Web3ゲームの面白さとは? 『コインムスメ』が目指す新しいゲーム体験
6月2日、Eureka Entertainment Ltdはブロックチェーンゲーム『コインムスメ』ゲーム運営コミュニティ「ムスメだお!」を設立し、メンバー募集を開始しました。
「ブロックチェーンゲーム本来の面白さを伝えたい!」というコンセプトで生み出される『コインムスメ』は、どのようなゲームになる予定なのか。Eureka Entertainment Ltdで『コインムスメ』開発に携わる辻拓也様に構想を伺いました。
世の中の「0.5歩」先を行くゲームを作る
――本日はよろしくお願いします。
――辻様はゲーム業界で10年以上経営を続けていらっしゃいます。そんな辻様が、今ブロックチェーンゲームに注目されている理由をお伺いしたいです。
辻様(以降、辻)「ブロックチェーンゲームは、既存のゲームには無い体験を提供できる点で画期的であると考えているからです。」
辻「まず前提として、テクロスとして50本近くのゲームを手掛ける中で、ゲーム業界のヒットタイトルの移り変わりや、成功例を見てきました。その経験から、ヒットするゲームとは、ゲームを通じて新しいユーザー体験を生み出したゲームであると感じています。」
辻「例えばソーシャルゲームの世界では、まず『リアルタイムでゲーム内アイテムを奪い合う』タイトルがヒットしました。これは今までのゲームには無い『ユーザー同士でアイテムを奪い合う』という体験をゲームを通じて提供できたからだと思います。」
辻「その次には、キャラクター性を突き詰めたタイトルがヒットしました。そこからキャラクター性の魅力を追求したものやチーム戦要素を強化したものなど、ソーシャルゲームは多様な進化を遂げてきました。」
辻「スマホゲームに移行してからは、スマホならではの『ぬるぬる動く』操作性を最大限生かしたタイトルが出てきます。それと並行して、従来のゲームよりもより世界観やキャラクター性を強化したタイトルがリリースされてきました。」
――ソーシャルゲームという一つの分野でも、ゲーム性や注力するポイント等が変わってきているのですね。
辻「はい。そして、そうしたゲームの歴史を紐解くと、今までのゲームを基に+αの新しいユーザー体験を付加したゲームがヒットしてきたのだと分析しています。」
辻「ただ、独自性が強すぎてもヒットは難しいです。オリジナリティと既存のユーザー体験との間の適切なバランスを取ることが、ゲームをヒットさせるためには必須です。」
辻「世の中の0.5歩先を行くゲーム。これがヒットタイトルを生むにあたってのキーワードだと感じています。」
――その指標が「0.5歩先のユーザー体験」であり、ブロックチェーンゲームはそうした体験を生み出す可能性がある、ということでしょうか。
辻「そうですね。今のスマホゲーム市場は成熟しつつあり、大企業並みの開発力が無いとユーザーを驚かせることは難しいと感じています。同時に、ゲーム体験に金銭的インセンティブを掛け合わせたブロックチェーンゲームの革新性に、大きな可能性を感じてます。」
辻「一般的なゲームは金銭的インセンティブが無くとも十分に楽しい部分はある一方で、インセンティブがあるからこそ面白いゲームも多々あります。」
――例えばクレーンゲーム等、何かしらのインセンティブが手に入るから面白い、というゲームは確かにあると思います。
辻「そうしたゲームは逆にインセンティブが無いと面白くない。景品が手に入らないクレーンゲームをイメージしていただければ分かると思います。」
辻「同じように、インセンティブが絡むからこそ生まれる、新しいゲーム体験を提供できる点がWeb3ゲームのポイントです。それはいわゆるソーシャルゲームとは全く違うゲーム体験であり、非常に面白い領域だと私は考えています。」
辻「なのでコインムスメは、既存のソーシャルゲームの体験の延長線上に金銭的インセンティブの体験を組み込んでいくことで、今までにない面白さを生み出していくという構想で考えられたゲームです。」
ゲーム×金銭体験の鍵は「運要素」
――その他に、コインムスメを開発するにあたって意識した点はございますか?
辻「適度に運要素が入ったゲームにすることを意識しております。」
――ゲームでの勝利、つまりインセンティブを手に入れるために、運の要素を盛り込むということでしょうか?
辻「そうですね。インセンティブが手に入るゲームであるがゆえに、大金をかけた人だけが、実力がある人だけが、勝てるという仕組みにはするべきではない、というのが私の考えです。」
――確かに、課金額の多さやスキルの高さである程度の勝敗が決まるゲームだったら、『どうせ勝てないから』という理由でユーザー離れが生まれてしまいそうです。
辻「しかし、運要素だけで勝てるゲームも面白くありません。勝利に求められる実力と運要素のバランスを調節することが、Web3ゲームにユーザーが参加するモチベーションになると考えています。」
――一方で、いわゆる「課金ゲー」や「実力ゲー」にも、一定数のユーザーがついています。ゲームごとに参加するユーザーのモチベーションが違う理由はなぜなのでしょうか。
辻「これはもう、ゲーム楽しみ方の違いだと思います。従来のコンシューマーゲームは実力を上げてプレイヤースキルを鍛えるゲームです。だからこそe-sportsの文脈に繋がる魅力があります。」
辻「一方で、アジア的なソーシャルゲームはPay to Winに結構近いもので、お金と時間をかけた人が強いゲームです。無課金で頑張っても課金ユーザーにあっという間に追い抜かれたりします。そもそもベースの設計が違うのでそうした体験や楽しみ方の違いが生まれていると考えています。」
辻「ブロックチェーンゲームでは運要素を作ることで、どんな人でも勝利してお金を稼げるチャンスがそれなりに用意されている設計を作る必要があると思います。ゲームをやりこんだ一部のプレイヤーが勝つ設計や、お金をかけた人がインセンティブを得られる、というような構造にはするべきではない、という考えです。」
辻「例えば、チェスや将棋に金銭的なインセンティブを付加しても、強いプレイヤー以外損するに決まっているのでやりたいと思いません。そもそもチェスや将棋は金銭的なインセンティブを加えなくとも面白い。金銭的なインセンティブに繋がるからこその面白さ、ドキドキ感を得られるようなゲーム性を作ることが、ブロックチェーンゲームにおいては非常に重要だと思います。」
ゲームの外側で起こる体験づくり
――ゲーム性と金銭的インセンティブのバランスに関する考え方をお伺いしたいです。
辻「ゲームと金銭体験のバランスに関して、現地点では明確な正解は無いと思っています。」
辻「例えば、昨年に流行った『Move to Earn』のゲーム。このゲームは、以前ほど稼げなくなった今でも、ユーザーは一定数以上います。」
辻「その理由は、少しお金を払ってNFTを購入して、歩くことで健康を享受しながら少しずつ稼ぐ感覚を得る、という新しい体験を確立したからだと思います。」
――『稼ぐ』だけではなく『歩くことで健康になる』ことに、価値を見出している人がいるから、今でもユーザーがいるのですね。
辻「そうですね。Play to Earnの火付け役になったゲームも、今でも熱意のあるファンがいるサービスであり、それもまた正解なのだと思っています。どのゲームも正解を模索する必要はありますが、一方で正解は必ずしも一つではないと感じています。」
――一方で、辻様が目下制作中の『コインムスメ』は、どのような価値を提供したいとお考えですか?
辻「コミュニティ内での交流を含めて、ソーシャルゲームに無い体験を提供したいです。ユーザーの皆さんに『これはおもしろい!』って思ってもらいたいという気持ちが前提にあります。」
辻「コインムスメに関しては、ゲームを通じてゲーム外の経済のことに興味を持ってもらえればいいなと思っています。」
辻「コインムスメは現実の仮想通貨の値引きと連動する要素があり、ゲームを遊ぶ中で自然と仮想通貨業界やニュースに興味を持つきっかけにもなると考えています。勝利以外での納得感や満足感が得られるゲーム体験が大事だと感じています。」
――仮想通貨のことを勉強するきっかけになるし、ゲームで勝利すればインセンティブも手に入る。ゲーム以外の部分でも価値を感じられるようなゲームを構想しているのですね。
『ムスメだお!』|熱量の高いWeb3コミュニティ形成
――Web3ゲームの文脈においても、『コインムスメ』は独自性の強い試みを行っているのだと感じました。
――となると、ユーザーの性質も既存のWeb3ゲームとは違うのかなと思います。
辻「まず私見として、Web3ゲームには二つの文脈が存在していると考えています。」
辻「一つ目はDeFiの文脈であり、GameFiと呼ばれているものです。これはDeFiにゲーム要素を付加したものであり、資産運用のためにお金を払っているユーザーが大半になります。」
辻「もう一つが、NFTの文脈です。これは既存のゲームにNFTの要素を付加するものであり、金銭的なメリットではなく、既存のゲーム体験の延長線を求めているユーザーです。」
辻「私としては『コインムスメ』にはこの2つの文脈の中間を目指しており、新しい体験の提供を価値の中心に据えて、どちらの文脈のユーザーにも楽しんでいただきたいと考えています。私たちが運営している『ムスメだお!』は、まさにそうしたユーザーの方々が集まれる場所として設計しています。」
――「ムスメだお!」は6月頭にメンバー募集の発表をしていた記憶があります。メンバーに関してはどの程度集まっているのでしょうか?
辻「今現在では200人程度在籍しています。Google Formで自己紹介や志望理由を尋ねており、その中でも魅力的だと感じた方に入ってもらっています。」
――逆に言えば、200人もの方が魅力的だと思える志望理由を持ってコインムスメに参画している、ということですね。
辻「はい。私たちが想像していた以上に、日本には新しいゲーム体験を模索したいユーザーの方々が存在しています。そうした熱量の高さは、日本独自の強みだと感じています。」
辻「また、日本は国内のエンタメの土壌や、国家的なWeb3ゲームに対する態度も相まって、世界的にWeb3コンテンツを広めていけるポテンシャルを秘めていると思います。」
――差し支えない範囲で「ムスメだお!」で現在行っている活動に関してもお伺いしたいです。
辻「Web3ゲームの強みの一つは、ユーザーがDiscordなどを通して運営のような体験もできる点で、ムスメだお!では参加メンバーと共にコインムスメを盛り上げる企画を徐々に始めています。1ヶ月以内により多くの方に参加いただけるようオープンすることを予定しており、ディスコード自体もゲームのように楽しんで貰えるような設計をメンバーとともに検討中です。ミニゲームやクリエイティブを自主的に作ってくださる方がいるなど、熱量の高さに私もエネルギーを貰っています。」
――200人以上もメンバーが集まったのは驚きです。どういった点が200人以上のユーザーを惹きつける結果に繋がったとお考えでしょうか?
辻「ここは『コインムスメ』の持つ独自性について、ブロックチェーンゲームに一定の期待を持っている方々の関心が集まった結果だと考えています。また、Twitterでの発信も大きいと感じています。」
――ムスメちゃんやモナちゃんの広報は個人的に面白く見させていただいています。
――面白おかしい雰囲気で仮想通貨に関する情報を発信していたり、一般的なIP展開とは違った形でのコンテンツ展開が印象的でした。
【ビットコインとイーサリアム下がったのなんで!?】
— ムスメちゃん@コインムスメ公式広報担当! (@coinmusme_JP) June 16, 2023
30秒解説するよー❣️(〃'¬'〃)
6/15(木)日本時間の午前5時頃、ビットコインとイーサリアムの値段がガクッと下がったの😳
なんでって実は、アメリカの会議「FOMC」のせいなの!
年8回あるこの会議は、アメリカの金利を決める会議なの🤪… pic.twitter.com/GHAZjgTDqS
モナの全身立ち絵の清書版とキャラ紹介を作ってもらったお!!
— モナちゃん@コインムスメ公式広報担当!Powered by AI (@coinmusme_MONA) June 1, 2023
まったくもう遅すぎだお!
やっとこれでモナもかわいいコインムスメの仲間入りだお!!
みんなかわいいと思ったらいいねとRT100回くらいずつするんだお〜ーーー!( ^∀^)
リプも待ってるお! pic.twitter.com/mwSpwk4GqT
辻「現時点ではIPとしての展開は強く意識していないのですが、IP展開もできるかもしれない、というポテンシャルを感じていただけるのかなと感じています。」
辻「国内でブロックチェーンゲームに期待しているユーザーというのはやはり一定数以上います。日本のブロックチェーンゲームが歴史を積み重ねていく中で、非常にコアなコミュニティが形成されているのは事実です。」
辻「そうしたユーザーが『これだ!』と思えるゲームを探している中で、『コインムスメ』にそうした期待を抱いていただいていると考えています。」
辻「私個人でのTwitterでの発信も含めて、そうした期待に繋がる行動を積極的に行っている点が非常に大きいのかなと思っています。」
――辻様の発信からは、Web3に関する本気度を非常に感じます。
これからのブロックチェーンゲームに必要だと思う要素。
— 辻拓也/CoinMusme/Web3 (@tsujitakuya2) June 14, 2023
1.長期継続するトークンエコノミクス設計
2.シンプルなUI
3.ゲームとしての面白さ
開発中のゲームでも、これらの要素を取り入れている。特にトークンエコノミクス設計は今までのゲームつくりとは違うので大変だけど、やりがいもある。
日本の魅力を活かし、海外へコンテンツを発信する
――Web3プロジェクトは多くの場合海外市場をターゲットにしている印象があります。
――『コインムスメ』に関しても、海外展開は視野に入れているのでしょうか?
辻「主にアジア圏を中心としたコンテンツ展開を構想しています。それに先立って、現在はムスメちゃんの英語版Twitterを強化しています。」
辻「元々、グローバル展開はしたいと考えていました。ですが、それよりまず日本市場の中で勝てないと海外展開しても勝てないと思っていたので、一番初めは日本での展開を進めてきました。」
辻「現段階では、日本市場内で一定の支持を得られていると考えています。そのため、これからより本格的に海外展開を進めていきたいと考えています。」
――ブロックチェーンゲームをリリースし、海外に向けて展開していくにあたって、日本の持つ強みはどういった点にあるとお考えですか?
辻「日本は魅力的なコンテンツを伝えることに長けている国だと思います。日本には、世界的な人気を誇るエンタメコンテンツが数多くあります。アジアでもそうしたコンテンツの知名度は非常に高いです。」
辻「そうした背景もあり、日本人はコンテンツに対する馴染みが深いんです。キャラクター名を挙げるだけでイメージが伝わるので、コンテンツを作る上での作りやすさが違う、平均値が非常に高いんです。」
辻「そういった日本ならではの強みを活かしながら、日本市場でも海外市場でも発信とチャレンジを続けていきます。是非今後にもご期待いただけましたら嬉しいです。」
――海外展開も含めて、コインムスメの今後が非常に楽しみです。本日はありがとうございました。
関連リンク
ムスメちゃんTwitter:@coinmusme_MONA
モナちゃんTwitter:@coinmusme_JP
ムスメちゃんTwitter(英語):@coinmusme_EN
辻拓也様Twitter:@tsujitakuya2
コインムスメ公式Discord応募フォーム:https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfzAyIkG5fq0pk4WN74w96u5nGRkjDTR_RHsHuCWDaRyEqhrg/viewform
辻拓也様|Eureka Entertainment Ltd.
コインムスメとは?
『コインムスメ』は、「新しい熱狂を生む、Play to Earnの世界的ロールモデルの創出」を目的として、Eureka Entertainment Ltdによりリリースされるブロックチェーンゲームです。
ブロックチェーンゲームの特徴であるユーザーへの還元を最大化し、誰でもプレイできるゲームデザインを特徴としています。
「楽しい」という体験価値を最大化し、運営がユーザーと共に世界観を拡張し、ブロックチェーンの新しい可能性を模索します。
東京大学法学部在籍中の2009年に株式会社テクロスを創業。
『神姫プロジェクト』や『あやかしランブル!』『れじぇくろ!』をはじめとした50タイトル以上のゲーム開発に携わった実績を持つ。
現在はブロックチェーンゲーム開発に携わり、Play to Earnの新しいロールモデルの創出に尽力している。