元EVOチャンピオンが人種差別的なツイートの後、複数の格闘ゲームイベントから出入り禁止に - ガメモ
EVOで優勝経験のあるプロゲーマーが差別発言をして大会出場停止に。じつはこの人物は日本のトッププレイヤーと縁のある人物だった!?
アメリカから始まったブラック・ライブズ・マター運動は世界中に広まり、この騒動が沈静化するまでネット上で行われるはずだったゲームイベントも数多くが延期となっています。
そんな中、世界的な格闘ゲーム大会で優勝経験もあるプロゲーマー、ライアン "フィリピン・チャンプ "ラミレス氏がTwitterで「ブラック・ライブズ・マター」運動をバカにするような発言をして(現在は削除済み)、いくつかの格闘ゲーム大会から出場を禁止されることとなりました。
悪役キャラが本当のワルモノになってしまった
ラミレス氏は、格闘ゲーム界では常に悪役のポジションにいる人として知られており、全盛期には「ULTIMATE MARVEL VS. CAPCOM 3」の世界最高のプレイヤーのひとりとして、悪役を熱心に演じていました。
しかし、多くの人がキャラクターとして受け取っていた彼の言動が、実際の彼の人格だったということが、長年にわたる活動の中で知られてきました。
今回、格闘ゲーム大会で出場禁止処分を受けた発言は、ラミレス氏が「#WatermelonLivesMatter」というキャプションをつけてスイカの写真をツイートしたことです。
スイカは長い間、黒人に対する人種差別的な表現として使われてきました。その写真自体は問題はありませんが、ブラック・ライブズ・マター運動と絡めていることで、ラミレス氏がどのようなメッセージを送ろうとしていたのかは明らかです。
格闘ゲームコミュニティの多くがこのツイートに反発し、2つの主要なトーナメントである「East Coast Throwdown」と「Combo Breaker」では、すぐに今後のイベントへの参加が禁止されることになりました。
ラミレス氏はその後、煮え切らない内容の謝罪をしましたが、収束することはありませんでした。その後、カプコンは、カプコンプロツアーの行動規範に違反したとして、ラミレス氏を当面の間、イベントへの参加禁止とする声が高まっています。
— Capcom Fighters (@CapcomFighters) June 17, 2020
過去にラミレス氏による問題行動はたくさんありました。しかし何も処分されなかったのは、おそらく彼のトッププレーヤーとしての地位のためだと思われます。
そしてアメリカでは現在進行中の人種差別の問題に対して、様々なコミュニティの人たちが行動を始めました。
この行動は、もっと早く始めればよかったことですが、何もせずにいるよりかははるかにマシなタイミングだと思われます。
ラミレス氏はEVOの伝説の試合の対戦相手だった!
ライアン "フィリピン・チャンプ "ラミレス氏が、日本で知られるようになったのは2012年のEVOでの「ULTIMATE MARVEL VS. CAPCOM 3」のクソル氏との試合です。
ラミレス氏の対戦相手は日本のトッププレイヤーのひとりであるクソル氏。
彼はこのゲームのプレイヤーが誰も選ばなかった「ロケット・ラクーン、ビューティフルジョー、フランク・ウェスト」で世界チャンピオンクラスの選手との試合に臨んだことで、注目が集まりました。
ちなみにこの大会でクソル氏は「上尾ジョー」という名前でエントリーしていましたが、映像が写った瞬間に外国人の実況と解説から「こいつクソルじゃねぇか!」とバレてしまい、1回戦以降は「クソル」と呼ばれていました。
ここでこの試合が終了後も注目されたのはクソル氏が実戦投入した新戦術「DP殺すマン」の影響です。
「DP殺すマン」とは「ULTIMATE MARVEL VS. CAPCOM 3」で最強と呼ばれたキャラ、フェニックスをほぼ100%何もさせずに倒せる方法です。
フェニックスのLV5ハイパーコンボ『ダークフェニックス覚醒』が発動した瞬間に発生時無敵がある打撃投げで割って入ることで、ハイパーコンボが発生する前にフェニックスを倒せるというものです。フェニックスはダークフェニックスに覚醒することで、攻撃力と移動速度を急上昇させることが出来ます。なので、覚醒させずに倒すことが出来たらチームにフェニックスを入れる意味がなくなってしまいます。
これまでは打撃投げでハイアパーコンボに割って入れても、「偶然」で処理されていたことを練習でほぼ100%の成功率にあげ、そしてそれを世界が注目するEVOの舞台で当時最強と言われたプレイヤーを相手に決めたのですから、会場騒然。
試合は続いたものの会場、実況席、視聴者が「あれは何だったんだ」と大騒ぎとなりました。
その後は、他の対戦相手がクソル氏のこの新戦術に対応できず、普段使っていたフェニックスを使わないチームで試合に臨んだり、少しでも有利にフェニックスにつなげるためにペースを崩したりと気がつけば、クソル氏の優勝で幕を閉じました。
この大会の後、キャラクターのダイヤグラムが修正され、フェニックスは相変わらず最強でしたがブッチギリというわけではなくなりました。
ラミレス氏も参加したこの種目は、クソル氏が醤油の容器にコーラを入れて飲むパフォーマンスをしたり、自分へのブーイングなのに「もっとやれ」と煽ったり、英語が出来ないのに相手の作戦会議に聞き耳を立てたりとラミレス氏以上の悪役を演じていたので、日本ではそんなに彼の言動は問題になりませんでした。
しっかりと反省して帰ってきて欲しい
この新戦術「DP殺すマン」が世界に衝撃を与えたのも対戦相手が当時世界最強と言われたラミレス氏だったからです。できればラミレス氏にはしっかりとした謝罪をして、もう一度ゲーム大会に出場できるようになってほしいですね。