コミュニティ組成とインセンティブの新選択 ブロックチェーンを手段とする『FiNANCiE』の真価とは|株式会社フィナンシェ COO 田中様
2019年よりWeb3領域に取り組む、株式会社フィナンシェ様。「Web3」を謳いながらも、そのサービスの本質はコミュニティ支援とクラウドファンディングです。今回は、コミュニティ支援とクラウドファンディングの領域において、同社がブロックチェーンを活用して実現したいことを、
COOの田中様にお伺いしました。
ブロックチェーン×クラファン×コミュニティ
――本日はよろしくお願いします。
――まず、フィナンシェ様で運営している『FiNANCiE』というサービスについてお伺いしたいです。
田中様(以下、田中と表記)「株式会社フィナンシェは、2019年の1月に創業しました。主なサービスは、会社名と同じ『FiNANCiE』というアプリのサービスで、こちらは2019年の3月にβローンチしています。」
田中「コンセプトとしては、Web3・ブロックチェーン技術を活用しつつ、クラウドファンディングやファンコミュニティを実現するアプリのサービスです。」
――なるほど、あくまでブロックチェーンは活用する技術であり、そのクラウドファンディングやファンコミュニティの組成が主軸にあるのですね。
――確かに、トークン(NFTなど)を購入したユーザーは、当該コンテンツの関心が非常に高い方だとも推測できます。
――それに、コミュニティが盛り上がれば盛り上がるほど「ここに参加したい」という需要が増えるので、その参加権たるNFTの価格にも影響が出そうです。
――クラウドファンディングやコミュニティの仕組みにブロックチェーン技術を取り入れることで、具体的には何が変わるのでしょうか?
田中「ブロックチェーン自体は単純にデータベース分散化の技術なので、トークン(NFTなど)がそのブロックチェーン上でトラストレスに発行・流通していく仕組みができています。我々としては、その仕組みが今後の社会やビジネスに大きな可能性をもたらすと思っています。」
田中「具体的には、トークン(NFTも含む)を発行することで、プロジェクトを応援している人たちや、プロジェクトの運営に関わる人たちに対してインセンティブを付与することが可能になると考えています。」
――なるほど、NFTを発行して、プロジェクトを支えるファンや運営チームに配布することができるようになったのですね。
田中「そうですね。トークンを売買することを『そのプロジェクトに出資すること』と捉えなおすなら、今までその部分は株式会社の『株式』という部分に相当していたかと思います。ですが、Web3は個人の時代です。トークンの発行も、トークンの配布も、トークンの売買も個人単位で実施可能です。」
田中「これは、会社のような『収益』を目的とした組織以外でも成立します。例えばスポーツチームなどに対しても、ファンや周りの関係者・企業を含めて一緒に関わりを持っていただくこと、皆で応援することに対してインセンティブを設計しています。そこがブロックチェーンによるトークン発行の大きな利点だなと思います。」
――今まではファンの皆さんが自発的に盛り上げていた部分に対して、インセンティブを配布できるようなったのは大きな革命だと思います。
――トークンではない、いわゆる法定通貨(円やドルなど)でやろうとすると、個人情報の管理や入出金の管理が大変だと思うので、トークンを使うことによってインセンティブの配布が非常にやりやすくなったことは大きいですね。
田中「先ほどご説明した『FiNANCiE』以外にもいくつか事業を進めております。一つは、NFTの企画・運営支援です。様々な企業・団体様が自社のコンテンツを活かしつつ、NFTを活用したお取組みができるよう支援していきます。」
田中「具体的には、クライアント様が保有しているアセット(IPのイラストや選手の写真など)をNFTにしています。事例としては、今はスポーツ団体様とタッグを組んでいる事例が多いです。」
田中「もう一つは、弊社は今年の3月に『FNCT』という暗号資産を発行して、コインチェックさんのプラットフォームで取り扱いが開始されました。こちらはIEOの手法でして、株で言うとIPOに該当するような上場する形での取り扱いです。その事業で培った実績とノウハウをもとに、他の企業やプロジェクトに対して、暗号資産発行や流通、マーケティング支援事業を行ってます。」
――IEOを行うと、いわゆる暗号資産取引所でIEOした暗号資産を、オープンに購入したり売却したりできることは大きいですよね。
――御社のトークンである『FNCT』を上場させたノウハウを活かして、他の企業様のトークンのIEO支援が行えるのは強みだと感じます。
田中「当社の提供するメインのサービスとしては以上です。アプリの『FiNANCiE』事業、NFTの発行支援、(他社の)暗号資産の発行から流通までの支援を一気通貫で行えるプラットフォーム事業、という形で事業を推進している形です。」
――最初に始められたのはアプリのフィナンシェのサービスですが、NFTの発行や、経済圏を作るにあたって必須な暗号資産の発行も支援されていることが印象的でした。
新しいインセンティブの仕組みを広げるプラットフォーム
――ブロックチェーンやトークンに関する知識がない企業に対しても、御社のサービスへは安心して参加できそうなイメージですが、いかがでしょうか。
田中「ありがとうございます。おっしゃる通り、ブロックチェーンやトークンを発行するためには、そのシステム開発や専門知識、セキュリティ、法務面など、気にしなければいけないハードルが非常に高いです。」
田中「我々は、このインセンティブの仕組みを、誰でも使ってもらえるような時代が将来的には来ると思っています。」
田中「こういった仕組みに参入するハードルを下げていき、トークンを使って応援する人も、応援される人も、新しい機会が作れるという未来を、事業を通じて達成していきたいです。」
――なるほど、ありがとうございます。数年前はYouTubeの収益化システムがインセンティブ革命と言われてましたが、そのアップデート版が来そうだなというのを感じます。
――インセンティブのコアの部分としては、フィナンシェ様のプラットフォーム上では(独自暗号資産の)FNCTでやっていくということでしょうか?
田中「FNCTはあくまで我々の発行した暗号資産という位置づけです。FNCTだけではなく、これをベースに我々の達成していきたいビジョンを応援していただけるよう、企業さんや個人も含めて、大きな経済圏にしていきたいと思っています。」
田中「(FNCTを使って)我々以外を支援するというところでは、すでに『FiNANCiE』のプラットフォーム上では200件以上の個人・法人を支援させてもらってます。そういった様々な経済圏を、我々のプラットフォームや仕組みを通じて繋げていくことで達成していきたいと思っています。」
――確かに、NFTを含めたトークンを作るというのは一筋縄ではいかない部分もあると思います。
――そこをフィナンシェ様のプラットフォーム上でやらせていただけるというのは、企業様にとっても個人にとってもメリットがあるのではないかと感じました。
田中「ありがとうございます。私はもともとゲーム畑の人間ですが、どうしても会社が自分のところで世界観を作って、そこにゲーム内通貨を作って皆さんに遊んでもらうような感じになってきます。」
――ある意味では、おのおののゲームで『閉じた』世界観が形作られて、『閉じた』経済が生まれているとも言えますね。
田中「そういう見方もできます。ですが、フィナンシェが作りたい世界観としては、様々な通貨やトークンが使われていくシーンを増やしていきたいと思っています。それが次のインセンティブ、価値に繋がっていく、そういったところが大きな違いかなと思います。」
コミュニティの万能薬『FiNANCiE』の効果
――企業の方がフィナンシェ様のプラットフォームで活動をすることに対しての、メリットや強みがあればお伺いできればと思います。
田中「企業の中でも二つの立ち位置があると思っております。まず一つは、トークンを発行する側としての企業。もう一つは他のWeb3プロジェクトで発行されたトークンを保有して自社のビジネス展開に繋げる企業の二つです。」
田中「前者に関しては、プロジェクトを立ち上げていくために、熱量の高いファンや、一緒に応援してくれる他の企業さんを巻き込むためのインセンティブ設計がしやすくなります。」
田中「もう一つでは、トークンという価値が高くなっていく可能性がある資産を利用して、将来の価値を現在価値に置き換えて資金調達ができるという、株式に近いメリットが発行する企業にもあります。」
田中「他社トークンを保有する側としては、前者をひっくり返した形になりますが、保有したWeb3プロジェクトに協力していくことで保有トークン価値の向上に繋がり、結果としてお互いの目指すメリットが享受しやすくなります。また、トークンを持っていくことでリソースを割きやすくなることもあると思います。」
――後者についてですが、プロジェクトにトークンを通じて出資することもできるし、そのプロジェクトがうまくいったら総合的にメリットがある、というイメージでしょうか。
田中「おっしゃる通りです。実際にスポーツチームのトークンを企業さんに持って頂くケースも出てきております。そのトークンコミュニティに入って、一緒にトークン価値を上げていくという形で参加することができます。」
田中「逆にそのトークンを使って、自分のお客さんや見込み顧客にインセンティブとして配布する形で活用することもできると思います。」
田中「株式だと、価値を上げるには事業収益を上げるしかないと思いますが、トークンならば、そういった部分が非常に柔軟に設計できる可能性が大きいと思います。」
――なるほど。保有するだけでなく、2次配布もできる利点があるのですね。
――フィナンシェ様のプラットフォームは、トークンを持つだけと言うより一蓮托生でプロジェクトにも参加するというイメージです。
田中「おっしゃる通りです。そこが法人にとっては一緒に関わるメリットにもなりますし、個人ユーザーの方でもトークンを持ってたら、その過程を一緒に作ることの楽しさにも繋がってきます。」
田中「最近よくプロセスエコノミーという話がありますが、今までは単純にサービスの受け手側だったところから、一緒に協力していくという体験が得られることは非常に大きい価値になると思います。」
――お話を聞く限りでは、様々なトークンの動きがあると思りますが、そうなってくるとフィナンシェ様が持っていらっしゃるリーガル的なノウハウも生きてくるのではないかと感じました。
田中「はい。リーガルについては、我々もしっかりと確認して慎重にやっています。構想段階でいくと2018年からなので、5年間ずっとやってきている積み重ねがあります。」
田中「実際にやろうとなると、リーガルだけではなく、会計面だったり、コミュニティの運営も大変ですが必要な作業です。そういった部分の運営のノウハウの実績を持っており、運用サポートが継続的にできるということが我々の強みだと思ってます。」
――コミュニティ運営経験のあるエンタメ企業は少ないと思うので、御社のご支援が受けられるというのは心強く感じると思います。
『普通はできない体験』が個人のユーザー単位で実現可能
――個人ユーザー様から見たときの、フィナンシェのサービスが持つ強みをお聞かせ下さい。
田中「先ほど話したことに重複してしまいますが、トークンを持つことで、一緒に関わっていく体験価値があるというのが一つあります。」
田中「また、モデレーターをやりながらも自分のトークンの価値が上がっていく、資産価値として残る、というのもあると思います。」
田中「それがもう少し進んでいくと、やはり投資的な概念もできてくると思ってます。」
田中「単純に収益に対して価値が上がることは、今も金融商品であると思いますが、トークンはそういった形ではなく、例えばスポーツチームが大きく成長していくことであったり、ゲームのプロジェクトがより大きくなること、コミュニティが育っていくこと、それらに対して最初から関わりを持ちインセンティブになるというところが、個人で我々の仕組みを使っていただく魅力になると思っています。」
――個人単位でも一緒に参加できる、しかも頑張った分のインセンティブが得られる可能性もあるというのは、今まではできなかったことだと思います。
トークンの進化と海外進出
田中「私たちは、こういったフィナンシェ社の仕組みをより多くの人たちに体験してもらいたいと考えています。いわゆる円やドルで形作られた今までの経済圏とは違うところに参加していく、その意味をちゃんと世の中に伝えていきたい。」
田中「また、新しいトークンモデルも模索していきたいです。今はNFTやいわゆる仮想通貨(FT)が主流ですが、トークンの形自体も進化していくと思っています。今の形態が完成系だとは思っていません。これから色々な特徴を持ったトークンが、形を変えて生まれてくると思います。そういったモデルも、私達自身で模索していきます。」
田中「あとは、海外展開です。法律上の問題もあり、現在のフィナンシェのアプリは日本のみの展開を行っております。ですがやはり、海外のプロジェクトであっても参加してもらいたいですし、逆に海外の人に日本のプロジェクトに参加してもらえる可能性も大いにあると思ってます。」
田中「そのため、海外展開は視野に入っておりますし、実現に向けて動いていきたいとも思っています。」
――プラットフォームとしての役割を維持しつつも事業を広げていく、ということですね。トークンの種類も増えてくるのだろうなと思います。
――フィナンシェ様のサービスは幅広く色々な企業様が有効活用できそうなイメージが湧きました。
田中「そうですね。今お取引している団体様も、スポーツチームだけではなく、地域創生やエンターテイメントなど、幅広いです。ファンがつきやすいサービスは非常に相性が良いと思うので、是非色々な方に検討していただきたいと思っております。」
――本日はありがとうございました。新しいコミュニティとインセンティブの在り方に挑戦する御社の、今後に期待しております。
株式会社フィナンシェ
フィナンシェは、ブロックチェーンを活用したトークン発行型のクラウドファンディングサービス「FiNANCiE」をはじめ、NFTの企画・発行支援事業、IEO支援事業などトークンを活用したコミュニティおよびエコシステムの形成を支援する事業を展開しています。
現在、200以上ものスポーツチームやエンタメプロジェクト、個人などのトークンの発行・販売、企画・運用実績を有しており、トークンエコシステムの形成・拡張を一気通貫で支援する国内唯一のWeb3プラットフォームの確立を目指しています。
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