「バーチャル」に乗り込む「リアル」のコンテンツ力 東京ガールズコレクションのメタバース(W TOKYO様)
史上最大級のファッションフェスタ「東京ガールズコレクション」。その存在は多くの人が知っており、高いコンテンツ力と発信力を持っております。
『バーチャルTGC』は、そんな東京ガールズコレクションの世界観を3D空間に完全再現したTGC公式のメタバースです。
今回はバーチャルTGCを運営するW TOKYO様に、バーチャルTGCの現在地とこの先の展望について伺いました。
TGC公式メタバース「バーチャルTGC」
運営会社|W TOKYO様
W TOKYOは、東京ガールズコレクションを日本最大級のプラットフォームに育て上げてきた独自のプロデュースノウハウを活かし、あらゆるIPに付加価値を創造し続けるブランディングIPカンパニーです。
2005年8月から年2回開催している東京ガールズコレクションの企画・制作会社。
2015年に国連の友Asia-Pacificと連携し、2018年5月にはニューヨーク国連本部でSDGsをテーマとしたファッションショーの実施や、国内においては、2015年に「TGC地方創生プロジェクト」を立ち上げ、北九州市や静岡市などの地方都市でのTGCを開催し地方創生に寄与するとともに、積極的にSDGs推進に向けた取組みを行っています。
「リアルとは異なる楽しみ方」ができるバーチャルTGC
―――東京ガールズコレクション(以下、TGC)というリアルイベントと、メタバースという仮想空間は、一見距離のあるように思えます。
―――TGCのメタバースを制作するにあたった経緯を教えていただきたいです。
W TOKYO様「TGCは開催当初からクロスメディアでイベントを実施したりとメディアを取り入れるのには積極的でしたが、今回メタバースを制作するにあたった1番大きな理由は新型コロナウイルスの影響によりリアルでのTGC開催ができなくなってしまったことです。
コロナ禍で、リアルイベントの醍醐味の熱狂や一体感を演出する代替案として、また、近年のWeb3への注目度もあり、話題化にも繋がるのではないかと考えバーチャルTGCの開発に踏み切りました。」
―――バーチャルTGCは、スマートフォンアプリを用いたメタバースだと思います。
―――メタバースはVRヘッドセットやPCなど、アクセス手段一つをとっても色々あると思いますが、その中で「スマートフォン」というツールを選んだ理由もお聞きしたいです。
W TOKYO様「最大の理由は、現在TGCというコンテンツを楽しんでいただいている層にマッチしていると考えたからです。TGCのターゲットは、10代〜20代の若年層が中心です。そういう方々はVRヘッドセットとはまだあまりなじみのない人が多いかと思います。」
W TOKYO様「そういったターゲット層に『メタバース』に接してもらうには、『スマホだけでも遊べる』というところが一つ大きなポイントだと思っております。そのため、現状は誰でも馴染みやすく簡単に遊ぶことのできるスマホのアプリで運営しています。」
―――なるほど、ありがとうございます。TGCのターゲットに合わせたデバイスを考えたときに、スマートフォンが一番適していた、ということですね。
―――リアルのTGCとはまた違った「バーチャルだからこそできる楽しさ」を実現しようとしているお取り組みだと思います。
W TOKYO様「はい。バーチャルTGCは元々『リアルより楽しいかもしれない』ということをコンセプトに企画しています。
TGCは、より多くの方に見ていただけるように、YouTubeやLINE LIVEでのイベントの無料配信はこれまでも行ってきているので、そこからさらにバーチャル空間に入って楽しんでもらえるように色々な工夫を行っています。」
W TOKYO様「例えばアバターについて。アバターのアイテムは、実際のファッショントレンドに合わせて、各シーズンかなり幅広いアイテムを展開しています。」
W TOKYO様「アバター自体も、何か特定のコスチュームを身に纏っているアバターではなく、あくまで『普段の女の子たち』になるように意識しています。アバターの素体もファッションが映えるように8-9等身にしています。そのアバターの素体をベースに、ファッションアイテムを購入し、リアルのファッションを楽しむときと同じような感覚でアバターファッションを楽しんでいただきたいと思っています。」
―――アバター自体というよりも、アバターが身に纏うファッションを楽しめるデザインにしているのですね。
W TOKYO様「アバターの購入方法にもちょっとした工夫があり、購入といっても実際の現実のお金ではなく、アプリ上の無料コインと引き換えする形になっています。このコインは、アプリ上の迷路や滑り台など、様々なアトラクションをクリアすることで手に入る、ゲーム要素を組み込んだものにしています。」
―――なるほど、ありがとうございます。単純な疑問なんですけど、アイテム課金制にしなかったのはどのような理由なのでしょうか?
W TOKYO様「バーチャルTGCはこれから大きくなっていくコンテンツなので、まずはユーザーを限定せずにより多くのユーザーが無料で楽しめるようなコンテンツにしていきたいと考えているためです。」
―――まずは無料でバーチャルの世界のTGCに触れてほしい、という意図で作られているのですね。
α世代と地方創生
―――メタバース上でのバーチャルTGCを実際に立ち上げてわかったことなどございましたら、お伺いしたいです。
WTOKYO様「立ち上げて気づいたこととして、メタバースで遊んでる子たちは意外と若い子が多いということです。」
WTOKYO様「私たちが想像していたよりも思っていたより若く、アルファ世代や、中学生が非常に多いです。若い子たちが積極的に遊びに来てアバター同士・ファン同士でコミュニケーションをとっているという所は非常に感じました。スマートフォンで遊ぶことのできるゲームに近い感覚のメタバースだからこそ、本格的なVRヘッドセットが必要なメタバースよりも、若い子たちの方が入りやすいところがあるのではないか、と思っています。」
―――バーチャルTGC上では定期的にイベントが開催されています。こういったイベントは、リアルイベントと同じ時期に連動して実施されているのでしょうか?
W TOKYO様「そうですね、TGCのイベントは、基本的には東京で年2回、春と秋に開催しています。ステージの様子をバーチャルTGCでは『ステージエリア』にて生中継で配信しています。」
―――一見、地方とTGCには距離があるように感じますが、実際は地方での開催の方が多い。
―――今回11月に、九州でTGCを行うと思います。バーチャルTGCの中にも地方自治体さんの出展もあります。
W TOKYO様「TGCは東京で年2回イベントを開催しており、17年程前から続けております。TGCの強みは、大きく2つあると考えています。ひとつはコンテンツ力です。TGCには、今一番旬なタレントやモデルが200名ぐらい出演し、アパレルブランドも数多く出展しています。この繋がりが非常に強いコンテンツ力に繋がっています。」
W TOKYO様「もうひとつの武器が発信力です。TGCの様子はYouTubeやLINE LIVE配信しており、毎回400万人程度の人がリアルタイムで見ています。また、SNSでの発信力も持っています。このコンテンツ力と発信力を生かして、地方の活性化、地方創生に活かしたいという想いで、2015年から地方での開催を行っています。北九州も2015年から2020年まで5年開催しており、ここ2年間は新型コロナウイルスの影響でお休みしていましたが、11月にまた復活開催しました。北九州以外にも熊本や静岡など、様々な地域で同様のイベントを実施しております。」
―――そういった地方創生みたいなところで組んでいる兼ね合いで、バーチャルTGCにも地方や行政のブースが出てるのでしょうか?
W TOKYO様「そうですね、北九州市さんはバーチャルTGCにも出展して頂いています。その背景には、やはりコロナ禍で他県からの移動などが制限されていたことが大きいのかなと思います。今はだいぶ緩和されていますが、制限があった当時は、こういったバーチャルのコンテンツを通じて地方の魅力を新しい形で体験してもらう機会になりますし、私たちもそこを目指していきたいと思っています。」
メタバースとWeb3
―――今後、バーチャルTCGはどのように進化していくのでしょうか?
W TOKYO様「現状ではTGCがターゲットにしているような若年層はまだメタバースとは距離感があり、積極的に活動をしていく環境になるのは5〜10年先になるのではないかと私は考えています。
当面は、その将来に向けてしっかりとしたモデルを、いろいろ模索している状態です。」
W TOKYO様「そのため、上述のような大きな将来を見据えながらではありますが、現状はTGCに基づいた、イベントを楽しめるメタバース空間として提供しているものの、今後はそれだけではなく、ファッションメタバースという新しい形で、女の子たちが日常的に世界に入り込んで楽しめるような空間にしたいと思っています。」
W TOKYO様「イベントのライブ放映やゲーム機能だけではなく、バーチャルTGC内での新たなファッショントレンドの発信や、将来的にはそこでのエコシステムのような仕組みも作ることができるような形へ進化させていきたいと考えています。ファッション業界、エンタメ業界のWeb3やメタバースがもっと活性化していくような起爆剤になればいいなと思っています。」
―――なるほど、ありがとうございます。特にTGC様はコンテンツ力を持っていらっしゃるので、私としてはメタバースとのプレイヤーとしては結構有利なプレーヤーだと思っています。
―――そういったコンテンツ力を活かす、みたいなことも今後やっていくようなイメージはあるんでしょうか?
W TOKYO様「TGC自体は基本的にはプラットフォームとしてイベントを創造しており、タレント・モデルやアパレルブランドなどTGCが繋がっているコンテンツ力が強みだと思いますので、バーチャルTGCでも積極的に連動できるようにしていきたいと思っています。」
―――アバターもファッションブランドとコラボレーションしたり、アバターとファッションは非常に何か相性が良いと思います。
―――ファッションブランドとかのコラボレーションをしたアバターを作ったりとかも未来予想図の一つとしてはあるのかなと思うのですが、そこはいかがでしょうか?
W TOKYO様「はい、将来的にはファッションブランドやリアルなアパレルアイテムと連動もしていきたいなと思っています。ですがそれを行うには、メタバース間でのファッションやアバターアイテムの仕様、企画の統一性が必要です。」
W TOKYO様「メタバース間の統一感がないと『ファッション等のバーチャルアイテムを自分で買う』という行動が、ゲーム上の課金と変わらなくなる気がしています。メタバースもアバターファッションも、もっと可能性のある分野だと思っており、バーチャル空間上でのアバターもファッションアイテムも、『自分のアイデンティティ』になるようにしていきたいです。」
W TOKYO様「例えばバーチャルTGCで買ったアイテムが、様々なメタバース空間内でも連動できるようになると、その中で揃えたオシャレなアバターアイテムが自分らしさの表現にもなり、より新しい現実としてのメタバースらしくなってくるのではないかと思います。」
―――そうですね、メタバース間の仕様の統一が実現すれば、ユーザーの回遊性みたいなところも出てくるので、いいスパイラルを生むのかなと思っています。
W TOKYO様「そのため、本格的にリアルなブランドと連動やコラボレーションしていくためには、そういったメタバース間の仕様の統一もあわせて検討いく必要があると思っています。」
―――最後に、先ほどの2点以外で、今思い描いていることをお聞かせいただきたいです。
W TOKYO様「私たちは、メタバースをメタバース単体だけで考えてるわけではなく、将来的にはブロックチェーンなどWeb3の技術を混ぜ合わせたメタバース空間になっていくと思います。
メタバースを『バーチャル空間の活用』というだけの定義にはせず、『TGCのWeb3化』というところが大きな方向性だと思っています。」
―――本日はお忙しい中お時間いただき、誠にありがとうございました。
東京ガールズコレクションの公式メタバース『バーチャルTGC』
バーチャルTGCは、「リアルよりも楽しいかもしれない!?」をテーマに、バーチャル空間だからこそ楽しめる、様々なコンテンツを提供しています!
ユーザーは自分の好きなアバターで、TGCをベースとしたファッションメタバースに参加し、ファッションショーなどのイベントライブ視聴や、ブースや様々なアトラクションを体験できます。TGCをオンラインで楽しむためだけのプラットフォームではなく、リアルイベントのTGCと連動しつつも、ファッションメタバースとして“アタラシイTGC”を創造します。
2023年1月14日(土)に開催される『SDGs推進 TGC しずおか 2023 by TOKYO GIRLS COLLECTION』、2023年2月11日(土)に開催される『oomiya presents TGC WAKAYAMA 2023 by TOKYO GIRLS COLLECTION』でもステージエリアにてイベントの様子を放映予定です。
是非一度ダウンロードして、遊んでみてはいかがでしょうか?
東京ガールズコレクションがバーチャルの世界で楽しめるようになりました!
ユーザーは自分の好きなアバターで、TGCをベースとしたメタバースに参加し、ファッションショーなどのイベントライブ視聴や、ブースや様々なアトラクションを体験できます。
TGCをオンラインで楽しむためだけのプラットフォームではなく、リアルイベントのTGCと連動しつつも、ファッションメタバースとして“アタラシイTGC”を創造します。
「リアルより楽しいかもしれない。」これまでになかったバーチャル空間でのアタラシイガールズの祭典をお楽しみください!