ゲームの企画・開発における「コンセプト」の考え方|テーマや概要との違い

ゲームの企画・開発における「コンセプト」の考え方|テーマや概要との違い

ゲームの企画・開発における「コンセプト」の考え方|テーマや概要との違い

プロジェクトを進行するには、企画の段階からしっかりとしたコンセプトを作成することが重要です。
コンセプトを作成することで、開発面と販促面の双方にメリットが生まれます。
本記事では、コンセプトの意味と、コンセプトを作成する目的とメリットについて、詳細を掘り下げながら解説します。

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  1. 1コンセプトとは
  2. 2テーマとの違い
  3. 3ゲーム制作でコンセプトが担う重要な役割
  4. 3.1ゲームを企画する上で
  5. 3.2ゲームを作る上で
  6. 3.3ゲームをリリースした後の観点
  7. 3.4総合的に見て
  8. 4コンセプトの役割と設定のメリット|コンセプトが必要な4つの理由
  9. 4.1開発者同士での意思疎通を円滑にする
  10. 4.2開発の方向性を明確にできる
  11. 4.3プロジェクトの成功率を高められる
  12. 4.4製品のブランディング確立や販促につなげることができる
  13. 5コンセプト作成時のポイント
  14. 5.1ターゲットを明確にする
  15. 5.2市場と競合製品を分析する
  16. 5.3言語化した具体性のある内容にする
  17. 5.4ビジネスとしてのコンセプト策定を意識する
  18. 6コンセプト策定に行き詰まったときの対処法
  19. 6.1考え方を見直す
  20. 6.2視点を変える
  21. 7まとめ

コンセプトとは

図解

コンセプトとは、「概念」や「観念」などの意味で使われます。考え方の基軸となる部分とイメージすると良いでしょう。

主にマーケティング活動で使われることが多く、重きをおいている価値観や方向性のことを指します。
コンセプトを定めることにより、開発する商品やサービスの戦略がブレることなく開発を進めることができます。マーケティングにおいても、コンセプトに基づいたターゲット層の選定やPR活動により、戦略的な広報活動を行うことが可能です。

マーケティングから開発に至るまで、明確なコンセプトの設計は重要な鍵を握ります。

また、ゲームの企画時において「しっかりとした軸のあるコンセプトを定められるかどうか」が、ゲームの売れ行きに直結すると言っても過言ではありません。

テーマとの違い

コンセプトに似ている用語として、「テーマ」があげられます。一見同義に感じやすい言葉ですが、ビジネスシーンで用いられる場合の意味合いは大きく異なります。

テーマは、芸術作品やデザインを定める際に使用されることが一般的です。Webサイト制作におけるデザインの際に使用されることはありますが、マーケティングや開発の場で「目標」の意味として使用されることはありません。企画に対する「意図」や「意思」という表現が適切です。

開発やプロジェクトの場において、テーマは土台として扱われます。定めたテーマをもとに様々な要素を肉付けし、コンセプトをより充実したものにします。
テーマは、開発を始める段階でラフ画のような役割を果たし、テーマで定めた意図をもとに具体的な目的を設定するものがコンセプトです。

ゲーム制作でコンセプトが担う重要な役割

図解

ゲーム開発におけるコンセプトは、「どう面白いか」「何が面白いか」が最も重要です。
コンセプトを作成するときは、最もゲーム内に盛り込みたい要素をリストアップし、そこに肉付けをする形でアイデアを盛り込むと良いでしょう。
ただし、ただ多くの機能を実装するのではなく、UXを加味した上でバランスを考えながら企画する事が必要です。

本章では、コンセプトを策定するべき理由と重要な役割を、各開発段階ごとにフォーカスして解説します。

ゲームを企画する上で

ゲーム開発の最初の段階である「企画」において、早速コンセプトが必要になります。
コンセプトとは作品を作る上で骨組みとなる部分です。基礎がしっかりしていなければ、そこにいくら装飾を施してもきちんとした形になりません。

建築物を建設するときのように、まずは骨組みと基礎を固めてから、中身の細かい装飾に手を入れることが必要です。

このフェーズでは、「製品をより魅力的なものにするための土台作りをすること」がコンセプト作成の一番の目的といえるでしょう。

ゲームを作る上で

ゲーム制作はチームで行います。そのため、コンセプトや仕様書がしっかりと言語化されたものでないと、企画発案者と開発者の間で認識の齟齬が生まれてしまいます。
早い段階で間違いに気づくことができれば良いですが、気付かぬまま開発を進めてしまい、後から気付いた場合は作業のやり直しを強いられることになり、開発における重大なトラブルの原因となります。

企画時に意図したことを、開発者に的確に説明できるような「具体性のあるコンセプト」を設定することが重要です。

このフェーズでは、「開発チーム内で適切に情報を共有し、説明できるようにすること」がコンセプト作成の一番の目的と言えるでしょう。

ゲームをリリースした後の観点

ゲームの開発が完了し、晴れて市場へ向けてのリリースが完了しても、クリエイターの仕事は終わりではありません。市場の動向を注視しつつ、適切な改善を加えて製品の質をブラッシュアップすることが必要不可欠です。
また、製品の販促活動として「PR」や「広告媒体への掲載」を行うことがあります。
その際に、「コンセプトがしっかりとしたものでない」、あるいは「作成されていない」と上手く製品の長所をアピールすることができず、ユーザーを獲得できないことがあります。

このフェーズでは、「販促の観点から、ゲーム製品のPRの手助けをすること」がコンセプト作成の一番の目的と言えるでしょう。

総合的に見て

ゲーム開発には多くの人の労力や、時間とお金がかけられています。ビジネスとしてゲーム製品を開発するのですから、開発費が回収できないと会社の存続に関わる重大な問題に発展しかねません。
常にヒット作を出し続けることは非常に難しいですが、既にヒットしている作品には必ずコンセプトがあります。激しい競争の中に、コンセプトを定めずに足を踏み入れても、勝ち目はほぼ皆無でしょう。

企画の段階からしっかりとしたコンセプトを作成することが、ゲーム開発の準備に必要であることを理解しましょう。

コンセプトの役割と設定のメリット|コンセプトが必要な4つの理由

図解

コンセプトを明確にすることには、様々なメリットがあり、同時に必須項目とも言えます。
端的に言えば、コンセプトは開発やPRの時に「どんなゲームを作る(作った)のか」を端的に言語化するために必要です。コンセプトが抜けていると他者に開発意図が伝わりづらいため、様々な支障をきたします。

コンセプト設定のメリットと必要な理由は、具体的に以下の4点が挙げられます。

開発者同士での意思疎通を円滑にする

コンセプトがあることは、開発者間での意思疎通の手助けになります。
ゲーム開発は、複数人で構成される「開発チーム」によって制作されます。明確な指針が存在しない場合、これから作ろうとする製品のイメージが一致しないなどのトラブルの原因になります。

また、開発を進行するにつれて新しいアイデアや意見が出てくることがあります。そのような時に、基軸となるコンセプトを定めておくことで、開発者間での認識がブレることなく開発を進めることができます。開発の過程で様々なアイデアや意見が交錯した時にも、コンセプトがしっかりしていれば各々の意見を説明し合うことができ、柔軟に適切な対応を取ることが可能です。

先述の通り、仮にコンセプトが曖昧な場合や、そもそもコンセプトが作成されていない場合、開発の根本から問題が生じてしまいます。
企画を作成した者の意図に沿った製品開発を行うためにも、企画者が頭の中で描いたゲーム像を上手に言語化し、説明できるようにする事が必要です。

開発の方向性を明確にできる

ユーザーに評価される魅力的な製品を開発するには、基礎がしっかりしたコンセプトが必須です。コンセプトが曖昧なまま開発を進めると、製品のターゲット層や製品の価値が正しくPRできず、顧客満足度の低下に直結します。
コンセプトを明確にするには、製品の方向性をしっかりと言語化して設計することが重要です。

前項での記述との共通する部分としても、抽象的なコンセプトでは開発時に迷いが生じるほか、チーム内での意思の共有が難しくなります。具体的な言語化ができているコンセプトがあれば、開発に際して情報共有が円滑に行えるほか、開発者全員が目指すべきゴールに向くことができます。

また、ユーザーのターゲットが明確になることで、ターゲット層に適した製品の開発が可能です。ターゲット層が求めるものにマッチした製品が完成すれば、市場での立ち位置の確立と顧客からのブランドの支持につながります。

プロジェクトの成功率を高められる

市場分析のデータに基づき設計されたコンセプトは、プロジェクトの成功率の向上にも寄与します。

市場からの需要やニーズがない製品を開発しても、ヒットする確立は極めて低いと考えられます。製品が売れなければ、開発費が回収できないだけではなく開発に要した時間も無駄になるため、会社にとって大きな損害が生じてしまいます。
そこで、コンセプト設計の際に市場調査や競合製品の情報をリサーチすることにより、自社製品のセールスポイントを明確化すると良いです。競合製品との差別化を図り、自社商品の強みをPRすることで、ターゲット層の興味を惹く広報活動を行うことができます。

市場分析の行程をしっかりと踏むことで、ターゲット層にアプローチする方法とPRの方法が確立され、プロジェクトの成功率が高まります。

製品のブランディング確立や販促につなげることができる

製品のコンセプトが強固で確立されたものであれば、良い製品の制作の手助けとなります。
また、開発コンセプトを公開することで、広告媒体やSNSなどで話題を生む効果も期待できます。ユーザーのクチコミから樹形図的に新しいユーザーへと情報が広がり、製品の販促に繋がります。

コンセプトは、市場分析やターゲット層のリサーチをもとに作成します。調査内容に基づき作成されたコンセプトにより開発が進められるため、より広い範囲で情報を収集し細かく分析することが必要です。
得られた情報から、ターゲットとするユーザーに好印象を与える「キャッチコピー」の作成を考えることもできます。コンセプトの確立は、広報などの販促にも役立つのです。

コンセプトを作成する際は、製品の独自性を出すためにも市場全体の傾向や競合他社の分析を行うと良いです。目指すべき目標を明確化できることはもちろん、自社製品の独自性を計画できる場合があります。自社製品に強みを見出すことにより、他社製品との差別化今後の製品開発の戦略の指針を得ることができます。

コンセプト作成時のポイント

図解

コンセプトを作成するにあたり、いくつか抑えるべきポイントがあります。
具体的には下記の通りです。

ターゲットを明確にする

コンセプトを作成する時に一番に考えるべきことは、ターゲットの設定です。闇雲にパッと思いついたものを作っても、市場での需要やニーズがなければヒットすることはありません。
そこで、ターゲットとなる層の「年齢」「性別」「職業」「生活スタイル」「嗜好」等の背景を詳細に設定することで、的確にニーズに応えることができます。背景が詳細に設定されていると、開発者サイドも「情報の認識のズレ」を最小限に留めることができ、ブレのない円滑なプロジェクト進行につながります。

また、後述の「市場と競合製品を分析する」の項目にも当てはまりますが、既存製品に対してユーザーが感じている不満を調査することもコンセプト作成において必要です。調査の結果、明らかになったユーザーの不満を埋めることのできる製品は、確実にニーズが存在します。このように、ニーズをもとにコンセプトを作成することも戦略の一つです。

市場と競合製品を分析する

市場と競合製品の分析も、コンセプト作成の際に重要な要点の一つです。既存製品への不満を埋める製品の開発は、高確率でニーズを獲得できるビジネスチャンスと捉えられます。

例えば、既存製品よりも機能が乏しい製品を同じ価格でリリースしたとしても、売れ行きは期待できません。しかし、機能が乏しい製品でも既存製品よりも低い価格でリリースした場合、一定のニーズがあると考えられます。
市場には「既存製品よりも高性能な製品を求めているユーザー」もいれば、「既存製品より機能が少なくても安価であることを求めるユーザー」もいるのです。
開発コンセプトを作成するにあたり、どちらの層をターゲットにするかを選択し、開発をスタートさせる必要があります。そのためには市場と競合製品の分析が必要不可欠なのです。

製品開発においては、市場で競合製品が先行販売されている場合がほとんどです。その中で自社製品の優位性を高めるためには、既存製品の強みと弱みを分析し、顧客のニーズがどこにあるのかをしっかりと調査することが重要です。

言語化した具体性のある内容にする

コンセプトは開発時だけではなく、商品のリリース後も広報活動に利用される、なくてはならない大黒柱のようなものです。そのため、あらゆる部署の関係者にコンセプト作成時の開発意図が伝わるようにしなければなりません。また、商品のPR文句として使用されることもあります。
曖昧な表現や抽象的な表現は避け、できる限り具体的かつわかりやすい表現を心がけましょう。

また、コンセプトはターゲットに対して製品を売り込む武器でもあります。
広告には、インパクトがあり記憶に残りやすい言葉を用いると、ターゲットに魅力を感じてもらいやすくなります。

ビジネスとしてのコンセプト策定を意識する

ゲーム開発は、ビジネスです。そのため、明らかに開発費が回収できないような計画や、市場のニーズがない計画を立てても、売れ行きは期待できません。
「自分が作りたいゲームを作る」という信念は大切ですが、「ビジネスとして」の観点も取り入れたコンセプト策定が必須です。

開発会社として、利益を上げることが一番の優先事項です。利益を上げる目標と算段を達成しつつ、自身の作りたいものや機能を実装していくという優先順位を意識しましょう。
また、会社として今回開発する作品の開発目的と目標が示されている場合は、それを加味したコンセプトの作成が必要です。

コンセプト策定に行き詰まったときの対処法

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まとめ

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