【Web3インタビュー】Web3への「水先案内人」 『PlayMining』の目指すWeb3エンタメの姿
『JobTribes』を生み出し、日本初のPlay to Earnを作ったDigital Entertainment Assetの山田氏。1時間の熱いインタビューの後半は、同社の運営する『PlayMining』が何を目指しているのかについてお話を伺いました。
Digital Entertainment Asset 山田耕三
戦略構築とコンテンツ事業、メディア事業統括を担当。
GameFiプラットフォーム事業『PlayMining』でのコンテンツ開発とNFT企画を手掛ける。
テレビ東京で15年間 音楽・バラエティ番組のプロデューサーを務めた経歴を持つ。
<ご経歴>
1977年、兵庫県西宮市に生まれる。東京大学法学部卒。
2002年、テレビ東京入社。制作局にてバラエティ番組を中心に様々な番組制作を担当。
2018年1月独立。株式会社つくりばを設立。テレビ/ネットにまたがるエンターテイメント全般のプロデュースを手掛ける。
2018年、吉田氏とともにDigital Entertainment Asset Pte. Ltd.を設立。
<公式HP>
Digital Entertainment Asset様 公式HP
https://dea.sg/jp/
PlayMining 公式HP
https://playmining.com/
JobTribes 公式HP
https://jobtribes.playmining.com/
エンタメ事業をWeb3化する水先案内人『PlayMining』
「僕らはエンターテイメント事業者として、Web2エンタメっていうものからWeb3エンタメっていうのに人々を導いていくっていう責務を負っています。」と語るのは、Digital Entertainment Asset(以下DEA社)の山田CEOです。
山田「今起きていることというのは、(Web2の壁の)外にWeb3の出た人たちが『Decentral最高』『Defi最高』『Dao最高』『分散すれば、スケーラビリティ上がるし、資本も集まってくるし、最高だみんな来い!』と言うんですけど、今のところめっちゃ増えてきたとはいえ、(Web3の人口は)80億人のうちの2億人です。ほとんどの人が、(Web2の)壁の中にいて、パブリック怖いんですよ。これは、的外れな精神論ではなくて、本当に怖いんですよ。」
「Web2の壁の外は怖い」
Web3の世界に飛び出すということは、国家やGAFAが管理する「壁の中」から飛び出すことです。
それは一見自由に見えますが、管理者を失うということは「壁の中」の秩序を保っていた存在を失うということでもあります。
山田「外に出た地点で、弱肉強食。スキャム(詐欺)も横行するし、結局ユーザーは誰にも『責任取ってくれ』とは言えないんですね。なので、怖いのは怖い。そこで僕らが登場します。」
山田「(Web2とWeb3の間に)外なんだけど緩衝地帯。この範疇は僕らが責任を取ります。と」
山田「まずぼくらが、安心して責任とれるよって言っている範囲にweb2側の人を連れ出す。」
DEA社が提供する『PlayMining』というGameFiプラットフォーム内では、代表作『JobTribes』を始めとしたゲームを通じて、いわゆるPlay to Earnを体験することができます。
こういった、Web2では決してできなかったWeb3的な体験を、Web2の壁の中にいた人に安心して体験してもらうことができる。
例えるなら、Web2の壁から出てきて歩き出した人に『こっちが楽しいよ』『こっちのほうが安全だよ』と道を示す、水先案内人のように。
衝撃的に簡単?!『PlayMining』の始め方
ーーー私も実際に『PlayMining』ないしは『JobTribes』で遊んでいますが、メールアドレスだけで始められる簡単さに衝撃を受けました。
山田「吉田も僕も、マス向けのコンシューマービジネスをやっていたので。当時(2018年)のブロックチェーンゲームは、どれもこれも、最初に(暗号資産の)ウォレットを作って、暗号資産入れて、NFT買ってからスタートする。」
山田「できる訳ないやろうと。」
山田「でも、当時そういう発想を持ったエンターテイメント事業者は居なかった。だから、メールアドレスだけで始められるブロックチェーンを作ろうよっていうアイディアは、(今となっては)普通と思うかもしれませんが、普通じゃなかった。ポジショニングは非常にユニークだと思います。」
こちら、実際の『PlayMining』の新規登録画面です。
私も初め驚きましたが、本当にメールアドレスしか入力欄がありません。本当です。
そして、実際のログインもメールアドレスのみで行います。
この驚きのお手軽さは、ユーザー目線で見た『PlayMining』の大きな強みだと、私は思います。
サードパーティーと共に作る『Cookin' Burger』と『麺屋 ドラゴンラーメン』
ーーー6月以降にリリースを予定している作品についてもお伺いさせてください。
ーーー新作のうち2作は、サードパーティーの企業様が作っているという認識です。
『Cookin' Burger』
※サードパーティーとして参入する「株式会社バーガースタジオ」が開発・提供するタイトルとなります。
『麺屋 ドラゴンラーメン』
※サードパーティーとして参入する「株式会社フライペンギン」が開発・提供するタイトルとなります。
ーーーサードパーティーの企業さんの持ち込み、という形になるのでしょうか?
山田「いわゆるサードパーティーさんが乗り込んでくる、という形では当面作れないと思っています。日々経済圏のトレンドもアップデートされていきますし、そのへんのことを僕らは、膝を突き合わせて一緒に作っていく、という感じですね。」
ーーー今後、サードパーティーとして『PlayMining』というプラットフォームに参入する企業さんは増やしていく予定でしょうか?
山田「勿論です。プラットフォームですから。ただ、ブランディングとしては、比較的選んでやっていきます。いわゆるUGC(ユーザーが作るコンテンツ)でなんでもあげられるような場所には、まだまだならない。将来的にはなりますけども。」
「膝を突き合わせて一緒に作っていく」というスタンスのDEA社。
というのも、いわゆる Play to Earn は、仮想通貨やトークンの知識とセットになります。
同社は2018年より、ゼロからゲームを作り、いわゆる「経済圏」を作り、ユーザーがPlay to Earnを体感できる域にまで作ってきました。
そして、元祖「Play to Earn」であります。かの有名な『Axie Infinity』よりもサービスの開始は早いそうです。
だからこそ、これから『PlayMining』を通じてゼロからブロックチェーンゲームにチャレンジする企業に効果的なアドバイスができるのかもしれません。
今までゲームに触れてこなかった人にこそプレイしてほしい
また、山田氏は、膝を突き合わせて一緒にゲームを作っていきたいと思っている理由として、既存のゲームユーザーとはターゲットにしているユーザー層が異なることを挙げています。
ーーーいわゆる、普通の「ゲーム会社」さんが想定しているお客さんとは毛並みが違うということでしょうか?
山田「そうですね。我々実は、既存ゲームユーザーはむしろ相手にしていなくて、一番狙いたいのは、今までゲームに触れてこなかった人たち。それがどれぐらいいるかっていうと、人類80億人いるうちの50億人。」
ーーー圧倒的に「ゲームに触れていない」人の方が多いのですね。
山田「まぁ(ゲームに触れていないのは)いろんな理由があるんでしょうけど、そっちの方たちが何故やらないのかっていうと、食わず嫌いしてると思っています。触ったら絶対どれか好きになる。」
山田氏は語る。
あらゆるエンターテイメントコンテンツは、いずれ頭打ちを迎えます。
それは何故かというと、インターネットの普及により、自分の好きなコンテンツを自由に選べるようになったことが関係しています。
好きなコンテンツを自由に選べる半面、「私の好きなもの」を軸に「私はこれが好きなんだ」とクラスター化、固定化してしまいます。
そしてコンテンツの作り手の方も、マーケティングをするときに「〇〇が好きな人」という集団を探し、そこにアドシステム等で広告を打つことで広めていくという手法を取ります。
山田「例えばカードバトルゲームをマーケティングしようっていうときに、マーケットを調べようとしたら、(カードバトルゲームを)やってるユーザーを見つけて、そこに対して効果的にアドシステムで広告を打つ訳ですよ、そうすると、外に広まる要素が全くないんですね。」
ーーー「好きなものにしか出会えなくなる」ということですね。
山田「そこはかなり問題意識を感じてまして。」
山田「エンターテイメントって、本質はそういうもんじゃないと。」
山田「つまり仕方なくやったもんでもいくらでも好きになれる。だから、もう、人生の充実のためにもどんどんやった方がいいというのが僕の感覚です。」
僕だって、昔はお茶の間にあったテレビで「おじいちゃんが見たいから」という理由で時代劇を仕方なく見ていたけど、見たらどこかしらは好きになりました。
つまりは、そういうことなのだと思います。
今は見たくないものは見なくても良い。
これはエンターテイメントにとっては得ではありません。
Play to Earnはエンターテイメントを広げる可能性を持つ
山田「これ(エンターテイメントの固定化)、最初の最初の問題意識であります。ここを解決したい。」
山田「Play to Earnはそこに対してとてもいいのですよ。JobTribesなんかも、(やった人は)みんなに勧める。今までは絶対自分がはまった恋愛小説を、例えばおねえちゃんに勧めるとか、おじいちゃんに勧めるとか、そんなことありえなかった。」
山田「(ゲームという)コンテンツにお金っていう要素がついているがゆえに別に恥ずかしくもなく、『これ儲かるよ』ってやることができる。いろんなコンテンツに気さくに触れることができる。そういうのって多分クセになるんですよね。」
ーーーお金という要素がつくことで、今まで触ってこなかったコンテンツに触る機会が増えると。
山田「食わず嫌いしてたけど、やってみたら面白かった。じゃあこっちも面白いかもしれない。っていうのはすごい大事で。これ自体が、そのエンターテイメントマーケット全体を大きくすると思いますし、クリエイターもいろんなものを作れるようになる。」
山田「今までって、映画とかもそうですけど、リブートとか『続編』じゃないと売れないという状態になってきた場合、クリエーションがどうしても狭まっちゃう。」
山田「ある人が急に思いついた圧倒的な世界みたいなものには、出資が集まらないんです。」
山田「でも、これからは新しいのが出ても、(Play to Earnの拡散力があれば)一定程度の人が相関して、客が付く可能性があるんだとすると、クリエイターは遠慮なく物を出せるし、結局みんなハッピーになる。」
ーーークリエイターの自由な創造が、より加速する可能性があるんですね。
山田氏の取材を通じて、「Play to Earn」は単に「ゲームで遊ぶとお金が入ってくる」というだけではない、ということを感じました。
「お金」という強烈なインセンティブで、今までは打ち破れなかった強固な「好きなコンテンツの壁」を打ち破り、今までゲームに触れてこなかった人、そのコンテンツに興味のなかった人にも、ゲームやコンテンツを体験してもらうことができる。
そして、それ自体がエンターテイメントの市場規模を拡大していくことができる。
俯瞰してみると、単に「お金が入ってくることが新しい」以上の、新しいクリエイティブを加速する、大きな可能性があるということを感じました。
クリエイターが新しいチャレンジをするにあたって、大きなチャンスです。
<次回:PlayMiningで提供する看板ゲーム『JobTribes』を紹介いたします!>
※2020年地点のデータです