ゲーム会社でイラストレーターになるには|年収や必要なスキルを解説
「イラストを描くことが好き」「ゲーム制作に関わりたい」「好きを仕事にしたい」など、ゲームイラストレーターを目指す方はたくさんいらっしゃるでしょう。
本記事では、年収や実際にゲーム会社に入社するための道筋、必要なスキルを、フリーランスとして活躍する場合を含めて解説します。
ゲームイラストレーターの仕事内容
ゲームイラストレーターは、イラストレーターの中でもゲームに特化した分野で活躍する仕事です。
具体的には、ゲームに登場するキャラクター、アイテム、背景などの作画。コンセプトアートやラフ画などを含めたデザインなども担当します。
現場で経験を積んでからは、昇進してアートディレクターとして制作指揮をする役職に就くこともあります。
最近では、スマートフォンなどのモバイル端末でプレイするゲームで使用されるキャラクターデザインや一枚絵のイラスト作成の仕事が多くあります。
ゲームイラストレーターを目指すメリットとデメリット
ゲームイラストレーターはゲーム内に登場するキャラクターや物のイラストを担当します。そのため、ゲームをリリース後、プレイヤーに自分の絵を見てもらえることがメリットと言えるでしょう。
一方、ゲーム会社にゲームイラストレーターとして入社することは難易度が高いことに加えて、自身の名前を売り出しにくいことがデメリットとしてあげられます。
一定期間フリーランスで活躍する選択肢もありますが、自身で仕事を探してこないといけない点や安定性が低い点がネックです。
イラストレーターとなるには、絵を描くスキルが必須なので、十分なスキル、実績となるポートフォリオがあることが求められます。
独学で絵を描くほかにも、美術の専門学校などの選択肢があります。
会社所属とフリーランスの違い
ゲームイラストレーターは、会社所属とフリーランスの2択があります。
それぞれの違いは下記の通りです。
会社に所属する場合
まず第一に、収入面で安定している点が挙げられます。
会社雇用の場合、基本給が設定されているので、受注数によって給与が大幅に減るなどのリスクが少ないと言えます。
また、所属する会社の福利厚生を受けられたり、先輩イラストレーターから有用な情報を含めた指導を受けることができます。
大手企業に所属するゲームイラストレーターの具体的な給与としては、年収500万円程と言われています。さらに、昇級や昇格が見込めるため、将来的にディレクターなどの管理職を目指す方には企業に所属することがおすすめです。
逆に、企業に所属することで、会社が定める服務規定を遵守しなければなりません。仮に副業が禁止されている場合、自由に副業を始めることはできないため、得られる収入には限界が生じてしまいます。
安定している分、制約が生じることが会社に所属する場合のデメリットと言えます。
フリーランスの場合
フリーランスとしてゲームイラストレーターの活動を行う場合、自分の名前を一番表に出して仕事を行うため、個人としてのネームバリューを高めやすいことがメリットです。
一方、なかなか仕事を受注できなかった月は手取り給与が目減りしてしまうなど、不安定な点がデメリットと言えます。
フリーランスは基本的に、ゲーム会社に人員が不足している時に応援要員として採用を募集します。具体的には繁忙期に多く採用される傾向があります。
そのため、フリーランスとして長く活動を続けるためには、複数のゲーム会社から認められ、仕事を依頼されるだけの実績とスキルを身につけておくことが必要です。
時代の流れとともにゲームのイラストやコンセプトは変化します。ゲームのプレイヤーに没入感を得てもらうためにも、様々なタッチのイラストを描けることが必須条件です。
必要なスキル
ゲームイラストレーターとして活躍するためには、主に以下の4点のスキルが必要です。
デザインスキル
デザインスキルは、ゲームイラストレーターにとって基幹となるスキルです。
様々なイラストを描いて実績を積んだイラストレーターや、大学でデザインを学習していた層と同等のスキルが求められます。
ただ絵を描くだけではなく、デザインの理論に則った作画力が求められます。
例えば、ものに光が当たった時の影の出方や、質感はもちろん、どのアングルからキャラクターを魅せるのかといった構図の選定も重要です。
また、ゲームのストーリーによって適切なタッチが都度変わります。
特定のジャンル(可愛い系やかっこいい系、シックな感じなど)が毎回変わるため、特定のジャンルに縛られず柔軟に対応できる画力が求められます。
豊かな想像力・発想力
ゲームイラストレーターの仕事は、キャラクターのデザインのみに留まりません。
背景にある木や雲、建物の配置とデザインも仕事です。
それらを自然な位置に配置したり、適切なテクスチャでデザインすることも求められるスキルの一つです。
また、ゲームイラストレーターとして働く上で、必ずディレクターが設定したマニュアル(指示書)に基づいた仕事をしなけばなりません。ここには一から十まで思考の道筋が描かれてないので、足りない部分は作成者の意図を汲み取って適切に対応しなければなりません。
抽象的で理解に時間がかかる指示や、要素が不足していると考えられる時には、イラストレーターから詳細な設定を提案することも必要です。
常にゲーム企画サイドの意図を汲み取る努力と、意図に応える努力が必要です。
デザインツールを扱うスキル
現在では、基本的にイラストを納品する際にはデジタルデータとして、形式が指定されたデータを送付する形が採用されています。そのため、指定された画像形式を扱えるイラストツールを操作できることが求められます。
特にAdobe系のイラストツールは多くの企業で採用されているため、資格保持を含めて検討することがおすすめです。
また、イラストを作画する際のペンタブの使い方も習得しているとなお良いでしょう。
イラストを扱う場面では「クリップスタジオ」か「SAI」と「Photoshop」、デザインにはIllustratorや映像編集系の「After Effects」、3D関連ならば「Maya」などが扱えると企業からの評価は高くなります。
コミュニケーションスキル
ゲームイラストレーターにおいても、他の業種と同じくコミュニケーション力が必要です。
ゲームの制作において、ゲームプランナーやディレクターとの打ち合わせを行います。
また、一緒にゲームを制作する他のイラストレーターとの意思疎通においても、コミュニケーションを取ることが頻繁にあります。
ゲームイラストレーターに向いている・求められる人物像
まず第一に、絵を描くことが好きな人が、ゲームイラストレーターに向いていると言えます。しかし、ゲームイラストレーターの仕事は、個人の趣味とは異なります。絵を描くことが好きであることは第一ですが、それはきっかけにとどめ、仕事ではアイデンティティをアピールするのではなく要求されたものを的確に作り上げることを意識しましょう。
要求されたコンセプトに基づいて、要求された内容に沿った仕事をすることがプロのゲームイラストレーターとしての在り方です。
このように、商業イラストとして取り組むことが求められると同時に、最後までブレることなく作品を描き切る熱量も必要です。
また、ゲームは作品ごとに世界観が異なります。プレイヤーが作品に没頭できるように作り上げる上で、イラストの作風は重要です。任されたゲーム作品毎に違和感がないイラストを描き上げることができる柔軟性も、ゲームイラストレーターに必須と言えます。
技術の進歩に伴い、ゲームの世界観は日々進化し続けています。それらの変化に対応できるように、新たな知識や技術を習得しようという志の高い人が、ゲームイラストレーターに向いているでしょう。
まとめると以下の5点がゲームイラストレーターに向いている人と言えます。
ゲームイラストレーターに向いている人
- 絵を描くことが好きな人
- 公私混同せず、仕事として取り組める人
- 柔軟な対応力を持っている人
- 途中で諦めず、やり遂げられる人
- コミュニケーションが適切に取れる人
ゲームイラストレーターの採用状況
ゲームイラストレーターの採用は、基本的に中途採用とフリーランスからの転身が多い傾向です。
専門的な技術を扱えることが大きなアドバンテージとなっており、転職活動の際にもそれらのスキルの有無が必ず問われます。
また、前項でも触れた通り、商業イラストとして仕事に取り組めるかどうかと、描くことができる絵の幅の広さも大きな鍵になります。
趣味でイラストを描くこととは違い、会社に属してゲームイラストレーターの仕事を全うするのであれば、一人の作業遅延が全体の作業遅延につながることを理解しておかなければなりません。
故に企業は、経験者や技術やスキルを有している人が欲しいと言えます。
新卒での入社も間口は狭いものの、少数募集されている場合があります。ただし、これもインターンシップ等で「技術力を認められたら」や、「イラストの専門学校・大学の学科を卒業していたら」等の制限がある場合が多く見受けられます。
一般的な学部を卒業された方で、ゲームイラストレーターとして新卒入社を目指す方は、
下積みと実績を作る事が大切です。第一新卒に固執せず、イラストやゲームに関わる仕事を一定年数こなしてから転職を目指すと採用率が上がることが期待できます。
ゲームイラストレーターの年収
ゲームイラストレーターの年収は、企業所属の場合、全国平均で約480万円と言われています。
フリーランスでは、約420万円~720万円が一般的です。
企業所属の場合、フリーランスと比較すると少なく感じてしまいますが、企業に属することで安定性を手に入れることができます。
一方のフリーランスは、仕事を受注できなかった場合、収入が増減してしまうことがデメリットです。突発的に活躍できるチャンスもありますが、逆に仕事を受注できないリスクを孕んでいます。
会社所属かフリーランスとして活動するかは慎重に吟味する必要があります。
職業としてゲームイラストレーターを見た時の今後
ゲーム市場は日々変化しています。
従来はPCゲームや家庭用ゲームが主流でしたが、スマートフォンの普及に伴い、モバイルゲームの市場シェア率が台頭しています。
具体的なシェア率は以下の通りです。
今後もモバイルゲームのシェア率は加速すると考えられており、時代に準じた仕事が求められるようになります。
また、モバイルゲーム以外のジャンルにおいても市場規模は拡大しており、ゲームイラストレーターは今後も需要があると言えます。
株式会社角川アスキー総合研究所の「グローバルゲームマーケットレポート2020」によると、2019年から2020年にかけて3デバイスにおける市場規模が下記のように上昇しています。
モバイルゲーム:約9兆664億円(前年比25.6%増)
PCゲーム:約3兆9,270億円(前年比6.2%増)
家庭用ゲーム:約5兆3,785億円(前年比21.0%増)
ですから、ゲーム業界の市場とともにゲームイラストレーターの需要は今後も高まると予想されます。
まとめ
ゲームイラストレーターの年収や実際にゲーム会社に入社するための道筋、必要なスキルを、フリーランスとして活躍する場合を含めて解説しました。
今後も拡大が予測されるゲーム市場。ゲームイラストレーターの人材は今以上に重宝されるでしょう。
この記事をご覧になった方がゲームイラストレーターの門をたたき、業界で活躍されることを願っております。