【ゲームプロデューサーを目指す学生がクリエイターにインタビュー 】モノづくりの基本として、プロフェッショナルが多く存在することがゲーム業界において人材流動性が高い理由 木村雅人#4

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  1. 1転職が多くなる仕組み
  2. 2大手とそれ以外の会社に入ることについて
  3. 3インディーとの違い
  4. 4今回のお話をうけて

転職が多くなる仕組み

これまで、プロデューサーの仕事について伺う中で、人を集めることもその仕事の中に含まれるという話が何度かあった。他業種と比較すると、ゲーム業界は転職が多い業界と言うこともできるだろう。
転職が多くなる仕組みと、人を集める立場としての考えについて質問してみた。

木村様(以下、木村と表記)「これは一概に言うのが難しい話ですね。転職が多くなっている理由はいくつかあると思うんですけど、職種によっても結構違います。例えば、転職とか独立をしやすい職種で言うと、2Dアートやデザイナーでめちゃくちゃ上手い人とか、シナリオライターや楽曲のコンポーザーでスゴイ人とかなんですけど、なぜその人たちが転職しやすくて独立しやすいかっていうと、大きくは二つあって、まず一つ目は、本当にウデが有れば、自分のしたい仕事を選べる仕事だからです。そういう職種の人たちって転職しがち独立しがちな気がしますね。」

木村「自分のやりたい仕事だけを受けたいとか、自分の考える理想のやり方をしたいとかっていうのがあるから転職や独立をするんですけど、なぜ最初にその話をしたかっていうと、他の職種でも実は多かれ少なかれ同じような理由が絡んでいると思われるからなんですよ。」

木村「どの職種の人たちもデザイナーとして、モデラーとして、アニメーターやプランナーとして、それぞれに色々なテクニックとか才能を持っているわけで、っていうことは、ああが良いんじゃないかな?、こうが良いんじゃないかな?っていう考えや理想がある人たちなわけです。」

木村「そうすると、その理想みたいなものを求めて転職したくなるっていうのはすごくあるとは思います。しかも転職をしていくことでキャリアを上げていける職種もあるので、人にもよるとは思うんですけど、そういう何かを求めて転職するというのは皆さんあると思います。」

木村「また、ゲームの表現が進化していく中で、もう一つ出てきたのは技術的な、テクニカルな部分での欲求ですかね。この会社はテクニカルが弱いからとか、どこどこの会社はキャプチャースタジオ持っているとか、最先端のことをやっているからとか、いろんな理由があるんですけど、みんな何かしら技術的な、テクニカルな理想を求めて転職するっていうのも出て来ていると思います。」

木村「職種や仕事内容によって違うので色々なんですけど、みんな何らかのスペシャリストで作家なわけです。だから、一人の作家として、これに関わりたい、これを作りたいっていうものがある。」

木村「例えば、とにかくリアルなものを作りたいとか、○○というタイトルに関わりたい、みたいな感じで何か面白いモノ、良いモノを作って、表現したい人たちなわけなので、そういうモノを求めて転職していくケースが多くなっちゃう気がしています。」

福山「全体の仕組みとしては理解できました。一方で、集める側としては人が定着しないということにも繋がると思います。」

木村「そこはもう、すごく良し悪しで、動いてくれるからこそ良い人を集められるとも言えるし、でも良い人を集めても集めてもどこかに行ってしまう可能性があるとも言えるんです。集める側の人間として何ができるんだろう?っていうところで言うと、何かしらポリシーを持って開発とかチームを作っていくので、物作りをする人にとって面白いと感じられる何かがある場所作りをしていきたいと思っています。」

木村「なぜポリシーと言ったかというと、我々はゲーム開発スタジオとしてココを大事にしてますよって伝えられるものを持っていないと、「この開発スタジオ面白そうだ!」と思ってもらえないからです。」

木村「また、僕らは独立した開発会社なのでいろんな会社さんと仕事をしていくんですけど、お仕事をご一緒させてもらうときに僕ら自身もその仕事を面白いと思えるか、僕らのポリシーと繋がるところがあるかは、すごく注目しています。」

木村「そこにシンパシーを感じてくれた人に集まってほしいし、そのときに集まってくれるゲームクリエイターの皆が面白そうと思ってくれるような開発スタジオにしていきたいですね。」

大手とそれ以外の会社に入ることについて

福山「ゲーム業界に入るとなったとき、大手と中小のどちらでキャリアを始めるかという選択があると思います。また、木村さんの会社のように、会社ができて間もないという場合もあります。それぞれの選択としてどのように考えていますか。」

木村「どっちの場合も絶対的にメリットはあると思います。その上で共通して、これを目指すと良いと言えることがあるとするならば、自分の看板になるようなタイトルに関わることです。」

木村「だから、新卒として会社を選ぶときには、そこの会社がどんな作品を作っているのかっていうことで考えてみる。自分の看板になるタイトルに関われるかもっていうところで言うと、大手でも小規模中規模でも、もしかしたらインディーとかでもあり得るので、どっちでもいいとは思うんですけど、大手のメリットデメリットを言うと、確かに自分の好きなタイトルとか有名タイトルに関われる可能性もあるけど、いろんなタイトルを抱えているので、関われない可能性もある。」

木村「また、大手の場合でいうと仕事の細分化が進んでいるから、良くも悪くもスペシャリストになりがち。自分の関わるセクションのスペシャリストになりがちであってそれを良いととるか悪いと取るかは本人次第だと思います。あとは、シリーズタイトルに関わっちゃうと、そればっかり作ることになる可能性があるっていうのは人によってはデメリットであるかなと思いますね。」

木村「小規模や中規模の会社で言うと、これもプラスでもマイナスでもある部分なんですけど、少人数で色々なことを全部やらなきゃいけないので、ジェネラリストになりがち。それを良いとするか悪いとするかは、この場合も本人次第だと思います。『色々なことをやってみたいな。』っていう場合や、『色々できる器用なところが自分の売りなんです。』とかっていう人はそっちの方に行ってみるのも面白いと思う。職種を問わずに企画の頭から突っ込んで、とかができるのが小規模のいいところだと思う。」

木村「それぞれに良さや面白さがあるので、専門学校さんとかでお話させてもらうときにはスペシャリスト側にいきたいのか、ジェネラリスト側にいきたいのか。同じように行きたい会社があるのなら、どちらの良いところでもあり悪いところでもあるので、その辺りを考えてみたらどうでしょうっていう話はさせていただいたりしますね。」

インディーとの違い

福山「インディーにも少し触れていましたが、インディー的なスタイルと企業の違いはどういったところになるんでしょうか。」

木村「もうすごく簡単に言ったら、やっぱり作家性じゃないですかね。」

木村どれだけ自分をその作品に反映できるかな気がします。やっぱりいい意味でも悪い意味でも、少人数で作るときには、その人たちの作家性というスパイスをピリッと効かせないと、他に勝てないっていう部分がある。」

木村「そこが本当に良し悪しで、すごい尖っているけれど色々足りない、みたいな感じのゲームになっていくので、逆に言うとすごい特徴的で面白いところは、ものすごく伸ばすことができる。」

木村「普通は足りないところを足していかなきゃってどんどん丸くなってしまうのに対して、丸くないままユーザーに届けられるのが一番面白いし、少人数で作っているので、その人たちが本当に自分の作品として魂を込められる。」

木村「もちろん大人数の大規模な開発でもみんな魂を込めて作っているんですよ。でも、人数が少ないからそれがもっと濃く見えるし、伝わる。こういうのはインディーの良いところなのだと思います。」

福山「自分の看板となるタイトルという話で言えば、『俺このタイトルのここやったんだよ』みたいな話のときに、その濃度が高くなるっていうことにもなりますよね。」

木村「そうですね、特徴的で濃い作品は話題にもなり易いですし、そういった作品に携われるのはとても魅力的ですよね。」

今回のお話をうけて

前回の感想でも少し触れましたが、どこまで自分の理想を追い求めるのかが転職や独立に繋がっているんだろうなと思いますし、やりたいことの比重が大きくなりやすい業界だからこそ、そうなっているのでしょう。

そういう意味では、最初の一歩もかなり重要な要素になっていると思います。スペシャリストになりたいのか、ジェネラリストになりたいのか、その選択と本心、向き不向きのギャップの大小も転職の動機になることもあるかもしれないと思います。

そして、その選択や考えが、企業のポリシーや環境と一致するところを見つけられるといいのだろうと改めて思います。
 

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