HIKKY の新ソリューション「unlink(アンリンク)」とメタバースの未来
メタバースとは、元々はバーチャル空間上でたくさんのユーザーがコミュニケーションをとるツールの名称を指していました。
しかしながら最近は、一種のバズワードになっており、あらゆる事業者が参入し、「メタバース」という言葉にたくさんの要素が入り混じっている状態になっています。
そんな中、株式会社HIKKYは、2022年11月29日に初の記者会見を行い、CEOの舟越様自ら「HIKKYの描くメタバースの未来」を提示しました。
次のメタバースは「リアル」と「バーチャル」の融合
舟越「これは明確に伝えたいのですが、次のメタバースは、リアルとバーチャルの融合によって、未来が見えます。」
舟越「まず、当社はパラリアルワールドプロジェクトを推し進めております。全世界の都市を100ヶ所、メタバース化していこうというプロジェクトです。」
舟越「これは(リアルにある都市をバーチャルの再現することで)リアルとバーチャルを組み合わせて価値創出をしていくというプロジェクトでもあります。」
パラリアルワールドプロジェクトとは?
HIKKYの提唱する”パラリアル”とは、「パラレルワールド(並行世界)」+「リアル(現実世界)」を合わせた造語で、リアルとメタバースに並行して存在することを指します。
パラリアルワールドプロジェクトでは、現実世界に実在する都市をメタバース上の都市として解釈し直すことで、現実の良さとメタバースならではの表現を両立させ、新たな都市をデザインします。
“誰もが自由に解釈し、自由に利用できるパラリアル都市”の実現に向けて、今後は世界100都市のメタバース化を目指し、「オープンメタバース」の場で提供する構想です。
パラリアル渋谷
バーチャルマーケット2021の企業会場としてオープン。
一歩足を踏み入れると、現実世界の渋谷を精巧に再現した街並みが光と共に広がります。
現実世界の天候に合わせて変わる空模様、来場者が増えれば増えるほど伸びるビル、現実の渋谷とメタバースの渋谷、2つの街の情報がポップアップで浮かび上がる“空間タイムライン”など、現実とバーチャルがリンクするパラリアルな街を表現いたしました。
パラリアル秋葉原
Comic Vket2の会場として制作後、バーチャルマーケット2021の企業会場としてグランドオープン。
秋葉原駅東口から電気街、末広町方面までの範囲をバーチャル空間で精巧に再現。
VR空間内でARを体験するギミックや巨大なキャラクターの設置、電気街全体が虹色に輝くステージになる等、現実の街では実現が難しい演出を多数採用しました。
Vket cloudの実力
舟越「また、サービスの提供の仕方、手段も今日二つ用意しています。」
舟越「一つは皆さんがよく注目していただいてる、ヘッドセットをかぶって、リッチなVR体験を提供するというもの。」
舟越「もう一つは、スマートフォンのクリック一つでメタバースの中に入っていけるサービスを提供しています。」
舟越「後者はVket Cloud(ブイケットクラウド)といって、HIKKYで独自開発しているエンジンです。これをクリエイターさんや、企業さんに提供して、クリエイターさん・企業さん達が自らメタバース空間を作っていけるようにしています。」
Sony「mocopi」との連携
舟越「『都市をバーチャル化する』という構想は、言うのは簡単ですし、実際に(HIKKY以外にも)そういったケースもあります。」
舟越「そして、HIKKYもパラリアルワールドプロジェクトの一環として、メタバースの中にバーチャルの都市を作っています。東京の渋谷と秋葉原、大阪、ニューヨーク、沖縄。そして今回のバーチャルマーケットで名古屋、札幌、パリをメタバース上に作ってきました。」
舟越「これらの場所にはたくさんの人が集まります。パラリアルの街を作って終わりの世界じゃない。とにかく人がたくさん来ます。これがバーチャルマーケットです。私たちはそれだけの実績を積んでいます。」
舟越「また、このパラリアルワールドプロジェクトにおいて、様々な企業様と協力してきました。」
舟越「まだメタバースという言葉がない時代に、日本で初めて都市をVR化するのに成功したケースだと思います。また、実際に人が来て、たくさん遊んでくれたという成功事例はこれが初めてだったと思います。」
舟越「何が言いたいかというと、このパラリアルワールドプロジェクトの展開によって、(企業様の中にもメタバースでの展開に)成功するケースが出ています。このように、我々は(パラリアルワールドプロジェクトのような)リアルとバーチャルの境界線を削っていくような、埋めていくようなことやっています。」
舟越「そしてこのタイミングで、一気にここ(リアルとバーチャルの溝)を進めようと思っています。その第一弾として、ある企業の新製品との連携を発表します。」
舟越「こちらは、ソニー様から発売されるモバイルモーションキャプチャー『mocopi』という新製品です。今日の弊社の発表会に合わせて同時発表されました。ソニー様は今回のバーチャルマーケットにも出展され、この商品を紹介されています。」
舟越「これまでメタバースをVRで遊ぶ時に、動きをつけて遊びたい場合はモーションキャプチャーを実施するために複雑な環境を用意する必要がありました。」
舟越「例えば赤外線のセンサーをつけたり、様々な準備が必要です。ですが、今回のmocopiやVket Cloudを使うと、そういった動きをつけた遊びも簡単に表現できます」
HIKKYの新ソリューション「unlink(アンリンク)」とは?
舟越「そして、HIKKYは、ソニー様との連携を皮切りに、リアルとメタバースとを繋ぐ新しいソリューションサービスを提供します。それが『次元を超えて遊ぼう』をコンセプトにした『unlink』というサービスです。」
舟越「mocopiを使えば、複雑なセンサーを使うことなくモーションデータを取ることができます。」
舟越「そして、そのデータをスマートフォンで動くVket Cloudで作られたメタバースの中に送れば、リアルな動きがシームレスに反映され、アバターを自由自在に動かすことができる。」
舟越「機材が少なく、とってもコンパクト、そしてあらゆる汎用性を生み出すものとなっています。Vket Cloudエンジンとmocopiは組み合わせることで、野外でも使用可能となります。」
舟越「VR環境は、非常にいろいろなものを整えなきゃいけません。それがスマホ1つと、mocopiを用意して、Vket Cloudに入れて連携することで、家の外に持ち出して野外でも遊ぶことができます。」
舟越「これがどういうことを指すかというと、仮に、野外ライブをしたとします。ARグラスなどの、いろんなサービスが連携したライブ会場があるとしましょう。」
舟越「そうすると、そこにバーチャル空間上からお友達が来て会うことができます。一緒にスマホで写メを撮って、ネットに投稿するなどの遊び方もできます。」
舟越「要するに、メタバースとシームレスに繋がることによって、外に行って友達と会って話す体験がそのままできるようになるということなんです。」
舟越「すごく汎用性が高くて、今までできなかったことができるようになります。例えば、メタバース上での接客などは、実は環境をつくるのが大変なんです。店員さんがお店にいながらメタバース接客することなどは、今までの技術ではできませんでした。
これが、unlinkの環境下ではできるようになります。取り入れやすく実用的になったサービスです。」
舟越「ここに書いてありますように、Vket Cloudという我々のサービスが、unlinkという統合ソリューションに変わりまして、そこに、今回の第1弾としてmocopiがあります。今後も様々なデバイスと連携する予定です。」
舟越「HIKKYは、バーチャルマーケットやクリエイティブの価値創出をこれまで行ってまいりました。パラリアルワールドプロジェクトという、リアルも巻き込んだメタバースも作りました。」
舟越「次は、unlinkを繋ぎ合わせて、リアルだけ、バーチャルだけじゃない、本当の意味で繋がったメタバースを作っていきます。」
舟越「今まで僕らは『メタバースが最高だから、来てください』と言っていました。これからは、僕らがリアルで何かをして、メタバース空間上の人たちを呼び込みます。」
「unlink」の多様な可能性
―――記者会見お疲れさまでした。
―――unlinkについてですが、今後はどのようなユースケースを想定して展開してゆくのでしょうか?
舟越「まず、イベントで使っていきます。2023年の夏、バーチャルマーケットとリアルバーチャルマーケッ トを、オタクの聖地である秋葉原で同時開催を予定しています。」
舟越「あとは、ビジネスシーン、働く人の世界でも活用できると思います。昨今リモートの会議が当たり前になってきたと思いますが『リアルで会議している時にはできたけど、リモートだとできなくなった』ことって、たくさんあると思います。
例えば、隣に座っている人に自分の手元の資料を見せながら『ここはね…』と話す行為。こういったことは、リモート参加で『画面の中』に居る人にはできない。
また、リアルで会議している人もリモートの人に気を使って『〇〇さんはいかがですか?』と、必要以上につい話しかけすぎてしまうシーンなどもあると思います。」
―――その点、unlinkとmocopiを使えば『バーチャルの人』も『リアル』の世界に呼び出すことができるので、よりスムーズなコミュニケーションができる可能性がありますね。
―――HIKKY様のwebサイトに「アバターの参加者」と「リアルの参加者」が混在した、会議室での集合写真が掲載されていたと思います。
―――あの写真のように、バーチャルに居ようがリアルに居ようが、同じ空間を共有できるようになると、色々なことができるのですね。
クリエイターへのリスペクトが原動力
舟越「あとはやはり、クリエイターの皆様の声をしっかり聴いていきたいです。」
舟越「当社は『Creative Revolution』をミッションに掲げ、クリエイターの皆様との関わりを大事に活動してきた歴史があります。」
舟越「やっぱりコンテンツを作るのはクリエイターの皆様なので、大切にしていきたい。その声を踏まえて、最適な使い方、最適な提案を世に打ち出していけたらと考えています。」
―――HIKKY様は非常にクリエイターファーストな発想をお持ちの企業様だと私は思います。
―――御社のクリエイターファーストな発想の原点についてお伺いしたいです。
舟越「私自身、クリエイターへの強い憧れがありました。ですが、クリエイターの道を断念したという過去があります。それは、才能や、根気や、タイミングや、出会いなど、色々な要素があったのですが、事実として断念しました。」
舟越「ですがやっぱり私の中に、クリエイターへの憧れは残っていて、自分が事業をする時には、そういったクリエイティブな要素があることをやりたいと思うようになりました。」
舟越「ものを作ることって、すごく手間がかかる、大変なことだと思うんです。クリエイターはその大変なことを成し遂げている人たちなので、そういう意味でもリスペクトしています。」
―――舟越様のクリエイターへのリスペクトが非常によく伝わりました。
舟越「この世界には多くの人がいますが、そのみんながクリエイティブを始めたら、これは本当に世界が変わると思っています。」
舟越「そして当社は、クリエイターの皆様や企業の皆様の力を借りつつ、当社の描く未来に『いいな、すごいな、たのしそうだな』と思ってくれた人たちを巻き込んで、自分たちごと、皆様の方(リアル)へ向かおうと思ってます。今後ともどうぞお願いいたします。」
―――お忙しい中お時間いただき、ありがとうございました。
株式会社HIKKY 2022年11月29日 記者会見資料より引用