【ゲームとサブスク】ゲーム業界にもサブスクリプションの波。近年のサブスクの特徴と成長性は? リスクはある?

NetflixやSpotifyの登場以降、サブスクリプションサービスは一般的なものになりました。それはゲームの世界でも例外ではなく、各企業様々なサービスを提供しています。ゲームでもサブスクリプションが一般化するのでしょうか?
海外のサブスクリプションの現在のトレンドと成長性を探りつつ、批判の声についても取り上げ、その可能性とリスクについて迫っていきます。
他の媒体とは違った、ゲームならではの特徴が、サブスクリプションと相性が悪いという分析もあります。
NetflixやSpotifyの成功から見えるように、特定の媒体に定額料金を支払って多数のコンテンツを利用するサービスは、巨大な利益を生み出す可能性があることは事実です。しかし、ゲームは音楽や映画とは異なる性質を多く持っており、単純にこれらのサブスクリプションサービスを転用するだけでは、同じような効果は生み出せないことが指摘されています。
アメリカのMcKinsey & Company社は、ゲームのサブスクリプションサービスが「苦戦を強いられている」とした分析記事を公開しています。
記事では、ゲーム業界で主流になっている戦略が、サブスクリプションと競合することが指摘されています。「Fortnite」や「Apex」など、特に長くプレイされているゲームは、無料でのプレイを可能にすることで、新規プレイヤー参入の敷居を下げています。
敷居が低い分、こうしたゲームはプレイヤーにできるだけ多くの時間プレイしてもらうために、競技性の高い要素や、ゲーム内アイテムのコレクション要素を導入しています。また、課金して得られるゲーム内アイテムやキャンペーンを充実させることで、ゲーム内での収益を上げる戦略を採っています。
基本プレイ無料のゲームの場合、初めは収益を得ることができませんが、ユーザーのプレイ時間を長くしてゲーム内コンテンツを確保することで、長期的に収益を上げることができます。
McKinsey & Company社は、こうした基本プレイ無料のゲームが主流になっている影響で、ゲームのサブスクリプションサービスが売れにくくなっていると指摘しています。基本プレイ無料のゲームは、最初の障壁をなくすためにプレイを無料にしているため、サブスクリプションに参加するメリットがありません。
そのような状況の中で魅力的なサービスを作り出すためには、有料ゲームをサブスクリプションに加える必要があります。しかし、映画や音楽に比べて、ゲーム業界では一部の人気タイトルに人気が集まっているという現状があります。そうした人気タイトルをサービスに加えるには、多額の資金が必要です。
サービスの価格と、配信権の買い取り価格のバランスをとることは難しく、これがゲームのサブスクリプション市場にとって不利に働いていると分析されています。
また記事では、Netflixのようなサービスが、独占コンテンツによって加入者を満足させていることも言及されています。特定のサービスでしか見られない映像を提供することで、加入者が他のサービスよりも好んで利用する状況を作り上げているのです。
ゲームの場合は、独占コンテンツを用意することが難しく、用意したとしても、AAAタイトルを制作するには莫大な開発費がかかってしまいます。もちろん、加入者が十分に楽しめるタイトルを発売できなければ、サービスの利用者が増加することも見込めません。
ゲーム業界には、基本プレイ無料ゲームの台頭や、有料ゲーム利用権の高騰、そして独占コンテンツ制作の難しさといった、業界ならではの性質があります。McKinsey & Company社は、これらの性質によって、ゲームのサブスクリプションサービスが「疑わしいプラン」になりうると分析しています。
このように、ゲームのサブスクリプションサービスには、開発者や一般ユーザーからの懸念があり、また他の媒体とは異なる問題があることも事実です。
まとめ
ゲームサブスクリプションサービスについて、現代のサービスの特徴と成長性、そして批判についてまとめました。
数年前はバリエーションが少なかったゲームサブスクリプションサービスも、現在では様々な特典が用意され、遊べゲームも使えるデバイスも増えるなど、魅力的なプランがいくつも出てきています。
情報技術が発展し、ゲームプレイの形が多様化している中で、ゲームサブスクリプションの市場規模も大きく増加しつつあります。
一方で、ゲームの質の低下や、ゲーム業界との相性の悪さを指摘する声もあります。
ゲームのサブスクリプションサービスには大きな可能性がある一方で、リスクもあり、一概に良い戦略とは言えない、というのが現状でしょう。
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