ゲーム制作でのアイデアの出し方|考え方の基本とおすすめのアイデア発想法
ゲーム制作にはなにかとアイデアが必要とされます。この記事では、アイデアが出せず行き詰っていしまっている人へ、プロがアイデアを出す時の考え方を解説、マインドマップなどさまざまなアイデアを出すための思考法・発想法の中・フレームワークから、おすすめのものをご紹介します。
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- 1ゲーム制作において、常にアイデアが必要となる
- 2アイデアを生み出すために必要なこと|基本
- 2.1アイデアを集める|必ずメモをする
- 2.2アイデアを作る|完全なオリジナルといえるようなアイデアはない
- 2.3アイデアを伝える|プレイヤーの視点で考える
- 3ゲーム制作におすすめのアイデア発想法|具体的にどうすればいいか
- 3.1ブレインストーミング
- 3.2マインドマップ
- 3.3オズボーンのチェックリスト
- 3.4KJ法
- 3.5RPG発想法
- 3.6逆算思考
- 3.7締め切り・ノルマを設定する
- 4ゲーム制作の現場で使われる、専門的なフレームワーク
- 4.1MDA
- 4.2EMS
- 5アイデアが出ないとき、行き詰まってしまったときは
- 5.1先入観を排し、発想を逆転させる
- 5.2無関係の物を組み合わせてみる
- 5.3既存の作品を分析してみる
- 6実現可能かを考えることも大切
- 6.1トレンド、流行を知ることも大切
- 7まとめ
- 8他の記事へのリンク
ゲーム制作において、常にアイデアが必要となる
ゲーム制作において、アイデア(もしくは、アイディア)出しは基本となる部分です。企画の素案を練ることからはじまり、制作する段階の技術的な壁を解決するためにもアイデアは必要となります。
ゲームに限らずとも、なにかしら新しい物を作る時、技術的な難問を解決する時には、新しいアイデアが求められるでしょう。
本記事では、ゲーム制作を考えている人、「ゲームプランナーを目指している人」や「新しいアイデアを求めている人」や「アイデア出しにいき詰まっている人」へ、アイデアを出すための基本的な考え方から、具体的なアイデア発想法までを詳しくご紹介します。
アイデアを生み出すために必要なこと|基本
ゲーム制作に限らず、アイデアを出すためには様々な方法があり、人によってそれぞれ適した手法があります。
しかしながら、共通している部分や、普遍的な考え方もあるので、まずはそれらの基本を知っておきましょう。
アイデアを出す時の基本として、アイデアを「集める」「作る」「伝える」際に必要となる考え方を説明します。
アイデアを集める|必ずメモをする
素晴らしいアイデアを閃いたとしても、忘れてしまっては意味がありません。日常的にアイデアをメモして集めるようにしましょう。
「アイデアが脳裏に浮かんだものの、後になってからどうしても思い出せない」経験したことがある人も多いのではないでしょうか。
そういった後悔を防ぎ、後から見直して考え直すためにも、アイデアを思い付いたらすぐにメモに書き出して残しておくことが必須です。
また、視覚的な記録として書き出すことで概念としての記憶を整理することにもなり、さらにメモ自体から新たなアイデアが浮かんでくることもあります。
思い浮かんだ単語、目に入った良いと思ったもの、心に響いたフレーズ、美味しかった食べ物などの言葉を書き記している最中にもアイデアが連想されて浮かんできます。
些細な事でも、こまめにメモする習慣をつけると良いでしょう。
メモツールを活用する
現代には紙のメモ帳以外にも様々なツールがあります。身近な例としては、スマートフォンやパソコンなのの電子機器には「メモ帳」のアプリが標準搭載されています。
また、それらのデバイスでアイデアを保存することに最適化されたメモツールもリリースされています。
手書きで記録できるものや、付箋のように整理できるもの、文字ではなくボイスレコーダーのように音声で保存することができるものなど、自分に合ったメモアプリを探してみましょう。
アイデアを作る|完全なオリジナルといえるようなアイデアはない
アイデアを作る時、よく「0から生み出す」と言いますが、「完全にオリジナルといえるアイデアはない」とも言われます。
「インスパイア」「オマージュ」「モチーフ」などの様々な言葉がありますが、どんなに奇抜で独創的なアイデアも、何かしらの既存のものから影響を受けています。
発想の元は、何かのゲームかもしれませんし、漫画のキャラクターかもしれません。既存のものに刺激をうけて、そこからアイデアを思いつくことは悪い事ではありません。
元となる要素が同じでも、自分なりの要素を加えていくことでオリジナリティが生まれるのです。
完全な模倣やコピーは著作権の侵害に当たりますが、オリジナリティを継ぎ足すことで、より新しい物・より良い物を作り上げるという根本的な理念を忘れずに、アイデアの創造に取り組むことが大切です。
アイデアを伝える|プレイヤーの視点で考える
ゲーム制作において製作者は、アイデアによって影響を与える相手、つまりゲームを遊ぶ人である「プレイヤー」の立場になって考える必要があります。
ゲームは製作者が作って終わりではなく、遊ぶ人が存在して成立するものだからです。
そのため、ゲームを作る側がどう思っているかと同じくらい、ゲームを遊ぶ側がどう思うかも大切です。
「プレイヤーがどう感じるか」を制作者が想定し、ゲーム体験をより良いものにすることを考えましょう。新しいアイデアであっても、プレイヤーを不快にさせてしまうものであるのなら、逆効果になってしまいます。
感情を大切にする|感情を動かすものは、感情が動いたときの経験から作られる
日常で感情が動いたとき、その感情を大切にし、何に感動したのかをメモに残しておきましょう。
なぜならゲームとは「体験」だからです。ゲーム制作者にはゲームを通して伝えたいことや、知ってほしいことがあります。ゲームをプレイしてもらい、伝えたい思いを体験してもらうことがゲーム制作の目的です。
難しい哲学的なものだけではなく、ゲームのリズムや爽快感、クリアの達成感、キャラクターへの愛着など、様々な要素に感情の動きが関わってきます。
作った人が面白いと思ったことが盛り込まれていなければ、プレイヤーが面白いと感じるものはつくれません。面白いと思ったもの、良いと思ったものを伝えるためには、自分自身がそれについて知っていなければならないのです。
ゲーム制作におすすめのアイデア発想法|具体的にどうすればいいか
アイデアを出すための発想法は多岐にわたります。有名で代表的な物では、「ブレインストーミング」と呼ばれる、アイデアを出してから思考を整理することで課題解決や現状分析をする思考法などがあります。
ここでは、様々な発想法の中でも特にゲーム制作で役立つものを、具体的な方法を含めてご紹介します。
ブレインストーミング
「『思い浮べた言葉』その言葉から『連想する言葉』を書き出していく」という単純な思考法です。
単純でありながら効果的な手法で、まずはブレインストーミングを行い、頭の中から関連するキーワードを引き出していくことが基本となります。
マインドマップ
マインドマップは、トニー・ブザン氏が考案した創造性を高める思考表現の方法として世界中で使われているものです。ブレインストーミングと違って、1つの大きなイメージ画として着色によってイメージの重要性や方向性が視覚的にわかりやすくまとめられる点も、アイデアの発想にあっているものです。
マインドマップの書き方
① | 無地の用紙を横長に置き、「中央にテーマとなるセントラルイメージ」を書く。 |
② | 中央から太い枝を伸ばし、キーワードとなる「1つの言葉」を大きく書く。 (※この際、太い枝はそれぞれを違う色を使う) |
③ | 太い枝から同じ色で線を枝分かれさせていき、連想する「1つの言葉」を小さく書く。 (※枝分かれさせるたびに文字を小さくしていく) |
④ | 大事な言葉を囲んで強調させる。 マークをつけたり、関連性があるが遠い枝に向けて矢印を書き整理する。 |
この書き方をすることで、自然と中央から端へ向かって文字が小さくなっていく形になり、わかりやすくまとまります。
マインドマップでは長い文章は書きません。文章を思いついたときは、それぞれの言葉・単語に分解して、枝分かれさせていくことが大切です。
また、マインドマップの枝に書く言葉は、絵で描いてもよく、より多くの絵を使うこともイメージ力を高めるために有用とされています。
オズボーンのチェックリスト
オズボーンのチェックリストは、ブレインストーミングと同じくアレックス・F・オズボーン氏が編み出した「アイデアが浮かぶプロセスを形式化した思考法」です。9つの別の視点から異なる考え方をすることで、今までになかった、見落としていた新しい発見をする際に有用な手法です。
オズボーンのチェックリスト|9つの視点
転用 | 他の使い道はあるか? 違う使用方法を探してみる。 |
応用 | 真似ができるか? 既存の似たものからアイデアを借りてみる。 |
変更 | 別のものにできるか? 色・形・動き・音・形式などを変えてみる。 |
拡大 | 大きくできるか? より強く・長く・多く・高くなど数値を増やしてみる。 |
縮小 | 小さくできるか? 規模や必要数を減らしたり、分割や圧縮してみる。 |
代用 | 代わりのものがあるか? 素材・要素に代用して使えるものがないかを探す。 |
置換 | 入れ替えたらどうか? 他の場所に置いたり、役割を取り換えてみる。 |
逆転 | 逆に考えてみたらどうか? 順番・上下などを反対にしたり、前提を覆してみる。 |
結合 | 組み合わせてみたらどうか? 合体・混合して、要素を合わせてみる。 |
SCAMPER法
SCAMPER法とは、オズボーンのチェックリストの9つの視点で見てもアイデアが足りない場合に追加で使われる発想法です。7つの考え方があり、それぞれの頭文字から名付けられています。
視点そのものはオズボーンのチェックリストと意味が被っていますが、再度考え直す、違う方向性を模索するという意味でも、2回目をやることは有用なやり方です。
代替 (Substitute) |
代用・置換。 さらに他の要素に置き換えてみる。 |
連結 (Combine) |
結合。 関連性のないまったく別の物同士を組み合わせてみる。 |
適応 (Adapt) |
応用。 他のものに当てはめてみる。成功例に倣ってみる。 |
修正 (Modify) |
変更・拡大。完成したものを見直してみる。 |
流用 (Put to other uses) |
転用・代用。 他業種ではどうかを考えてみる。 |
除去 (Eliminate) |
縮小。 不要な部分を削り、最小限にしてみる。 |
再構築 (Reverse,Rearrange) |
置換・逆転。 要素をそのままに順序を入れ替えてみる。 |
KJ法
ブレインストーミングとセットで行われることの多い思考法です。アイデアを出す段階で、それぞれをカードや付箋に書いて、物理的にまとめることで思考をわかりやすく整理する方法です。考案者の川真田二郎氏の苗字と名前のイニシャルから名付けられました。
KJ法のやり方
KJ法は大きく分けて、アイデアの「書き出し」「グルーピング」「まとめ」の3つの段階に分かれています。
書き出し | ブレインストーミングによってアイデアを書き出し、カードに書く。 | |
グルーピング | ① | 書き出したアイデアを関連する小さなグループにまとめる。 2・3枚のペアをつくる。 |
② | グループをさらに大きいグループとしてまとめる。 10グループ以内にする。 |
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まとめ | ① | グループ同士の関係性を図解化する。 記号を書き足してわかりやすくする。 |
② | 総評。アイデアをまとめる。 全体を見て文章・言語化する。 |
グループ化する際に、どのグループとも関連づかず一致しないアイデアは、無理にグループ化せずそのままにして残しておきます。他にはない独自の視点のアイデアとして有用で、どこかで効果を発揮するかもしれません。