リサーチと分析のプロ集団 ゲームギルドLGGのコンサルティング|Web3インタビュー
LGGは「挑戦する大人を増やす」ことをミッションにしたNFTゲームギルドです。NFTゲームの普及を通じて、世界の貧困と雇用問題の解決を目指す一方で、『素晴らしいプロダクト』を生むためのコンサルティング事業にも携わっています。今回はコンサルティング担当の川口様と、コミュニティ担当のクスマ様にお話しを伺い、ゲームギルドがチャレンジする『コンサルティング』についてお話を伺いました。
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- 0.1Marketing Director 川口 美樹
- 0.2Lead Community Designer クスマ素子
- 1LGGがコンサルティング事業をはじめたきっかけ
- 1.1当時から作成していたデータレポートが的中
- 2LGGのコンサルティングの事業内容について
- 2.1マーケット情報の共有・トークノミクス(ゲーム経済圏)開発支援
- 2.2Web3マーケティング支援
- 2.3Discordコミュニティ構築支援
- 2.4Discordの構築で大切にしている事
- 3企業と具体的にどのようなコミュニケーションを取って協業するか
- 3.1どういった企業が相談に来るのか
- 4『初期に貢献してくれた人に報酬』を渡せるWeb3
- 5LGGリンク
Marketing Director 川口 美樹
Lead Community Designer クスマ素子
グリー株式会社でのモバイルゲームPM、リクルート派遣事業での企画系Webディレクターなど、Webディレクターとしてのキャリアを経験後、独立。
Web3領域で”挑戦する大人を増やす”ミッションに共感し、2021年よりLCA GAME GUILDに参画。
コミュニティデザイン領域でDiscord構築コンサルティング支援を担当。
英語圏の人々とゲームが大好きだった子供時代。
1990年代にインターネット(Web2)の普及で、MMORPGを通して「地球の裏側にいる海外の人とコミュニケーションできた」感動を今でも覚えています。
2020年代のWeb3では、「大好きな事をしまくったら、心も経済も豊かになれた」そんな感動を、多くの人に届ける一員となります!
LGGがコンサルティング事業をはじめたきっかけ
――本日はよろしくおねがいいたします。
――LGG様といえば世界に名だたるゲームギルド様ですが、Web3コンサルティングとは距離感があるように感じます。
――どういった経緯があって今のコンサルティングに至ったのかをお伺いしたいです。
川口「代表の細金が、Digital Entertainment Asset(DEA社)へ出資したことを最初のきっかけに、同社の看板ゲームであるJob Tribesの応援のためにLGGを設立しました。」
川口「JobTribesをきっかけに、ゲームギルド事業に参入したあとは、スカラーシップを活用したゲームエコシステムの支援を行っていましたが、スカラーシップは設計によってGameFiのエコシステム的にあまり優位性がなく、逆にプロダクトにとって致命的なダメージを与えてしまう部分もありました。」
――「稼ぐ」という点のみにフォーカスしていったら、ゲームタイトルは長続きしないであろうという予測ですね。
川口「なので『スカラーシップのモデルではない貢献の仕方』を模索した方がいいのではないかということで、まず(いわゆるギルド事業ではない)ビジネスモデルを変える前提がありました。」
当時から作成していたデータレポートが的中
川口「それとは別に、当時から(JobTribes以外にも)色々なプロダクトに取り組んでおり、例えばSTEPNのデータなども詳細にとっていました。オンチェーンのデータだけではなく、オフチェーン上のデータも細かくとっていて、それがエコノミクスをどう成立させるかという切り口で、ユーザーさん向けのレポートを毎週定期で出していました」
――お噂はかねがね聞いております。現在は「永久保存版」として貴社リサーチサイトに掲載されているのを拝見しております。
川口「創業者の2人がプロダクト作り、マーケティングやエコシステムの方でどういう施策を打ってきて、それがうまくいったのがいかなかったのか、トークンの価格にどう影響したのかしなかったのかなど、毎週出してきたレポートの総まとめを記事にしたのがそれですね。」
川口「当時、私たちはオンチェーン上でのトランザクションデータを毎日取得するとともに、オフチェーン上でSTEPNの内部データを収集していました。具体的には、どのくらいの靴が販売されたのか、どの価格で売れたのか、トークンの価格はどのように変動しているのか、またトークンのホルダー数はいくつあるのか、といった情報を長期間にわたって収集していました。」
川口「それをレポートにまとめて、Web3の経済圏がどのように構成されているか、STEPNがどのような施策を実施しているか、そしてその結果はどうなっているかを、毎週報告していました。これにより、『経済圏は、今のところは大丈夫だけど、危ないシグナル出ているから気をつけてね』といった情報を、ユーザーに提供することができました。」
――過去のデータをもとにユーザーさん向けの「予測」を立てることに成功したことは、貴社のリサーチ能力の高さを感じます。
川口「ありがとうございます。実際に私たちが「そろそろやばい」とレポートで報告した翌日に、バイナンスの経済圏(BNBチェーンの経済圏)が崩れたので、私たちにも注目が集まりました。」
川口「結果として「トークンエコノミクス・数値分析の知見がある」という私たちの強みを評価いただき、コンサルティングの領域に進出しました。」
川口「実際、弊社のBtoB向けのレポートサイトを作っていますが、当時のSTEPNで何が起きたのかを時系列で全部まとめた記事が有料ですがあります。」
川口「それでわりと名前を知っていただき、そういったところで、コンサルティングの方向での可知の方に振ったという形ですね。」
――「情報の蓄積・リサーチ」という最大の財産を非常に感じさせていただきました。
――そもそものお話ですが、LGG様が『データを取ろう』と意思決定したのは、ユーザーさんにとってNFTゲームを、一番いい形で遊ぶために始めたという認識です。
川口「そうですね。プラスで私たちとしてもプロダクトに投資をしていたので、そこのデータが生命線になっていた、という側面もあります。 」
――LGG様のイメージが変わりました。単なるゲームギルドではなく、自分たちでトランザクションを見て自分たちで集めた情報で、いわゆるエコノミクス経済圏分析のプロがいらっしゃる組織なのですね。
LGGのコンサルティングの事業内容について
――具体的なコンサルティングサービスの内容についてもお伺いしていきたいと思います。
――第一に、マーケット情報の共有とありますが、これは世の中に出回っているWeb3の情報をリサーチャーの皆さんが集めて提供されている、といった形でしょうか?
マーケット情報の共有・トークノミクス(ゲーム経済圏)開発支援
川口「その点に関しては、今まさに我々の方で作っているツールがあります。」
川口「これはGameFiのマーケットに絞った話ですが、プロダクトのNFTのホルダー数、Twitterのフォロワー数、トークンの時価総額、それらの情報をトークンの銘柄ベースで収集しています。」
――Web3プロダクトで重要になってくる指標をすべて調査するツールを開発しているのですね。
川口「はい。どういうプロダクトが伸びているのかを確認したり、Web3のインフルエンサーを我々の方でピックアップして、彼らが直近で何をつぶやいてるのかを、ハッシュタグとキャッシュタグを見て、盛り上がってきているプロダクトを見つけます。」
川口「そうして得た情報をもとに先ほどのレポートを、様々なタイトルでやっています。主にトークノミクスの観点から分析して、いくつかレポートを出させていただき情報共有して進めています。」
――まさに「ゲーム」と「トークン経済圏」に注力したリサーチサービスなのですね。『これを見ておけばすべてが分かる』という印象を持ちました。
Web3マーケティング支援
――第二のサービスである、Web3のマーケティングについてもお話を伺えればと思います。
川口「Web3のマーケティングに関しては、まず前提として『今までの正攻法が通じなくなってきている』という点があります。Web2世界では、広告予算が何億とあって、それをテレビCM、Twitterの広告に運用、イベントのキャンペーン、そういった割り振りをしていると思います。ですが今は広告も規制されているし、実際テレビCMを打てるかというと打てません。仮に打てたとしても、ブロックチェーンゲームならではというところが訴求できないCMをやる意味はあるのか?と思うので、一般的なマーケティングとは違うものやらなければいけません。」
川口「その中で我々は、マス向けのマーケティングではない『地上戦』を重視しています。いわゆるパブリッシャーさんとLGGが二人三脚になり、上流の設計から連携し、LGGが強みとするところを組み合わせて、丁寧にユーザーを獲得していく手法を地道に行っています。」
――そもそもマーケティングの発想が異なるという点が非常によくわかりました。
Discordコミュニティ構築支援
――次に、Discordのコミュニティ構築支援について、どういったお取り組みをされているのかお伺いしたくおもいます。
クスマ「そこは、コミュニティ関係を担当している私から。Discordについては、コンサルティング支援の一環としてやらせていただいています。マーケティングの支援をする中で、Web3とコミュニティビルディングは必ずセットになってくると思っています。」
――そうお考えの理由はどういったところでしょうか?
クスマ「まず、Web3は仮想通貨などを取り扱っているため、ユーザーの心理的なサポートをWeb2以上に手厚く行う必要があります。様々なプロダクトで評判が一気に悪くなり、Twitterなどが荒れてしまい、プロダクト自体が嫌われて閉じてしまうケースが多いため、それは避けなくてはなりません。」
――NFTの売却もトークンの売却も簡単に行えるWeb3の世界だからこそ、ユーザーのリテンションを高めることは重要なのですね。
クスマ「そういう文化が強い中で、Discordは、Web3で最もサポートやコミュニティビルディングがしやすいツールであり、我々はコンサルティング支援の一環として、その運用を行っています。」
Discordの構築で大切にしている事
――Discordコミュニティがなぜ重要なのかが非常によくわかりました。
――LGG様がコミュニティ運営にあたって大事にしていることなどはありますでしょうか?
クスマ「(一番大切なことは)プロダクトを応援してもらうために、ユーザーさんに期待してもらうことが大事だということです。」
クスマ「例えば、Discordのローンチ前にTwitter等で『プロジェクトに早期から参加しているといいことがある』という情報を発信し、プロダクトに参加したい気持ちを醸成していきます。そして、Discordがオープンした後も、モデレーターに限らずユーザーひとりひとりが、ヘビーなものからライトなものまで『コミュニティに貢献できる』ポイントを置いていってあげることで『自分でもできる、自分でもやりたい』と思えるような体験を一つ二つではなく、たくさん置いていくことが大事だと思います。」
クスマ「また、単純にコミュニティなので、いかに期待値を持った形でDiscordの熱量を高めたり、熱量をキープしていけるかみたいなところも意識して作っています。」
クスマ「Web3ならではの「得する」チャンスとして、ギブアウェイやコミュニティに積極的に貢献してくれた人々を運営側がピックアップし、一緒にプロダクトを作っていくことが挙げられます。これにより、従来の単なるユーザーだった人々が、運営側に携わって貢献をしていくことで、プロダクトの体験をさらに向上させることができます。」
――いちユーザーだった人が運営側にまわる。いわゆる「体験価値」の創造ですね。
――そういったご経験をされた方のインタビューも、以前させていただきました。
川口「STEPNが上手だったのは、運営を手伝ってくれるコミュニティメンバーに支払われる報酬が少なかったにもかかわらず。代わりに、NFTやGMTのサプライズエアドロップが行われ、そこで報酬をもらえる仕組みがありましたね。」
川口「STEPNは『Move to Earn』という画期的なモデルと、『(歩くことで)健康になろう』というメッセージ、『(歩くことで車の使用が減るので)脱炭素のカーボンオフセット』の取り組みなど、ミッションとビジョンで引っ張っていたのが印象的です。」
川口「初期では、毎週決まった時間にCEOとCTOがやってきて、Discord上でAMAをひたすらやるっていうのをずっとやっていました。そういった運営の近さと誠実さでファンをひきつけていくスタイルでした。」
川口「そういった経営をしていく中で、後にGMTが上場したときに今までありがとうみたいな感じで初期貢献してくれた人たちにGMTを配っていました。基本的にはDAOなので、先に貢献して、後で貰うというスタンスです。」
――会社員で言うところの『ボーナス』にあたると感じました。
企業と具体的にどのようなコミュニケーションを取って協業するか
――LGG様のコンサルを受ける時、LGG様とクライアント様はどういった関わり方をされるのでしょうか?
川口「基本的にはプロジェクトの初期立ち上げぐらいのタイミングから入り、企画の段階からゲームデザインとエコノミクスの関係のアドバイスをしています。またプロダクトができる前からDiscordの設計や、プロダクトリリースに向けた準備を逆算してマーケティングを行っていきます。本当にプロダクトリリースの1年前とか、早くても半年前から入ります。」
――かなり上流の工程からお入りになるのですね。
川口「そうですね。その辺の準備を一緒にやり、一緒に成功へ向けて仲間になるみたいな関わり方をしていることがほとんどですね。」
――非常にゲームギルド様らしい関わり方だと思います。コンサルティングによくある『アドバイスして終わり』のスタンスではないというのを感じました。
どういった企業が相談に来るのか
――企業様からの依頼にはいろいろなステータスがあると思います。
――現在リサーチ中、やるかどうかわからない、やることは決まってるけど何をしようか悩んでいる、やることは決まっててもう走りはじめて失敗できない、やったけどうまくいかない、そういった様々なステータスがあると思います。
川口「我々の顧客になる企業様は、ゲームリリースもそもそもしていない会社さんがすごく多いですね。各企業様は、STEPNの失敗を見て、こういうことに気をつけなきゃいけないんだなと思い始めているフェーズなんです。」
川口「ゲームデザインをしているときに、トークンの消費ポイントと供給ポイントをどこに置くとエコノミクス的に安全なのかという目線もありますが、安全牌を取り過ぎてもユーザー体験としては面白くありません。」
川口「そもそもトークンの需要を生み出すためのマーケティングもセットになります。プロダクト開発とマーケティングを切り離さず、セットでコミュニティ構築があります。コミュニティが強いとトークンの買い圧も強くなります。全体を見た中でどうするか、というところですかね。」
――ありがとうございます。いわゆる『トークンを絡めたプロダクトをやりたいけど、自社だけで行うのはちょっと怖い』と感じている企業さんに特に強みがあるのですね。
――先ほどのレポートがLGG様のトークノミクス分析の実力を物語っていると思います。
『初期に貢献してくれた人に報酬』を渡せるWeb3
川口「LGGがWeb3に感じている可能性の1つの側面として、トークンインセンティブという考え方があります。Web3は分散化がテーマだと思います。これまでの資本主義では、資本は一極集中するというモデルでした。」
川口「例えば、今いわゆる「Web2」の世界でご活躍された方がWeb3への参入を表明しています。その方はインタビューの中で『なんでWeb3に入ったんですか』という質問に対して『自分は大成功して2000億円で売れたけど、初期にいろいろ問題があったとき支えてくれたユーザーさんや初期から頑張ってくれた社員さんに還元できたかって言われるとできてない』とおっしゃっていました。」
川口「結局、資本家と株主創業者しか勝てないモデルというのが今の株式会社のモデルになってきていて、格差社会の問題を生んでいます。労働者が資本家を超えることがない、トップの富豪8人で世界の半分の資産を持っていると言われています。でもトークンであれば、初期に支えてくれた人に、GMTのエアドロップでは15円から400円ぐらいまで一気に上がったので人によってはアンバサダーになっていたことで1000万とかいった人もいると思います。そういう初期に頑張ってプロジェクトを信じて応援してくれた人に返せるモデルがWeb3だと実現できます。」
川口「元々LGGを作る前から発想としてあったのが、挑戦する大人を増やしたいという思いです。挑戦する大人を増やすときに、どうして一歩踏み出せないのだろうかというと、お金の問題や、時間の問題、今の会社員で働くというモデルの限界がありました。税金は上がるし、給与は上がらない中でどうやって挑戦しようと思えるかというと、やはりプロダクトに初期から貢献をして、大きくなったときにきちんとしたリターンがあるという事だと思います。」
川口「より良いプロダクト、トークインセンティブがちゃんと機能するということが、挑戦をする大人を増やすことにつながり、新しいことにチャレンジするという選択肢を持たせることができるんじゃないかと思ってやっています。」
クスマ「今までのWeb2ゲームだと、ゲームを楽しんで、そこで終わっていました。悪い言い方をすれば、時間の流れによって経済的な利益がなくなってしまうということです。ブロックチェーンゲームの技術を使うことで、楽しんでゲームを応援しまくった結果、それが経済にも少しながら跳ね返ってきます。楽しい思いをすればするほど、ゲームが好きなら好きなほど、そういった形で自分の経済にも跳ね返ってくる、そういった世界を築いていけたら良いと本気で思って作っているっていうのが肌で感じています。」
クスマ「私自身もゲームが好きで、1ファンとしてやっていた中でものすごくワクワクしています。そういったマスアダプションがまだないですけれども、クリプトが投資がというユーザーしかいない中で、本当に好きだから、本当にこのプロダクト運営したいから、そういう気持ちや貢献によって、良いスパイラルになって、そのゲームがプロダクト成功し経済に跳ね返ってくる、そういう世界観を築ける可能性があるのがWeb3です。」
クスマ「そういったもので私もすごく共感してこの事業にワクワクして参画させていただいています。LGGが新しい体験や世界観を増やしていけるっていうのを信じてやっている部分もあるので、そういった意義や意味があるのかなと思っています。」
――本日はお時間いただき、誠にありがとうございました。
俳優を引退したのち恋愛コラムニストとして活動。
恋愛・婚活メディア『LoveBook』の編集長を務め、
恋愛の専門家として書籍の出版やTV出演もしている。
2019年よりLCA GAME GUILDに参画。
立ち上げ当初からギルド運営の中心を担ってきた知見とメディア領域での経験を活かし、
現在は企業様のマーケティング支援を担当している。