【ゲーム業界用語集】Naniteとは|意味や解説
ゲーム業界用語の中で意味がわからない専門用語などはありませんか?
この記事では、ゲーム開発エンジン「Unreal Engine 5」のシステムである「Nanite」について意味や定義を解説します。
「Unreal Engine」の理解を深めたい方は必見です。
Naniteとは|定義
「Nanite」はゲーム開発エンジン「Unreal Engine5」で搭載された仮想化ジオメトリシステムです。
「ジオメトリ」は直訳すると幾何学を意味する単語ですが、ゲーム業界においては3Dモデルを指します。
分かりやすく言い換えると、高性能な自動レンダリング化システムです。
高解像度の3Dモデルを多量にインプットしても、ハードウェアに影響を与えずに表示できるよう設計されたシステムなので、圧縮して品質を落とす必要がなくなります。
これにより開発者はポリゴン数の制約を受けることなくゲーム開発が可能となります。
Naniteとは|解説
最新版のUnreal Engine5で使えるようになったNaniteですが、Unreal Engine4までは3Dモデルの最適化や圧縮が開発に必須の作業でした。
ハードウェア側の性能とグラフィック品質のバランスを取る必要がありましたが、Naniteでこの問題が解消されました。
Naniteのメリット
Naniteの強みを一つずつ紹介します。
高解像度3Dモデルの表示
Naniteは高解像度の3Dモデルをそのまま扱えるため、非常に美麗でリアルなモデルを再現できます。
キャラクターモデルやマップが詳細まで描写されることにより、ゲームの没入感向上も期待できます。
ディティール保持
モデル表面のテクスチャや質感もリアルに再現できます。
モデルの拡大縮小などに関しても、各距離に応じた高品質な表示が可能です。
ポリゴンのストリーミング表示
Naniteはゲーム中に必要な部分をリアルタイムで読み込み、表示させます。
画面に表示するポリゴンをストリーミングで切り替え、近づいたときは高解像度で表示し、遠ざかると低解像度で表示するシステムです。
LODの自動制御、不要化
LOD(Level Of Detail)は、3Dモデルやオブジェクトの緻密さを距離に応じて変化させる機能です。
Naniteは表示中の画面に合わせてポリゴン数をストリーミングに調整するため、LOD機能が自動で行われるようになったとも、不要になったとも言えます。
Naniteのメリット
- 美麗なグラフィック再現
- 没入感の向上
- テクスチャ面の向上
- 解像度のストリーミング切り替え
- LOD自動化
Naniteのデメリット
反対に、Naniteの弱みも見ていきます。
対応プラットフォームの制限
Naniteは高解像度3Dモデルを圧縮せずにそのまま扱うため、強力なハードウェアが必要となります。
そのため、プラットフォームによってはNaniteを使用できない場合があります。
現状Naniteに対応しているプラットフォームは以下の通りです。
- PC
- PlayStation 5
- Xbox Series X/S
ファイルサイズの増加
高解像度のモデルデータをそのまま利用できるということは、必然的にファイル容量も増加します。
ゲームサイズの増加によりハードウェアのストレージ要件が増加することも考えられます。
Naniteのデメリット
- 対応プラットフォームが限られる
- ゲームデータ容量が増加する
- 大容量ストレージが必要
結局Naniteは何が良いのか?
Naniteは開発者にとって大きな恩恵のあるシステムです。
Naniteが登場するまでのゲーム開発では、ポリゴン数を多くすると同時に負荷も上がるため、パフォーマンス調整をしなければならないという一長一短な面がありましたが、その問題をNaniteは解消しました。
また、手動によるLOD生成やアセット最適化などの細かい作業に時間を割く必要がなくなったため、開発者は自由にゲームデザインができるようになりました。
制作プロセスも効率化できることから、開発者はより魅力的で没入感のあるゲームやアプリケーションを制作しやすくなるでしょう。
その点では、ユーザー側にもメリットのある機能だとも言えます。
Naniteを利用して制作されたゲームはまだあまり登場していませんが、今後リリースされるUnreal Engine5により制作されたゲームでは、これまでにない体験を得られるかもしれません。