【ゲーム業界用語集】LOD(Level of Detail)とは|意味や解説
ゲーム業界用語の中で意味がわからない専門用語などはありませんか?
この記事では、高品質な3Dゲームをユーザーに快適にプレイしてもらうために欠かせない、開発技術手法の「LOD(Level of Detail)」について詳しく解説します。
LOD(Level of Detail)とは|定義
LOD(Level of Detail)は直訳すると「詳細度」となります。
ゲーム開発においては特に3Dモデルやオブジェクトの詳細度を調整する手法です。
遠くから見た時には簡素なモデルを使用し、近くで見た時にはより詳細なモデルを表示することで、ビジュアル品質を維持しながらパフォーマンスを最適化できます。
LOD(Level of Detail)とは|解説
広大なマップのゲームをプレイしたことがあれば、リアルなキャラクターや建物から遠ざかったり近づいたりしたときに、その形が切り替わる瞬間を見たことがあるかもしれません。
それこそがLODによるモデルの詳細度の切り替えです。
LODの仕組み
LODの仕組みはシンプルです。
オブジェクトがカメラに近い場合ポリゴン数を増やし(ハイポリゴン)、オブジェクトがカメラから遠くにある場合はポリゴン数を減らします(ローポリゴン)。
このアプローチにより、遠くから見た場合でもビジュアル品質を維持できます。
実際の例を紹介します。
下記はゲーム開発エンジン「Unreal Engine」の公式ラーニングページから引用した、壁の3Dモデリング画像です。
壁から近い位置にカメラがあると、画像一番左側のポリゴン数で表示されます。
カメラが離れるにつれ徐々に右の画像へと遷移していき、ポリゴン数が減少します。
最終的に一番右の画像のように表示されます。
なぜLODが必要なのか?
LODは、ゲーム、3Dアニメーション、仮想現実(VR)など、コンピューターグラフィックスが必要とされるさまざまな分野で使用されています。
ビジュアル品質を犠牲にせず、コンピュータの処理負荷を軽減することで、ゲームやアプリケーションの動作を滑らかにし、作品への没入感を大幅に高めます。
メリット・デメリット
ゲーム開発においては恩恵の大きいLODですが、デメリットもあります。
メリットとデメリット、両方の面から解説します。
メリット
以下はLODを使用するメリットです。
パフォーマンス向上
プラットフォームへの負荷が軽減されることで、滑らかなフレームレートや高速なゲームプレイが実現できます。
リソースの節約
ハードウェアリソース(CPU、GPU、メモリ)を節約できます。
モバイルデバイスや低性能なコンピュータ、前世代のゲームコンソール機向けに開発を行う場合は、LODの実装は重要です。
バッテリー持ち
スマートフォンや携帯ゲームデバイスなどのバッテリー駆動型デバイスでは、負荷の軽減によりバッテリー持ちを延ばすことができます。
通信量の削減
オンラインゲームやアプリの場合、LODを使用することでネットワーク通信のデータ転送量を削減できます。
デメリット
以下はLODを使用するデメリットです。
実装が難しい
LODの適切な実装と調整は、専門的なスキルと時間を必要とする場合があり、経験の少ない開発者には敷居が高いことがあります。
データ管理が複雑化する
同じオブジェクトの3Dモデルでも、複数のモデルやテクスチャを管理する必要があるので、プロジェクトの複雑性が増すことがあります。
ビジュアル切り替え時の違和感
ゲーム中、オブジェクトに近づいたり離れる際に、モデルが突然切り変わることがあります。
これが違和感のある形だと、ユーザーの没入感が軽減される恐れがあります。