アスリートを支える新しいコミュニティ 多様な人が集うSports3の新たな可能性|Web3インタビュー
『Sports3』プロジェクトはスポーツ×Web3の新しい形のコミュニティです。特定の競技・選手のファンクラブやOB会のようなものではなく、スポーツ界全体の問題である現役選手の資金不足や、引退した選手のセカンドキャリア問題などの解決に向けて様々な試みをしています。今回はFounderの太田雄貴様(以下、太田様)と、賛同企業様であるドリコム様に、本プロジェクトの目指す先についてお伺いしました。
Sports3 プロジェクトとは?
NFTを活用した資金調達や、スポーツジャンルを問わずにアスリート・ファン・アーティストが交流し、今までのファンクラブとは違った、新しいコミュニティを作り上げています。
ポイント①|アスリートの抱える課題を解決する
スポーツ業界を「Web3」×「アーティスト」によってもっとサスティナブルにするプロジェクト『Sports3』、太田雄貴さん×ドリコムのタッグで始動しました!プロジェクトの取組みはリンクよりご覧ください♪
— Sports3 Official (@sports3official) February 14, 2023
スペースや各種イベント情報など、随時発表していきます!https://t.co/KGKlzkG2z5
オリンピックに出場できるような現役のトップアスリートでさえも、資金面では苦しいのが現状です。家族の援助や、寄付金によってなんとか活動が出来ていることも珍しくありません。
また、(選手)個人では広報活動の仕方がわからず、ファンの獲得がなかなかうまくいかない状況や、現役を引退し、その先でどうやって生活していくのかというセカンドキャリア形成の難しさもあります。
Sports3では、コミュニティを通じてそれらの問題を解決し、『持続可能で未来あるスポーツ業界』というビジョンの実現を目指しています。
ポイント②|ファンクラブとは違った新しいコミュニティ
Sports3の「3」の意味は、SPORTS(アスリート)・SUPPORTERS(ファン・支援者)・SOCIETY(社会)の3つです。スポーツに関わるすべての人とつながっているコミュニティになることで、金銭的にも持続可能な仕組みを作っていきます。
アスリート・サポーター・アーティストが交流でき、Sports3に参加しているアスリートが大会に出場すれば、国・性別・世代が違っていても同じコミュニティの一員として一喜一憂できる姿を目指しています。
ポイント③|メンバー向けNFT
Sports3ではNFTの発行を考えています。「Sports3 Pass」と「Sports3 Collection」の2種類が存在します。
「Sports3 Pass」は、アスリートの応援・支援という側面を重視し、プロジェクト初期での一般販売は行わない、主にアスリート向けのパス型NFTです。
「Sports3 Collection」は、ファン向けに販売されるコレクション型NFTで、売り上げはプロジェクトの運営費用などに充てられます。アスリートへの支援や購入特典などによって幅広く流通することを目指しております。
Sports3発足のきっかけ
――オリンピックのメダリストである太田様にインタビューできるのは、光栄です。本日はよろしくお願いいたします。
――まずは、Sports3という取り組みを始めようとしたきっかけをお伺いしたいです。
NFTによって選手を支援するコミュニティづくり
太田様「スポーツ×Web3の可能性を感じたのは『NBA Top Shot』がきっかけです。ですが、(そのモデルは)結局は選手の肖像や選手の知名度に依存しており、選手のデジタルトレカとしてはあり得るでしょうが、あくまで『メジャー競技のモデル』だと感じています。」
太田様「なので、(NBA Top Shotとは)別のモデルを考える必要がありました。その中で、共感したファンの方がプロジェクトに対して応援ができるような仕組みをWeb3で作れるのではないかと考えたのが、きっかけです。」
――NFTやWeb3は『コミュニティ』との相性は抜群ですからね。
太田様「はい。今までのスポーツ×NFTの事例を参考にしつつ、コミュニティのメンバーや選手たちにとって、良いものにしていきたいです。一方で、支援したい選手たちにNFTをお渡ししたり、アローリスト(AL:NFT優先購入権のようなもの)をお渡しして、NFTとしてのコミュニティができていくことも想定しています。」
――太田様自ら制度設計やモデル設計をしていたのは驚きです。
太田様「ありがとうございます。とはいえ、制度設計をしていて思うのは、何のためにやるのか、課題のセンターピンはどこか、を明確にしていく必要がある点です。Sports3は、単なるNFTによる支援の金銭的インセンティブより、スポーツ界が持っている課題を解決する仕組みにしていきたいと考えています。」
太田様「選手やアスリートは、皆さんから見ると全員が知り合いのように思われがちだと思いますが、ビジネスマンも会社や業界が違うとあまり会うことがないように、スポーツも競技が違うとほぼ会うことはありません。ビジネスの場合は、商社から証券会社へ行ったり、外資系金融コンサルへ行くことができます。一方、アスリートの場合は競技転向がそんなに簡単ではありません。1個種目を選んだらずっとその競技をやっていく、(競技の)二刀流があったとしても、違う競技の二刀流は似通った性質がないとできません。」
太田様「そのような環境下で、アスリート同士が持っている課題や、ナレッジをもっと共有することが、今までは全然行われていませんでした。我々はNFTなども活用しながら、そういった問題を解決していきたいと考えています。スポーツ選手たちとスポーツ選手を応援したいサポーターのコミュニティを作る。そのためにSports3を立ち上げました。」
――なるほど、ありがとうございます。お話を聞いていると、NFTも活用しますが、本質はスポーツのコミュニティであるところがメインとしてある、という印象を受けました。
太田様「そうですね。海外の事例だと、サッカークラブがいきなりFT(仮想通貨)を発行して資金にする事例もありますが、日本の場合そうはいきません。私たちは『スポーツ選手が初めてNFTに触れる接点』であればいいなと思っています。」
太田様「その後は個人のペースで、各々のNFTの発行というのは、二次創作的なものも含めてどんどんしていってほしいなと思っています。我々としては、コミュニティを形成しつつも、緩く広く取り組みをしていくことが良いと考えています。」
――NFTを活用したコミュニティの良さ、というものはどこにあると思われますか?
太田様「同じNFTを持っていたりすることで生まれる会話があると思います。例えば同じ大学、同じ地元出身から始まる会話と同様に、共通のものを所有することは共感を生みだします。日本人は、いきなり話しかけたりすることがあまり得意ではない傾向にありますが、共通事項があるということは話のきっかけ作りになります。そういった側面でも、NFTの活用をしていきたいです。」
――なるほど『同じものを持っていることによる繋がり』の感覚。明確に言葉にしていただいて勉強になりました。
ドリコム佐藤様|太田様への理念の共感
――一方ドリコム佐藤様は、本プロジェクトの一番初めの賛同者という位置づけかと思います。
――どういったところに共感して本プロジェクトに賛同したのかというところをお伺いしたいです。
ドリコム佐藤様「太田さんの考えている『NFTを媒介にして成し遂げたいこと』に共感しているというのがまず第1にあります。『知の深化と知の探索』という言葉があります。アスリートの抱えている課題は、知の深化の方に寄り過ぎていて、少ないことです。そこを解消することが(このプロジェクトの)ひとつの軸だと思っています。」
ドリコム佐藤様「今後、このWeb3の世界では、様々なイノベーションが起きる可能性があり、Web3によるイノベーションをスポーツ界でも実現していきたい、というところにも共感しています。これはドリコムというよりも『私が』共感している部分でもあります。 」
ドリコム佐藤様「私は昔、Jリーガーになりたかったんです。私の場合は高1で強豪校に入って1日目に、これはもう無理だなと思ってしまいましたが、ただ親にサッカーをやりたくて選んだ高校に入った以上は、すぐ辞めますって言いにくくて、とりあえず1年続けるという体験をしてるんですけど、やはり、周りにアスリートやJリーガーになった同級生もいる中、引退した後はみんなコーチなどになってるんですよね。そこのキャリアの狭さを身近に感じています。」
――スポーツ選手のセカンドキャリアは一つの課題ですね。
ドリコム佐藤様「はたから見ていて、アスリートの一つのことに対して時間をかけてやれる能力自体はすごい強みだと思っています。そのような力は何かに応用できるし、もう少し視野を広げたら可能性が広がると思います。アスリートの方はテレビに出たりする機会もあるので、派手に見えます。ですが一方で、地道な練習の方が大きい世界です。このギャップも、Sports3があることによって減らしていけたらなと思います。」
Sports3のコミュニティ
――本プロジェクトにはどういった方が参加しており、どのようなコミュニケーションが行われてるかについてお伺いしたいです。
太田様「Sports3のNFTは『パス型』と『コレクション型』に分かれています。パス型は主にアスリートに優先的にお渡ししている形です。現在は紹介ベースで繋がっていっているアスリートにNFTを発行しています。本当に紹介ベースなので、まだNFTを持っているのも数十人ぐらいだと思います。中には著名なアスリートにも持っていただいたりしています。」
太田様「今は紹介ベースですが、盛り上がり始めたら、自分たちが支援したいアスリートであったり、引退してもスポーツと接点を持ち続けたい元アスリートとかもいると思うので、そういった方々にパス型のNFTをお渡ししていきたいと思っています。」
太田様「優先権なのか、アローリストなのか、まだこれから決めていきますが、コレクション型ではアスリート配布&パブリックで販売していくという形のものを出そうとも思っています。このコレクション型の方は、いわゆる現代アートをやっているアーティストと一緒に作っていき、彼らの初めてのNFTとして、我々のプロジェクトと組むというような形をとっていきます。当然、既にWeb3の世界に入ってる人たちとのコラボもあり得ると思うし、まだWeb3に入ってきてないアーティストとのコラボレーションの可能性もあります。」
太田様「ただ、これは長期的な目線で、ゆっくり時間をかけながら、基盤となるコミュニティを確立してき、(多くの人が)プロジェクトに賛同してもらえるようなことを懇切丁寧にやっていくことが必要だと思います。」
太田様「週3、4回くらいTwitterのスペースで選手と対談しています。やる前までは若干プロモーション感があるなと思っていたのですが、実際に対談していると面白いです。選手がなぜトップになれたのかとか、選手はどういうことを考えてやってるのかといったお話が聞けます。そのようなトップ選手の考えとかを聞ける機会をどんどん作っていくことも、今後やっていきたい取り組みのひとつです。」
ドリコム佐藤様「まだ確定はしていないのですが、コレクション型のNFTにはアスリートが参加していることを活かしたユーティリティをつけたいなと構想しているところです。」
――今はSports3のマーケティング段階だと思いますけれども、今後スポーツ選手との交流も視野に入れて運営されていく可能性を感じました。
太田様「私たちは、スポーツ選手だけではなく、ファンの皆様と一緒に運営しているので、そこは既存のファンクラブと違うところだと思います。また、私たちは『雑食』です。例えば、武術太極拳の選手、ソフトテニス、オリンピアン、メダリスト、プロサッカー選手もいる。『こうあらねばならない』というルールみたいなものは設けずに、選手とか人に対するリスペクトを忘れずに、そういう常識の範囲内で行動するぐらいのフラットな組織体を目指していきます。」
太田様「あとはDiscordの中で声をかけて、みんなで応援に行こうという企画。ファンも選手も一緒に見に行けるような企画というのはNFT自体のユーティリティに組み込むかは決めていませんが、Sports3のコミュニティとして実施していきたいと思ってます。」
――スポーツファンにとっては嬉しい企画が行われているコミュニティだと感じました。
Sports3が描く未来
――NFTについて、どんな仕組みなのか、保有すると何ができるのかをお伺いします。
太田様「細かいユーティリティに関しては状況を見ながら決めていきたいです。NFTを所有するサポーターは『選手たちに会いたい』という想いがあると思いますが、選手たちもコンディションや試合があったりするので、確約はできません。」
太田様「今までのスポーツの推し方、応援の仕方を変える提案だと思っています。特にコレクション型のNFTに関しては、いろんな企業様とのコラボも計画しています。むしろ、企業様側からSports3と一緒に取り組みをしたいと言ってもらえるようなプロジェクトにしていきたいです。」
太田様「Sports3は儲けを出すためのプロジェクトではなく、理念を持ったプロジェクトにしたいと思っています。」
ドリコム佐藤様「パス型NFTは中長期的に持っていただくことを前提に設計を進めています。コレクション型はパス型より揮発性の高いユーティリティになるかなとは思っており、例えば、第1弾など初期にNFTを所有してくれた人には、初期に買ったからこそのユーティリティをつけたいと考えています。一方で、NFTが出るたびに買うべき、といったバランスにはしたくないなとは考えてます。」
――ありがとうございます。長期的に持続性を持つところがブロックチェーンやNFTを使っている理由にもつながりますね。
ドリコム佐藤様「そうですね。価値が高まることによって最初から賛同してNFTを所有する。特にアスリートの方が所有してくれることによって、のちのちアスリート生活を送る上での足しになってくれたらいいと考えてるので、それを成し遂げるにはブロックチェーンやNFTが相性がいいなと思ってます。」
太田様「Sports3はまだまだ始まったばかりで、実験的なところもありますが、やり続けることでしか道を切り開くことはできないと思います。行く先々で、Sports3のNFTを紹介したりしつつ、グローバルでスポーツの面白いファンコミュニティができると理想だなと思っています。今もTwitterでスペース企画やっていますが、それ以外も『スポーツ選手の生の声を届ける』ような企画の実施も考えているので、ぜひ注目してもらえたら嬉しいです。」
――本日はお時間いただき、ありがとうございました。
Sports3に参加しよう!
以上、太田様とドリコム佐藤様に、Sports3についてお伺いしてきました。
Sports3のDiscordやTwitterスペースは、誰でも参加できます。TwitterやInstagramでの情報発信も行っているのでフォローすることで動きをウォッチできます。
スポーツの世界を愛する人と、スポーツの世界を走りぬく人、多様な人が集うSports3の世界に、皆様も足を踏み入れてみませんか?
公式サイト: https://www.sports3.fun/
Sports3は、フェンシング銀メダリストの太田様が発起人のWeb3コミュニティです。
アスリートが抱える金銭面での課題や、引退後のセカンドキャリアにおける課題などを解決していくことを目的としたプロジェクトです。