DIDの無限の可能性 トップランナーUPBONDが生み出す新しいデータ活用の形

DIDの無限の可能性 トップランナーUPBONDが生み出す新しいデータ活用の形

DIDの無限の可能性 トップランナーUPBONDが生み出す新しいデータ活用の形

株式会社UPBONDは、DID(分散型ID)の社会実装に取り組み、企業の新時代データ活用に特化した『UPBOND Wallet』をリリースしているWeb3企業です。Polygonとの協業に加え、Web3の社会実装に向けて電通デジタルと協業を開始。国内外のトッププレイヤー達と手を組むUPBONDの描く、新しいデータ活用の姿についてお伺いしました。

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  1. 1UPBOND 水岡CEO
  2. 2事業の本質は「DID」データ活用の未来形
  3. 2.1DIDとは?|データを開示する自由のこと
  4. 2.2ウォレットに個人のデータが入る時代
  5. 3情報提供の選択肢があるウォレット
  6. 4万能ではないが革命ではあるWeb3の世界

UPBOND 水岡CEO

会社HP

事業の本質は「DID」データ活用の未来形

――UPBOND様は「Beyond Web3」を掲げていらっしゃいます。

――御社の掲げる「Beyond Web3」とは、どのような姿なのでしょうか?

 

水岡様「まず前提として、Web3についてお話してから、そののちに『Web3をどう超えるか』について話していきたいと思います。Web3では、基本的に個人がデータの主体者になります。国家や企業がデータを中央集権的に管理せず、情報資産の主体者が個人であるという世界です。個人が主体だからこそ、ここまで早く広がったという背景があります。」 

――確かに、NFTプロジェクト等は個人で大きな成果を出している方も多いですし、暗号資産を入れる『ウォレット』は基本的に個人管理です。

――企業が収集したデータをもとに、サービスを生み出していくWeb2とは対極にあると感じます。水岡様の仰る通り。Web3は『個人』の時代であると私も思います。

個人が情報資産を管理する=ウォレットで暗号資産やNFTを個人管理することを指す。
自律分散型に広がる=個人が主体であるがゆえに、意思決定が早く、小回りが利くので、多くのことがハイスピードで進んでいることを指す。

水岡様「企業の責任のもとに何かをやろうと思うと、基本的には責任が生じてしまうので、様々なことが思うようにできない場合があります。Web3では、NFTを始めとして日々新しいイノベーションが起きていますが、そこで必要なのは個人が直接責任を持つということです。NFTは個人が直接持ち、銀行に預けられているわけでありません。」 

――紛失しても自己責任。コンピューターウイルス等を仕掛けられて流出しても自己責任。そういう世界設計だととらえていらっしゃる。

水岡様「悪いことばかりでもありません。一方で「個人主体」である点がWeb3のトレンドやスピード感を作っています。」

――確かに、意思決定者が法人ではなく個人なので、意思決定のスピード感は感じます。

水岡「ですが、私たちはユーザーの皆さんに問いたい。本当に自分でデータ資産の管理をしたいですか?

――…紛失しても自己責任、ちょっと怖いですね。

水岡「はい。一般のユーザーさんは今ほど仰っていただいた理由で、あまり『個人管理』をやりたがりません。ですが一方で、最初に個人が資産を所持し、それを銀行に預ける、暗号資産交換所に預ける、企業に預ける、そういった選択が出来る主体性があります。そういった事ができるのがWeb3の良いところでもあります。」 

水岡「ここで、私共の掲げる『Beyond Web3』に戻ります。私たちの提唱する『Beyond Web3』とは、Web3のテクノロジーを基盤とし、完全に個人が資産を持つということを前提としつつ、それを法人に預けるか預けないかの選択ができるというのが、我々の考える『Beyond Web3』です。」

――自分がNFTを入手したら、自分で管理するもよし、企業に管理を委託するもよし、それを自分で選べるようになるということですね

水岡「個人が資産を持てるすごい世界、というのがWeb3でよく語られるストーリーですが、本当に全てのデータを自分でコントロールしたいと考えている人は多くはないと思っています。」

水岡「Web3は、確かに面白い新しい概念ですが、個人が情報を管理できるようになった先にどういう世界があるのかを考えている、それがBeyond Web3です。」

――個人が自分以外の何者にも縛られず資産を所有できるようになったのがWeb3のいいところです。

――逆に、他の誰かに管理してもらい、自分の責任ではなく利用できるというのがWeb2のいいところでもありました。 


水岡「Web2の世界では誰かに管理され、Web3の世界では自分で管理しないといけません。今までは、どちらかにするという選択肢しかありませんでした。例えば、情報資産は直接個人が所有することはあまりなく、どこかのサーバーに預けていたりするのが主流です。」 

水岡「我々がメインに考えている部分が、DID(分散型ID)やSBTです。先ほどお話した『Web3のその先』を見据えると、必ず『自分の個人情報を選択して企業などの法人に提供するプロセス』が必要となるため、そういったところに一番フォーカスしています。」 

――『Web3のその先』を目指すUPBOND様のコア事業が『DIDの活用』ということなのですね。

DIDとは?|データを開示する自由のこと

――DIDという概念は、まだまだ一般普及はしていないと思います。水岡様ご自身のお言葉でDIDを説明すると、どういった表現になりますでしょうか?

水岡「例えば、運転免許センターがあったとします。そして、運転免許証センターが発行する運転免許証を個人が持っています。」

――運転免許証、つまりは個人のIDですね。

水岡「はい。そしてそのIDには、様々な情報が入っています。名前や生年月日、運転できる車種の条件、はたまた事故の履歴など。そして、その個人が持つ免許証の情報を使い、ある事業者に対して免許証を見せることでサービスを提供してもらえることがありますよね。」 

――先ほどの免許証の例で言うと『無事故ドライバーに景品上げます』のようなイメージがつきました。

水岡同じことがデジタル上で行われるのがDIDです。企業のサービスを受ける時に、私たちは『本人確認』や『保有する資格』や『今までの経歴』を証明したり提供したりしています。これから説明しますが、Web3の領域では、それらの情報をNFTとしてウォレットに入れることができます。そのNFTになった情報を企業に開示したり、開示を拒否したりできる。これがDIDです。」

ウォレットに個人のデータが入る時代

――そんなことができるような時代になったのですか…!!

水岡「はい。当社では実際に機材を使って、ボディデータ、人間の体のデータですね。それを取って、NFTにして、ウォレットに入れることもできます。」

――あそこに見える骨組みがそうなのですね?

水岡「そうですね。あちらの機械が実際ボディデータを取るシステムです。」

――UPBOND様がボディデータを活用したDIDに本気で取り組まれていることが大変よくわかりました。

――一方で、あえて普通のデータではなく、NFTを使うのか、気になる人が多いと思います。DIDやNFT・SBTの良さを語るとしたら、どういった言葉になるでしょうか?


水岡「例えば、企業がデータを持っていると、同じ業界の別企業同士でデータのやり取りは絶対に行わないわけです。ですが一方、その人のデータを複数の企業が(個人の同意が得られたうえで)それぞれ知れるようになれば、大きな効果があります。例えば服飾。ボディースキャンをして精巧なボディーデータを測定したら、スーツの企業でも、下着の企業でも、普段着の企業でも、その人にマッチした服を作れると思います。」

――今までは、個別の企業ごとにデータを集めなければならないので、ユーザーは何度も同じ採寸をしなければならなかった。

水岡「はい。ですがそこで、この精巧なボディーデータを顧客個人が持つことが出来れば、前述のスーツの企業でも使えるかもしれません。またフィットネスクラブに行った時にボディーデータを見てもらえて、ここの筋肉鍛えた方がいいよとアドバイスがもらえるかもしれない。健康ヘルスの文脈でいくと、ボディーデータには体重や身長では見えないような、疾患など、例えば病気の早期発見にボディーデータが繋がるかもしれません。」 

水岡「いわゆるインターオペラビリティではないですけど、個人がデータの主体になるからこそ繋がれる可能性もあると思います。」 

――自分の体形を測ったデータがあれば、どの服屋さんでも、どの病院にでも、データを見せるだけでわかりやすく活用できるようになるということですね。 

水岡「個人データは、氏名に紐づくような情報以外も、たくさんあるわけです。そういった、データを個人が持って活用することによって、より良い社会、より良いサービスを作れると思います。」 

――なるほど。だからUPBOND様は自社開発のウォレットの事業をされているのですね。

水岡「おっしゃる通りです。」

情報提供の選択肢があるウォレット

水岡「UPBOND Walletは、『ユーザーの同意が得られれば特定の企業に情報を共有できるウォレット』です。当然、企業様は許可がないとウォレットの中に入っているデータを見ることはできないですし、ウォレットを開発している当社もその情報の中身を見ることはできないです。」

水岡「我々はストレージを用意してスペースを提供しますけど、我々自身には情報に対するアクセス権限はありません。個人の鍵をかけて、金庫にしまっているだけです。」 

水岡「なので、あくまでも情報の主体は個人です。そもそも、我々は情報そのものは扱わないので、法的には所持していることになりますが、サービス設計上では個人情報にアクセスできないようになっています。」 

――その決意は大きな決断なのではないか思います。それも、個人や消費者をリスペクトしているという前提からきてるのですね。 

水岡「そうですね。時代の流れとして、一社のサービスプロバイダーが個人情報を収集して活用する世界観とは、間違いなく真逆になってきています。個人がデータを溜める場所を提供しているだけで、我々はアクセス権限を持たないですし、一生持つことはありません。」 

水岡「企業側に対して、個人情報を全部公開することが、まずありません。A社にはここまで、B社にはここまで、というように個人が選択してシェアします。」 

――先ほどのボディデータの例以外ですと、どのような使い方がありますか?

水岡「例えば、観光業では、旅前、旅中、旅後とあります。旅前に様々なサービスサイトを見て、駅や空港から現地に行き、お土産を買って、旅館があって、帰りもあって、それぞれの行程に違う事業者があります。このカスタマージャーニーには今まで繋がりがありませんでした。」 

水岡「UPBOND Walletのように、個人がIDを持って全てのインターネットサービスにアクセスをしていくという世界では、この寸断されたカスタマージャーニーを繋げることができます。なので、個人に最適なサービスを企業が提供できる。DIDを活用した社会実装、インターオペラビリティを活用した社会実装では、一番解像度と実績や自信があります。」 

――ボディーデータを使えるのは本当にすごいですね。 

水岡「これに関しては、我々が実際に出資し自社でやってきている事業です。DIDとは、Web3とは、というのをやっていくと、数年経ってしまいます。ボディーデータというのは、医療データに近しい性質を持ち、メタバースに展開しやすい、フィットネスやファッション、様々な業界をまたいで使われるため、個人がデータを持つからこそ実現できる世界を提示する上で、本当にわかりやすい事例だなと思っています。」 

水岡「だからこそ、この事例に関しては自社で開発しています。」 

――確かに、VRゴーグルからデータが取れれば、目がどこに動いてるか、何を見ているか、何に関心があるのかなどのデータも取れるわけですよね。 

水岡「そうですね、デジタルツインみたいな世界観の中で、例えば、ヘルス、フィットネス、ファッションなどは、メタバース上でのデジタル体験で自分をイメージして、それが購入できる、というメタバース利用の可能性があります。そういった、リアルワールドとの活用のところに本質的なメタバースの意義が出てくると私は思っています。」 

水岡「リアルでやろうと思うとお金がかかる、効率が悪いところを、自分そっくりなアバターをメタバースで編集することができるようになる、そういうところでボディーデータの価値があると思っています。まずは、うちがしっかりと投資してやり切ろうというのがこのボディーデータのプロジェクトです。」 

水岡「別に足のデータでもいいし、体重、身長、視力でもいいし、何でもいいです。この形が1個世に出せれば、DIDはこうやって使うものだと広められます。我々も本当にプロダクトドリブンでやって行きたいからこそ、様々な事例をやって実例を作っています。誰かが言っていたのを聞いた、文章だけでは基本的には信頼されず、解像度が違いすぎるので、自分で体験したいということ実践しています。エンタメのところでも事業をやっており、様々な業界でいろいろなチャレンジをしていますが、我々の本質はそういったところだと思います。」 

会社HP

万能ではないが革命ではあるWeb3の世界

――今世の中を見てみると、Web3をやりたいけれどどうしたらいいかわからない企業様が比較的多いのかなと私は思っています。

――水岡様としては、日本企業が、Web3をやることによるメリットはどういったところにあるとお考えでしょうか?


水岡様「まず申し上げたいのは、Web3は決して万能ではないということですね。基本的には、Web3の面白いポイントは、いわゆる個人から企業まで分け隔てなく繋がる可能性があるというところです。ここが私共が一番推している世界観。プラス、Web3では今までなかったコミュニティ設計ができるわけです。そのインセンティブ設計であるトークノミクスがあります。この3つがWeb3を語る上で重要な要素だと思っています。」 

水岡様「我々のWeb3トランスフォーメーション事業は、あくまでもWeb3の活用の仕方を広げるところが目的です。そのため、様々な企業様と繋がっておりますが、その中心にUPBONDウォレットがあればよいのです。」 

――ウォレットのユーザーを拡大するために、諸々のご事業をされているのですね。

水岡「そうですね。あとは、我々自身がWeb3の技術に対するトップランナーであり続けたいという自負があります。私共UPBONDは、多くあるWeb3企業様に知名度で勝てるわけではないですが、Web3のユースケース作りや、技術への理解、可能性というところでいうとトップランナーであり続けたいという思いがあります。それによって、我々のサービスもより洗練されていくと考えています。」 

水岡「そういった理由でWeb3トランスフォーメーション事業をやってます。なので、私たちは『Web3は常に万能ではない』ということを申し上げております。」

水岡「ですが、コミュニティ、インターオペラビリティ、トークノミクス、その辺の3点でどういうような可能性があるかを模索していくことによって、今までにないビジネスが作れますと思いますし、多くの企業様とそういった最新の事例を作っていきたいと考えております。」

――本日はお時間いただき、誠にありがとうございます。 

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はがね
ライター

はがね

Web3・メタバース領域を愛しているインタビューライターです。 50社以上の企業様にインタビューし、記事を執筆してきました。 新しい分野の最前線で活躍する方のインタビューを通じて、世の中に魅力的なコンテンツを広めたいがゆえに書いています。 Twitter:@hagane_Web3 アイコンはNFTアート『MIRAI』の22番ちゃんです。

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