Enlighten(エンライトゥン)とは|意味や解説
ゲーム業界では、難しい専門用語が数多く使われています。
ゲーム開発ではリアリティと没入感の向上が常に求められており、その中でも照明技術は特に重要な役割を果たしています。
この記事では、その最前線に立つ存在である「Enlighten」について解説します。
Enlightenとは|定義
「Enlighten(エンライトゥン)」は、シリコンスタジオ株式会社が提供するミドルウェアです。
ミドルウェアとは
- ソフトウェア開発において、アプリケーションとオペレーティングシステム(OS)の間に位置するソフトウェアやツールの総称
- 特定の機能や処理を担当
- ゲーム開発においては、グラフィックス、物理エンジン、ネットワーク機能など、さまざまな領域で利用されています
Enlightenはゲーム内の照明表現の質を向上させ、プレイヤーに没入感の高いゲーム体験を提供できます。
Enlightenとは|解説
Enlightenは、英Geomerics(後にシリコンスタジオ社によって買収される)が開発したミドルウェアで、グローバルイルミネーション(GI)を特に優れた形で提供しています。
グローバルイルミネーション(GI)とは
- 直接オブジェクトに当たる光源だけでなく、光の照り返しも計算し、描画する照明技術
- リアルな光表現が可能
Enlightenを用いることでゲームシーン全体が一体感を持ち、臨場感を飛躍的に向上させることが出来ます。
Enlightenの主な特徴、ゲームプレイへの影響、そして開発でどのように利用できるかについて解説します。
特徴
ゲーム世界をよりリアルに彩るEnlightenの機能は以下の通りです。
ランタイム照明
Enlightenは、ライト、マテリアル、オブジェクトをランタイムで(プログラムを実行しながら)自由に変更できます。
ゲームシーン内の照明がミリ秒単位で更新されるので、より現実的で没入感のある体験が実現できます。
設定が簡易的
Enlightenには、広範で連続したジオメトリに適したライトマップと、複雑なメッシュのオブジェクトに適したプローブの設定があります。
この2つを使い分けるだけで、効果的かつ直感的な描画が可能です。
ワークフローの向上
エディター内でリアルタイムに照明計算が行われるので、変更ごとにベイクの結果を待つ必要がありません。
それに伴い、ライトマップUVがAutoUV機能で自動生成されるなど、手作業で行わなければならない部分が大幅に削減されているので、ワークフローの効率化に繋がっています。
ゲームプレイへの貢献
Enlightenによりゲーム体験の質が向上する理由を解説します。
オープンワールドを美しく表現
広大なマップをより美しく表現できます。
テレイン(地形)にライトマップとプローブの技術を活用することで、ゲームの実行中でも美麗でダイナミックな光の効果を維持できます。
これにより、広大なオープンワールドでのプレイヤーのゲーム体験が一層豊かになります。
リアルタイムリフレクションによる臨場感の向上
照明や素材に対応して、リアルタイムに変化するリフレクションをより精密に表現できます。
スクリーン空間内だけに依存せず、処理も軽いので、多くのプレイヤーのゲーム体験を向上できます。
エミッシブマテリアルによるクリエイティブな表現
自ら発光する性質を持つエミッシブマテリアルを活用すると、クリエイティブな表現の選択肢が広がります。
この手法は処理の負荷を減らすことにも繋がるので、開発者が効率的かつスムーズに作業できるようになります。
レイトレーシングによるリアルな反射表現
Enlighten 4の大型アップデートにより、ゲーム内の反射光がよりリアルに見えるよう改良されました。
具体的には、レイトレーシングリフレクションにおける間接光表現が強化されました。
レイトレーシングとは
- 光の挙動をシミュレートするための手法
- 光線(レイ)を追跡して、物体の表面での反射や屈折、影の生成などを計算
- よりリアルな光の効果を得ることが可能
これにより、開発者はよりリアルで高品質な光表現ができるようになり、ゲーム全体の表現レベルが向上しました。
対応エンジン・プラットフォーム
Enlightenは、多くのゲームエンジンやプラットフォームに対応しています。
各種対応状況の詳細を解説します。
引用:Enlighten公式 ギャラリーページ