ゲーム会社への転職 | 年収とスキルアップのコツを解説
日本のゲーム業界は、世界から見ても一つの大きな文化として認知されています。
昨今はモバイルゲームの台頭により、業界としても大きな成長を遂げています。
そんなゲーム業界に転職を考えている方に向けて、ゲーム会社ではどれくらいの年収を得ることができるのかに加えて、年収アップにつながるコツを解説します。
ゲーム業界概要
ゲーム業界は、ファミリーコンピューターの時代から大きな市場でしたが、昨今はモバイル端末の普及により新たな販路を見出しています。
また、5G通信等の大容量通信技術の台頭により、ソフト面でも様々なスタイルでの製品開発が進められています。具体的にはVRやARなどの最先端技術を搭載した製品などです。
ゲーム内でスポーツを行い、順位を競い合う「eスポーツ」の人気拡大も業界の成長を大きく後押ししています。
ゲーム会社は大きく分けて、「ハードメーカー」と「ソフトメーカー」の二つに分かれています。
私たちが普段よく耳にする会社はハードメーカーであることが多く、具体的には任天堂、ソニー、Microsoftなどが挙げられます。
反対に、ソフトメーカーはあまり聞き馴染みのない会社も多く存在します。
両社が協力して製品開発を行うことで、私たちはゲームを楽しくプレイすることができています。
大手ハードメーカーでは社内でソフト開発部門を抱えていることが多いですが、ソフトメーカーがパブリッシャーとしてハードメーカーに販促を依頼するケースがあります。
ゲーム業界の今後の展望
ゲーム業界の世界規模は年々拡大傾向にあります。
特にモバイルゲームの成長が著しく、専用機器を持ち歩かずとも手持ちのスマートフォンでゲームをプレイできるところが大きな魅力の一つです。
ゲームの種類も、無課金でできる簡単なゲームから、課金を前提とした本格的なクオリティーのゲームまで様々です。
ゲーム製品は、大企業からスタートアップ企業まで、様々な企業がゲームアプリを開発しています。今後も競争の激化は激しくなり、より良い製品開発が進められると予想されています。
このようにゲーム業界は、新たな開発領域の拡大により、今後も成長が続くことを期待できる業界です。
世界ゲーム市場デバイス・セグメント別シェア|株式会社角川アスキー総合研究所 『グローバルゲーム マーケットレポート2021』より
ゲーム業界の年収
ゲーム業界の平均年収は約400~600万円と、一般的な会社の平均年収よりも若干高い金額で推移しています。
会社の規模や制作物の内容によっても異なりますが、中央値は約480万円ほどです。大手企業に就職できればさらに高い年収を獲得できる可能性が高まり、逆に小さな企業(スタートアップ企業など)に就職した場合は中央値を下回る可能性が高くなります。
ただしスタートアップ企業では年収が下がる代わりに、独自の福利厚生や手当が手厚い場合があり、一概にどちらが良いかを論ずることはできません。求人情報をよく確認した上で、自分に合う会社選びを行うことが大切です。
また、大企業では毎年支給される賞与も、スタートアップ企業では支給されない場合が多くあります。
さらに、企業規模だけでなく、職種によっても年収の開きがあります。
具体的にはゲーム開発を行う技術職よりも、プロデューサーやディレクターなどを目指す方が、より高い収入を獲得できる可能性が高くなります。
これは一般企業で例えると、プロデューサーやディレクターは部長や課長のように、プロジェクトをまとめる立場であるため、高年収であることは必然といえます。
加えて、ゲーム業界は実力主義のため、フリーランスで活躍できるほどの能力がある場合は、さらなるに年収アップが期待できます。
雇用形態による年収の違い
年収の開きは、雇用形態にも関係します。これはゲーム会社に限ったことではなく、一般企業でも同様のことが言えます。
ゲーム業界では、大きく分けて「正社員」「契約社員」「フリーランス」の3つの雇用形態があります。
前章で記述した通り、ゲーム業界は実力主義のため、フリーランスで活躍を目指す場合は技術力を磨くことで年収アップにつながります。
ただし、フリーランスで活躍するには、自身で仕事を見つけて応募する必要があります。加えて、必ずしも思い描いているように受注が実現せず、収入が安定しないデメリットがあります。
一方、仕事を多く獲得できた月は、会社に所属するよりも多くの報酬を得ることができます。
また、雇用形態には給与面のほかに、安定性の観点があることも忘れてはいけません。
正社員として勤務した場合は、安定した働き方を実現することができます。
反対に、契約社員やフリーランスとして勤務する場合は、プロジェクトごとの雇用等、短期間での雇用である場合が多いです。
プロジェクト終了に伴い、新しい案件を探さねばならないという「不安定性」を受け入れられるかが焦点になります。
これらを加味して、自身の価値観やライフスタイルに合わせて、適切な雇用形態を選択することが重要です。
ゲーム業界内での職種別年収一覧
本章では、ゲーム業界内での職種別年収をご紹介します。
ここで紹介する事例はあくまで一つのサンプルであり、雇用形態や企業規模、経験の有無やお持ちのスキルにより幅があることにご注意ください。
ゲームプランナー
ゲームプランナーは、その名の通りゲームの企画を主に担当します。また、ゲームの開発プロジェクトの進行役を勤めることも重要な役目です。
「ゲーム制作をプランニングする」観点から、企画書の作成と仕様書の作成はもちろんのこと、プロジェクトが最後まで円滑に進むよう、進行管理も行います。
さらに、ゲームのバグを見つけ出すデバッグなどの作業も担当します。
ゲームプランナーの平均的な年収は約500万円です。
ゲームディレクター
ゲームディレクターは、ゲーム制作の現場を統括し、管理する仕事です。
一般的な会社で言うならば、課長ポジションと例えるのが相応しく、最重要責任者であるゲームプロデューサーよりも一つ下の階級です。
ゲームディレクターは、プロジェクトに所属する各クリエイターたちの取りまとめ役に徹します。そのため、自身が開発の一部作業を担うことは基本的にありません。
勤務時間においても、各クリエイターが退勤後、残業して業務を行うことが比較的多いため、体力が必要な仕事です。
重要な役職であるゆえ、年収は約400~450万円と待遇の良い会社が多いです。
ゲームプロデューサー
ゲームプロデューサーは、ゲームのプロジェクト全体を総括する、最高責任者です。
ゲームディレクターと異なる点は、ゲームディレクターがプロジェクトの現場責任者であることに対し、ゲームプロデューサーはゲーム制作にかかわる全ての工程に対して指揮を取る点です。
ゲームプロデューサーの業務に加えて、全体を見渡す視野の広さが必要となってくるため、ゲームプロデューサーは、ゲームディレクターとして一定の経験を積んだのちに配属されることの多い職種です。
ゲームプロデューサーの平均年収は、約700万円前後と言われており、大企業になると年収1000万円オーバーを狙うこともできます。
未経験からゲームプロデューサーになることも可能ですが、プロジェクト管理やゲーム開発に関する基本的な知識やスキルが求められるため、専門学校などで学ぶことを推奨します。コミュニケーション能力やリーダーシップを発揮できることが重要です。
ただし、未経験からの場合の年収は約200万円〜と、やや寂しくなってしまう傾向にあります。
シナリオライター
シナリオライターは、ゲームのシナリオを作る(考える)仕事です。
ゲームのシナリオとなるストーリーや設定はもちろん、キャラクターの構成やゲームの仕組みを決定します。
シナリオライターは、比較的若い年齢の社員が担当することが多いため、他の職種と比べると平均年収は250~300万円とやや控えめです。
ゲームデザイナー
ゲームデザイナーは、キャラクターデザインや背景、登場するアイテムなどの、私たちがゲームをプレイする上で目にすることのある部分のデザインを行います。
ゲームの作品コンセプトによって、デザインするべきイラストの方向性が変わるため、あらゆるジャンルのイラストをスムーズに書きこなせる技術が必要です。
ゲームデザイナーの平均年収は、約450万円です。
日本全体の平均年収とほぼ同等と言えるでしょう。
サウンドクリエイター
サウンドクリエイターは、ゲーム内で登場する楽曲や効果音の制作を担当します。
ゲーム作品への臨場感や没入感を高めるための非常に重要な役職です。
ゲーム制作において「音」に関すること、例えばキャラクターに割り当てる声優の音声データの編集等は、基本的にサウンドクリエイターが担当しています。
サウンドクリエイターの平均年収は、約400万円と言われています。
エンジニア
エンジニアは、ゲーム開発の最も基本的な開発を担当します。
主に、ゲームのプログラミングが仕事内容のひとつです。
エンジニアは、企画段階で策定された仕様書をもとに開発を進めます。
ゲームを企画の通りに動かしたり、バグがなく安定した動きができるように、ゲームの骨組みとなる部分を作っていきます。そのため、高度な技術が求められます。
エンジニアの年収は、約180~550万円と大きな開きがあります。
また、休日の扱いも会社によっては他の職種と異なるため、十分に調査してから入社する会社を決めると良いと言えます。
年収アップにつながる資格
ゲーム会社では、基本的なコミュニケーション力や社会人としての基礎的なノウハウに加えて、職種に応じてエクストラな(追加)資格が求められる場合があります。
本章では、ゲームプランナー・デザイナー・エンジニアに絞り、具体的なおすすめの資格を紹介します。
ゲームプランナー
ゲームプランナーにおすすめの資格
- 基本情報技術者試験
- マルチメディア検定
- ITパスポート
ゲームプランナーは、先述の通りプロジェクトの進行役も大切な仕事のひとつです。そのため、プロジェクトに関わる様々な職種の基本的な作業内容と技術について知識を持っておく必要があります。
そのため、ゲーム開発の基幹となる「技術的」な資格を主に取得することがおすすめです。
3つ目に紹介したITパスポートは、取得が比較的容易な上、IT業界で働く上で高評価を得やすい資格なため、特におすすめです。
デザイナー
デザイナーにおすすめの資格
- Photoshopクリエイター能力認定試験
- Illustratorクリエイター能力認定試験
- CGクリエイター検定
- 色彩検定
デザイナーは様々なアプリケーション(ツール)を駆使して、ゲーム内に登場するグラフィック面をデザインします。
特にAdobe系の技術力は、デザイン面で必須条件とも言える重要分野であるため、Photoshopとillustratorの資格はマストと言えるでしょう。
また、ゲーム内でキャラクターを動かすなどのCG技術においても、CGクリエイター検定を取得することで企業に持っている技術をアピールすることができます。
さらに、ゲームでのイラスト作画は、制作しているゲーム作品によって雰囲気や世界観の演出の一環として、色彩や色のタッチを柔軟に使い分けることが求められます。
優れた色彩感覚を持っていることは、ゲーム開発においてとても大切なことです。
色彩検定では細かな色の違いや、配色などの知識が問われます。色彩検定に合格していれば、優れた色彩感覚とデザインスキルがあることを証明することができます。
エンジニア
エンジニアにおすすめの資格
- C言語プログラミング能力認定試験
- Unity認定技術者
ゲーム開発における開発言語は、主にC言語が利用されることが一般的です。そのため、C言語プログラミング能力認定試験の取得がおすすめです。
また、開発ツールであるUnityについての技術力を問う、Unity認定技術者の資格もおすすめします。この試験は比較的難易度が低いものの、基礎的な技術力を会社にアピールできることが魅力です。
スキルを積んでからのことを見越して、Unity認定プロフェッショナル試験へステップアップするための足がかりとしても良いでしょう。
まとめ
ゲーム会社は、会社規模の違いだけでなく、働き方も多種多様です。
また、単にゲーム会社と言えども、職種がたくさんあり、それぞれが力を併せて大きな一つの作品を作り上げています。
本記事では職種ごとに目安の年収額を紹介しましたが、フリーランスの場合は受注時期や雇用期間、職務経歴書を基にした自身のスキルレベルによって多少のズレが生じる場合があります。
これらを念頭に置いた上で、ゲーム業界への転職を検討してみると良いでしょう。
また、未経験や経験が浅い場合は、おすすめの資格で紹介した資格を取得してから、転職活動にトライすることも方法のひとつです。
本記事がゲーム業界の今後を支える皆さんの手助けとなれば幸いです。