「感染×少女」ディレクター 猫ロ眠@囚人P氏インタビュー

<ゲーム業界リレーインタビュー>第3回スマホ ゲーム「感染x少女」クリエイティブインタビュー 猫口眠@囚人P

~きっかけがあれば可能性は無限大に広がるクリエイター誕生秘話~
ノベル系作家であった私がゲーム開発に・・・

2016年からスマートフォン版のサービスが開始された「感染×少女」(エイジ)。ボカロPとしてニコニコ動画からデビューした猫ロ眠@囚人P氏が、なぜこのゲームに携わるようになったのか。その転機となった出会いのエピソードを中心に、猫ロ眠@囚人P氏のゲーム制作における想いや未来についてお聞きしました。

■猫ロ眠@囚人P

楽曲制作、及び小説やシナリオを手がけるマルチクリエイター。
ダークな世界観、独特なアンモラルなストーリーに定評がある。
自身の楽曲『囚人』『紙飛行機』を元とした『囚人と紙飛行機』シリーズを自ら 執筆し刊行。CL Φ SH(96 猫×猫ロ眠@囚人P)として、メジャーデビューも果たす。

『カタストロフの夢』シリーズ、『FINAL Φ FICTION』シリーズと新シリーズも鋭意執筆。音楽活動においてもTVアニメ『フリージング ヴァイヴレーション』のOP、EDテーマの作曲を手がけたほか、鈴木このみとのユニット「Chant-La」を結成し、コラボを展開。現在も音楽、小説面で様々な活動を続けている。

■株式会社コンフィデンス 取締役 竹下和広

ゲーム業界黎明期のSNKに入社し、同社欧州事務所代表に就任。その後、サミー、アクレイム、イグニッション・エンターテイメント・リミテッドで海外での実績を重ね、2011年、スタジオマネージャーとして関わった『エルシャダイ』を発表。

現在は、株式会社コンフィデンスでゲームのトータル・ソリューション事業に携わっている。

人生に訪れた3度の転機で
作家からゲームディレクターに

  ──猫ロ眠@囚人Pさん(以下、囚人さん)は、もともとは作家さんなんですね? 作家さんがなぜ今、スマホゲームのディレクションをされているのでしょうか?

囚人さん私も不思議です……(笑)。「強い意志が道を切り開いた!」っていうより、人生変えてくれる大転機があったんですよね、三度ほど。

そもそも、私は作家でもなく、最初は作曲家だったんですよ。
高校生のころ、動画投稿サイト『ニコニコ動画』に投稿した2つの楽曲が、合計100万再生されまして……「囚人」と「紙飛行機」という楽曲で、私の名前の由来にもなってる楽曲です。これが1度目の大転機。
以降アニメの主題歌なども作曲させて頂いたり、作曲家として良い経験を沢山積ませて貰いました。

そしてその楽曲「囚人」が物語音楽だったので、小説化オファーが舞い来たり……自ら筆を執ったのが作家への入り口。もう8年前、人生2度目の大転機でした。

最後に、作家として竹下さんに出会って、「感染×少女」というゲームの世界に誘われたのが3度目の大転機です。

 ──囚人さんのキャリアチェンジを可能にした竹下さんとの出会いとは何ですか?

囚人さん竹下さんが企てた小説型コンテンツ『ゼロマキナ』ですね。

もうル○ィが海賊団を作っていくような、0から全メンバーを集めていく壮大な企画でしたね。「次は作家が欲しい!」の段階で、既存メンバーのDeinoさんという方が、私を召喚してくれたのが切っ掛けです。

まさか「あの誘い」が、ゆくゆくはゲーム「感染×少女」まで繋がってるとは……Deinoさんもまた、私の運命の人です(笑)。

竹下懐かしいですね。当時、燃え尽きてイグニッションを閉めて、転職活動した事覚えています。今はその転職のお手伝いをする仕事をしています(笑)。
ただ、イグニッション程のスケールの大きな仕事にも出会いませんでした。

イグニッションには未練も悔いもなかったのですが、終わってみて何かやり足りない感覚がありまして、そこで起業しました。
今度は小さくても自分で考えたコンテンツを作りたいと思い始めました。そしてDeinoさんの「シーエ」に出会いました。かなりの衝撃でした。

即、Deinoさんに連絡して、思いを話して、意気投合して2人でプロットを作りました。それが「ゼロマキナ」の始まりです。
ただ、プロットからの展開とスケールが大きくなり過ぎたので、これを纏めるプロのシナリオライターが欲しいとなった時に、当時Deinoさんが交流があった囚人さんを紹介頂きました。

会った瞬間に「この人だ」と思いました。

出会って変わったのは「環境」

 ──囚人さんは竹下さんと出会って何が変わりましたか?

囚人さん変わったことか……「環境」ですかね、私自身は駄目な奴なので成長してませんが、環境がガラッと変わりました。
私も人並みにはコンシュマーゲームも好きで、ソーシャルゲームも課金するくらには好きでしたので……竹下さんの向こうにゲームの世界が広がっているのがチラチラ見えて、「面白そう!私も混ーぜーてー!」って熱い念波を会うたび心で送り続けてた記憶です(笑)届いていたかわかりませんが(笑)

 ──竹下さんは囚人さんの中に何を見たのですか?

竹下そうですね。大袈裟だけど、無限の可能性ですかね? 

囚人さんは、元々作曲家です。それが、文章を書く様になったのですが、音楽と言うトリガーが潜在的な才能を必然的に開花させて言った様な印象を受けました。
まあ、普通なら凄く変わった人なんでしょうけど、初めてあった時「あれ?リクルートスーツに身を包んだ若者がいるけど、囚人さんはどこかな?」みたいな。
スーツにネクタイ、銀縁メガネ……クリエーターのイメージが吹っ飛びました。(笑)

───囚人さんをゲームの世界に誘うおうと思ったきっかけは何ですか?

竹下「ゼロマキナ」を立ち上げて、P H P研究所様との電子書籍出版契約を取り付けた後、順調に制作が進むわけですが、ある想いが湧きました。「コンテンツにおいて原作を所有する意味」です。

囚人さんはゼロ一でコンテンツを創作できる人。ならば、ゲームコンテンツのシナリオも書けるはずと思いました。その時、タイミング良く「感染x少女」の運営会社の社長から企画書を見せて頂いた時に、Deinoさんの「細菌汚染」を思い出しました。妙な親和性を感じて、咄嗟に「そのシナリオ俺にやらせて下さい!」と言ってました。これがきっかけとなり、「感染x少女」ゲームの全てのシナリオ制作の仕事を受注しました。

ただ、「ゼロマキナ」も同時進行の中、殺人的なスケジュールで途中で死なないか心配でした…(苦笑)。

───囚人さんがゲームの仕事をする事で作家の仕事が減るわけですが、責任は感じませんでしたか?

竹下いえ、全然(笑)。私は私に出来る事ときっかけを囚人さんに与えただけです。やるもやらないも、出来るも出来ないも囚人さん次第です。
上手く乗り切れば、新たな可能性が生まれるのでプラスしかないと思っていました。そして囚人さんはその人間離れした生命力と野心で今のポジションを手にしたのです。
もし、激務で体を壊して仕事が出来なくなってしまったら……と言う心配はありました。

『感染×少女』では創作に関わる制作とディレクションをやっています

 ───囚人さんがシナリオから手掛けられたスマホ版「感染×少女」ですが、作家から転身しゲームに携わり、実際どのようなことをやられてるんですか?

囚人さん主に、「創作」に関わる多くの制作と全てのディレクションを、運営から依頼を受ける形で行っていますね。

毎月公開される「新シナリオ」執筆はもちろん、「新キャラ案」制作、「ゲーム内フレーバーテキスト」制作、「新イベント案」制作、「ボイス台本」執筆、基本自分やりたがりでして(笑)、最近は「新キャラお披露目」用のバナー制作などもしてますね。

逆にキャラユニットのパラメーター制作や、クエスト制作、テキストの編集校正やデータ制作、お知らせ等の『プレイング』や『運営』に纏わる部分は、もちろん『運営メンバー』の方々が全て行っています。

本領を発揮する分野の棲み分け、とでもいうんでしょうか。

もちろん、「イベント案」などは密接に関わらざるを得ないケースがあるので、『運営』側が求める『プレイング』方向性も込みで相談頂き、イベント案を制作することもあります。

───いろいろ携わってるのですね。職業としては、なんてお呼びすれば良いでしょう?

囚人さん運営メンバーではないので……それでもいろいろやっている私の立場に、名前をつけるとなると……竹下さん、命名できます?

竹下「クリエイティブ・ディレクター」ってどうですか?

囚人さん格好いいですね(笑)、クリエイティブ・ディレクター。

少女たちが『単なる装置』にならないよう強い願いを込めて作っています

───クリエイティブディレクターとして一番想いを込めたところはどこですか?

囚人さん一番か……難しい。ちょっと語弊があり、言葉の解釈にも左右されてしまうのですが……ひとつあります。

ゲームはゲームである以上、『ゲーム性』が重要ですから、ともすると『シナリオ』や『キャラ設定』、いわゆる物語的な諸々の全てが『添え物』に徹することを求められる瞬間がある、あったんですよね。

「感染×少女」で一例をあげると、「ゲームを楽しむために少女たちが存在するのか?」「少女たちを愛する過程にゲームが存在するのか?」

どちらが正解か、どちらも正解じゃないか、ゲームごとにも違うでしょうし、ユーザー様ごとにも違う、唯一解のない問いでした。

それでも……いえ、だからこそ私が一番想いを籠めたのは、少女たちが『単なる装置』にならないことでした。ゲームを成立させるためだけの装置、です。

少女たちの生き様、人生、暮らす世界、人間関係、少女たちが内包する感情……それら全がゲームを楽しむ飾りで終わらないよう、空虚にならないよう、『ゲームの添え物として彼女たちは生きてるんじゃない』という強い願いを籠めました。

ゲームは最終目的ではなく、時に少女たちと出会う手段であってほしいと。いつかゲームを飽きてしまう日がきたとしても、少女たちだけは好きでい続けて頂ければ、少女たちもきっと報われると信じて。

───改めてですが、ゲームのお仕事は楽しいですか?

囚人さん楽しいです! 同時に、吐血するほどの忙しさに最初は驚きました(笑)

「ゲーム運営は無限のマラソン。止まるのは死ぬ時だけだ」と嘘か本当か巷間で聞きますが(笑)、とはいえ、マラソンが大好きな自分としては、無限に幸せが続く仕事です!

なにより、作家、イラストレーター、作曲家、声優、プログラマー、エンジニア、デザイナー.etc ──ここまで多種クリエイターが総動員して作る創作も、ゲームならではで、作家だけでは知り得ない感性との衝突にかなり刺激的です!

 

───作家として、作曲家としてゲームのシナリオを手がけ、クリエイティブディレクターにまでなった訳ですが、今後のビジョンを教えて下さい。

囚人さんアニメ化です。「感染×少女」を始めとした、シナリオ執筆作のアニメ化。ずっと高校生からの、目標の一つでした。
ゲームに携われたことで、より目標への距離感を知り、多くの選択肢を開いて頂けたと思います。

あとは、新たなゲームを、0段階からの制作に挑戦してみたいですね。クリエイターとしての処女作である「囚人」と「紙飛行機」なども、ゲーム化等の新たなメディアでのアウトプットに再挑戦したくは考えてます。

味方をしてくれる方、企業様は随時募集中です(笑)TwitterのDMまで(笑)

───このインタビュー記事を読んで下さっている読者の皆様に対して一言頂けますでしょうか?

囚人さんそうですね……何を言えばいいですかね(笑)。『出会い』がテーマということで、……。「道は自分で切り開くもの」という格好いい生き方の真逆も、また、クリエイターの格好いい戦い方だと私は思います。

誰かが切り開いてくださった舞台で、だからこそ自分は最高のパフォーマンスを発揮する……切り開く戦いをするパートナーとの出会いほど、クリエイターとして幸せなことはないですね。

いい作品が世に出る時は、100%そのステージを組み上げたパートナーの功績がある、だからこそステージに見合うよう、もっと頑張っていきたいですね。

竹下目に熱いものがこみ上げそうですね……(笑)。私が囚人さんの転機のきっかけに関われた事は感慨深いです。

でも、最初からこうしようなんて微塵も思ってなかったですが、Deinoさんとの出会いから何かがスパークして小さいですが、「オリジナル原作、I P、楽曲、映像」を凝縮したコンテンツを私を含めたコアメンバー4人で作り上げました。

いつかは「ゼロマキナ」をゲームやアニメにもしたいと言う思いを大切にしながら、囚人さんの更なるご活躍に期待したいと思います。ここまでよく頑張ってこられました!

絶望と感動のシナリオRPG|「感染×少女」公式サイト

「感染×少女」iPhone版

「感染×少女」Android版

猫ロ眠@囚人PTwitter:@syujinP

 

インタビューを終えて

竹下「運と縁とタイミング」さえあれば可能性は無限大に広がる。人材事業にも全く同じ要因が多々あります。今後も弊社は未来のゲーム業界を支える新たな才能を支援するためのサポートにも積極的に力を入れ、業界の未来に貢献したいと思います。

 

 

第2回 小俣泰明(アルサーガパートナーズ株式会社 代表取締役社長)
好奇心があれば必ず伸びる
時代を問わず活躍できる技術者集団を目指して

 

 

 
第1回 竹下和広(株式会社コンフィデンス 取締役)
 ゲーム開発の最前線で共に未来を描くワンストップソリューションを提供したい