「面白さ」の本質を追求する 初志貫徹した想いでゲームを作る|株式会社MUTAN
2022年12月にリリースされた『グーニャモンスター』は、人気イラストレーター・寺田てら様を起用し、ビジュアル・音楽・ゲームシステム等幅広い点で好評を博している人気パーティゲームです。
今回のインタビューでは、『グーニャモンスター』を手掛けた株式会社MUTANにインタビューしました。
『グーニャモンスター』開発に至った経緯や本作の魅力、そしてMUTANが求める人材について、代表取締役社長である渡邊弘之様にお話を伺いました。
コンシューマー一筋で磨き続けた、高い開発力
――本日はよろしくお願いいたします。
――まず最初に、MUTAN様について、簡単にお伺いしたいです。
渡邊様(以下、渡邊)「MUTANは来年設立17周年を迎え、受諾開発とオリジナルゲーム開発の両軸を持つゲーム開発会社です。」
――会社の立ち上げ経緯についても教えてください。
渡邊「ゲーム専門学校を卒業してすぐにとあるデベロッパーに就職しまして、その後フリーランスを経てフリーランス仲間とMUTANを立ち上げました。」
渡邊「当初は受諾開発を専門としていましたが、ゲーム市場の変化を受けてオリジナルコンテンツの開発にも着手するようになりました。」
――ゲーム市場の変化とは、スマホゲームの普及などでしょうか?
渡邊「はい。2010年代にスマホゲームやパチスロが流行し、コンシューマーゲーム案件が大きく減少した時期があります。」
渡邊「そうした流れの中でコンシューマーゲーム中心の体制を維持するためには、確固たる強みを持ちつつオリジナルコンテンツを開発する必要があると判断した形です。」
――MUTAN様の強みとはどのような点にあると思いますか。
渡邊「昔よりコンシューマーゲーム開発に携わっていたからこその、コンシューマー領域での高い開発力だと思います。」
渡邊「スマホゲームやパチスロ方面の流行当時、結果的にそうした方面へ積極的に進出しなかったことが、そうした強みを生み出してくれた形ですね。」
渡邊「家庭用ゲーム機の進化と共にAAAタイトルやハイスペックゲーム開発に携わり続けてきたからこそ、コンシューマーゲームの企画・開発の全領域において高いレベルで活躍ができると考えています。」
――自社でオリジナルゲーム開発もされていることからも、MUTAN様の総合力の高さが伺えると思います。
渡邊「プランナーチームはもちろん、エンジニアも企画を実現できる技術力を持っています。デザイナーは大手人気タイトルのモデリングを担当することもあり、どれもユーザーさんから一定以上の評価を頂いているかなと考えております。」
――オリジナルゲーム開発の根底には、これまでコンシューマー領域で実直に積み上げてきた経験が生かされているということですね。
グーニャモンスター|気軽に皆で楽しめる非対称パーティゲーム
――去年発売されたコンシューマーゲーム『グーニャモンスター』は、先日アップデートで新エピソードが追加されました。
――まず、本作の概要についてお伺いしたいと思います。
渡邊「まず、『グーニャモンスター』は、鬼ごっこをイメージした非対称型パーティゲームです。」
渡邊「鬼役の『モンスター』と人間役の『バスター』に分かれて、2つのチームで対戦をします。普通の鬼ごっことは違い鬼に捕まった後も味方の支援などができるので、最後まで白熱する対戦を楽しむことができます。」
渡邊「本作の大きな魅力の一つは、、キャラクターデザインに人気イラストレーターの『寺田てら』さんを起用し、彼女の独特な世界観をゲームで表現していることです。」
渡邊「音楽やゲーム自体の世界観とも非常にマッチしているとの声をいただくこともあり、『グーニャモンスター』という作品を形作る上で最高の組み合わせだったと思います。」
――個人的にも、寺田てら様の作風と『グーニャモンスター』は非常にマッチしていると感じました。
渡邊「そうですね。開発段階でも、寺田てらさんを起用したいという声が制作陣の中でも非常に大きかったです。」
渡邊「チーム内で意思が固まっていたので、自ら寺田さんの個展に足を運び、三国志の三顧の礼のマネごとをしたりして……とにかく僕たちの本気度が伝わるようにアタックしました。
結果的にご承諾いただき、非常に良い形でゲーム開発が行えたと考えています。」
――本作ではボイスも非常に豊富に実装されていますよね。
渡邊「そうですね。ゲームプレイ中にもキャラクターを楽しんでもらえるよう、叫び声や掛け声のようなリアクションボイスを中心に沢山ボイスを収録しています。」
渡邊「本作のコンセプトは『気軽に皆で、誰でも遊べるパーティゲーム』です。ワイワイ楽しみながら何度でも遊べるよう、プレイ中の体験を高めることを意識してボイスやシステムを開発しました。」
渡邊「また、『グーニャモンスター』は先日新エピソードが配信され、新しいモンスターやウェポンが登場しました。」
はっぴ~ハロウィーンにゃも~♪🎃
— グーニャモンスター(Goonya Monster) (@GoonyaJP) October 31, 2023
早いもので10月ももう終わりにゃもね...ということはにゃもよ!?
明日はEP5の開幕にゃもーーー!!
EP5には地獄がテーマの新ステージや、新モンスターに新アイテムもたくさん登場するから、詳しくはアリス(@mt_alice_i)の説明をどうぞにゃも~!#グーニャモンスター pic.twitter.com/YIXYUCIJJG
渡邊「ストーリーも終盤に入っており、ゲームとして完成が近づいていると思います。リリース当初に比べプレイングの選択肢も多様化し、パーティゲームとしてなかなか飽きない作りになっているのかなと思います。」
渡邊「親子でも友人でも、オンラインでも白熱した対戦を楽しんでいただけると思うので、ぜひ一度遊んでいただきたいと思います。」
株式会社MUTANで働く
――MUTAN様は現在、採用にも力を入れられていると伺っております。
――ここからは「MUTANで働く」という観点でお話を聞いていきたいと思います。
原体験を大事にしてゲームを作る
――MUTAN様の掲げるミッションである『画面の中に見たあの日の夢と感動を世界のどこかの誰かに届ける仕事』にはどのような意味が込められているのでしょうか?
渡邊「ゲーム開発者になろうとしたきっかけとなる感情を大事にして、それを皆に届けていきたい、という気持ちを込めています。」
渡邊「そもそも私がゲームクリエイターを目指した理由は、ゲームが人気者になるためのツールだったからなんです。」
渡邊「足が速いことやかっこいいことと同じように、『家にゲームがあること』や『ゲームが上手なこと』が子供にとっては人気者になれる要素の一つです。」
渡邊「そこから更に人気者になれる要素を考えたとき、『父親がゲームクリエイターだったらいいな』と思ったことが、今の自分に繋がっています。」
渡邊「だからこそ『グーニャモンスター』では子供でも楽しめるパーティゲームを開発しました。人気者になるために、多くの人と楽しめる素敵なゲームを作りたかったからです。」
――ゲーム開発をしたいと思った根源的な理由を突き詰めて、そこから発進させてゲームを作る、ということですね。
――MUTAN様が求める人材も、そうした自身の根源にあるゲームへの気持ちを大事にしている方、ということになるのでしょうか。
渡邊「そうですね。より具体的に言えば、『自分達のオリジナルゲームを作りたい』という強い気持ちを持っている方にぜひ来ていただきたいです。」
渡邊「こうした気持ちは最初は誰でも持っていますし、恐らくゲーム開発における最も大きなモチベーションの一つだと思います。」
渡邊「ただ、ゲーム開発を行う中で『自分が作りたいものを作る』という場面は多くはありません。そうした中で、多くの人は『ユーザーを主軸としたゲーム制作』を行うようになります。」
渡邊「そうした状況の中で『それでも自分のゲームを作りたい!』と奮起できる方に来てほしいです。」
渡邊「自分が作りたい作品と、ユーザーが遊びたい作品を両立させる熱意のある人。そういう人と集まってゲームを作りたいというのが、私が当初から持っている気持ちです。」
渡邊「そうした気持ちが強く、向上心のある方であればコンシューマー経験が無くともぜひ一緒に働きたいですね。」
――非常に熱いお話だと思います。社内の平均年齢が20代で、全体的に若々しい人材が多いのもそうした行動力や熱意を重視する社風と繋がっていそうです。
渡邊「そう思います。経験や技術は働く中で身につくものもあるので、フレッシュな感性や高い行動力を持つ若い方に来てほしいと思います。」
最適な環境で熱量を持って働く
――ゲーム会社ではリモートワークが推進されているところも多いと思いますが、MUTAN様はいかがでしょうか。
渡邊「基本的にフル出社となっています。ただ、12時から18時をコアタイムとしたフレックス制を採用していて、メリハリをつけて働くことができます。」
――キャリアパスに関してはいかがでしょうか?
渡邊「スペシャリストもジェネラリストも等しく大事に考えています。育成については試行錯誤している中ではあるものの、来年からはメンター制を取り入れ、スキルアップしやすい環境を整えたいです。」
渡邊「ジョブチェンジに関しても面接などを通して実績や可能性が認められれば基本的に許可したいと考えています。」
渡邊「ゲーム開発に関連する業種のほとんどを募集しているため基本的にやりたいことをやれる環境ではあると思います。極端な話、社長すらも募集している現状です。」
――社長を募集、ですか。
渡邊「はい。ゲーム開発に特化した子会社である株式会社Mutan Insightにて社長を募集しています。もちろん希望すれば就任出来るものではありませんが、そうした気概は積極的に評価していきたいです。」
――野心と向上心を持っている場合、非常に高い地位を目指すことも現実的であるということですね。
渡邊「はい。派遣から正社員登用も行っていますし、やる気や能力があれば積極的に評価していきたいです。」
――福利厚生はいかがでしょうか。
渡邊「基本的なものは完備していますが、二つほど特徴的なものを用意しています。」
渡邊「一つ目は、月に一回鍼灸とマッサージを受けられることです。私の友人の先生と提携していて、希望者は全員受けることが可能です。」
渡邊「ゲーム開発は座り仕事でどうしても身体に負担がかかってしまうので、そうした身体のケアを重視しています。そこは、他ではあまり無い点なのかなと思います。」
渡邊「そして二つ目が社員旅行で海外に行ける点でしょうか。シンガポールやベトナムなど、東南アジア方面へ例年行きます。」
――非常に興味深いです。健康や遊びに力を入れている点は、近年では非常に強い魅力になるのかなと思います。
グローバルを目指す、MUTANの将来と挑戦
――最後に、MUTAN様が目指すゲーム開発の未来についてお聞かせください。
渡邊「今後の目標としては、まず受諾開発とオリジナルゲーム制作に同じくらい力を注げるようにしたいです。」
渡邊「それから会社の規模を拡大して、グローバルに展開できる企業にしたいと思います。現状は日本人の感覚で情報発信や開発を行っているので、グローバルな視野を獲得することも目標の一つです。」
渡邊「最近は特に本当に色々なゲームが日本市場を超えて世界へ挑戦していて、非常に可能性のある領域だと思います。」
渡邊「それに加えて、着実に努力することも、飛躍的な挑戦を行うこともできる点で、ゲーム業界は非常に手ごたえのある業界です。」
渡邊「ゲームを好きで、自分で作りたい人は今の時代だからこそ、思い切ってゲーム業界に足を踏み入れてみてほしいと思います。今後もそうしたゲーム業界の可能性を発展させられるよう、頑張っていきたいです。」
――本日はありがとうございました。
株式会社MUTAN
代表取締役|渡邊弘之様
1983年に長野県で生まれ、デジタルエンタテインメントアカデミーを卒業した後に株式会社キャメロットに入社する。
在学中にはアマチュアゲームショウのコンテストの技術賞を受賞し、入社後は『マリオゴルフ ファミリーツアー』(ニンテンドーゲームキューブ)や『マリオゴルフGBAツアー』(ゲームボーイアドバンス)などのタイトルに携わる。
『マリオテニスGC』(ニンテンドーゲームキューブ)の開発に参加した後、退社し数年のフリーランスを経て2007年に株式会社MUTANを設立した。
株式会社MUTANとは、『画面の中に見たあの日の夢と感動を、世界のどこかの誰かへ届ける』ことをミッションとして、2007年に設立された会社です。
コンシューマーゲーム開発と3DCG制作を主業務としており、大型開発プロジェクトや未公開新作タイトルのモデル制作など多くの受諾開発案件を手掛けています。
特にハイエンドなCGを得意としており、人気ゲーム作品を含めた多様な作品に、メインキャラクターのモデリングや背景、エフェクト制作として携わっています。
そうした受諾開発経験を活かし、オリジナルゲームの開発にも力を入れており、2022年12月にリリースされた『グーニャモンスター』は、現在もアップデートされている人気タイトルです。
デベロッパーとパブリッシャーの両側面を持ち合わせていることが強みの会社です。