ゲーム企画の伝え方 〜より良い企画を作成するために抑えるべきポイント〜
新しいゲームを開発するには、必ず「企画」からスタートします。プロデューサーに企画の意義を認められて初めて、本格的な開発がスタートするのです。
本記事では企画を考案する際に意識するべき点や、良い企画を立てるためのポイントをご紹介します。
企画書を作る上で抑えるべきポイント
ゲーム業界に限らず、企画書には適切なフォーマットがあります。ここでは特に、マーケティングに活かせる考え方をご紹介します。企画書で大切なポイントを端的にまとめると、下記の3つがあげられます。
より良い企画書で大切なポイント
- ターゲットのニーズをよく理解していること
- ターゲットのニーズにアプローチするための道筋が明確なこと
- 客観的視点からも企画の意図を汲み取れるような企画書にすること
良い企画書を作るために心がけること
ターゲットを明確にする
企画を立てる上で、一番大切なことがターゲットの設定です。「どのような年齢層」「どのような嗜好を持った人物」にゲームを楽しんでほしいのかなどが明確でないと、プロジェクトを進める上での方針が定まらず、良い製品を作り上げることができません。また、ターゲットが定まらないと企画そのものが伝わりづらいものになってしまいます。
読み手に伝わりやすい書式で書く
企画書は、企画を審査する人や、プロジェクトに関わる人が目を通す大切な書類です。そのため、書いた本人にしかわからないような抽象的な記述やメモのように殴り書きをすることは好ましくありません。企画を含めた開発は、一人で進めるものではなくチームワークで進めるものです。読み手に伝わりやすい書式を用いて、わかりやすい書面作りを心がけましょう。
より良い企画書作りのコツの一つとして、「図や見出しを用いること」が効果的です。企画の要点を簡潔に伝える必要のあるゲーム企画書では、読み手が読み疲れをしないように、図やイラストを用いて視覚的に情報を整理しましょう。
自分が提案する企画をよく理解する
企画書を作成する上で、作成者自身がその企画に対して理解が十分でないと、持っているイメージを相手に伝えることができません。「なんとなくこんな感じ」といった抽象的な概念で企画書を作るのではなく、具体的に言語化して記述するように心がけましょう。
ゲームプランナーに必要なスキルと行動
プランナーは、新しいゲームの発案だけでなく開発工程の初頭から終わりの部分、さらにその後プレイするユーザーに対しても目を向ける必要があります。ただゲームの構成を考案するだけではなく、全体を通してしっかりとマネジメントすることも大切な仕事です。企画書を作成する段階で、今後のプロジェクトの流れと自身の役割を意識しながら書くことで、より説得力のある企画書が出来上がるでしょう。
プランナーに必要なスキルと行動については、以下の点が挙げられます。
スキル
必要なスキル①|正確性
企画書を作成するにあたって、整合性のズレや論理的矛盾が生まれることは大きな問題です。ゲームの詳細は仕様書で決定されますが、仕様書の大元となるのは企画書です。急いで雑に仕上げるのではなく、時間をかけてでも正確な企画書を作るように心がけましょう。
より正確に情報を他者に伝えるために、思考のバックグラウンドを注釈として記述することも効果的な方法の一つです。
必要なスキル②|情報伝達力
ゲームはチームで作り上げるものです。プランナーがイメージしている像を適切に開発陣に伝えることができなければ、理想の作品は完成しません。企画書や仕様書を通して、細部まで適切に指示を出すことで初めて作品作りへの道筋が立ちます。
情報を伝えることはプランナーにとって重要なスキルの一つです。
必要なスキル③|説明力
プランナーの意図を適切に開発陣に伝えることが必要です。そのため、②で触れた言語化の力に加えて、プレゼンテーション能力も必要です。制作するゲームの全体像から細部の作り込みに至るまで、開発陣に適切に伝えられるよう、しっかりとした土台作りと準備をすることが大切です。
行動
必要な行動①|書類(企画書や仕様書)にまとまる
プログラマーやデザイナーは、プランナーが作成した企画書や仕様書をもとに作業を進めます。そのため、これらの書類が整っていないと作業を始めることができません。同様に書類が中途半端では、作業が途中で滞ってしまう場合や、プランナーが意図したものとは違うものが出来上がってしまう場合があります。
しっかりとした下準備のもとで、細部まで綿密に考え抜かれた書類作成をすることは、プランナーに必要な役割の一つです。
必要な行動②|臨機応変に対応すること
作業進捗により、臨機応変に仕様の変更等を開発陣に伝えることは非常に重要です。
プログラマーやデザイナーといった開発陣は、仕様書の変更に気づかないまま作業を進めてしまうことがしばしばあります。そのような事態を予防すべく、プランナー側から適切に口頭で情報を共有することが大切です。
必要な行動③|プロジェクト全体の状況を把握すること
完璧な書類を用意しても、人から人への伝聞である以上、認識の齟齬は必ず生まれます。意図したものではない方向に進んだ時には、焦らず対応することが必要です。それ以上に、早い段階から軌道修正できるよう、常にプロジェクト全体の状況を把握しておくことが重要です。
面白さをどのようにして人に伝えるか
企画がどうして面白いのか、そしてどうしてヒットすると言えるのかをプロデューサーに的確に伝えなければなりません。その中で、重要なポイントは3つあります。
その①|コンセプト
さて、ここからがゲーム開発における本題です。
企画を練るにあたり、まず最初に考えるべきことは「ゲームのコンセプト」です。コンセプトをもう少しわかりやすい表現にするならば、ゲームの大まかな骨組みです。
家を建てるにしても、クルマを造るにしても、骨組みが完成しないとその後の部品を取り付けられません。ゲーム開発においても同様で、まずは骨組みであるコンセプトからしっかりと固めていきましょう。
企画書はあくまでもコンセプトを伝えるためのものなので、趣旨から逸れるような記載は控える方が無難です。細かな機能の説明は、企画が通った後に作成する、仕様書で説明することが一般的です。
その②|読み手に興味を持たせる
企画書を審議するプロデューサーの興味を引くことで、その企画書を最後まで読んでもらえるようになります。プロデューサーは多忙ゆえ、上がってきた企画書を斜め読みしてしまうことがよくあります。
時間をかけて作成した企画書を最後まで読んでもらうためにも、読み手に興味を持ってもらえるような企画書作りは必要不可欠です。
その③|読み手に伝わりやすいレイアウトを駆使する
文章をたくさん詰め込んでも、それは良い企画書とは言えません。図や表、イラストなどを駆使して、視覚的に訴えかける方式が効果的です。
人間は、活字だらけだと読み疲れてしまったり、読むのを諦めてしまったりする場合が多いと言われています。図やイラストを用いることで、読み疲れた状態でも企画への理解を促進させることができる他、文章では伝わりにくいような微妙なニュアンスの齟齬を埋めることも期待できます。
企画を立てる上で意識すべきポイント
闇雲にゲームの企画を立てても、市場に出した時にヒットする確率は極めて低いです。まずは、市場分析をした上でユーザーがどのような体験(UX)を求めているのかを考えることが必要です。企画書を作成する際には、プロデューサーに対して「なぜゲームがヒットすると考えられるのか」をわかりやすく記載すると企画が通りやすくなるでしょう。
セールスポイントを企画書の最後に簡潔にまとめると、企画書としての起承転結が図られて、読み手に伝わりやすい書式が完成します。企画書の最後では、長い文章で説明するよりも、企画書全体のまとめを行うという認識を持っておくと良いでしょう。
最後に、よくありがちな悪い例を提示します。それは、企画書でゲーム内のキャラクターやシチュエーションの説明を記載してしまうことです。あくまでも企画書は、これから制作するゲームも大まかな骨組みを説明するものであり、細かなシチュエーションは企画が通ってから仕様書で支持していくことが基本です。プロデューサーに最後まで読んでもらい、考えた企画を審議してもらうためにも、企画書では簡潔にまとめることを一番に意識することが大切です。
重要なポイントをまとめると以下の3つになります。