもすごくメタバースは使えるなと思います。以前の事例でもあったんですけれど、あるアパレルブランドでバーチャル接客のようなものをやったんです。そのときに、足の不自由な方がアバターになって接客をしたことがあります。」
HIKKY様「リアルの店舗にモニターを置いて、そこに行くとアバターがARのような形で出てきて接客してもらう、というような取り組みでした。アパレル店員になりたかったけれども身体の不自由などの原因で店頭に立てないから夢を諦めていたという方も、メタバースという技術を使ってアバターとしてだったら接客はできる。しかもメタバースの中だったらそこの店頭にわざわざ立ちにいかなくてもどこからでも出勤できるのも魅力ですよね。」
HIKKY様「弊社の経営陣でも、うつ病を患っており、リアルだと働けない、対面で人と話せない。だけどアバターとしてだったら人と話すことができて、また働くことができた。そういった方もいます。」
HIKKY様「こういったバーチャルの中に経済圏を作れば、自分みたいな人も働いたり稼いだりしていけるようになるよね、という思いでバーチャルマーケットをどんどん広げていきたいという意欲にもなっています。そういった、精神的だったり身体的な部分以外でも、例えば親の介護があったり、子育をしなきゃいけないなどの制限がある方も、こういったメタバース空間だから働ける。そういった雇用の面でもメタバースは今後使われていくんじゃないかなと思います。」
―――本日はお時間いただき、ありがとうございました。
バーチャルマーケット 2022 Winter 開催決定!
開催期間:2022年12月3日~2022年12月18日(16日間)
参加方法: 「来場方法」をご確認ください。
「誰もが持つクリエイティビティの価値が幅広く認められる世の中を創り出す」をミッションに「バーチャルマーケット」という世界最大規模のVRイベントの運営を行っております。