【ゲーム開発スタートガイド】初心者におすすめのプログラミング言語5選
ゲーム開発に興味を持つ初心者にとって、最適なプログラミング言語の選択は非常に重要です。
本記事では、初心者にも扱いやすく、学習しやすいゲーム開発向けのプログラミング言語を5つ紹介します。
それぞれの言語の特徴や、メリットを詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。
ゲーム開発に使用されるプログラミング言語とは
ゲーム開発において、使用されるプログラミング言語の種類は多岐にわたります。
選択する言語によって、開発の効率や学習のしやすさが大きく変わります。
これからゲーム開発を始めようとする初心者にとって、適切なプログラミング言語を選ぶことは、成功への第一歩になります。
本記事で紹介するプログラミング言語の特徴や、メリット、デメリット、習得難易度を以下の、表にまとめました。
「習得難易度」は、言語の複雑さ、ツールと環境の整備、ゲーム開発における実績と成功例の多さなどの観点から、筆者が独自に各言語を評価しました。
ゲーム開発で使用されることが多いプログラミング言語
言語 | 特徴 | メリット | デメリット | 習得難易度 | 作れるゲームの例 |
---|---|---|---|---|---|
C++ | 高性能なグラフィックス処理が可能です。Unreal Engineなど、多くのゲームエンジンで利用されており、ゲーム開発に広く活用されています。 | 高いパフォーマンスと効率性があり、ゲームエンジンの基盤として多く使用され、ハードウェアに近い操作が可能です。 | 複雑な構文があり、デバッグが難しいことがあります。 | 高 | AAAタイトルの大規模ゲーム、FPSゲーム |
C# | 人気のゲーム開発エンジンであるUnityで主に使用されます。 | Unityでのゲーム開発が容易で、高い生産性が得られ、強力なツールとライブラリのサポートがあります。 | Unity以外のプラットフォームでの使用が限られ、パフォーマンスがC++に劣る場合があります。 | 中 | 2Dおよび3Dのインディーゲーム、モバイルゲーム、VRゲーム |
Java | プラットフォームに依存せず、Androidゲーム開発で使用されます。強力なライブラリとフレームワークが利用できます。 | クロスプラットフォーム性があり、Androidの開発に適しています。 | グラフィックス性能がC++やC#に劣り、リソース消費が比較的大きいことがあります。 | 中 | Androidモバイルゲーム、シンプルな2Dゲーム、マルチプレイヤーオンラインゲーム |
JavaScript | ウェブブラウザ上で動作し、HTML5ゲーム開発に利用されます。 | ウェブブラウザでの即時プレイが可能で、ウェブゲームや軽量なゲームに適しています。 迅速な開発が可能です。 |
パフォーマンスが他の言語に劣り、セキュリティの脆弱性がある可能性があります。 | 低 | ブラウザゲーム、パズルゲーム、カジュアルゲーム |
Swift | Appleの公式言語で、iOSおよびmacOSゲームの開発に使用されます。モダンで安全な言語です。 | Appleエコシステムでの開発に最適で、モダンな構文と高い安全性を持っています。 | Apple製品以外では使用できず、他のプラットフォームとの互換性がないことがあります。 | 中 | iOSモバイルゲーム、Apple Arcadeゲーム |
プログラミング言語を使用して開発されるゲーム
ゲームをプレイする機器によって、使用するプログラミング言語が異なる場合があります。
プログラミング言語を使用して開発されるゲームには、以下のような種類があります。
- 家庭用ゲーム
- モバイルゲーム
- ウェブブラウザゲーム
- パソコンゲーム
家庭用ゲーム
家庭用ゲームとは、主に自宅でプレイすることを目的としたゲームを指します。
これらのゲームは、専用のゲーム機(コンシューマーゲーム機)で動作するように設計されています。
代表的な家庭用ゲーム機には、ソニーのPlayStationシリーズ、任天堂のNintendo Switch、マイクロソフトのXboxシリーズなどがあります。
家庭用ゲームの特徴は、次の通りです。
- 高品質なグラフィックス:最新のゲーム機は高性能なハードウェアを搭載しているものもあり、リアルで美しいグラフィックスを実現できます。
- 大規模なゲーム:家庭用ゲームは、広大なゲームワールドや複雑なストーリーを持つものが多く、プレイヤーを長時間楽しませることができる内容となっています。
- マルチプレイ対応:オンラインやオフラインでのマルチプレイヤーモードをサポートしており、友人や世界中のプレイヤーと一緒に楽しむことができます。
- 専用コントローラー:ゲームパッドやジョイスティックなど、専用の入力デバイスを使用することで、直感的な操作が可能です。
モバイルゲーム
モバイルゲームとは、スマートフォンやタブレットなどの携帯端末でプレイすることを目的としたゲームを指します。
これらのゲームは、モバイルデバイスの特性を活かした設計がされており、場所を選ばず手軽に楽しむことができます。
代表的なプラットフォームには、iOS(AppleのApp Store)やAndroid(Google Play)があり、多様なゲームが配信されています。
モバイルゲームの特徴は、次の通りです。
- 手軽さ:スマートフォンやタブレットさえあれば、いつでもどこでも簡単にプレイできます。
- タッチ操作:タッチスクリーンを活用した直感的な操作が可能で、ユーザーインターフェースもシンプルで分かりやすいものになっています。
- 多様なジャンル:パズル、アクション、ロールプレイング、シミュレーションなど、幅広いジャンルのゲームが存在します。
- ソーシャル要素:SNSとの連携やオンラインマルチプレイヤー機能を備えたゲームが多く、友人や他のプレイヤーとの交流が容易です。
- 短時間で楽しめる:通勤時間や休憩時間などの短い時間でも楽しめるように設計されたゲームが多いです。
ウェブブラウザゲーム
ウェブブラウザゲームとは、インターネットブラウザを通じてプレイすることができるゲームを指します。
これらのゲームは、特別なソフトウェアのインストールを必要とせず、ウェブブラウザ上で直接動作します。
主にHTML5、JavaScript、WebAssemblyなどの技術を使用して開発され、プラットフォームに依存せずにプレイできるのが特徴です。
他のウェブブラウザゲームの特徴は、次の通りです。
- 即時プレイ:ブラウザを開くだけでゲームが開始でき、インストールやダウンロードの手間が省けます。
- クロスプラットフォーム対応:主要なウェブブラウザ(Chrome、Firefox、Safari、Edgeなど)で動作し、異なるデバイスやOS間での互換性があります。
- 軽量でアクセスしやすい:比較的軽量なゲームが多く、ハードウェア要件が低いため、幅広いデバイスで快適にプレイできます。
- オンライン機能:多くのウェブブラウザゲームは、リアルタイムでの対戦や協力プレイ、ランキングなどのオンライン機能を備えています。
パソコンゲーム
パソコンゲームとは、デスクトップやノートパソコンなどのコンピュータでプレイするゲームを指します。
これらのゲームは、パソコンの高い処理能力と柔軟なカスタマイズ性を活かして、複雑なグラフィックスや広大なゲームワールドを提供することができます。
代表的なプラットフォームには、Windows、macOS、Linuxなどがあり、それぞれの環境に適したゲームが提供されています。
パソコンゲームの特徴は、次の通りです。
- 高性能なグラフィックス:パソコンのハードウェアを使用し、最新のグラフィックスカードやプロセッサを活用して、リアルで高品質なビジュアルを実現できます。
- カスタマイズ性:ゲームの設定やモッド(カスタムコンテンツ)を自分好みに調整できるため、個々のプレイヤーの好みに合わせたプレイが可能です。
- 豊富なジャンル:アクション、RPG、シミュレーション、ストラテジーなど、多様なジャンルのゲームがあり、幅広い選択肢が提供されます。
- オンライン機能:多くのパソコンゲームは、インターネットを介したオンラインプレイやマルチプレイヤー機能を備え、世界中のプレイヤーと対戦したり協力したりできます。
- 高い互換性:多くのゲームがパソコンの仕様に合わせて最適化されており、特定のハードウェアやソフトウェアの要件に基づいてプレイ環境を整えることができます。
ゲーム開発が効率化できるゲームエンジン
ゲームエンジンとは、ゲームの開発と実行に必要な基本的な機能やツールを提供する開発環境です。
ゲームエンジンは、ゲーム開発者が効率的にゲームを作成し、様々なプラットフォームで実行できるようにするための統合開発環境(IDE)や、ライブラリ、リソース管理ツールなどを含んでいます。
ゲーム開発の現場でよく用いられる2つのゲームエンジンを紹介します。
Unity
Unityは、Unity Technologiesによって開発されたクロスプラットフォームのゲームエンジンです。
2005年にリリースされて以来、2Dおよび3Dゲームの開発において非常に人気が高く、インディー開発者から大手ゲームスタジオまで幅広く利用されています。
Unityは、Windows、Mac、Linuxなどのデスクトッププラットフォームだけでなく、iOS、Android、コンソール、VR/ARデバイスなど多くのプラットフォームに対応しています。
Unityの特徴は以下の通りです。
-
クロスプラットフォーム対応: Unityは、多くのプラットフォームに対応しており、一度の開発で複数のプラットフォームにリリースすることができます。これにより、開発者は多くのユーザーにリーチすることが可能です。
-
直感的なインターフェース: Unityのインターフェースは直感的で使いやすく、ビジュアルエディタを使用して簡単にゲームオブジェクトの配置や、プロパティの調整ができます。これにより、プログラミングの経験が少ない開発者でも簡単にゲームを作成することができます。
-
豊富なアセットストア: Unityのアセットストアには、モデル、テクスチャ、スクリプト、音楽など、数多くのアセットが提供されています。これにより、開発者は必要なアセットを簡単に入手し、開発時間を短縮することができます。
-
コミュニティとサポート: Unityには多様な開発者コミュニティがあり、公式フォーラム、ドキュメント、チュートリアルなどが充実しています。問題が発生した場合でも迅速に解決策を見つけることができます。
Unityが使用されているゲーム
- 「ポケモンGO」や「ウマ娘 プリティーダービー」、「シャドウバース」などに、Unityが採用されています。
Unreal Engine
Unreal Engine(アンリアルエンジン)は、Epic Gamesによって開発されたゲームエンジンです。1998年に初リリースされて以来、多くのAAAタイトルのゲーム開発に使用されており、高性能なグラフィックスを作成できることが評価されています。
Unreal Engineは、高度な機能と使いやすさから、プロフェッショナルから初心者まで幅広いユーザーに支持されており、「最も成功したビデオゲームエンジン」としてギネス世界記録に認定されています。
Unreal Engineの特徴は以下の通りです。
-
高度なグラフィックス: Unreal Engineは、フォトリアリスティックなグラフィックスと、3Dモデルやシーンをリアルタイムで2D画像に変換し、即座に表示する技術であるリアルタイムレンダリング機能を持っています。最新のレンダリング技術(例:Nanite、Lumen)により、非常に詳細なモデルや複雑なライティングをリアルタイムで処理できます。
-
ブループリントビジュアルスクリプティング: プログラミングの知識が少ないユーザーでも、ブループリントビジュアルスクリプティングシステムを使用してゲームを作成できます。
-
強力な物理エンジン: Unreal Engineは、リアルな物理シミュレーションを提供するために高度な物理エンジン(PhysX)を搭載しています。これにより、リアルな動きや衝突、破壊表現が可能です。
-
オープンソース: Unreal Engineのソースコードは公開されており、GitHubを通じてアクセスできます。開発者はエンジンを自由にカスタマイズし、独自の機能を追加することができます。
-
アニメーションシステム: Unreal Engineは、キャラクターアニメーションを管理するための高度なツールセットである、スケルタルメッシュ、アニメーションブループリント、モーションキャプチャのサポートなどの機能を提供しています。
-
マルチプラットフォーム対応:Unreal Engineは、Windows、Mac、Linux、iOS、Android、コンソール(PlayStation、Xbox)、VR/ARデバイスなど、多くのプラットフォームに対応しています。
Unreal Engineが使用されているゲーム
- 「Fortnite」や「PUBG: Battlegrounds」、「ストリートファイターV」などに、Unreal Engineが採用されています。
ゲーム開発におすすめのプログラミング言語5選
ゲーム開発において、すべてのタイトルや開発現場で万能に使えるプログラミング言語は存在しません。
どの言語にも特有の長所と短所があり、プロジェクトの規模、プラットフォーム、開発チームのスキル、そして求められるパフォーマンスなど、様々な要因によって最適な選択が変わります。
ここでは、ゲーム開発で主流な5つのプログラミング言語に厳選して、言語の持つ特徴や利用シーンについて解説します。
C++
C++(シープラスプラス)は、Bjarne Stroustrupによって1983年に開発された汎用プログラミング言語です。
C言語をベースにしており、プログラミングの設計手法の一つであるオブジェクト指向の機能を追加しています。
システムプログラミングからゲーム開発まで、幅広い分野で利用される柔軟な言語です。
C++は、その高いパフォーマンスと柔軟性により、ゲーム開発において広く使用されています。
Unreal EngineはC++をベースに開発されているため、ゲームロジックや機能の多くがC++で記述されています。
ゲーム開発者はC++を使用してUnreal Engine上でゲームを開発し、カスタマイズすることができます。
また、C++は「コンパイル型言語」とも呼ばれます。
これは、書いたプログラムを一度にコンピュータが理解できる形に変換(コンパイル)してから実行するという意味です。
コンパイルのおかげで、プログラムの実行速度がとても速くなることがC++の特徴です。
一方で、C++の構文は複雑で、多くの詳細を記述する必要があります。
そのため、初めてプログラミングを学ぶ人にとっては難解で、習得難易度が高いプログラミング言語です。
C++を使用しているゲーム
- 「FINAL FANTASY VII REMAKE」や、「The Elder Scrolls V: Skyrim」などのゲームが、C++で開発されています。
C#
C#(シーシャープ)は、Microsoftによって開発されたプログラミング言語です。
UnityエンジンはC#をメイン言語としており、2Dから3Dゲームまで幅広く採用しています。
Unityにおけるゲームロジック、キャラクターの動き、物理演算などはC#で記述されます。
UnityではC#のみが使用可能なため、Unityを使用してゲームを開発したい場合、習得必須の言語と言えます。
C#の構文は直感的で読みやすいため、特にUnityのようなゲームエンジンを使う際には、初心者でも比較的簡単に学ぶことができます。
加えて、C#はガベージコレクション(自動メモリ管理)を使用しているため、C++よりも習得しやすいプログラミング言語です。
ガベージコレクションとは、不要になったメモリ領域を自動的に解放して、メモリリーク(使い終わったメモリを解放しないことで起きるメモリ不足)を防ぐ仕組みのことです。
C#を使用しているゲーム
- 「Rust」や「Cuphead」などのゲームが、C#で開発されています。
Java
Javaは、Oracleが開発した汎用プログラミング言語で、クロスプラットフォーム対応であることが特徴です。
Javaのプログラムは、一度書けば、Java仮想マシン(JVM)が動作する任意のプラットフォームで実行できます。
具体的にはWindows、macOS、Linux、Androidなどに対応しており、さまざまな環境で動作するアプリケーションを開発できます。
特に、Androidアプリの開発においてJavaは主要な言語として使用されており、モバイルゲーム開発に適しています。
iOSとAndroidの両プラットフォームでアプリをリリースすることがスタンダードになっている現代のアプリ開発において、Javaの習得は必須と言えます。
Javaを使用しているゲーム
- 「Minecraft」や「Star Wars Galaxies」などのゲームが、Javaで開発されています。
JavaScript
JavaScriptとは、主にウェブ開発で使用されるプログラミング言語で、ブラウザ上で動作するスクリプトを記述するために使用されます。
JavaScriptは、ウェブブラウザ上で動作する2Dおよび3Dゲームの開発に適しています。
簡単なパズルゲームから複雑なMMORPGまで、様々なタイプのゲームを開発することができます。
ブラウザベースのゲームを作成する場合、JavaScriptを使用すると、異なるデバイスやプラットフォームで一貫した動作が保証されることが大きな特徴で、1つのコードベースで作成できます。
JavaScriptは比較的シンプルな構文を持ち、ブラウザ上で直接実行できるため、初心者にとって始めやすい言語です。
多くのオープンソースプロジェクトやチュートリアルがあるため、ゲーム開発者は他のプロジェクトから学び、自分のゲーム開発に活用することができます。
JavaScriptが使用されているゲーム
- 「Slither.io」や「Cookie Clicker」などのゲームが、JavaScriptで開発されています。
Swift
Swiftは、Appleが2014年に発表した、比較的新しいプログラミング言語で、iOS、macOS、watchOS、などのAppleのプラットフォーム向けのアプリケーション開発に特化しています。
iOS向けスマホアプリやスマホゲーム開発を目指すプログラミング初心者に、習得をおすすめできる言語のひとつです。
Swiftは、UIKit、SpriteKit、SceneKit、Metalなど、さまざまなフレームワークをサポートしているため、高品質な2Dおよび3Dゲームやアプリを効率的に開発できます。
フレームワークとは、開発者が一から全てのコードを書く手間を省き、効率的にソフトウェアを構築できるよう支援するソフトウェアライブラリのことです。
例えばSpriteKitは、Appleが提供する2Dゲーム開発フレームワークで、物理シミュレーション、アニメーションなど、豊富な機能を備えています。
SpriteKitを使用することで、2Dゲームを迅速に開発できます。
まとめ|ゲーム開発初心者におすすめのプログラミング言語
ゲーム開発初心者のおすすめのプログラミング言語を5つ紹介しました。
C++は高性能なゲームを開発するために適していますが、C++は他の言語に比べて学習難易度が高いため、基本的なプログラミングスキルを身につけた後に学ぶことをおすすめします。
C#は、Unityゲームエンジンで採用されているため、2Dおよび3Dゲームの開発に適しています。
Javaは、Androidアプリ開発において主要な言語として使用されており、モバイルゲーム開発に適しています。
JavaScriptはブラウザベースのゲーム開発に適しています。
SwiftはiOSプラットフォーム向けのゲーム開発に最適で、Appleのフレームワークを活用できます。
それぞれの言語には異なる特徴と利点があるため、開発したいプラットフォームや目的に応じて最適な選択をする必要があります。
ゲーム開発者にとって重要なのは、さまざまな言語に精通し、ゲームの特徴に応じて適切な言語を選択できる柔軟性を持つことです。
本記事が、各プログラミング言語の特徴を理解し、自分の目標や興味に応じて最適な言語を選ぶ手助けとなることを願っています。
出典:https://realsound.jp/tech/2021/06/post-801063_2.html