メタバース市場、今後はどうなる?! 大手3社が語る未来予想図|REALITY XR cloud 春山様、KDDI 矢島様、cluster 亀谷様

2022年には一世を風靡したバズワード、メタバース。数多くの企業がメタバース領域に取り組んだ一方で、成功した事例もあれば、徹底に至った事例もあります。メタバース領域は今、過渡期にあると言えるでしょう。
そんな中、メタバース領域に取り組み、成功事例を作り続けるKDDI株式会社・クラスタ―株式会社・REALITY XR cloud 株式会社の大手3社様が集まり、各社の事例やメタバースの現状・そして未来について語るパネルディスカッションを行いました。
本記事では、当該パネルディスカッションの一部をレポートしていきます。
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- 1登壇者、各社詳細
- 1.1REALITY XR cloud 株式会社|春山様
- 1.2KDDI株式会社|矢島様
- 1.3クラスター株式会社|亀谷様
- 2メタバースの活用事例
- 2.1KDDI|幅広い人脈を活用したBtoB支援&メタバース構築
- 2.2Cluster|クリエイターを巻き込んだ体験型メタバース
- 2.3REALITY XR cloud|リアルを拡張させるメタバースの造営
- 3メタバース市場における各社の見解
- 3.1KDDI|toB向けサービスからtoCへ繋げる
- 3.2Cluster|次世代がメタバースビジネスの根幹を担う
- 3.3Cluster|立体的なデータを活かしたマーケティング支援
- 3.4REALITY XR cloud|メタバースは着実に浸透している
- 4メタバース大手3社の今後
- 4.1REALITY XR cloud|横断的・低予算のメタバース事業支援
- 4.2Cluster|ユーザー・企業を巻き込んだメタバースの共創
- 4.3KDDI|メタバースの可能性を広げ、現実世界へ拡張する
- 5公式リンク
登壇者、各社詳細
REALITY XR cloud 春山様(以下、春山と表記)「これより3社の対談セミナーを開催します。テーマは『メタバース利活用を支えるプラットフォーム』です。よろしくお願いします。」
KDDI 矢島様(以下、矢島と表記)「KDDIの矢島です。よろしくお願いします。」
Cluster 亀谷様(以下、亀谷と表記)「クラスタ―株式会社の亀谷です。弊社はメタバースプラットフォーム『cluster』を運営しております。」
春山「最後に私は春山と申します。REALITY XR cloud株式会社という、グリー株式会社のメタバース事業を担う子会社に所属しております。メタバースのBtoB事業を行っており、3社ともメタバース領域にプラットフォーマーとして参入しております。」
REALITY XR cloud 株式会社|春山様
KDDI株式会社|矢島様
クラスター株式会社|亀谷様
メタバースの活用事例
春山「今回のテーマは『メタバースの利活用』ということで、まずは各社様の事例のご紹介から始めたいと思います。」
春山「まずは、KDDI様からお願いします。」
KDDI|幅広い人脈を活用したBtoB支援&メタバース構築
矢島「当社の事例としましては、まずは『バーチャルハロウィン』を挙げさせてください。」
矢島「このバーチャルハロウィンは毎年50万人以上を動員するイベントです。また今年から、新しく『αU』というメタバースプラットフォームを立ち上げました。」
矢島
春山「イベント実施のコツを伺えますでしょうか?」
矢島「スタッフや業界の熱量だと思っています。ビジネスとしてだけでなく、社会を良くしようという意気込みで立ち回っています。」
矢島「イベント実施の観点で言うと、KDDIはエンターテイメント事業も手がけているので、あらゆるところにパートナーリングやリレーションがあります。そのケイパビリティやアセットを組み合わせることで実現できました。」
BtoB領域で伸びるメタバース
矢島「メタバースはともするとブームが去っているのではという社会的風潮がありますが、実はBtoBの領域では伸び続けています。」
矢島「今までは特定のイベントやショーケースに使うのみで、普通のインターネット媒体に比べたらあまり人が来ないという不安を抱えていたのですが、最近はそういった事業課題に直接取り組む企業さんが増えています。」
矢島「例えば、不動産系では自分たちのワールドを立ち上げ、顧客接点をそこに築くための導線を作ったり、教育係では子供に楽しんでもらうコンテンツを考えたりなど、一歩踏み込んだことを考え始めています。」
矢島「そうなると単発の売上ではなく、継続的な連携が必要となります。事業として膨らんでいくので、マネタイズだったり集客をロングテールで考えることも必要となり、規模も大きくなってきます。」
矢島「我々はメタバースだけでなく、XRやNFT、デジタルツインやコマースのご提案もできるので、そういった部分がお客さんに刺さると考えています。メタバースをやりたいというお客さんに、こっちの商材の方が良いのでは、というご提案が可能なので、そこが強みだと思っています。」
Cluster|クリエイターを巻き込んだ体験型メタバース
亀谷「Clusterは年間およそ250件の法人様イベントを行っており、かなり幅広い領域で使っていただいています。その中の事例を2つご紹介します。」
亀谷「1つ目は、ジャパンモビリティショーです。国内の自動車メーカー12社と共同で、メタバース空間の中で車を作ったり、組み立てる体験を提供しました。車未所有の方に向けてリリースしており、デジタル空間の中で身体性を伴う体験が可能です。」
春山「どのように進められたのでしょうか?」
亀谷「自動車のメーカー様からCGモデルをいただき、リデザインさせていただきました。各メーカーのデザイナーの方にも入っていただき、体験から見た目まで、力を入れて作りました。」
クリエイターとの共創空間を作る
亀谷「メタバースを作り、コミュニティ運営をするために、デジタルクリエイターを巻き込む施策が今後必要になります。そういった観点でのイベントです。」
亀谷「ドズル社さんというマインクラフトを中心としたyoutubeで動画を配信している方々と一緒に作った『ドズバース』というメタバース空間があります。そこではユーザーが自分たちで空間を作ったり、推し活や応援イベントを行うことができます。」
亀谷「自分たちが作った空間でイベントを行い、ファンを集めることができます。イベントもショットで終わらせるのではなく、よりコアな熱量を持つ人たちをどう巻き込むか、何を作るのかなど、クリエイターを巻き込む形での良い活動ができたと思っています。」
REALITY XR cloud|リアルを拡張させるメタバースの造営
春山「最後に、弊社の事例もご紹介させてください。まずは、バーチャル東京ドームワールドです。」
春山「これは、三井不動産様、東京ドーム様と提携した企画で、韓国のアイドルグループ『aespa』さんとリアル×バーチャルの両面でのタイアップも行いました。」
バーチャル東京ドームワールド
春山「タイアップの内容としては、『aespa』様のダンスミュージック動画に合わせたモーションデータを作成し、『REALITY』のアプリ上で『aespa』と同じダンスができる、という取り組みを行いました。」
春山「他にも、現地では即完売してしまったライブTシャツがバーチャル上だと確実に手に入れられる、といったメリットがありました。リアルとバーチャルで両方ゲットした、というSNS投稿などもあり、大きく盛り上がりました。」
春山「以上のように、アーティストの認知拡大やコミュニティ作りをメタバースで行う取り組みをしています。」
大阪駅のメタバース化
春山「JR西日本さんのグループ会社と業務提携をし、大阪駅をバーチャル化しました。コロナ禍中に駅の利用や運輸がストップしてしまったことが大変だったため、デジタル空間に駅を作れないか、と我々にお声がけをいただいたことが背景にあります。」
春山「大阪駅に新しく『うめきた地下口』という出口ができたのですが、これをリアルの一週間前にメタバースでオープンしました。プロモーションの一環として展開し、1か月半ほどで600万人程ご来場されました。さらにリアル側でも連動イベントを行うことによって、バーチャルで見た景色がリアルでもある、と盛り上がりを見せました。」
春山「さらに実証実験として、マネタイズや誘客のデータ収集も一緒に行いました。」
メタバース市場における各社の見解
春山「各社事例のご紹介をいただいたところで、ここからはメタバースの市場と、法人様のニーズ等ついて、各社様のご意見をお伺いしたいと思います。」
KDDI|toB向けサービスからtoCへ繋げる
矢島「メタバースのユーザー数は伸び続けているので、これからの市場だと感じています。反面、C向けのサービス展開に時間がかかっています。」
矢島「先日行った発表会でもC向けのサービスをたくさん発表させていただいたのですが、我々のところで先に立ち上がるのはB向けのサービスです。」
矢島「Bのお客様にきちんと場所を提供して、そこにコンテンツが生まれると人が増える、そういった循環が今のメタバース市場だと思います。」
矢島「一方で、C向けのイベントでは、季節性のイベントが大きなカギになってくると思います。」
矢島「先ほど紹介したハロウィンイベントは今年で4年目になります。実はこちらでのユーザー数も右肩上がりで伸びています。」
矢島「季節性イベントは大きな盛り上がりどころとなっています。企業さんのイベントを開催すると、瞬間的に人は来てくれるのですが、季節性イベントの方が大きく盛り上がりを見せます。」
矢島「例えばクリスマスやお正月などのタイミングに合わせて大きなイベントを起こし、たくさんの法人のお客様もそこに協賛していただくと、大きく盛り上がります。ストーリーをお客様に届けやすいという意味では、季節性プロモーションはすごく重要だと考えています。」

矢島「私がお話をさせていただくクライアントニーズは、メタバースを導入する際、どのプラットフォームにするか、という観点です。」
矢島「我々が考えているのは、オープンメタバースの世界です。各プラットフォームごとに良し悪しがありますし、会社によってできることが違うので、統合して1つのオープンメタバースにしたいと思っています。」
矢島「例えば、我々に依頼をいただいた際には、色々なプラットフォームとも同時連携できるようになると、KDDIとしてメタバースをやってきた意味があると考えています。」
矢島「1つのキャンペーンを開いた時にいろいろなプラットフォームで同時並行、同時多発的な展開ができるようになると、皆さんのニーズを解決できると考えています。」
Cluster|次世代がメタバースビジネスの根幹を担う
春山「亀谷さんはいかがでしょうか?」
亀谷「先ほどの季節性イベントのお話から接続すると、こういった機会は、法人の皆様が気軽に参加できるタイミングだと思っています。一定のユーザー参加が見込める季節性イベントは、メタバースで試してみたかった実証実験やデータ分析を、ユーザーを巻き込んで行える場であるからです。」
亀谷「当社も、近鉄不動産様と共同で開発した『バーチャルあべのハルカス』にてハロウィンイベントを行いました。
亀谷「ハロウィンイベントは『cluster』上のバーチャル渋谷・バーチャル大阪でも実施しており、これらのワールド間で相互作用が生まれるよう導線を引かせていただきました。そこではユーザー動向の収集、データ分析も行っています。」
REALITY XR cloud株式会社
グリー株式会社のメタバース関連子会社。
春山様
REALITY XR cloud株式会社代表。
長くゲーム関係職に就いており、GREEで内製タイトルを複数ご担当。
途中でBtoB事業に魅力を感じ、現在に至る。