ゲームクリエイターとは?なるには何が必要?仕事内容、資格、年収などを解説
「ゲームクリエイター」は人気の職業であり、ゲーム市場のさらなる拡大に伴い今後も需要の高まりが期待できます。
本記事では、ゲームクリエイターの仕事内容や必要なスキル、目指し方、働き方、年収などについて詳しく解説していきます。
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- 1ゲームクリエイターとは?
- 1.1プロデューサー
- 1.2ディレクター
- 1.3プランナー
- 1.4シナリオライター
- 1.5デザイナー
- 1.6サウンドクリエイター
- 1.7プログラマー(エンジニア)
- 1.8デバッガー(テスター)
- 2ゲームクリエイターになるには何が必要?
- 2.1共通の能力
- 2.2職種別の必要な能力・スキルと役立つ資格
- 2.3ゲームクリエイターに向いている人は?
- 3ゲームクリエイターの目指し方
- 3.1勉強方法・経験の積み方
- 3.2学校の選び方
- 4ゲームクリエイターとしての就職先・働き方
- 4.1ゲームメーカー
- 4.2ゲーム制作会社
- 4.3派遣
- 4.4IT企業
- 4.5フリーランス
- 5ゲームクリエイターの年収
- 6ゲームクリエイターのやりがい
- 7ゲームクリエイターの需要・将来性
- 8まとめ
ゲームクリエイターとは?
ゲームクリエイターとは、ゲーム制作に携わる職種全般を指します。
基本的に、ゲーム制作の過程ではさまざまな役割を持つ人が作業を分担し、チームとして連携を取りながら一つの作品を作り上げていきます。
まずは、一般的なゲーム制作のフローを整理しておきましょう。
- 企画書作成・計画立案
- 仕様書・プロトタイプ・アートワーク作成
- α版制作
- β版制作
- マスター制作
- 調整・デバッグ
- リリース・運営
ゲームクリエイターの仕事内容は職種によって異なり、上記の各工程において関わるタイミングもそれぞれです。
以下、それぞれの代表的な職種とその仕事内容について説明していきます。
※制作フローやチーム構成、職種ごとの仕事内容は会社やプロジェクトによって異なりますが、ここでは一般的な内容を紹介します。
プロデューサー
プロデューサーはゲーム制作の総責任者として、プロジェクト全体を統括する職種です。
スケジュールや予算の管理・人員編成など、制作に関わるマネジメントや最終決定のほか、ビジネス面での責任を負います。
仕事の範囲は多岐に渡り、AAAタイトルと呼ばれる大作ゲームになると100名以上もの人員をまとめることもあります。
ディレクター
ディレクターは、ゲーム制作の現場監督と言える立場です。
ゲームの完成度や納期の責任者として企画段階から参画し、制作に関わる現場スタッフを指揮しながら進行管理を行います。
大規模なプロジェクトの場合、デザインやプログラムの各部門ごとにディレクターが配置され、階層的に統率する場合もあります。
プランナー
プランナーは、主にゲームの企画書や仕様書を準備します。
どのターゲットにどのようなゲームを提供するかを検討した上で企画書を作成し、ルールや画面レイアウトなどの詳細設定を仕様書にまとめます。
ディレクターの意図を周知させるべき立場でもあるため、各工程において他のスタッフと密にコミュニケーションを取りながら調整していきます。
シナリオライター
シナリオライターは、ゲームのストーリー展開やキャラクターなどを考えシナリオを作成する仕事です。
プレイヤーの選択によって分岐が発生するゲームでは、複数の展開を考えて世界観を作り上げる必要があるため、魅力的なゲームを制作する上で重要な役割となります。
プランナーとシナリオライターの業務は重複する部分があり、担当範囲はケースバイケースです。
デザイナー
デザイナーは、ゲームのビジュアル部分を制作する職種です。
キャラクター、背景、モーション、エフェクト、UI、デモ映像など、作業内容によって仕事が細分化されています。2Dか3Dかによっても、それぞれ専門が分かれることが多いです。
魅力的なキャラクターや操作しやすいUI設計などは、ゲームのクオリティや人気に直結しやすいため、影響力のある職種と言えます。
サウンドクリエイター
サウンドクリエイターは、ゲーム内で使われるテーマ音楽やBGM、効果音など、あらゆるサウンド素材を制作します。
ゲームの各シーンに合わせて作られたサウンドは、ゲーム全体の雰囲気を決める重要な要素となります。
「ゲーム音楽」という一つのジャンルとしても、コンサートやイベントなどが開催されるほど人気を集めています。
プログラマー(エンジニア)
プログラマーは、ゲームが仕様通りに動くようにプログラムを組んで実装する職種です。
ゲームの企画が実装可能かを判断し、難しい場合は代替案を提示しながら、可能な限り要求を実現する必要があります。
ゲームの種類やプラットフォームによって開発環境や言語が異なるため、求められるスキルもさまざまです。
デバッガー(テスター)
プログラム上のバグを実際に取り除くのはプログラマーの役割ですが、テストプレイを行ってバグがないかチェック・報告する人のことをデバッガーまたはテスターと言います。
α版・β版など、ある程度ゲームの形が出来上がってきた段階から活躍する仕事です。
専用のデバッグツールを用いた自動テストプレイを導入しているゲーム会社もあり、その場合デバッガーはツールを利用したデータ検証を担当します。
ゲームクリエイターになるには何が必要?
ゲームクリエイターになるために必要なスキルや役立つ資格、どのような人が向いているのかを紹介します。
共通の能力
それぞれの職種ごとに必要な能力は異なりますが、ゲームクリエイター全般に共通する重要なスキルとして主に以下が挙げられます。
コミュニケーション能力
ゲーム制作は、チームメンバーやクライアントと認識を擦り合わせるために常にコミュニケーションを取りながら進行します。
それぞれの職種で専門知識が異なるので、認識の齟齬が生まれないようにするためにもコミュニケーション能力は必須です。
論理的思考力
ゲーム制作では、売れるゲームを作るためのマーケティングを行ったり、ゲームの設定を矛盾なく組み立ていったりと、全ての工程において筋道を立てて進める必要があります。
発想力
面白いゲームを作るためには、面白いアイディアを生む必要があります。
そして、アイディアを発想するためには日々のインプットも重要です。ゲームに関する情報はもちろん、それ以外の分野にも常にアンテナを張ることで良いアウトプットにつながります。
職種別の必要な能力・スキルと役立つ資格
前述した共通の能力以外に、ゲームクリエイターの職種ごとに必要な能力や活かせるスキル・役立つ資格は以下の通りです。
ゲームクリエイターになるために必須の資格はありませんが、専門知識の習熟度を示したり、就職の際にアピールしたりするための一つの材料として、業務に関連する資格の取得を目指しても良いでしょう。
職種 | 必要な能力・スキル | 役立つ資格 |
---|---|---|
プロデューサー | ・マネジメント能力 ・問題解決能力 ・ゲーム制作に関する幅広い知識 |
・CGクリエイター検定 ・CGエンジニア検定 ・基本情報技術者試験 ・マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS) |
ディレクター | ・マネジメント能力 ・調整能力 ・企画・提案力 ・ゲーム制作に関する幅広い知識 |
・基本情報技術者試験 ・プロジェクトマネージャ試験 ・マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS) |
プランナー | ・企画・提案力 ・マーケティング能力 ・ゲーム制作に関する幅広い知識 |
・基本情報技術者試験 ・Photoshop®クリエイター能力認定試験 ・Illustrator®クリエイター能力認定試験 ・マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS) |
シナリオライター | ・文章力 ・構成力 |
・マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS) |
デザイナー | ・デッサン力 ・CG表現スキル |
・CGクリエイター検定 ・Photoshop®クリエイター能力認定試験 ・Illustrator®クリエイター能力認定試験 ・色彩検定 |
サウンドクリエイター | ・さまざまな音楽ジャンルの知識 ・DTMやDAWの基礎知識 ・テーマを汲み取る力 |
・MIDI検定 ・サウンドレコーディング技術認定 ・Pro Tools技術認定 |
プログラマー | ・プログラミングスキル ・ハードウェアやクラウド、ネットワークに関する知識 |
・基本情報技術者試験 ・応用情報技術者試験 ・C言語プログラミング能力認定試験 ・Java™プログラミング能力認定試験 |
デバッガー | ・文章力 ・ゲームに関する知識 |
・マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS) ・基本情報技術者試験 |
ゲームクリエイターに向いている人は?
ゲームクリエイターに向いている人の特徴として挙げられるのは、主に以下の通りです。
ゲームへの強い熱意がある
ゲームクリエイターは常にゲーム作りに向き合い、激しいトレンドの変化についていきながら制作に反映する必要があります。それが苦にならず、ゲームへの思い入れが強い人が向いていると言えます。
体力・忍耐力がある
ゲーム制作は納期などに応じて勤務時間が不規則になることもあります。それに柔軟に対応できる体力や忍耐力を持つ人はゲームクリエイターに向いているでしょう。
ゲームクリエイターの目指し方
ゲームクリエイターになるための一般的なルートとして、専門学校や大学で専門スキルを身に付けて企業に就職する方法や、独学で学んだ後、ゲームコンテストなどに応募して就職・転職を目指す方法があります。
勉強方法・経験の積み方
以下では、ゲームクリエイターを目指す際の具体的な勉強方法や、経験の積み方の例を説明します。
学校で学ぶ
就職先で即戦力として働くためには、それぞれの職種における基礎知識が必要になります。ゲーム制作に関連する学問を学ぶため、専門学校や大学・短大に通うのが一つの手です。
専門学校や大学は学費と時間を要するものの、基礎からスキルを習得し、ゲーム制作の流れをひと通り経験できる点が大きなメリットです。
また、学校側が業界や企業とつながりを持っていたり、就職サポートが充実していたりすることが多いため、ゲームクリエイターを目指す上で現実的な道と言えます。
未経験の社会人がゲームクリエイターを目指す場合は、現在の仕事を続けながらオンラインスクールで学習するのも選択肢の一つです。
独学で学ぶ
独学でゲームクリエイターを目指すのも不可能ではありません。
より自走力が求められますが、参考にできる書籍やWebサイトも充実していますし、特にプログラミングなどは独学でもスキルを身に付けやすい分野です。
成果物として作品を制作し、後述するゲームコンテストへの応募などで実績を積んでいけばアピールするチャンスはあるでしょう。
ゲームコンテストに応募する
ゲーム業界では、「日本ゲーム大賞」や「神ゲー創造主エボリューション」、「ニコニコ自作ゲームフェス」など、さまざまなコンテストが開催されています。
「集英社ゲームクリエイターズCAMP」などのゲームクリエイター向けプラットフォーム内で定期開催されるコンテストもあります。
アマチュアや18歳以下、学生を対象としたものもあり、実績や経験を積むために挑戦する価値は十分にあるでしょう。賞を取れれば就職の際に大きな武器となりますし、受賞できなかったとしてもエントリー作品をポートフォリオとして提示することが可能です。
ゲームプランナー向けのイベントに参加する
ゲーム業界への就職を目指す学生向けに、ゲーム企画書の書き方やポイントを伝授するイベント・ワークショップも開催されています。個別にフィードバックを受けるチャンスもあるため、プランナー志望の就活生は積極的に参加すると良いでしょう。
ゲーム企画書の書き方については、以下の記事を参考にしてみてください。
学校の選び方
ゲームクリエイターの専門学校の場合、大学と比べてより実践的なカリキュラムが組まれている傾向にあります。専門的にゲーム制作のスキルを身に付け、即戦力として働けるゲームクリエイターを目指したい人に向いています。
一方、企画職志望、または他の業界も視野に入れている場合は、大学の方が進路の汎用性が高いでしょう。
例えば、デザイナー志望なら美術系、サウンドクリエイター志望なら音楽系、シナリオライター志望なら文学系、プログラマー志望なら情報工学系といった学部・学科でゲームクリエイターに役立つ学問を学べつつ、ゲーム業界以外の進路も検討しやすい環境にあります。
また、近年はゲーム制作に特化した学科を設置する大学も増えてきています。
技術に特化したいか・進路に汎用性を残したいかを一つの指標としつつ、それぞれのカリキュラムの特徴や合格難易度、卒業生の進路・就職実績、学費、設備の面なども加味して学校を選ぶと良いでしょう。
原則ゲームクリエイターは学歴不問の職業ですが、企業によっては大卒以上を応募条件としている場合もあるため、その点は注意が必要です。
ゲームクリエイターとしての就職先・働き方
ゲームクリエイターとしてのキャリアの多くは、企業への就職が出発点となります。
所属する組織によって働き方が異なり、中にはフリーランスとして活躍する方もいます。
以下は、ゲームクリエイターとしての代表的な就職先・働き方についての解説です。
ゲームメーカー
ゲームメーカーは、ゲームの企画・制作・販売までを行う企業です。規模や担当工程が多いため、さまざまな職種で仕事を分担しています。
中でも、企画と販売を中心に担う企業はパブリッシャーと呼ばれます。大手ゲームパブリッシャーでは、制作を行うデベロッパーとしての機能も持っているところがほとんどです。
任天堂、スクウェア・エニックス、コナミ、セガなどのメジャーなゲームメーカーの多くはパブリッシャーに分類されます。
ゲーム制作会社
ゲームメーカーが企画から販売を行うのに対し、ゲーム制作会社はメーカーから請け負った制作のみを行う会社で、デベロッパーとも呼ばれます。
形態としては、パブリッシャーが企画したゲームの制作を受注して行うケースや、一部分の工程を専門に請け負うケース、制作会社が立ち上げた企画をパブリッシャーに持ち込むケースなどがあります。
小規模な制作会社では、1人で複数の職種を兼任する場合もあります。
派遣
ゲーム業界に特化した人材会社に所属し、派遣社員として出向先企業に勤務するというケースもあります。
例えば、「コンフィデンス・インターワークス」の場合は登録型派遣ではなく常用型派遣を行っているため、派遣元会社の正社員として、取引先のゲーム会社にて常駐勤務するという形になっています。
そのため、長期的に安定して働き、豊富なプロジェクトにおいて経験・適性を活かせるポジションで活躍することが可能です。
IT企業
一部のIT企業では、社内でゲーム開発部門を持ち、力を入れて取り組んでいるところがあります。このような企業も、ゲームクリエイターの就職先として注目されています。
フリーランス
特定の企業に属さず、フリーランスとしてさまざまなプロジェクトに携わる働き方もあります。
自分の得意なものや好きなものでキャリアを伸ばすことができる自由度があり、高度なスキル・実績があれば平均以上の収入を目指すことも可能です。
ゲームクリエイターの年収
厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」によると、令和4年のゲームクリエイターの年収平均は579.8万円です。
国税庁が発表している給与取得者の平均年収が457.6万円(令和4年)となっているため、ゲームクリエイターの平均年収は比較的高めの水準と言えます。
ただし、上記のゲームクリエイターの年収は業界の平均値であり、雇用形態や働き方、スキル・経験、職種・役割によって大きく異なります。
参考:
ゲームクリエーター - 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
令和4年分 民間給与実態統計調査|国税庁
ゲームクリエイターのやりがい
ゲームクリエイターが制作に携わったゲームは市場に出回り、プレイしたユーザーの反応も届きやすいです。多くのユーザーに楽しんでもらえること、そしてその反響を肌で感じられる点は、大きなやりがいとなるでしょう。
また、一から作品を作り出す達成感を得られることも、ゲームクリエイターという仕事における魅力の一つと言えます。
ゲームクリエイターの需要・将来性
「ファミ通ゲーム白書2023」の調査によると、2022年の国内ゲーム市場規模は2兆316億円に達しています。前年と比べると1.4%増加しており、10年間の推移を見ても年々上昇傾向にあります。
また、同調査で国内のゲーム人口は5400万人と推計されています。日本の人口は1億2409万人(2024年1月1日時点)なので、国民の約44%は何らかのゲームをプレイしていることになります。
参考:『ファミ通ゲーム白書2023』が本日(8/29)発売。世界のゲーム市場やプレイヤー人口などを分析したデータ年鑑|ファミ通.com
さらに近年では、XRやメタバースといった新しい技術が注目されており、ゲーム領域への活用も広がっています。
今後もゲーム業界および関連技術の進化・発展とともに、新しいゲーム体験を創出できるゲームクリエイターの需要も伸びていくでしょう。
XRとは
- 「Extended Reality/Cross Reality」の略称で、現実世界と仮想世界を融合させて新たな体験を創造する技術のこと。「VR(仮想現実)」「AR(拡張現実)」「MR(複合現実)」などの先端技術が含まれる。
メタバースとは
- インターネット上に3DCGで構築された仮想空間やそのサービスを指す。ユーザーはアバターを介し、自由な交流や経済活動などのさまざまな体験ができる。
まとめ
ゲームクリエイターはゲーム制作に携わる職種の総称であり、主にゲームメーカーやゲーム制作会社などで働いています。やりがいも大きく、ゲームへの熱意が強い人には向いている仕事です。
ゲームクリエイターになるには、専門学校や大学で学んだあと企業に就職するという流れが一般的ですが、中には独学でスキル・経験を磨いて就職するというケースもあります。
職種によりルートも異なるため、ゲームクリエイターを目指すためには、現段階での自身の方向性と照らし合わせながら進路を検討しましょう。
ゲーム市場規模や業界の発展・進化から見ても、今後も将来性が期待できる職業と言えます。
引用元:https://www.famitsu.com/news/202308/29314815.html