UE専門開発会社が語るUEFNのゲーム制作 制作チーム「SLASHH」の挑戦(株式会社ヒストリア)

UE専門開発会社が語るUEFNのゲーム制作 制作チーム「SLASHH」の挑戦(株式会社ヒストリア)

UE専門開発会社が語るUEFNのゲーム制作 制作チーム「SLASHH」の挑戦(株式会社ヒストリア)

株式会社ヒストリアの制作チーム「SLASHH」は、UEFN(Unreal Editor for Fortnite)を駆使し、ゲーム開発の新たな在り方を探求しています。
今回の取材では、UEFNを用いた開発の魅力や、どのようなゲーム制作を目指しているのかについて、詳しくお話を伺いました。

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  1. 1UEFNでゲーム開発を行う魅力
  2. 1.1『オリジナルタイトル制作』と『市場でのヒット』を両立できる
  3. 1.2優秀なテンプレート素材を活用できる
  4. 1.3プログラミング言語を使用せずに、開発サイクルを早く回せる
  5. 2UEFNには『夢』がある
  6. 2.1自分の完全オリジナル作品をリリースできる
  7. 2.2ユーザーと開発者で共同プレイが可能
  8. 3「WANTED!!」制作秘話|『PvPvEバトル』のデザイン構築にUEFNの特徴を活用
  9. 4UEFNによる高速な開発サイクルで発生するメリット
  10. 4.1イテレーションサイクルを数日で回せる
  11. 4.2開発者のスキルアップが早い
  12. 4.3プロデューサー、ディレクター人材の育成に最適
  13. 5未開の市場だからこそ、自分たちの強みを活かした挑戦をする
  14. 6ゲーム開発を通し、チャレンジを続ける
  15. 6.1プロデューサーとしての想い|企画案を大切にしたい
  16. 6.2新たなゲームジャンルを開拓する
  17. 7佐々木 瞬 プロデューサー
  18. 8羽馬 正裕 プランナー
  19. 9梅田 侑宜 プランナー
  20. 10株式会社ヒストリア様

UEFNでゲーム開発を行う魅力

写真左より、プランナー/SLASHHリーダー羽馬様、プロデューサー佐々木様、プランナー梅田様

ーー本日はよろしくお願いいたします。

ーーヒストリア様は、UEFNを用いたゲーム開発チーム「SLASHH」を昨年立ち上げ、非常に早い速度で『Fortnite』向けのゲームを開発し、リリースされております。

ーー開発する中で見えてきた、『UEFNを用いたゲーム開発の特徴や魅力』を教えてください。

 

『オリジナルタイトル制作』と『市場でのヒット』を両立できる

「UEFN」でゲーム開発を行う魅力

プロデューサー 佐々木様(以下、佐々木と表記)「UEFNの魅力は、まず、『開発スピードの速さ』があげられます。」

開発速度の速さ

佐々木では、具体的にどれくらいの速さでリリースできるのかと言うと、発生する作業自体はテンプレートを使ってアップロードするだけで、対応するすべてのプラットフォームに対して最短1日でリリース出来ます。」

佐々木「コンテンツの中身も基本的なキャラクター挙動や各種武器やアイテム、デフォルトで組み込まれている高品質なギミックが使えるので、圧倒的に速い。」

佐々木「通常(UEFN以外)の開発では、キャラクターの基礎挙動やカメラロジックから作り、そのうえで地形やギミックを作り、さらにはネットワーク対応や各種プラットフォームのタイトル申請を行うので、そこと比較しての開発の速さは非常に魅力的です。」

開発コストの削減

佐々木「また、『リリース・開発の速さ』は、『開発コストを下げられる』メリットも生みます。」

佐々木「通常、弊社が3D作品を作った場合、オリジナルタイトルは1本あたり非常に小さなタイトルでも数千万円程度は必要です。一方でUEFNを用いた開発では、うまく工夫をすれば数百万円程度でリリース可能です。」

佐々木「勿論『企業としてある程度のクオリティライン』は担保しなくてはなりませんが、そのラインを担保したとしても、非常にローコストでのリリースが可能です。」

佐々木「お金の話でもう一つ付け加えると、UEFNは『Fortnite』の環境がベースにあるため、マルチネットワーク環境が用意されています。そのため、サーバー維持費などの環境構築面のコストもかかりません。」

――短期間・低工数・ローコストでオリジナルのゲームがリリースできる。

――お伺いしていると、非常に可能性に富んだ仕組みだと、改めて感じました。

プロモーションの腕を磨ける環境

佐々木「また、その開発の速さに付随して、『プロモーションの腕を磨く』こともできます。」

佐々木「そもそも、我々デベロッパーはパブリッシャー様と比較して、リリースの経験がそこまで多い訳ではございません。ですが、実際にSLASHHで行っている様に、タイトルリリースを何度も繰り返すことで、プロモーションのノウハウ向上につながります。

――UEFNの「開発の速さ」は、「多くの独自タイトルリリース」を生み、結果としてプロモーションをする機会も増え、様々なノウハウが蓄積されていく、ということですね。

『Fortine』というプラットフォームの魅力

佐々木「そうですね。最後に、『リリース先のプラットフォームに既にユーザーがいる』こともメリットです。」

佐々木自分たちでオリジナルタイトルをリリースする場合、どんな手段でタイトルを認知してもらい、どうやってお金を払っていただくかを熟考する必要があります。

佐々木「ですが、そもそも『Fortnite』というプラットフォームには多くのユーザーが居るので、我々がリリースしたゲームで遊んでもらえる可能性は、他のプラットフォームよりも恐らく高い。」

佐々木「やはり、既存プレイヤーがいる環境は、リリースをするプラットフォームとして魅力的に映ります。」

ーー開発におけるメリットが多い上に、ゲームをリリースするプラットフォームとしても非常に魅力的、ということですね。

佐々木「そうですね。『リリースの行いやすさ』という点では、YouTubeへの動画アップロードと、ゲーム開発の中間を行うような感覚です。」

佐々木「総じて、我々の最もやりたいことである、『オリジナルタイトルを作ること』と『市場でヒットさせること』を両立できるため、非常に魅力的です。」

UEFNでの開発メリットのまとめ

  • 開発速度が速い
  • 開発コストが低い
  • プロモーションの腕を磨ける環境
  • 『Fortine』というプラットフォームの魅力

優秀なテンプレート素材を活用できる

ーーSLASHHのプランナーである、羽馬様としてはいかがでしょうか?

プランナー/SLASHHリーダー羽馬様(以下、羽馬と表記)「UEFNにデフォルトで用意されているアセットや仕掛けのクオリティが高く、そのうえ簡単に活用できることに魅力を感じています。」

羽馬「良質な挙動のアクションゲームを一から作ることはとても大変ですし、マーケットプレイスで素材を買っても、組み込みに手間がかかります。」

羽馬「そのため、キャラクターの挙動やギミック、数多くの武器など、元からクオリティが担保されている素材を自由に扱えることは非常に魅力的です。」

「デフォルト素材に少し手を加えるだけで、クオリティをさらに高くできることもありますし、開発を始める際に考えなければならないリソースを減らせることにもつながります。」

――なるほど。そもそもUEFNに用意されている素材はクオリティが高いということですね。となると、デザイン・モデリング・プログラミングができなくとも一定のクオリティが出せる。

――プランナー視点、確かにメリットしかない環境だと感じました。

プログラミング言語を使用せずに、開発サイクルを早く回せる

ーー同じくSLASHHのプランナーである、梅田様からもお伺いできますでしょうか?

プランナー 梅田様(以下、梅田と表記)「はい。私達3人は『WANTED!!』というゲームを作ったチームなので、私からは当時の開発現場目線でお話させていただければと思います。」

「WANTED!!」作品紹介

  • プレイヤーが西部一の賞金稼ぎを目指す、PvPvEバトルゲーム。
  • ライバルよりも早く敵を倒し、誰よりも多く賞金を稼ぐことが目標。
  • マップコード:6058-6785-6636
【SLASHH:UEFNタイトル】西部劇ハンティングPvPvEバトル『WANTED!!』マップコードを公開!|株式会社ヒストリア

梅田「『WANTED!!』の開発では、開発を決めてから1日〜2日ほどで、企画職の私のみで基本的なゲームデザインを組むことができました。このプロトタイプの開発にはエンジニアの力は借りていません。」

梅田企画立案から数日で、すぐにテストプレイに移ることが可能です。本来のネットワークゲームだと、基礎の部分を作るだけでも時間がかかるので、こんな速度でテストプレイをすることは、恐らくできません。」

梅田「早く開発して、早くテストプレイして、早くゲームの検証をする。開発のサイクルを素早く回せることは魅力だと思います。」

ーーPDCAサイクルをとても早く回せるのですね。

梅田「そうですね。UEFNでは『Verse』というプログラミング言語も使用できるのですが、簡単な仕組みであれば『Verse』を触らずに作れてしまうこともポイントです。」

ーー非エンジニア、非デザイナーでもゲームが作れる。UEFNの可能性を感じました。

UEFN でゲームづくりをする魅力

  • 「オリジナルタイトルの作成」と「市場でのヒット」を両立できる
  • 優秀な組み込み素材がある
  • 難しいプログラミング言語を使用せずに開発可能

UEFNには『夢』がある

羽馬「UEFNにはとても夢があると思っていて、ゲームをリリースすることで、大きな収益を得られる可能性があると感じています。YouTubeが盛り上がり始めたときと同じような雰囲気です。」

外部クリエイターに分配された収益

引用元:https://create.fortnite.com/news/fortnite-engagement-payout-update?team=personal
参考:外部のクリエイターに分配された収益の年間換算額(2023/4)
200人以上のクリエイターが、年間10万ドル相当(約1500万円)以上の配当を得られる。

100万ドル相当(約1億5400万円)以上は43名
300万ドル相当(約4億6400万円)以上は13名
1000万ドル相当(約15億4700万円)以上は5名

参考:フォートナイト エンゲージメント配当に関する最新情報
Epic Games社公式による2023/4のエンゲージメント配当額による年間換算
参考:堀江貴文氏×スペースデータCEO佐藤航陽氏による対談|大人が知らない『フォートナイト』の衝撃。メタバースで1人100億円稼ぐ!?【堀江貴文×佐藤航陽】 | GOETHE

羽馬「Fortniteはアップデートで機能が追加されていくのですが、そのタイミングで新機能を導入したゲームのリリースを行えば、フィーチャーされることがあります。」

羽馬「おすすめに表示されやすくなることでインプレッションが増え、人が集まり、収益につながりやすいという構造です。」

羽馬「今から参入を考えている方にとっても、それは嬉しいポイントなのではないかと思います。」

ーー夢があることは大事ですよね。

▼UEFNの始め方については、ヒストリア様の運営するメディア「ゲームメーカーズ」で詳細に解説されております

UEFNでゲームづくりを始めよう!

自分の完全オリジナル作品をリリースできる

羽馬「また、いちゲーム開発者としては、自分の完全オリジナル作品を出す経験ができることにもメリットを感じています。」

羽馬「最近のゲーム開発期間は長期化しており、一つの企画の開発に3年〜4年かかることもあります。クリエイターが『一つの作品に最初から最後まで携わり続ける』ことが難しい状況です。」

――恐らく、ゲーム業界全体がそのような悩みをお抱えになっているんでしょうね。

羽馬「では一方、UEFNはどうか?UEFNは企画から始めて、しっかりゲームデザインを考えたとしても1ヶ月程でリリースができます。ちなみに、我々が最初に開発したタイトル『Lava Death Run』は、1〜2週間程でリリースしています。」

羽馬「とにかくリリースの数が打てる。ゲーム開発者としての経験値を多く積めるという点でも、とても良いことだと思います。」

ーー実際に『自分が作ったゲームをリリースできる』という点でも、UEFNには夢があるのですね。

羽馬「はい。自分で生み出したタイトルをヒットさせ、とても良い形でそれを実現している方も多くいます。UEFNではそのような夢も叶えられる可能性が高いので、今後もこの領域にチャレンジしていきたいです。」

ユーザーと開発者で共同プレイが可能

「UEFN」の夢のある開発環境

羽馬「補足的に申し上げると、UEFNは、マルチプレイがデフォルトで行えるので、自分たちが開発したゲームを一般のプレイヤーさんと一緒にプレイできます。

羽馬「自分で開発したタイトルを多くの人と一緒に遊べる。開発したゲームへの反応を生で見ることができる。これは、ゲ―ム開発者としては非常に嬉しいことです。」

――開発者自身がユーザー、ないしはFortniteのコミュニティに居る方々と一緒に遊べる。素敵な光景ですね。

羽馬「そうですね。今後もタイトルをヒットさせ、プレイヤーさんと一緒に遊べる環境を構築するためにも、Fortniteのコミュニティにいる方たちともっと深く関わっていきたいと思っています。」

「WANTED!!」制作秘話|『PvPvEバトル』のデザイン構築にUEFNの特徴を活用

「WANTED!!」サムネイル

ーー「SLASHH」様は、開発においてゲーム性を大切にしていらっしゃると存じますが、今回リリースされた「WANTED!!」では、どのようなゲーム性を追求されたのでしょうか?

佐々木「1回遊んで終わるのではなく、長く遊び続けられる定番マップの作成をコンセプトに開発を行いました。」

佐々木「SLASHH結成前の前作では、いわゆる『ボスバトル』を行うゲームを開発したのですが、『1回のプレイで終わってしまう』という反省が残りました。ボスを倒したら、そこで満足してしまう。」

佐々木「それを踏まえて、『WANTED!!』では継続性があることをテーマに開発を行いました。コンテンツの追加はそこまで頻繁でなくとも良い。ただ、ユーザー同士が対戦し続けられる、遊び続けられるゲーム性を追求しました。」

梅田「そういったコンセプトのもと、プランナーとしてもう一つ考えたことは『ありきたりな対戦ゲームにはしたくない』ということです。結果として、NPCを倒しつつ、プレイヤーを倒すバランスを取らなければ勝てない『PvPvEバトル』をテーマに開発を行いました。」

梅田「しかし初期の頃、『PvP』だけの方が楽しいという問題が起きてしまいました。Fortniteはもともと『PvP』ゲームなので、その形式が最も楽しくなってしまう傾向にあるのだと気づきました。」

羽馬「最初の1日目は特に大変でしたね。」

――Fortniteのユーザー特性が垣間見えますね。

梅田「そうですね。最初の日はボスの代わりとなる的を置いたのですが、それを狙うだけだとやはり面白くないので、ユーザーさんはほとんど『PvP』で戦ってしまっていました。」

羽馬「そこで、大元のゲーム性から調整しようという取り組みにつながったことは良かったと思います。」

梅田「はい。『プレイヤーの照準を、NPCを倒すことにどう持って行くのか』というデザインを改めて追求できました。」

ーー最初に構想したものから徐々に軌道修正を行っていったのですね。
UEFNの『PDCAを早く回せる』特徴を活かした開発手法であると感じました。

UEFNによる高速な開発サイクルで発生するメリット

高速な開発サイクルによるメリット

イテレーションサイクルを数日で回せる

ーー先ほど、UEFNでは開発サイクルを回しやすいとのお話があったかと思いますが、その詳細についてお聞かせください。

佐々木「UEFNでの開発は、(※)イテレーションサイクルを異様に早く回せるゲームエンジンを用いた開発と言えます。」

イテレーション

  • アジャイル開発(大きな単位でシステムを区切ることなく、小単位で実装とテストを繰り返して開発を進めていく手法)において、特に短い間隔で反復しながら行われる開発サイクルのこと。

佐々木「10年程前から、ゲームエンジンによる開発が行われるようになり、そこで『素早くプロトタイプを作り、テストプレイをして確かめ、軌道修正を行う』というサイクル方式に開発方法が変化しました。」

佐々木「その中でも、数週間〜2ヶ月かけて行っていたイテレーションサイクルを、数日単位で回せることがUEFNの特徴です。」

開発者のスキルアップが早い

ーー開発のサイクルが早いということは、ゲームクリエイターとしての腕前も急上昇していくのではないかと思いますが、いかがでしょうか?

羽馬「そう思います。もちろん、やってみて初めてわかることもたくさんあるのですが、ゲームデザインにおける想像の精度も上がっていると感じます。」

羽馬「ゲームデザインは、『何分間のゲームにするから、こうデザインをして..』と想像しながら行うのですが、その精度が実感としてどんどん上がっています。」

羽馬「Fortniteのプレイヤーに対して、『どのようなゲームデザインによるアプローチを行ったら遊んでくれるようになるのか?』という、市場への感覚も上がってきていると感じます。」

梅田「それは、『プレイヤーにテストプレイをしてもらえる環境』であることの影響も非常に大きいと思います。」

梅田「開発中に社内の人間にテストプレイをしてもらうことはよくあるのですが、ゲーム会社の人間はやはりゲームプレイが上手い人も多いので、結果が偏りがちです。」

梅田「しかしUEFNによるリリースでは、ゲームにあまり慣れていない人が遊んでいる様子も直に見れるので、プランナーとしてのスキルや想像力がどんどん上がります。」

ーー開発サイクルの早さに加え、ユーザーとの距離が近く、市場を把握しやすいことも、開発者のスキルアップに寄与しているのですね。

佐々木「はい。受託で開発を行う時は、我々はユーザーの方を意識しながらも、作品を良くすることに専念し、パブリッシャーが間をつなぐといった役割分担をしています。」

佐々木「直接ユーザーさんと関わる機会もパブリッシャー様ほど多くはないのでユーザーさんとはどうしても少し距離ができてしまいます。」

佐々木「しかしUEFNによる開発では、ユーザーさんとの距離感の近さや、非常に早い開発の回転率により、見えるものや学べることが多いです。」

佐々木「具体的には、『UEFNのユーザーの方は年齢・国の分布に特徴があり、FortniteユーザーであることからFortniteのプレイヤーコントロールやシューターゲームは慣れている。また、主にプレイしている曜日・時間帯はいつごろ』といったように、一般市場とは異なる特徴を分析することなどができています。」

佐々木「UEFNでは、ターゲットを意識した開発を行うスキルがより高く身につきます。これは、受託開発を多くやってきた我々のような会社からすると非常に新鮮な体験です。」

プロデューサー、ディレクター人材の育成に最適

佐々木「スキルアップの中でも特徴的なのが、『若手が育たない問題』へのアプローチができることです。」

佐々木「最近のゲーム業界では、AAAタイトルやAAくらいの規模が中心になっているため、ゲームの全体像を把握して開発を行える人材が少なく、プロデューサーやディレクターなどのポジションに就ける人材が育ちにくい傾向があると思います。」

佐々木「例えば、『新卒でゲーム会社に入社して、5年が経つけど、まだ1タイトルもリリースできていない』などということも頻繁に起きています。」

――開発期間の長期化に加えて、世に出る前にプロジェクトが中止になったタイトルなどもあると考えると、確かにそのような現象は多く発生していそうです。

佐々木「一方、初めてのアサインが『SLASHH』だった梅田は、『全体的』なスキルがかなり伸びた印象があります。」

梅田「そうですね。『ゲームの全体像』を把握する能力は、ゲーム開発においても特殊なスキルであると思います。例えばレベルデザインなど、一つの技術的な部分を専門にすることに比べ、スケジュールや人の管理が必要になります。」

梅田その能力を持てるようになったことは大きいと、自分でも思います。」

ーーUEFNでの開発が人材育成にもつながるとは、想像もつきませんでした。ありがとうございます。

未開の市場だからこそ、自分たちの強みを活かした挑戦をする

ーー「SLASHH」様が「ゲーム性を追求する」というコンセプトを大切にされている理由を教えて下さい。

佐々木「UnrealEngineで開発を行っていた我々からすると、UEFNは環境的な制限が多く、作りたいものを完璧に作れるわけではありません。」

佐々木「例えば、キャラクターが最初から良質な挙動でシューティングを行ってくれる代わりに、ハイスピードアクションは思うように作れません。」

佐々木「また、個人で開発を行っているクリエイターの方に、我々企業は開発スピードでは敵いません。」

佐々木「例えば3月にUEFNとレゴのコラボが発表されました。発表は日本時間の深夜です。その発表の6時間後に日本では朝を迎え、我々が出勤します。恐ろしいことに、出勤した時には、個人の方が制作したレゴコラボの新マップが既に配信されていました。」

――驚愕のスピード感ですね。やはり個人のクリエイターは動きが早いです。

佐々木「そうですね。ここで、『ゲームの開発会社である我々がUEFNでの開発に取り組む意義は?』という問いが生まれます。」

佐々木「これを突き詰めて考えると、私達のようなゲーム開発会社の強みは、ゲーム性で面白さを生み出すことにあります。また、それにより培ったゲームデザイン力をまた別のプロジェクトで活かすことにあります。」

佐々木「正直に申し上げますと、新しい市場なので、『一発ネタをやった方が良いのか』『笑えるものを作った方が良いのか』など、我々も自らの在り方に悩むことがよくあります。」

佐々木「しかし、元々我々がやりたいことはそうではなく、ゲーム性の面白さを追求することなので、そのコンセプトは持ち続けるべきだと思っています。」

佐々木UEFNの前身となるFortniteのクリエイティブモード、通称『クリエイティブ1.0』から開発を行っていて、Fortnite市場にも詳しく、ユーザーの心を掴んでる個人開発者が多くいる市場の中では、我々はUnrealEngineが使えて、ゲームデザインができるというだけのチャレンジャーです。」

佐々木「だからこそ、『ゲームデザインの面白さ』を武器とすることで、何かを打ち立ててやろうという気持ちでやっています。」

ーーUEFNで新たな世界が広がっていることを改めて感じました。

ゲーム開発を通し、チャレンジを続ける

ーー貴社は今後もUEFNを用いたゲーム開発をされていくと思いますが、どのようなゲームを作りたいとお考えですか?

佐々木「UEFNの特徴として、ソロプレイゲームよりも対戦ゲームの方が親和性が高いとは思うのですが、それに捉われず、多くの種類のゲームを作りたいと思っています。」

佐々木「ゲーム性を追求しながらも、我々がクリエイターとして出したいものだけを前面に出し過ぎることもなく、ユーザーの求めているものとのバランスを取ることを重視しています。」

佐々木市場に擦り合わせるだけでも、自分たちのやりたいことを押し付けるわけでもなく、上手くバランスが取れた開発を行いたいと思っています。」

プロデューサーとしての想い|企画案を大切にしたい

佐々木「大型タイトルの開発などでは、市場で売り上げを立てられる見込みがないと、プロデューサーの立場である私は決裁を出せません。」

佐々木「しかし私はクリエイターでもあるので、オリジナル性や独自性の高い企画を没にしなければならないのを残念に思うことが多くありました。」

佐々木「しかしUEFNであれば、ゲーム性の面白ささえ担保できれば、『作ってみたら?』と言いやすいです。なので、そういった意味でも多くの種類のゲームを展開させ、挑戦をしたいですね。」

ーープロデューサーである佐々木様ならではの想いですね。

新たなゲームジャンルを開拓する

写真左より、プロデューサー佐々木様、プランナー羽馬様、プランナー梅田様

羽馬「私は、オリジナリティのある作品を作りたいと思っています。」

羽馬「現在のFortniteは、新しいものができては廃れるといったことを繰り返していて、まだ新陳代謝がとても激しい状態です。」

羽馬「その環境を活かし、『こんな新しいものを作りました』と提案することで、そのゲームが真似されるようなブームを作りたいと思っています。新たなジャンルを開拓したいです。」

ーー羽馬様がチャレンジャーであることがひしひしと伝わりました。開発者の方だからこそ見える景色が多くあるのですね。

ーー最先端を走る御社だからこそ見える景色の一端を、垣間見させていただいた気分でございます。本日は誠にありがとうございました。

佐々木 瞬 プロデューサー

コンシューマーゲームのディレクター、リードプログラマーを経て、2013年10月にUnreal Engine専門会社である株式会社ヒストリアを設立。
Unreal Engineを用いたコンシューマーゲームやVRタイトルの開発に加え、自動車業界・建築業界・テレビ業界向けノンゲームコンテンツの開発を行っている。
学習用ミニコンテスト「UE5ぷちコン」やWEBメディア「ゲームメーカーズ」をはじめとする開発者への情報発信にも力を入れる。
 

羽馬 正裕 プランナー

2011年よりゲーム業界にてモバイル・PC・コンシューマーなど幅広い現場を経験後、一年間海外を放浪する。

帰国後ヒストリアにてコンシューマーゲームのセクションリーダーを担当。

現在もコンシューマーゲームの開発を行いながら、UEFNチーム『SLASHH』リーダーとして10以上のゲームに携わる。
 

梅田 侑宜 プランナー

早稲田大学文化構想学部卒業後、2022年ヒストリアに新卒入社。

プランナーとしてUnreal Engineでのゲーム開発をするとともに、『SLASHH』チームの立ち上げメンバーとして、UEFNでのゲーム開発に携わる。

オリジナルタイトルでは、「MIMIZU」、「WANTED!!」、「CROWD ZONE WARS」を企画、ゲームデザインを手がける。

株式会社ヒストリア様

ヒストリア社 ロゴ

〈株式会社ヒストリアについて〉
Unreal Engine 専門のソフトウェア開発会社です。
ゲーム事業とエンタープライズ事業の 2つの軸でソフトウェアの企画、開発を行っています。
代表作は『ライブアライブ』(開発)、『Caligula2』(開発・PC 版販売)、『ジョジョの奇妙な冒険 ラストサバイバー』(開発)など。
エンタープライズ事業では、自動車業界、建築業界、映像・放送業界向けコンテンツやメタバース等を制作。
また、『UE5 ぷちコン』を始めとするイベントの主催・運営や技術ブログの発信など、Unreal Engine コミュニティを盛り上げる活動を行う他、WEB メディア『ゲームメーカーズ』運営等、開発者への情報発信にも力を入れる。

 

SLASHH ロゴ

〈SLASHH について〉
『SLASHH』は “ゲーム性を追求する”をコンセプトとしたクリエイティブチームです。
家庭用ゲーム機向けの制作チームと連携を取り、ゲームデベロッパーならではの高クオリティなコンテンツをグローバルに提供しています。
現在 8 作品を制作し、うちオリジナルタイトルは 5 作品。
PvPvE、パズルアクション、ボスバトル、デスラン、FPS タクティカルシューターなど幅広いジャンルでゲームを作成。

Machi
ライター

Machi

個人で始めたコンテンツ作成経験により得た知見をもとに転身し、現在はWEBライターを専門に行なっています。YouTube動画の投稿で多くの再生数を得た経験から動画編集チームを結成、その頃より個人・法人問わずにコンテンツ作成を長く行なってきました。ゲームも好きで、30年近くにわたりジャンル問わず数百本はプレイしてきました。

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