急成長中のエンタメ市場 日本初ウェブトゥーンのヒット作品を目指す会社
世界的に「新しいエンターテイメント」と注目されているウェブトゥーン(縦読みまんが)業界。調査会社の調べによると、2022年から年平均30%以上成長し、2028年にはグローバルで3兆円産業になると推測されています。
この「新しいエンターテイメント」に大企業からベンチャー企業まで、多くのチャレンジャーが挑んでいるのが現在(2023年)の状況でしょう。
今回インタビューするトゥーンクラッカー様は、エンタメビジネスの経験豊富な経営陣と、他業界からの転職者の育成環境が強みです。
日本のウェブトゥーン業界を盛り上げるべくチャレンジを続ける同社CEOの桑田様、CCOの鷲山様にお話を伺いました。
この記事で分かること
- エンターテイメント業界の経験が長い経営陣
- 業界未経験者を育成できる組織力
- ウェブトゥーン業界にチャレンジする魅力
エンタメのプロが集まるからこその育成環境
――本日はよろしくお願いいたします。
――トゥーンクラッカー様は、昨年設立されたウェブトゥーンの制作会社だと理解しております。
――経営陣やキーパーソンの方は、どのようなご経歴をお持ちなのでしょうか?
トゥーンクラッカー創業メンバーの特徴
桑田様(以下、桑田と表記)「私と鷲山は、元々大手IT企業グループのゲーム部門で働いていました。鷲山は系列会社でクリエイティブ担当の役員を、私は別の系列会社の社長を何年も経験してきました。」
――広い意味で、エンタメ系の経営経験がある役員陣が始めた会社なのですね。
桑田「そうですね。そこは大きな特徴だと思います。補足すると、私たちは主にソーシャルゲームに取り組んできたので『制作の工程を分けて物を作る』ことであったり『他の会社のIPとコラボレーションする』ことの経験があります。」
桑田「ですので『コンテンツをどう取り扱うべきか?』という根本的に大事な部分は前職の経験が活かせると思っています。」
――制作工程を分けてのクリエイティブや、IPの取り扱い方など、ウェブトゥーン業界と親和性の高いご経験をされていると感じました。
クリエイティブ職の育成環境に長ける
――ウェブトゥーン業界の経験という意味では、いかがでしょうか?
桑田「創業直後にウェブトゥーンの制作経験があるメンバーがジョインしています。創業間もなく、そのメンバーからウェブトゥーン制作のノウハウをきちんと学べたのは、今の事業にも大きくプラスになっていると思います。」
――お話をお伺いするに、かなりレベルの高い方がジョインされたのかなと感じました。
桑田「そうですね。そのお陰で、ウェブトゥーンの制作ノウハウを鷲山がもうほぼ吸収出来たこともあり、作品の制作の部分は鷲山が中心に見ているような形です。」
桑田「また、当社は2023年の2月に福岡に拠点を立ち上げました。福岡には先ほどご説明したウェブトゥーンの制作経験メンバーが在住しているので、福岡拠点でウェブトゥーンの制作だけではなく、人材の育成ができるのは強みです。」
桑田「制作や人材育成については、東京の拠点では鷲山が、福岡の拠点ではその別のメンバーが見ている体制になっております。」
――クリエイティブ職の育成は難しいイメージがありますが、しっかりとしたご経験を積んだ方がいらっしゃるのは非常に強いと思います。
――ウェブトゥーン業界未経験の方も採用されているのでしょうか?
桑田「そうですね。私たちは業界経験者だけを採用するというスタンスではなく、業界未経験者・新卒・インターン生など、幅広く人材を募集しています。」
――クリエイティブやエンターテイメントの業界は「経験者以外お断り」の企業も多い中で、御社の採用スタンスは大きな特徴のように感じます。
――未経験者や他業界の方などを採用している理由があれば、教えていただきたいです。
桑田「ウェブトゥーン業界は新しい業界であり、これから市場が出来上がっていく領域です。他業界と比較しても、未経験者でも活躍できる可能性はあると考えています。私は前職でソーシャルゲーム市場が立ち上がるタイミングで事業に関わっていましたが、その際も同様の傾向がありました。」
――歴史は繰り返す、ということですね。
――一方で、そういった採用のスタンスが取れることも、しっかりと人材を育成する環境が整っているからでしょうか?
桑田「そうですね。しっかりとした育成環境があるので、是非多くの求職者に弊社を知っていただきたいです。」
日本発のヒットタイトルを生むチャレンジ
――現在の事業のご状況についてもお伺いしたいです。
桑田「作品自体は約10本程度を制作しており、その大半を今年中に出していく予定です。ジャンルも幅広く、ウェブトゥーンの人気ジャンルである、転生ファンタジーだったり、恋愛ものだったりも含めて取り組んでいます。」
――なるほど、ジャンルを絞りすぎないことで『ヒット作品』の芽がどこにあるのか探っているように感じました。
桑田「そうですね。これから出していく多様なジャンルの作品の中で、ヒット作品がもし出てきたときに、トゥーンクラッカーの強みやジャンル的な強みが見えてくると考えています。」
桑田「ですので、もしかしたら今後、特定のジャンルを強化していく可能性もあると思いますが、現状は間口を広く、色々な可能性にチャレンジしています。」
ヒットタイトルを生むことへの熱意
――ウェブトゥーンの業界にも、プラットフォームを作る会社様や作品制作を行う会社様など、色々なポジションでチャレンジしている会社様があると思います。
――その中で、トゥーンクラッカー様が『作品制作』という点にフォーカスしている理由をお伺いしたいです。
桑田「創業から1年経って、エンタメ業界の様々な方とお話させていただく機会が増えてきました。その中で『ヒットタイトルを生み出す』ことが重要だと、改めて認識したためです。」
桑田「例えば、ゲーム発のIPがあったとして、そのキャラクターに人気が出たら漫画になったり、アニメになったり、様々なメディアに横展開されるケースも多いと思います。ですが、人気のあるIPがなければ、メディアミックスもできません。」
桑田「ウェブトゥーン業界は、これからどんどん拡大が予測される領域です。ここには、人気のあるIPを生み出す可能性があります。」
――ウェブトゥーンの本場韓国では、ウェブトゥーンのタイトルが動画サイトでドラマ化されていたり、アニメになったり、メディアミックスされている事例が目立ってきていますね。
桑田「もちろん、原作のウェブトゥーンが面白いということが大前提ではあります。ですので、私たちはウェブトゥーン発のヒットタイトルを作って、その先にいろんなメディアに展開できることを目指しています。」
――色々なメディアミックスを行えるようなヒットタイトルを作ることへの熱意を感じました。また、『原作』を作ることが今のエンタメ業界全体で見ても必要なことだということが分かりました。
チームでの作品制作はウェブトゥーンならでは
桑田「ヒットタイトルづくりという点で補足すると、ウェブトゥーンは『チーム』で作るので、多くの人が制作に関わります。」
桑田「ウェブトゥーンの制作は小説や従来の横漫画と比べて、着色などの工程もあるため、より分業になります。必然と、作品制作に関わる人数も増えます。」
桑田「ですので、ヒットタイトルが出たときに『あの人気作品に関われた』というやりがいを感じれる人も相対的には多くなります。」
――ヒットタイトルづくりに多くの人が関われるのはウェブトゥーンならではだと感じました。
ウェブトゥーン制作の流れ
――お話伺っていく中で、ウェブトゥーンは『チーム』で作るクリエイティブだということを感じました。
――具体的に、どういった役割、どういった流れでウェブトゥーンができていくのかお伺いしたいです。
鷲山様(以下、鷲山と表記)「ざっくりの流れで言うと、まずは企画が立ち上がります。そのタイミングで、プロット(物語の大筋)を作ります。」
鷲山「次に、プロットが出来上がったら、そのプロットに従って脚本を執筆していただきます。これは原作者さんが担当します。そして、脚本が仕上がり次第、次はネームのクリエイターが演出を起こしていく流れです。」
――脚本を書くクリエイターと、ネームのクリエイターがプロットをより具体的なものに起こしていくのですね。
鷲山「並行して、このタイミングぐらいでキャラクターの草案みたいなものが上がってくることが多いです。お話に登場するキャラクターの資料ですね。」
鷲山「その資料が出てきたら、クリエイターがキャラクターデザインをします。理想は脚本と、キャラデザが揃ってる状態でネームを走らせることですけども、ネームとキャラクターデザインを並行して制作することもあります。」
――キャラクターデザイン担当のクリエイターもいらっしゃるんですね。
鷲山「そうですね。そして、ネームが仕上がったら、いわゆる作画工程を経て完成になります。ですが、この作画工程もいろんな工程に分かれています。」
鷲山「ラフ画を描く人、人物の線画や着彩、背景を描く人、エフェクトやフィルタを追加して仕上げの調整をする人など、多様な能力を持った人がここで活躍しています。」
――クリエイティブにかかわる人の中でも、かなり細かく役割分担されていると感じました。
鷲山「そうですね。工程や役割は便宜上分かれていますが、必ずしも同じ工程ばかりを担当する訳でもなく、作品のジャンルやテイストによってそれぞれ得意な領域を担当しているイメージです。」
――クリエイターの動きは大変分かりました。ありがとうございます。
――一方で、ディレクションや編集の担当者はどういった動きをされるのでしょうか?
鷲山「当社はディレクションや編集の業務を行う人をディレクターと呼んでいます。ディレクターは、冒頭の企画部分、脚本、ネーム、キャラクターデザインなど多様な工程に関わっています。役割としては、作品全体のかじ取りです。」
鷲山「また、キャラクターデザインとか、作画工程のビジュアル回りは、アートディレクターと呼ばれる役割の人が担当しています。作品全体のクオリティを引き上げたり、コントロールしたりするのが彼らの役割です。」
トゥーンクラッカーで「働く」
――現在、トゥーンクラッカー様は採用を強化されているかと存じます。
――ずばり、どういった方と一緒に働きたいとお考えなのかお伺いしたいです。
桑田「いくつかあるのですが、一番は、新しい業界で、自分の可能性にチャレンジしたいという、前のめりな方がいいですね。昨年設立したばかりの立ち上げフェーズの会社なので、整っていない部分がありつつも、これから増え伸びていくだろう市場に飛び込んでいくわくわく感もあります。」
桑田「ですので、これから伸びていく市場で自分のチャンスを掴みに行くくらいの、前のめりになれる方を、職種問わず求めています。今のフェーズは、一緒に組織を作っていけるフェーズなので、そういった『組織づくり』の部分に魅力に感じていただける方は、マッチすると思います。」
――立ち上げフェーズの会社だからこそ経験できることも多そうですね。
桑田「あとは、当社はチームで制作をする会社なので、やっぱり『チームで物を作る』ことをを魅力に感じる人が来てくれると嬉しいです。能力的に言うなら、一般的に言うコミュニケーション能力や対人能力、こういったところが重要だと考えています。」
――制作を統括していらっしゃる鷲山様はどうお考えでしょうか?
鷲山「そうですね。桑田とほとんど一緒なのですが、制作面で言うなら、やっぱりいいものを作りたいという熱意のある人、クオリティを少しでも上げる方法を手段を選ばず考えて実行に移してくれるような人と一緒に働きたいです。」
鷲山「ウェブトゥーンはいわゆるモノづくりの領域です。モノづくりって、決して簡単ではないと思うんです。クリエイターは皆、一生懸命モノづくりに向き合っている。でも、どれだけ一生懸命作っても、上手くいかない時もある。もちろん上手くいくに越したことはないのですが、そういったケースばかりではありません。」
鷲山「ですので、そういう文脈でいうと、自分の役割や役職、時には自分のパーソナリティを超えて、作品のクオリティを上げるために取り組める人と一緒に働きたいです。」
――ウェブトゥーンはチームでクオリティを高める形のモノづくりであるということを、改めて感じました。
――現在トゥーンクラッカー様は全ポジション積極採用されていると思いますが、中でも注力しているポジションはございますか?
アートディレクター|表現欲求・マーケティング・プレゼンテーション
鷲山「特に注力している領域だと、アートディレクターや作画のクリエイター、あとは、福岡支社勤務のネームクリエイターです。」
――それぞれの職種で、どんな方に来てほしいといったイメージはございますか?
鷲山「まず、アートディレクターですが、このポジションは世界観含めて、品質をコントロールできるポジションです。作品ごとに適した世界観設計だったりとか、キャラクターデザインの方向性、あとはビジュアルのクオリティのベンチマークの策定も含めて実施します。」
鷲山「そういった作品のビジュアルとクオリティをコントロールできるので、自分の中にある『表現したい何か』みたいなものを強く持ってらっしゃることが大事だと思います。」
鷲山「また、作品の品質をかなり左右する方ではあるので、マーケティング的な視点もお持ちだと嬉しいです。『なぜこういうデザインが最適なのか』とか、しっかり言語化してプレゼンできるような能力も併せて持ち合わせてる方が望ましいのかなと思ってます。」
――全体のクオリティに関わる職種ですし、おっしゃる通りの力が必要だと感じました。
作画クリエイター|クリエイティブの幅が広がる仕事
鷲山「次に、作画クリエイターですね。こちらの役職は、シンプルに絵の上手さが一つのポイントになります。複数の作品を出していくにあたって、求められる表現の方向性も変わってくるため、様々なジャンルの作品のテイストやキャラクターデザインに対応していく必要があります。」
鷲山「そういった意味では、ずっと同じ作品に携わってるわけではないので、いろんな作品に携わっていく中で自身のクリエイターとしての能力も底上げされると思います。」
――自身のクリエイターとしての成長にも繋がってくる仕事なのですね。
鷲山「そうですね。中長期で見ると、スキルの幅は広がっていくと思います。もちろん、入社してくるタイミングで色々なものが描ける方は歓迎ですが、特定のジャンルの作品でパフォーマンス発揮できますという方でも、そこから作品の幅を増やせたりとか、スキルの幅を増やせたりできるので、幅広い領域への興味関心がある方が来ていただけると嬉しいです。」
ネームクリエイター|演出力と構図のイメージ
鷲山「最後はネームクリエイターですね。ネームは演出なので、絵の上手い下手も大事ですが、そのキャラクターを動かすイメージや、構図のイメージができる方。」
鷲山「あとは、ウェブトゥーンはスマホの画面で表現していく作品なので、いわゆる『ユーザー体験』みたいなところから逆算して設計をしていけるようなロジカルな思考の設計力も大事だと思います。」
鷲山「もちろん、絵が上手いに越したことはないのですが、上記のようなものも持ち合わせてるとさらに活躍できる領域なのかと思います。」
――単純な絵の上手い下手ではなく、『どんな構図にしたら読者の心を動かせるだろう』といったイメージができる人が強い領域だと感じました。
日本発のヒットタイトルを生む
桑田「今まで話してきた中にいくつかキーワードで織り込みましたけども、私たちはこれからチャレンジしていく会社です。このウェブトゥーンという領域にはチャンスがあるし、海外でもマンガが流行ってきているので、日本発のエンタメとして海外でも愛されるコンテンツを作っていきたいと思っています。」
桑田「ですので、この新しい市場へのワクワク感、日本発ウェブトゥーンのヒットタイトルを作っていき、それを海外に持っていくんだという想いがあって、飛び込んできてくれる方と一緒にお仕事したいです。」
桑田「新しいエンタメであるウェブトゥーン業界。大ヒットタイトルを作ろうと、私たちは一生懸命制作に取り組んでいます。」
桑田「そういったチャンスのある市場で野心を持ってるようなメンバーだと、当社との相性はいいのかなと思っていますので、是非皆様のご応募お待ちしております。」
――本日はありがとうございました。
ウェブトゥーン市場の可能性
世界のウェブトゥーン市場は、2028年まで年平均30.99%で成長すると見積もられています。
※QYResearch調べ(URL: https://www.marketresearch.com/QYResearch-Group-v3531/Global-Webtoons-Size-Status-Forecast-32543364/ )
市場規模を具体的な金額に示すと、2021年は36億7347万ドル(約4400億円)でした。
これに対して、2028年には262億1359万ドル(約3兆1500億円)になると予測されています。
そういった点から、ウェブトゥーンの市場には大きなチャンスがあると言われています。
株式会社トゥーンクラッカーは縦読みマンガ×フルカラーが特徴のデジタルコミック(ウェブトゥーン)の制作とプロデュースをメイン事業としているエンタメスタートアップ企業です。
今回取材に応じていただいた桑田 栄顕様は代表取締役社長、鷲山 優作様は取締役 / クリエイティブ統括に就任しています。