VTuberに将来性はあるのか? 大手2社から読み取るVTuberの未来

VTuberに将来性はあるのか? 大手2社から読み取るVTuberの未来

VTuberに将来性はあるのか? 大手2社から読み取るVTuberの未来

VTuberには将来性があるのか。疑問に持つ人が多いでしょう。今回は「ホロライブ」「にじさんじ」の決算表から、VTuberの収入源やコラボレーションの内容を紹介し、将来VTuberが歩むであろう未来を予想します。

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  1. 1VTuber業界はどのようにして作られたのか VTuberの歴史を紐解く
  2. 1.1「ホロライブ」「にじさんじ」以外にも頭角を現す企業VTuberたち
  3. 2上場企業2社はどのような利益を得ているのか VTuberの利益元を調査
  4. 2.1グッズとプロモーション事業が好調
  5. 2.2企業とのタイアップ
  6. 2.3ホロライブのグッズはトレカ、にじさんじはユニットグッズが人気
  7. 3VTuber業界に将来性はあるのか? 海外進出とメタバースから見る
  8. 3.1海外進出好調な「ホロライブ」と再起を図りたい「にじさんじ」
  9. 3.2メタバースへの進出はVRChatが鍵? 企業VTuberたちの事例から未来を予測

VTuber業界はどのようにして作られたのか VTuberの歴史を紐解く

VTuber業界は2016年12月活動を開始したキズナアイさんが、きっかけとなり発展してきました。

アイさんから始まり、「VTuber四天王」、「VTuber切り抜き動画」など、さまざまなVTuber文化が産まれ拡散されたことによって、現在のVTuber業界ができました。

 

「VTuber四天王」の一人である、VTuber流行の初期から活動をしていた「バーチャルのじゃロリ狐娘Youtuberおじさん」こと、ねこますさんは、自分で3Dモデルを作り、企業に所属せず個人VTuberとして活動をしていました。

これにより、個人で活動するVTuberも増加。

さらに2018年には、いちから株式会社(現:ANYCOLOR株式会社)から「にじさんじ」の一期生がデビューし、3DモデルではなくLive2DでもVTuber活動ができることを示しました。

 

そして、2019年は個人Vが増加し、2021年には「ホロライブ」のカバー株式会社とANYCOLOR株式会社が上場企業に。

しかし、上記の2社以外の中小企業のVTuber事務所は、衰退や活動の縮小をされているのが現状です。

「ホロライブ」「にじさんじ」以外にも頭角を現す企業VTuberたち

上場企業ということや所属VTuberの人気もあり、「にじさんじ」「ホロライブ」が所属する2社が目立ちますが、それ以外にも企業所属のVTuberが業界で活躍しています。

たとえばeスポーツ特化で人気な株式会社バーチャルエンターテイメントが運営する「ぶいすぽっ!」、何でもありなおもしろさが人気の、株式会社viviONに所属する「あおぎり高校」などが頭角を現しています。

バーチャルエンターテイメントは、株式会社Brave groupの100%子会社株式会社viviONはBrave groupの提携パートナーです。

このように大手2社だけではなく、Brave groupもVTuber業界を盛り上げています。

 

また、プロのe スポーツチームを要する株式会社REJECTは、2023年9月からSTREAMER部門にVTuberが加入。

2024年12月現在、9名のVTuberが所属しています。

さらに、2024年9月にはプロゲーミングチーム「Crazy Raccoon」にも、VTuberが加入しました。

VTuber誕生初期には隔たれていたストリーマーとの壁がなくなり、VTuberが配信方法の1つとして世間から認められていることがわかります。

上場企業2社はどのような利益を得ているのか VTuberの利益元を調査

 VTuberを束ねる大手企業事務所では、どのように利益を得ているのでしょうか。

2021年に上場したANYCOLORとカバーの決算表から、その答えを導き出していきましょう。

グッズとプロモーション事業が好調

カバー株式会社(2025年3月期第2四半期決算説明の内容)

カバー株式会社(2025年3月期第2四半期決算説明の内容)
https://finance.logmi.jp/articles/380696

ANYCOLOR株式会社(2025年4月期第四半期決算)

ANYCOLOR株式会社(2025年4月期第四半期決算)
https://finance.logmi.jp/articles/380181

VTuber活動を思い浮かべると、やはり配信、投げ銭(スーパーチャットなど)が、売上として想像しやすいのではないでしょうか。

しかし、実際の売上は投げ銭ではなく、IP事業とグッズの方が多いです。

 

配信関連の売上は投げ銭やメンバーシップによって安定しているようですが、両社の一番高い売上は「マーチャンダイジング事業」と「コマース事業」。

つまり、どちらとも所属VTuberのグッズの売上が好調なようです。

 

次に注目すべきは、成長率の高い「ライセンス/タイアップ」「プロモーション」事業です。VTuber業界とは関係ない、大手企業などがタイアップをしており、VTuberという存在が世に広まっていることを示しています。

企業とのタイアップ

では、VTuberの企業タイアップとはどんなものがあるのでしょうか。

その一例をジャンルごとに紹介したいと思います。

【ゲームコラボ】

VTuberとゲームのコラボは、「配信でゲームをプレイするもの」、「ゲーム内に本人が参戦するもの」、「コラボグッズの販売が行われるもの」などが存在します。

配信でゲームをやる案件が比較的多いものの、大手企業の場合はコラボグッズや、ゲーム内に参戦することも。

今回はゲーム参戦とコラボグッズの形態を紹介します。

星街すいせい×デレステコラボ

星街すいせい×デレステコラボ
https://idolmaster-official.jp/news/01_11087

2015年からサービスが開始され、現在も多くのファンを持つアプリゲーム「アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ」では、「ホロライブ」の星街すいせいさんがコラボキャラとして登場。

3Dキャラとしても登場し、ゲームキャラクターと共に、3DMVでコラボ楽曲を披露しました。

にじさんじ×スト6コラボ カプくじオンライン

にじさんじ×スト6コラボ
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000004622.000013450.html

にじさんじは所属VTuberの多さを活かし、人気シリーズ「ストリートファイター6」とのオンラインコラボくじを2度販売しました。

ストリーマー界隈、VTuber界隈で人気な格闘ゲームかつ、所属VTuberもプレイしていることから、こちらのコラボにつながったのではないかと予想されます。

【お菓子】

VTuberのお菓子といえばどんなものを思い浮かべるでしょうか。

2019年には「VTuberチップス」という、企業・個人さまざまなVTuberのカードがついたお菓子が販売されました。

過去には「にじさんじ」「ホロライブ」の所属VTuberもおまけとして登場しましたが、現在は企業ごとにお菓子が販売されています。

ホロライブ ウエハース

ホロライブプロダクション ウエハース-hololive SUPER EXPO 2024 vol.2-
https://www.bandai.co.jp/candy/products/2024/4570117910968000.html

2022年にバンダイから発売された「ホロライブ ウエハース」は、通常衣装からイベント衣装とさまざまな種類のウエハースが販売されています。

ウエハース以外にもさまざまな種類のお菓子が同社から販売されています。

にじさんじマンチョコ

「にじさんじマンチョコ2」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002375.000002360.html

ロッテからは「ビックリマン」と「にじさんじ」がコラボした「にじさんじマンチョコ」が第2弾まで発売されています。

志摩スペイン村や箱根ガラスの森美術館とコラボ

  • 周防サンゴ×志摩スペイン村

周防サンゴ×志摩スペイン村

周防サンゴ×志摩スペイン村
https://www.parque-net.com/special/sango35339/

2023年に話題となったコラボが、志摩スペイン村と「にじさんじ」の周央サンゴさんとのコラボです。

サンゴさんは過去に、志摩スペイン村の素晴らしさを語った配信を2度行っており、その切り抜き動画が拡散。

深夜、X(旧:Twitter)で「志摩スペイン村」がトレンド1位になりました。

それを志摩スペイン村の社長が見ていたことが、コラボのきっかけになったようです。

周防サンゴ×壱百満天原サロメ×志摩スペイン村

周防サンゴ×壱百満天原サロメ×志摩スペイン村
https://www.parque-net.com/special/salomengo39/

2024年2月には、2回目のコラボが開催。

今回はサンゴさんと共に、壱百満天原(ひゃくまんてんばら)サロメさんがバーチャルアンバサダーになりました。

  • 儒烏風亭らでん×箱根ガラスの森美術館

箱根ガラスの森美術館では、音声ガイドのナレーターにホロライブの儒烏風亭(じゅうふうてい)らでんさんが起用されました。

らでんさんは美術に関する知識が豊富で、学芸員の資格を持っています。

配信で推し美術館として箱根ガラスの森美術館を紹介し、美術館側が紹介されたことをXで報告。

そこから美術館の公式アカウントが、らでんさんのYoutubeチャンネルのメンバーシップに入ったり、配信中のコメントに現れる姿が確認されていました。

そして、とうとう、特別企画展内で音声ガイドのコラボを果たしました。

ホロライブのグッズはトレカ、にじさんじはユニットグッズが人気

hololive OFFICIAL CARD GAME

hololive OFFICIAL CARD GAME スタートデッキ「ときのそら&AZKi」
https://shop.hololivepro.com/products/hololiveofficialcardgame_hsd01?_pos=10&_fid=a019bea03&_ss=c

話は戻り、「ホロライブ」「にじさんじ」の売上はグッズ販売が好調です。

ホロライブは自社企画TCG 「hololive OFFICIAL CARD GAME」を展開したことにより、販売経路と商品コンテンツの拡大をしたようです。

「NIJISANJI & NIJISANJI EN HEROES 1st Anniversary」

「NIJISANJI & NIJISANJI EN HEROES 1st Anniversary」グッズ
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000907.000030865.html

にじさんじは約1年前にデビューした「にじさんじ」「NIJISANJI EN」内の3ユニットHEROESの人気が拡大し、グッズの収益に貢献しました。

VTuber業界に将来性はあるのか? 海外進出とメタバースから見る

グッズ、タイアップで日本内のVTuberの将来性は高いです。

これからもお菓子やゲーム、さらには地方自治体とのコラボなども多く行われると予想できます。

 

将来性という点に関しては、「海外展開」や「メタバースへの進出」による効果が非常に高いので、この2つの事象を紹介していこうと思います。

海外進出好調な「ホロライブ」と再起を図りたい「にじさんじ」

ホロライブは海外展開がうまく、英語圏向けVTuberグループ「ホロライブEnglish」のメンバー増加とともにコンテンツ数とファンの総視聴時間が増加しています。

海外イベントはアメリカ、フランス、オーストラリア、韓国、中国などさまざまな場所で行われており、所属VTuberが出演しています。

 

カバー株式会社の決算説明会では、「第2四半期期間で実施したライブコンサートのうち、大きいものではニューヨークで実施した数千人規模の自社企画のライブコンサートがありました。そちらの現地チケットは発売当初に即日完買し、配信チケットの伸びも比較的好調でした。」と、CFOの金子氏が発言されていました。

 

また、「昨年度末に開示した海外売上比率25パーセント程度よりも、着実に高まっていると思います。」とも話されていました。

 

一方、海外売上が伸び悩むANYCORLは、「番組的音楽的な活動や、『にじさんじ』の音楽コンテンツやイベントの配信コンテンツなどに力を入れていく。」と決算説明会で報告していました。

参考:ANYCOLOR(2025年4月期第四半期決算)

https://finance.logmi.jp/articles/380181

カバー(2025年3月期第2四半期決算説明)

https://finance.logmi.jp/articles/380696

メタバースへの進出はVRChatが鍵? 企業VTuberたちの事例から未来を予測

現在、配信者界隈で盛り上がりをみせている「VRChat」配信。

今までは個人VTuberが行っていましたが、「VRChat」配信の盛り上がりを見て、企業に所属するVTuberも利用するようになりました。

ホロライブ所属の「火威青」さんは、ホロライブ内で初めてVRChat配信を行った人物です。

その際に、VRChatで行われる世界最大級のバーチャルベントのVket(バーチャルマーケット)で、自身のブースを出展したいと言っており、12月のVketでそれを実現。

企業ブースがあるワールドにブースを出展しました。

また、Vketの探索配信も行いました。

 

Vket開催初期には、大手企業のVTuberとのコラボブースが出展されるケースが多く見られましたが、最近はあまり見られませんでした。

 

しかし、青さんを皮切りに「ホロライブ」や「にじさんじ」など、さまざまな企業がVketに参加していくことが予想できます。

今後も、「VRChat」がVTuberのメタバース進出をを盛り上げることになるのではないでしょうか。

また、「VRChat」はアバターを利用するという点がVTuberと相性がよく、会社主催ではないものの、ストリーマーのスタンミさんが、天鬼(あまき)ぷるるさんの握手会を開催するという事例もありました。

 

このように、接触イベントをメタバースにすれば、アバターの持ち味を活かすことができ、イベント会場を確保する必要もないため、今後はVTuberのメタバースイベントが増えていくのではないでしょうか。

ホロアース 「ポーカールーム(β)」

【「ホロアース」Ver.0.12 アップデートのお知らせ】より
期間限定「ポーカールーム(β)」の写真
https://holoearth.com/releases/2530/

また、メタバースは「VRChat」だけではありません。

カバー株式会社は、独自のメタバース「ホロアース」を開発しています。

同社は、「メタバースにおいても、デジタルファッションのように、アバターの衣装などがビジネスモデルとして非常に大きくなると想定しています。」と発言されているため、「ホロライブ」だけではなく、「にじさんじ」もこのようなメタバース事業を起こすのではないかと予想できます。

メタバース分野でのVTuber活動の広がりには、今後も期待できそうです。

翠花
ライター

翠花

「翠花」と書いて「すいか」と読みます。 VTuberという存在は2018年に知り、そこから企業・個人と関係なく活動を見ています。 現在書いているVTuber記事は200本以上。主に個人勢の方を中心に記事を書かせていただいております。 プロフィールのイラストはPoさんに描いていただきました。

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