ダウンロード9億突破。全世界の人類に届け カヤックのハイパーカジュアルゲーム
株式会社カヤックが2019年より制作・配信している「ハイパーカジュアルゲーム」は、累計ダウンロード数9億回を突破しています。
「世界一面白そうにゲームをつくる」ことをモットーにタイトルを生み出し続ける”面白法人”カヤック。
同社の手掛けるハイパーカジュアルゲームの魅力や開発プロセスについて、ディレクターの佐藤宗様にお話を伺いました。
コンテンツ [表示]
- 1ハイパーカジュアルゲームとは何か?
- 1.1広告を用いた迅速な開発スピード
- 1.2直感的な楽しさから気軽にプレイを促す
- 2カヤックが思うハイパーカジュアルゲーム作りの面白さとは?
- 2.1コンパクトでシンプルだからこそ、コアな部分で試行錯誤できる
- 2.2「全人類」をターゲットに大きな市場で勝負できる
- 2.3柔軟にアイディアを発散させることが数値や面白さに繋がる
- 3自分たちが「面白がる」ことが、愛されるゲーム作りにつながる
- 3.1面白法人カヤックの3段階の思い
- 3.2カヤックだからできるハイパーカジュアルゲーム開発をしたい
- 4ディレクター 佐藤 宗様
- 5カヤックのおすすめハイパーカジュアルゲーム
- 5.1PARK MASTER
- 5.2NUMBER MASTER
- 5.3DRAW ACTION
ハイパーカジュアルゲームとは何か?
ハイパーカジュアルゲームとは、シンプルな操作性で直感的に遊べるゲームのことを指します。
国籍や年齢、性別を選ばず、誰でも簡単に楽しむことができます。
基本的には説明書がなくてもプレイでき、空き時間の暇つぶしやコミュニケーションツールとしても利用しやすいため人気が高まっています。
Sensor Towerが2022年に発表したレポートによると、ハイパーカジュアルゲームは2019年以降4年連続で、世界で最もダウンロードされたモバイルゲームカテゴリとなりました。
参照元:[レポートシェアリング] 「2022年ハイパーカジュアルモバイルゲームの市場インサイト」|Sensor Tower
広告を用いた迅速な開発スピード
ーー本日はよろしくお願い致します。
ーーまず、ハイパーカジュアルゲームの開発における特徴についてお伺いします。
佐藤様(以下、佐藤と表記)「広告を用い、面白さを早い段階で測るというところが従来のゲーム開発との大きな違いの一つだと思っています。」
佐藤「従来のゲーム開発は年単位の期間を要することも多く、ゲームがプレイヤー目線で面白いかどうかということを知るのは完成してからになります。」
佐藤「一方でハイパーカジュアルゲームは、1〜2週間程でゲームのコアの部分だけを先に作り、そのゲームを紹介する広告動画を市場に流すことで、プレイヤーがどれくらい興味を持ってインストールしてくれるかを最初に測ります。」
佐藤「そして、このゲームはプレイヤーの反応が良いなと感じたら、コンテンツを追加したりブラッシュアップしたりしていきます。」
ーー開発スピードも早く、その面白さのジャッジも早い段階で行うのですね。
直感的な楽しさから気軽にプレイを促す
ーープレイヤーにハイパーカジュアルゲームに触れてもらうための制作のポイントについてもお伺いします。
佐藤「まず、ハイパーカジュアルゲームは自分でゲームを能動的に探す方より、広告で見つけて『このゲームいいな』と思って遊ぶ方が多いのではないかと思います。」
ーー広告を見て自分でプレイしてみようと思い、気づいたら引き込まれて時間が経っている印象があります。
佐藤「そうですね。私の見解としては、プレイヤーはゲーム性において直感的に楽しめたり、気持ちいいと感じたり、まずはそういった部分からゲームへ入り込むと考えています。」
佐藤「ですので、ゲーム性や難易度は私たちが思っている以上にゆるやかにします。難しくないところからスタートし、難易度の曲線を非常に緩やかにした方が好まれる傾向にあります。」
ーー楽しさを感じる直感に訴求し、徐々に入り込めるような設計にすることがポイントなのですね。
カヤックが思うハイパーカジュアルゲーム作りの面白さとは?
ハイパーカジュアルゲームの分野で躍進を遂げるカヤックのゲーム事業部では、「世界一面白そうにゲームをつくる」ということを大切にしています。
以下、カヤックでのハイパーカジュアルゲーム開発ではどのような部分に面白さや良さを感じているのかという点について伺いました。
コンパクトでシンプルだからこそ、コアな部分で試行錯誤できる
ーー開発したゲームのうち、どのくらいの本数がヒットするのでしょうか。
佐藤「一般的に言うと、100本作って5本良いのがあるかどうかというくらいです。(カヤックでは)ビジネスを始められるゲームを作るまでに、10本くらい作って1本発見できるという感じです。」
佐藤「当時と比べると参入業者が増えてライバルも多くなってきている中、(ヒットするゲームの割合が)5%でも高い方かなという感じではありますね。」
佐藤「たくさん作れることは良さの一つだと思います。全世界向けに公開するにあたって、概ね3ヶ月程で作ることができるので、スピード感を持って取り組めます。その辺りは0→1が得意なカヤックと親和性が高い気がしています。」
ーーシンプルなゲーム性だからこそヒット作を目指して次々と制作していくことができ、試行錯誤しやすいのですね。
ーー他にもハイパーカジュアルゲームだからこその良さはありますか。
佐藤「サイズ感が良いと思っています。家庭用ゲーム機にあるような重厚・美麗なゲームに比べると私たちのゲームは非常にコンパクトです。」
佐藤「大きい規模のゲームだと大人数で開発する必要があるので、自分が頑張った歩合がわかりづらいところがあります。それに比べるとハイパーカジュアルゲームは少人数のチームで作ることが多いので、成果がわかりやすい・自分の作家性やこだわりなどを生かしやすい部分があると思ってます。」
ーー大型のゲームだと制作する上で制限も多々あるかと思います。ハイパーカジュアルゲームの場合は、コンパクトだからこそアイディアがそのままダイレクトにゲームのクオリティとして反映されるような楽しさがありそうです。
佐藤「そうですね。ロジカルにヒットタイトルを作るクリエイターもいれば、プレイヤーの好みを想像してニュアンスで作るタイプのクリエイターもいるので、ゲームへの考え方や当て方は人それぞれです。そのように様々な方法があるというのも面白さの一つだという気がします。」
ーー大型ゲームはIPの人気やプロモーションの仕方によっても売れ行きが変わっていきますよね。
佐藤「ハイパーカジュアルゲームに関しては、販促方法や宣伝媒体といった付加的な部分ではなく、ゲームのコアな面白さをどう伝えるかというところに重きを置きます。シンプルにゲームの面白さだけでフィニッシュできるのは良い点だと思っています。」
佐藤「ゲームが面白いかどうかを私達が議論することはあまりなく、何か思いついたらまずは作ってユーザーに聞いてみようという考えを持っています。私はそれを『市場が近い』という言い方で表現しています。」
佐藤「データドリブン(収集したデータの分析結果に基づいて意思決定を行う手法)もハイパーカジュアルゲームの大きな要素の一つだと思っていて、ゲームをブラッシュアップしていく際はA/Bテスト(2パターン以上を用意し、どれが成果が出ているか検証する手法)を活用して善し悪しを判断します。」
佐藤「なので、制作する上ではゲームの面白さに関して初めからダメと言うことはないんです。『わかりづらいゲームは作らない』ということは共通認識としては持っていて、遊び方や楽しみ方がしっかり伝わるゲーム作りを大切にしています。」
「全人類」をターゲットに大きな市場で勝負できる
ーーいくつかハイパーカジュアルゲームの面白さについての要素をお話しいただき、わかりやすさや手触りの良さといった部分はグローバル展開にも親和性が高いと感じました。
佐藤「おっしゃる通りです。私は元々ソーシャルゲームの開発でフロントエンドエンジニアをやっていて、フロントエンドの面でも演出の実装というところに興味がありました。」
佐藤「ハイパーカジュアルゲームにおいては、ストーリーや華麗なグラフィックよりも触った時の気持ち良さや面白さが非常に重要視されるので、自分に合っていると感じました。」
佐藤「誰に対してゲームを作っているかと言われたときに、私は『全人類』と答えています。人間という生命体に対してゲームを作っているので、人間がどのようなものを気持ちいいと思うか等をゲーム作りを通して研究しているくらいのスケールを持った気概で取り組んでいます。」
佐藤「今は世界中の人がスマートフォンを持っていて、言い換えると世界中の人がゲーム機を持っている時代です。若者だけでなくシニアの方もゲームで遊ぶのが当たり前になってきたので、誰でも楽しめるという点でハイパーカジュアルゲームは時代に合っていると思います。」
ーーこの時代だからこそ大きな市場で勝負できるのですね。
佐藤「私が作ったゲームでも(ダウンロード数として)億単位が動いているので、おそらくこれ以上全世界のユーザーに多く遊ばれるゲームジャンルは今のところないと思います。世界中の人に楽しんでもらえるというところは夢があって良いなと思っています。」
柔軟にアイディアを発散させることが数値や面白さに繋がる
ーーユーザーに長く遊び続けてもらう工夫は何かありますか。
佐藤「カヤックはアイディアをたくさん発散させることが得意なので、シンプルに言うと、ゲームを面白くすることを突き詰めていけば、しっかりと成績は伸びます。」
佐藤「普通のゲームであれば入れるような演出を最小限にして、すぐに新しいステージに移行するなど、プレイヤーがゲームにコンタクトする時間を如何に長くするかということは一つの工夫としてやっています。」
ーーアイディアを発散させるのが得意な社風があるからこそ、非常に多くのゲームを出していらっしゃるというところに繋がっていると感じました。
佐藤「そうですね。あとは、エンジニアが中心となって自分なりに考えてゲームを開発しているというところも、本数の多さを実現している背景だと思います。」
佐藤「一般的には2、3人のチームで一つのハイパーカジュアルゲームを開発するケースが多いと聞いておりますが、私達の場合はエンジニアが自分でアイディアを考え、実際に作り、最初の市場テストをやる、ということが主流になっています。」
ーープランナーもエンジニアも、プランするだけコードを書くだけということではなく、皆でクリエイティブをしているようなイメージでしょうか。
佐藤「おっしゃる通りです。少人数の開発なので1人あたりの領域は比較的広いです。例えば3Dモデリングができるアプリエンジニアが自分でアートの部分も作ったり、データ分析に強いエンジニアが自分で分析もしながら作ったりします。」
佐藤「チームに柔軟性を持たせて得意分野をどう生かすか、というところとゲーム開発を掛け算することは大事にしています。」
ーー色々な視点からアイディアが出ることでの魅力や楽しさ、意外性などもありそうですがいかがでしょうか。
佐藤「ユニークな点としては、『手を動かしてからゲームを考える』ということもあります。」
佐藤「例えば、Unityというゲーム開発ツールでロープの物理シミュレーションがあったので少し遊んでいたのがゲームのきっかけになったことがあります。」
佐藤「私が突然『なんか製麺機っぽいな』と思い始め、ロープを伸ばす処理を入れたらラーメンを作っている気分だったので、これをこのままラーメンを作るゲームにしようということになりました。」
佐藤「この動きは面白いからゲームにしてみたり、こういうゲームを試しに作ってみたら意外と良かったからそのまま出すという感じです。そのように、企画をパシッと決めて作るというよりは作りながら考える部分もあったりします。」
自分たちが「面白がる」ことが、愛されるゲーム作りにつながる
ーーここまで伺ったゲーム開発の考え方は、カヤック様全体の社風が反映されている印象です。
佐藤「社風が深層心理に根付いているとは思います。」
佐藤「ゲームをたくさん作る、スピード感を持つというところは、カヤックの組織文化にブレンドされているものがゲーム開発に滲み出ている感じはしています。意識しているというよりは、価値観としてそれがいいよねという共通認識があった結果だと思います。」
ーーゲーム事業部が大切にされている「世界一面白そうにゲームを作る」という言葉も特徴的ですが、これは社員の中ではどのように捉えられているのでしょうか。
佐藤「私達の会社は『面白法人』というものが書かれていて、第一歩として『自分たちが、面白がろう』ということを大切にしています。」
佐藤「私がこのチームを立ち上げた時のゲーム事業部は、ソーシャルゲームの開発ではなかなかヒットが飛ばず、重苦しい雰囲気をなんとか打破したいという時期でした。その時にそもそもゲーム開発を面白くやりたいという思いから始まった取り組みとチームなので、そこは信念を貫いていきたいと思っていました。」
佐藤「少々大きい話になると、『日々よく生きたい』というところが面白法人に込められている気がします。そもそも辛すぎることばかりやっていても良い時間を過ごせないので、まず自分たちが面白がって作るところから良いゲーム作りが始まるのではないかということが深いところにあるのかもしれません。」
面白法人カヤックの3段階の思い
佐藤「カヤックが称する『面白法人』という言葉には3段階の思いが込められています。」
面白法人に込められた3段階の思い
直感だけで紡ぎ出した「面白法人」という言葉でしたが、その後、何度となく考えてみたところ、3段階の思いが込められていることに気付くことになります。
1. 自分たちが、面白がろう。
2. 周囲からも、面白い人と言われよう。
3. 誰かの人生、社会を面白くしよう。
佐藤「『世界一面白そうにゲームを作る』という思いはまさに『1. 自分たちが、面白がろう。』です。これを経て作ったゲームが誰かの面白いという感情を生んだり、もしかしたら自分も作る側になってみようと思うかもしれません。そのように誰かの人生を豊かにするということに繋がっているのかなと思います。」
ーーゲーム開発の方向性は会社のビジョンに非常にマッチしているのですね。
佐藤「やはり、面白がっていないと面白いものは作れません。私達がまずゲーム作りを面白がれているかどうかという点は、大事にしていきたいポイントです。」
ーー確かに良いゲームからは、作り手も楽しんでいるのが伝わってくることが多いと思います。
カヤックだからできるハイパーカジュアルゲーム開発をしたい
ーー今後もたくさんのゲームを開発していくと思いますが、挑戦したいことやユーザーに期待してもらいたいことはありますか。
佐藤「この会社とこのチームでしか作れないものを作りたいと思っています。」
佐藤「ゲームは世界中の人が作っていますが、その中でも私達のゲームを選んで遊んでもらえるようになりたいです。『広告で見て面白そうだったから遊んでみた』ではなく、『カヤックが作ったから遊んでみたい』になったらいいなと思っています。」
佐藤「あとは、長く遊び続けて欲しいとも思っています。ハイパーカジュアルゲームは手軽に遊んでもらえる一方で、それほど長く遊ばれるものではありません。それでもやはり記憶に残るゲームを作りたいです。」
佐藤「私達が面白そうにゲームを作って世に出したことによって、遊んだプレイヤーに『自分もこういうゲームを作ってみたい』と思ってもらうことも一つの夢としてはあります。」
ーー今後もカヤック様のハイパーカジュアルゲームが非常に楽しみです。
ーー本日はありがとうございました。
ディレクター 佐藤 宗様
自分の考えたゲームをつくりたくて学生時代にプログラミングを独学。
2012年に新卒でカヤックに入社。
フロントエンドエンジニアとしてFlashやFlex、Unityを用いてソーシャルゲームの新規開発と運用に携わる。2019年からディレクター兼エンジニアとして、ハイパーカジュアルゲームチームを立ち上げ、「Park Master」をリリース。2022年には事業部長も兼任。好きなゲームは「MARVEL SNAP」「大航海時代シリーズ」「RimWorld」。
カヤックのおすすめハイパーカジュアルゲーム
カヤックHP:https://www.kayac.com/
カヤックゲーム:https://www.kayac.com/service/game
X (旧 Twitter):https://twitter.com/kayac_inc
facebook:https://www.facebook.com/KayacJapan
カヤックのハイパーカジュアルゲーム「Park Master」 指で線を描いて駐車しよう!アメリカでDL数1位を獲得したハイパーカジュアルゲーム!