イベントレポート|NFTを活用したいビジネス担当者必見!真に価値あるNFT施策とその実現方法とは?
Web3、NFTというワードが一種のバズワードになる一方で、NFTのビジネス活用には「暗号資産の購入やウォレットの導入など、技術的なハードルが高い」という問題や、「価値あるユーザー体験につなげられるイメージがわかない」という問題がつきものです。
1月18日に開催した本セミナーでは、第一線で活躍するNFT界のトップランナー、SBINFT様の知見と、暗号資産交換業者のSBI VCトレード様、ゲーミフィケーションのプロフェッショナルであるセガ エックスディー(以下、セガXD)様の知見から、こうした問題の解決の手段について語られました。ゲーミフィケーションは、実は非常に多くのNFTプロジェクトにおいて、コミュニティマネジメント等で積極的に取り入れられている手法でもあります。
また、現在進行形のNFT活用事例や、数年後のweb3などをテーマにパネルディスカッションを行い、会場の皆様にも考えていただけるような内容になっておりました。
本記事では、その一端をご紹介させていただきます!
ご登壇者様
高 長徳
SBINFT株式会社 代表取締役
GMOグループ、Yahoo!JAPAN、 ドリコムやモブキャストなどでプロデューサーやプラットフォーム 事業責任者などに従事。
2018年よりブロックチェーン領域でプラットフォーム事業を展開。
2021年4月、NFTマーケットプレイス「nanakusa」 をリリース、同年9月にSBIグループにジョインし、 SBINFT株式会社代表取締役に就任。
2022年3月、NFTマーケットプレイス「SBINFT Market」としてリブランディングリリース。
【著書】
「NFTの教科書」(2021年10月初版、共著)
「NFT1.0→2.0」(2022年6月初版、共著)
株式会社セガ エックスディー
SBINFT株式会社
SBI VCトレード株式会社
SBI VCトレードは、国内最大級のインターネット総合金融グループとしての総合力を生かし、暗号資産におけるフルラインナップサービスを提供してまいります。また、デジタルアセットの中心である暗号資産を使った、革新的なサービス・ビジネス創出するイノベーターとして、顧客中心主義に基づく健全な市場の創造・育成を目指し、価格改善、顧客満足度の更なる向上に努めていきます。
SBINFT|NFTの価格の変動とNFTの種類について
当イベントは、冒頭の基調講演として、SBINFT・SBI VCトレードからはNFTや暗号資産の価格の変動と要因、そしてNFTのユースケースについてプレゼンテーションから始まりました。
NFT市場の振り返り
SBINFT 高(以下、高)「まずはSBINFTから、NFTマーケットの市況レポートをお伝えさせていただきます。直近、この2年からその最新まで、いくつか事例とともにピックアップしてきましたのでお話させていただきます。」
高「まず過去2年のトレンドです。こちら右の縦の棒グラフ、右上にありますのが各マーケットプレイスの取引トランザクションパスです。色分けされており、2021年1月から、8月末頃までグラフが上がってきています。」
高「例えば、2021年の7月・8月で価格が上がっていますが、この辺でちょうどVISAが『Crypto Punks』を購入したというようなニュースがありました。あとは、GameFiという言葉を生んだ『Axie Infinity』、これが出てきたあたりもちょうど2021年8月ぐらいでした。」
高「その年の8月をピークに若干下がってきていますが、年末から年明けの2022年1月にかけてまた大きく上がってきています。ここで出てきたNFTプロジェクトが、『Clone X』や『Azuki』という、有名な『ブルーチップ』と呼ばれるNFTの仲間です。あとは元々一番有名である『BAYC』という猿のNFTを著名な方が購入したことによって、また売上のトランザクションが出ているという形です。」
高「話は進みまして、今年に入ってからのお話。実は日本のNFTは12月に若干下がりましたが、去年8月からすごく伸びてきているというのが大きな特徴となっています。」
高「要因はいくつかあります。例えば、去年(2021年)の11月に何があったかというと、『Crypto Ninja』というNFTプロジェクトが発表され、発表から価格を伸ばしています。『Aopanda Party』や村上隆さん関連のNFTなど、11月はそういったことが反映されたグラフだったんです。12月になると、また村上さんのNFTが出てきたり、相変わらず『Crypto Ninja』関連のNFTが伸びてきます。また新たな日本のプロジェクトがたくさん出てきていて、先ほどのようなグラフで売り上げが伸び、トレンドになってきているというのが見てとれます。」
高「これ(前図)は主な上位のNFTの発行ボリューム・金額が高いところを赤くしています。例えば『Murakami Flower Seed』というのが48,000ETH。『Murakami Flower Official』が20,000ETH、合わせてもう60,000ETH位の取引量を出していたりします。あとは、先ほどご紹介した『Crypto Ninja』関連。」
高「これらが、なぜプロジェクトとして安定して注目を集められているのか、主な要因として日本のNFTの全体の性質が関係してきています。海外では転売して儲けているというところがありますが、日本の方はコレクターの意識が強いので、買ったものをなかなか2次流通に回せないという国民性があります。」
高「そのような国民性により日本のNFTが安定して注目を集めている、という仮説ではありますが、そうした要因により高騰しているとみています。」
高「これも仮説にはなりますが、例えば『Azuki』などの海外発のアニメのコレクションでも、絵の作者には日本の方々も実はたくさんいらっしゃいます。そういった事象が海外でも認知され始めており、日本のNFTが段々盛り上がってきています。」
NFTの「7つのユーティリティ」
高「次にNFTの種類というものですが、これは日々新しいものが生まれていますし代表的な活用例なども出ています。複合したNFTなどもあり、ユーティリティ性のあるコレクティブだけではなくチケットとして使えるNFTなどが、最近出てきてますけれども。大きく分けて7つの区分に分けられると思います。」
高「例えば証明書ですね、こちらはSBTというNFTの新しい規格で注目されています。他人に送ることや売ることができないNFTなので、ウォレットから取り出せないという部分をうまく活用し、自分自身のウォレットへSBTとして発行することで、自分の経歴や活動文章・学歴などに使われると言われてます。」
高「また、ドメインNFT。『ENS』というサービスが有名ではありますが、URLのドメインのようにウォレットアドレスに名前を付けたりできます。また、証券系のNFTなどに利用されるユースケースが増えてきています。」
高「例えば、こちらは千葉工業大学が発行している、先ほどのSBTという売買が不可能なNFTです。これを活用して学習履歴証明書NFTという卒業証書みたいなイメージで使われます。こういったものを発行したというニュースにもなっています。」
SBI Web3ウォレット|企業のNFT進出の鍵
高「最後に、NFTを広げる前にどういった課題があるかを、事業者と利用者側で分けて説明し、新しくSBINFTでリリースするプロダクトの話をしたのちに、私共のパートは終了とさせていただきます。まずは、NFTを広げるにあたっての障壁は上記以外にもたくさんあるとは思いますが、こちらは内容的な課題になります。」
高「まず事業者に関して、どうやって扱うかわからないという問題があります。自社にIPがあったり、製品プロダクトがあるが、それをNFTとしてどう活用してやればいいのかよくわからない、というような課題があります。」
高「そもそも、ボラティリティの激しい暗号資産を取り扱うには、まだ難しい・厳しいという、事業者側の課題もあります。利用者も、ウォレットというものが必要になっていまして、これもよくわかりません。あとは、会社の課題も一緒で、個人として価値が増減する暗号資産を扱って、資産が目減りしていくグラフを見てしまうと『わからない』や『怖い』というような感情的な課題も声としてあります。」
高「これらのNFTの課題で、本日お集まりいただいた皆様は、主にビジネス側・事業者側の視点で来ていただいている方が多数かと思います。いざNFTをやろうとしたときに、一歩を踏み出せないといった考えをお持ちの方もいらっしゃるかと思います。」
高「そこで課題を解決するサービスとして、SBIグループ入りしたSBINFTの『TOKEN CONNECT』とSBI VCトレードの『SBI Web3ウォレット』というそれぞれのサービスを用いることで、NFTへの進出をお手伝いできるのではないかということで、本日ご紹介させていただきます。」
高「『TOKEN CONNECT』はNFTへの事業化に対して、マーケットプレイスの機能や、NFTを発行する機能、その他税務・税金の話まで含めて、トータル的にサポートコンサルティングをするというサービスです。」
高「実際に自社のドメインで、NFTマーケットプレイスを運営したいというような声もあり、事例としても何社かで提供を進めているところでございます。ぜひご興味があれば、お問い合わせいただければと思います。」
SBI VCトレード 近藤(以下、近藤)「SBI VCトレードの方の『SBI Web3ウォレット』については、プロダクトのご紹介というよりは、実際のフローをご覧いただきたいと思い、図を書かせていただいております。」
近藤「左側が事業者でNFT販売したい側です。右側が一般のユーザーで、NFTをご購入いただく側といった形です。両方があって初めてNFTの売買が成立いたします。先ほどの課題の通り、事業者側もNFTを販売した後に、暗号資産を受け取り、さらにそれを円にしないと売上にはなりません。ユーザーの方もウォレットと暗号資産を用意するのは、どうしていいかわからないという課題がありました。」
近藤「左右にVCトレードのロゴがありますが、事業者と一般ユーザーのそれぞれにお手伝いできるといったところになります。真ん中の売買をされる場所は、『SBINFT Market』となっております。またホームページにも公開させていただきますが、実際に購入時と企業が売却販売するときのフローの比較をしています。」
近藤「グレーが現在での一般的なフローになっておりまして、青い方が今回『SBI Web3ウォレット』を使った場合のフローとなっております。割愛させていただきますが、いままでは購入時に、一般の利用者が購入される際も、端末等のウォレットを用意して暗号資産を準備してからマーケットプレイスで買う、といったようなステップでした。」
近藤「『SBI Web3ウォレット』ですと、VCトレードの方に暗号資産の口座を作っていただいて、日本円の入金していただくと、もうそれでマーケットプレイスでNFTを購入できるという形になります。具体的には、購入時に自動で対象の暗号資産を買って、そのままNFTとの暗号資産交換に当てます。全て自動でさせていただく、というのが今回のプロダクトになります。」
近藤「右側が販売時のフロー、つまり事業者側のイメージです。こちらもかなりステップが長くなっております。販売の際もウォレットを用意して販売となりますが、ガス代と呼ばれる暗号資産を移動する際に支払う必要がある費用があります。ガス代の分のウォレットを調達し、その上でNFTを発行します。売れた後にも、暗号資産を受領してから、日本円に交換することで円が会社に入り、ようやくNFTの収益になるというフローになっています。」
近藤「こちらも発行時のガス代を、当社が負担することで簡単に発行いただけるような形になります。法人口座を開設し、NFTを出品し、売れたら日本円が入ってくるという形になります。このような形でフローを簡素化し、直接日本円が企業の方に入ってくるといったようなフローを実現しております。こういった形で、企業の皆様に負担をかけずにNFTビジネスに入っていただけます。そうした環境をご用意したいという思いから、このプロダクトを作成しました。」
近藤「以上で最後になります。今までのご紹介は、SBIグループのソリューションを各市場に対して活用して、既存サービスに様々な新しい体験を提供することで市場の拡大を目指していく、というところで本日ご説明させていただきました。以上になります。ご清聴ありがとうございました。」
SBI VCトレード株式会社|SBINFT株式会社
NFTとゲーミフィケーションの関係
基調講演の後半には、セガ エックスディー様からNFTの体験とゲーミフィケーションの関係について、プレゼンテーションがありました。
NFTがもたらす「体験価値」
セガXD 野尻(以下、野尻)「SBI様からは市場の概況と事業者の方々がNFTに参入する上での物理的な制約をどう解消するかというハード面のお話をいただきました。当社からは、NFTがユーザーの体験に着目して価値ある体験をどう提供できるかというソフト面のお話をします。」
谷 英高
株式会社セガ エックスディー 代表取締役社長執行役員CEO
株式会社セガにエンジニアとして新卒入社。
ソーシャルゲーム事業立ち上げではリードエンジニアとして従事し、後に新規事業立ち上げの開発責任者として複数の新規事業の開発を管掌。スマートフォンゲームの分析基盤の構築・クラウド導入を始めとした社内DXを推進。
2016年より株式会社セガエックスディー(旧クロシードデジタル株式会社)にて従事し、現職。
マーケティングソリューション事業とマンガソリューションの事業責任者を兼務。