【ゲームプロデューサーを目指す学生がクリエイターにインタビュー】 小山さんの就職経験と流行りの落とし穴 小山順一朗#14

前回のまとめ
インディーゲームの数がかなり増えている中、企業のゲーム制作は大作主義となり新規IPを生み出し難い状況にある。
これからのゲーム業界でどうすれば良いか聞かれ、悩んでいると......
前回の発言
小山様(以下、小山と表記)「最初に自分が話した山一証券とかNECの話と重なると思いませんか?」
前回の最後にあった小山さんの発言。何によってこの言葉に繋がったのだろうか。
インタビューの自己紹介の中で、ナムコに入るまでの経緯を教えてくれた。
その中でのエピソードを紹介する。
バブル期に一流企業へと就職した友人
#1でも紹介した通り、小山さんがナムコに入社した頃はバブル期で、友人の多くが一流企業に入るという時代だった。その一流企業に就職した友人の話だ。
小山「1988年、1989年とかはバブル絶頂期と呼ばれておりまして、企業は学生がどうしても欲しいという売り手市場ってやつですね。」
小山「どこでもみんな選べるっていう状態です。なので、出版業界やアパレル業界、証券会社っていう大企業や一流企業に仲間は就職していきました。安心、安泰ということで。」
小山「光メディア業界はすごかったですね。CD-ROMが絶好調な時で、友達は大手メーカーに就職し、CDのピックアップの制御をやってました。」
*ピックアップとはCDの情報を読み取るために使われる光学部品
小山「光メディアは各社競争の中、CD-ROMからDVDへと大容量化していき、ブルーレイで決着しました。光メディアでの競争が終わり、新技術投入の必要が無くなったのです。そして、光ピックアップ技術がコモディティ化して、入社10年ほどで彼の事業部は海外企業に事業売却されてしまいました。」
小山「子供がまだ幼かった彼は海外企業の工場に行くことを断念し退職しました。30代半ばで彼は職を失ってしまったわけです。入社した時は想像もしていませんでした。むしろ自分の仕事と技術を誇りに思っていたんです。」
小山「ここまで聞いてどう思います?今一番流行っているところに就職することをどう思いますか?」
─── 前回、私が答えられなかった「ゲーム業界どうすればいいですか?」に対して、自分なりの答えがあるかどうかはここに繋がるのではないでしょうか。業界がどうなっていくのか、どうすれば良くなっていくかを回答できないまま流行っている企業へ就職しても、将来が安定しているわけではないという指摘だったのではないか。私はそのように受け取りました。
小山さんの選択を今で言うと?
一方で、ナムコへ就職するという小山さんの選択を現代風に例えると次のようになる。
小山「親戚からもやめなさいと、なんで一部上場企業入れるのに行かないでまだ上場もしてないわけのわからないナムコとかセガに行こうって言うんだ、ってすごい言われました。」
小山「福山さんが今俺VTuberになるわって言ってるようなもんですね。ちょっと前のにじさんじのライバーになりますとか言ってるようなもんです。」
*安定した選択ではないという意味
福山「何となく想像は付きます。それこそ2017,2018年ぐらいの頃のですか。」
小山「そうそう、ANYCOLORって会社になる前の頃に行きますって急に言うと、大丈夫かって言われそうでしょ。」
─── 小山さんの友人と小山さんのそれぞれの選択を比較して改めて考えると、就職時点では将来的な安定性を評価できないのではないかと思いました。どちらの選択であれ一定のリスクは存在するので、選択の良し悪しではなく、将来の自分が振り返った時に納得できる選択であったかが重要な気がします。
まとめ
全14回にわたって、長々とお付き合いいただきありがとうございました!
小山さんのインタビューを私なりに解釈した上で、記事としてお届けしてきました。
記事を読んで、皆さんなりの解釈を持ち、考える機会となれば良いなと考えています。
いつか、その考えたことが就職活動やキャリアに活きたのであれば嬉しいです。
では、最後に#14のまとめです。
小山さんは挑戦的な選択の結果、現在の成功までたどり着きましたが、この記事を通して伝えたいことは安定的に見える選択を取るなということではありません。
その選択をなぞるだけでは、#4で話に上がった「偉人伝のような自慢話」に感化されているだけになります。結果的に選択をなぞることになっても自分なりの考えを持ちましょう。
ということではないでしょうか。
インタビュー企画の今後について
今後もインタビュー企画は継続して行っていく予定です。
この企画では、偉人伝ではなくインタビューさせていただく方の手法や仕事への向き合い方など、皆さんの将来に活かせる内容をお届けしていきたいと思います。
引き続きよろしくお願いいたします。