実績十分なゲーム開発チームが率いるインド最大級エンターテインメントテック企業グループ Jet日本法人が手掛ける ワンストップモバイルゲーム海外展開支援サービス
日本のソーシャルゲームの中でも、グローバル展開されていくタイトルも増えてきました。しかしながら、ゲームタイトルのグローバル化は、経験値を持った人材や工数の不足等を理由に、難航することが多いのが実情です。今回はインド発のエンターテインメント・テック企業JetSynthesys様の日本法人、その責任者である島様に、ゲームタイトルのグローバル化と日本のゲームの可能性について伺いました。
Ryo Shima 様
JetSynthesys|インド最大級のIT企業グループ
――本日はよろしくおねがいいたします。
――Jetsynthesys(以下Jet)様は、インドで非常に大きな影響力を持った企業であると伺っておりますが、改めてJet様という企業について教えていただきたいです。
島「Jetは、インドに本社を置くエンターテインメント・テック企業です。インド市場では、カジュアル・スポーツジャンルの内製タイトルの展開や、eスポーツ・動画アプリ・マイドフルネスアプリ、フィンテックなど幅広い等のコンシューマー向けアプリ事業を手がけています。」
――インドではかなり幅広く事業をしていらっしゃるのですね。日本市場ではどのようなご活躍をされているのでしょうか?
島「2019年5月に日本で本格的な活動をスタートしました。日本での知名度はまだまだですが、日本や欧米のゲーム企業に対して、エンジニア・アートのリソース提供、タイトル協同開発、海外市場向けのローカライズの開発・運営受託などの実績があります。」
――ゲームをグローバル展開する際のサポートに強みがある企業様なのですね。
島「そうですね。あとは、創業者が特徴的な企業でもあります。創業者のRajan Navani(以下ラジャン)は、インドの経団連にあたるCIIのメンバーの一人で国内外の政財界に顔が広く、例えば、2020年1月にインド・モディ首相の会合にゲーム・エンタメ業界代表として参加しています。
島「また、2018年にインド・モディ首相が来日した際にインドの産業代表の一人として来日したり、2019年にデリーで開催されたインド最大のゲームショーを会長として主導したりと、多くの実績を持った経営者です。」
――インドの政財界・エンターテイメント業界で影響力を持ったお方なのですね。
日本のゲームをグローバル展開する時の障壁
――ゲームをグローバル展開する際に、真っ先に思い浮かぶのは翻訳です。
――それ以外にも日本のゲームタイトルをグローバル展開していくにあたって、クリアしなくてはならない壁はあるのでしょうか?
島「もちろんあります。大きな所としては、設計面の課題と人材面の課題があります。」
障壁|ゲーム設計面でグローバルと差がある
島「まず第一に、設計面での課題です。ゲームを開発面でとらえると『ソースコード』と『マスタデータ』がありますが、日本企業には日本企業流の開発の方法があります。それに、データはもちろんソースコードの中にも日本語が散在していることがあります。 」
島「なので、グローバル展開する時はそれらをグローバル基準に修正しなくてはなりません。テキスト集約したり、翻訳が必要な部分を見定めたりします。しかし、そういった経験を積まれている人材はなかなか居ないのが現状です。」
――ゲーム開発の中でも特殊な領域であると感じました。
障壁|グローバル展開の経験がある人材不足
島「そこで、二つ目の課題が発生してきます。グローバル展開の経験値を持った人材の不足です。」
島「先ほどお話しました通り、ゲームタイトルをグローバル展開していくにあたっては、開発面でも企画面でも特殊な経験が必要です。こういった経験を持った人材を抱えている企業様は多くはないと感じますし、他社に依頼しようとしても、どういったベンダーに依頼した方が良いかなども不透明なことが多いです。」
――日本の大手ゲーム企業様にはそういった人材もいらっしゃると思いますが、多様な会社様、多様なタイトルをグローバルで展開していくのは難しそうですね。
JetSynthesys|開発の強み
――前述のような課題がある日本のゲームタイトルのグローバル展開ですが、jet様では具体的にどのようなソリューションを提供されているのでしょうか?
島「日本のゲームタイトルをグローバル展開する際に、当社がお手伝いできること、強みは大きく二つです。第一に、開発面での強みがあります。」
強み|コードがあれば良い手離れの良さ
島「当社がゲームタイトルのグローバル化を開発面でお手伝いさせていただくときは、基本的にはローカライズの仕組みづくりからお手伝いします。単純な翻訳の上書きをする訳ではありません。」
――具体的にはどういうことなのでしょうか?
島「私たちはソースコードやマスタデータを分析し、ローカライズのパイプラインから作ります。コンテンツデータを作成するチーム、エンジニア、翻訳リーム、運営チーム、それぞれの業務プロセスに妨害のない最適の仕組みを提案・実装できます。ソースコードをフォークして別運営することも、ローカライズの仕組みを本体にマージして一本化運営するのも可能です。 」
――仮に日本企業様がJet様にご依頼をしたとしたら、日本企業側はどれくらいの工数がかかるものなのでしょうか?
島「そうですね。ソースコード、アセット、マスタデータさえ渡していただければあとはほぼ手間を掛けずに海外版を作ることができます。」
島「具体的には、簡単な説明と既存の文書をお渡しいただければ、こっちでソースコードを分析し開発環境や開発ビルドを作成します。イメージとしては、開発経歴のある新入社員に説明するイメージでいいかなと思います。 もちろん専任者を付けなくても十分対応できます。」
――非常に手離れのよいソリューションであると感じました。
――一方で、この手離れの良さを実現するには、日本の企業、日本のゲームのことを熟知しているエンジニアが貴社側に必要かと存じますが、その点はいかがでしょうか?
開発面のプロ|Hyunsu Bang様
島「その点はご心配なく。まず、当社のBangというテクニカルディレクターがいます。彼はグリーに勤めていた経験があり、東京、韓国オフィスでモバイルゲーム開発、運営を担当していたので、日本も海外も良く知っています。」
Hyunsu Bang (Technical Director)
・GREEや日本拠点の様々なスタートアップゲーム開発会社で15年以上の業界経験を持つ
・GREEでの大規模ユーザーサービスのシステム開発、スタートアップではサービス全体のバックエンドシステム開発を担当し、日本での様々なシステム設計の経験を持つ
・数多くのゲーム・ローカライズに関連するシステム、パイプライン開発の経験を持つエンジニア。
・プロダクトマネージャーとしてライブ運営の経験も豊富で、リリース後の運営を見据えたシステム設計やライブ支援ツールの提案や開発が可能
・現在は韓国ソウル在住で、日本語・英語・韓国語の三か国語を話し、現地韓国のゲームパブリッシャーとの連携、サポートも行う
強み|インドの開発部隊のサポート
――そのような経験をお持ちの方がテクニカルディレクターをされているのは心強いですね。
――一方で、インドといえばITの国です。開発面で言えばそういったサポートも受けられるのではないかと推測していますが、いかがでしょうか?
島「そこはもちろん当社の強みでもあります。当社は、インドに質・量ともに豊富な開発部隊が常駐しています。大掛かりな開発にも対応できるリソースがあります。」
――やはり、コスト面でも大きく差が出るのでしょうか?
島「はい。これは他社様の実際の例ですが、自国のエンジニアを使っていた時と当社のソリューションを受けたときでは、開発コストを40%少なくできた事例もあります。」
――技術的には「日本を知り尽くした」テクニカルディレクターが居り、開発面ではインドのエンジニア部隊が居る。質的にも量的にもメリットがあると感じました。
島「そうですね。Jetはグループ全体で多くのゲーム開発リソースを抱えており、各プロジェクトに更に機動的に人員を配置できることが強みです。なので、エンジニアリソースの部分的な外注ニーズから、運営受託、共同開発など、幅広い要望に対して、低コストで高品質なサポートを提供することができます。」
――日本のゲームタイトルを海外展開していくにあたって、多くのニーズに応えられる企業様であると感じました。
JetSynthesys|企画の強み
――日本のゲームタイトルをグローバル化するにあたって、開発面で非常に大きな強みをお持ちだと感じました。
――一方で、開発以外の企画部分について、貴社はどういった強みをお持ちですか?
強み|日本語のみで対応可能
島「企画面での強みとしては、日本語のみですべてのコミュニケーションが対応可能という点です。もちろん、日本のゲームとグローバル市場を理解した人物が対応いたします。」
島「企画面では江田というエグゼクティブプロデューサーがいます。彼はゲーム業界25年のキャリアを持ち、日本や海外の名だたるゲーム企業でプロデューサーを務めてきました。」
島「インド現地とのコミュニケーションはJetのJapanチームが担当しますし、文書・ソースコードのコメントなども日本語のままで問題ありません。 また、カジュアルゲームからコアゲーム、スポーツやアクション等幅広いジャンルに向けた企画の提案や、日本や海外市場向けのリリースに合わせたコンテンツの改善案など、企画の段階から様々なお手伝いをさせて頂いております。」
――グローバル展開が日本語だけで完結するのは、非常にありがたいと感じました。
企画面のプロ|江田 大樹 様
――日本語が母国語の方がプロデューサーやディレクターを務めており、日本も海外も知り尽くしているのは魅力的ですね。
強み|英語圏へのグローバル展開
島「言語の面で関連してお伝えしますと、当社は英語圏へのアプローチが非常に得意です。これは、インドという国がそもそも英語話者が多いという背景を活かして、北米圏へのグローバル展開を強化しています。」
島「もちろん、インドの企業なので最も得意とするところはインドへの展開なのですが、やはり北米をターゲットにしている企業様が多いですね。実際私もサンフランシスコに駐在していることが多いので、ここは力を入れていきます。」
島「また、私たちの組織はマーケティング面でも知見がありますので、現地に必要な機能・素材・イベントなどの提案と実行ができます。」
――なるほど、ゲームの遊び方もやはり日本のユーザーとは異なるということなのでしょうか?
島「そうですね。例えばマルチプレイのパーティをより探しやすくするためのParty Finder機能を実装したり、北米ユーザーの好みに合わせてUIを修正したり、米ユーザーのプレイスタイルに合わせてバトルの難易度・報酬の配置などを調整しています。 」
島「ここも課金アイテムの価格・配置などを、KPIを見ながら随時細かく調整してきました。 」
優れた日本のゲームを世界へ
――すでに日本のゲーム企業様との協業の実績も多数あるのでしょうか?
島「もちろんです。先ほど述べたゲーム開発・パブリッシングだけではなく、2D・3Dのアート制作の受託、マーケティング等、幅広く協業させていただいております。」
――実際に日本のゲームタイトルのグローバル展開の案件もあるということですね。
島「もちろんです。いわゆるソーシャルゲームの領域で、多くの実績があります。」
――お話を伺い、多くの企業様のお役に立てるソリューションだと感じました。
――その中でも「とくにこのような企業のお役に立てる」という切り口はありますか?
島「そうですね、まず、日本版を運営中(もしくは開発中)であるが、海外版を考慮した(=ローカライズできる)作りになっていないため、海外版の開発に踏み込めていらっしゃらない会社様は、是非ご相談いただきたいです。」
――貴社の開発ポリシーに最もマッチしているのはその層であると感じます。
島「あとは、とりあえず日本版優先で作っているが海外版に割けるリソースが足りない。パブリッシングの提案を受けているが海外版の開発に充てるリソースがない。自社で海外版もパブリッシングしたいけどノウハウ・リソースが足りない等、ノウハウや人材が不足している会社様のお役にも立てると思います。」
最後に
――最後に、日本のゲームタイトルをグローバル展開していく中で、グローバルで見た中で日本のゲームタイトルはどのような魅力や可能性があるのか、島様の感じている部分を教えてください。
島「日本のソーシャルゲームは歴史が長く、ユーザー目線で見ても、細部にわたって細やかに作りこまれていると感じます。かつては、日本のモバイルゲームは世界で通用しないと言われていました。確かに、UI/UXやアート、ゲームのフローなどはガラパゴス的に世界とは別に発展してきたことも事実です。」
島「しかし、Sensor Towerが発表したレポートでは、2019-2020年にかけて日本のモバイルIPゲーム収益の37%近くは海外市場から稼いでいるとされています。」
島「個別タイトルで見ても、ドラゴンボールZドッカンバトルやFGOなどの成功事例がたくさん出てきています。”楽しい”と感じる感覚は世界共通のはずで、あとは、欧米のユーザーから見て違和感のないローカライズや、UI/UX、プライシングなどを工夫することで、より多くの海外ユーザー様に遊んでもらい、結果として収益を拡大させることができる可能性は高いと感じています。」
島「欧米市場で経験が豊富な我々がその一助になることができればこれほど嬉しいことはありません。」
――本日はお時間いただきまして、誠にありがとうございました。
・Global Head of Strategy & Business Development / 日本カントリーマネージャー