【ゲームプランナー必見】アイデアを上手くUIデザイナーに伝えるには?
ゲーム制作において、UI制作の一部をプランナーが担当する場合があります。
一方で、デザイナーとの齟齬が発生し、修正回数やコミュニケーションコストが増加するといった問題が起きることがあります。
それを避けるためにプランナーができること、知っていた方が良いことを紹介します。
UI(User Interface)とは
デジタルゲームにおけるUIデザインについて考えるとき、ほとんどの場合がGUI(Grafical User Interface)のことを指してUIと言っています。そのため、本記事ではGUIについてのデザインの話を扱います。
UIとGUIの違いなど、それぞれの定義については用語を解説している記事があるので、そちらを参照してください。
プランナーとUIデザインの関係
近年、ゲームのUI(User Interface)に注目が集まるようになりました。ユーザーがゲームを評価する際に、UIのクオリティも意識するようになったと言えるでしょう。
UIデザインという役割が明確になったのは、ゲーム業界の歴史において比較的新しい出来事です。分業化が進む以前は、プランナーが作業の一部として担っていたことがあり、UIデザインはグレーゾーンにある業務でした。
また、UIデザインと関連する概念として情報設計(インフォメーションアーキテクチャ)があります。
情報設計とは、情報を整理してユーザーに分かりやすい形式にすることや、ユーザーが情報にアクセスしやすくする手法のことです。
プランナーは制作中のゲームにおいて、情報設計を行う前の情報をすべて持っている役職と言ってよいでしょう。そのため、ユーザーに伝えたい情報に関する知識を最も持っています。つまり、実際に情報を提示するUIの制作に関わるのは必然と言えます。
プランナーとデザイナーの間で起きる問題
分業化が進んだ現在のゲーム制作では、プランナーがデザイナーにUIデザインを発注する形式が一般的です。また、UI/UXデザイナーというUIを専門とするデザイナーがいることが一般的になっており、プランナーとUIデザイナーが連携して制作します。
その際に、プランナーはどのようなデザインで作ってほしいのか、どういうことがしたいのかをまとめた仕様書をデザイナーに渡します。しかし、思ったものと違うデザインが帰ってきたり、欲しい要素が抜け落ちているといった問題が発生することがあります。
こうした問題の原因は何なのでしょうか。
問題が起きる原因
なぜプランナーとデザイナー間の問題が起きるのかを考えると、以下の3つの原因に分けられます。
- プランナーによるもの
- デザイナーによるもの
- 組織によるもの
プランナーによるもの
まずはプランナーが原因となっている場合です。
対デザイナーに限った話ではありませんが、コミュニケーションや情報伝達が主な原因となっています。ここでは、デザイナーとのやり取りにおいて、具体的にどういうミスが原因となっているのか、例を通して紹介します。
仕様書の情報不足
プランナーはデザイナーに対して、どういったデザインにしてほしいかをまとめた仕様書を渡すことで、仕事の発注を行います。
その際に渡す仕様書に書かれている情報が不十分であれば、デザイナーはどうすればよいか分からず、想像でデザインを行うしかない状況に陥ります。
簡単な例を通して考えてみましょう。
あるプランナーは上の画像のようなデザインを期待して、以下の内容を踏まえたデザインを作ってくださいとデザイナーに依頼しました。
ガチャ画面の制作
- ガチャの種類をガチャ画面で選べるようにして欲しい
- 1回引くボタンと10回引くボタンが欲しい
- キャラのイラストを大きく見せたい
- ホーム画面に戻るボタンが欲しい
- ガチャの情報を伝えるテキストが欲しい
しかし、提出された初稿は次のようなデザインでした。
このデザインは提示した要望にはすべて応えています。
しかし、このガチャ画面はプランナーが本当に達成したかったデザインではありません。
提出された初稿には、ガチャを引くためのゲーム内通貨の所有数や、ガチャの提供割合を見ることができるボタンなど、ガチャ画面においてお約束と言える要素が欠けています。
他にも、別のガチャの並びが縦並びではなく横並びだったり、ガチャに関するテキストの想定スペースや中身まで異なるなど、要望に応えていても想定と異なる部分は多数あります。
恐らくこのプランナーは、「ガチャ画面と伝えれば、この要素は最低限含んでもらえるだろう」と思い、お約束的な要素を伝えていなかったのでしょう。そのため、欲しい要素が足りない、思っていたデザインではないと感じるデザインが提出されることになりました。
デザイン知識の不足
プランナーがデザイナーにイメージを伝える際に、デザイン知識が不足していることが原因で上手く伝えられていない場合があります。
極端な例ですが、プランナーが「かっこよくしてほしい」と伝えたとします。
皆さんはかっこいい色といえばどんな色を想像しますか?赤ですか?それとも青ですか?
さらに、かっこいいと言ってもクールな感じや、スタイリッシュ、和風などと様々あります。
このように、イメージを共有することは意外と難しいやりとりです。
こうしたすれ違いがデザインの各要素に積み重なった結果、「思ったデザインじゃない」と言うことになるのです。
また、仕様書やデザインのイメージを共有するために、プランナーがワイヤーフレームの作成を行う場合があります。こちらもデザイン知識の不足による問題を引き起こす要素の一つです。
当然ながら、プランナーはデザインのプロではありません。そうした人が作ったワイヤーフレームは要素を配置しただけで、視線の導線や画面の遷移が考えられていなかったり、デザインルールを守っていない可能性があります。
これをデザイナーが確認して、「ワイヤーフレームに含まれている要素はすべて含めなければいけない」と思われてしまえば、情報の適切な取捨選択、優先度の変更などが行いにくくなってしまいます。これによって「思ったものと違うデザイン」が生まれます。
デザイナーによるもの
問題が起きる原因は、プランナーによるものだけではなく、デザイナーによるものもあります。
ここでは、プランナーが関与できる範囲内の原因を考えます。
企画の趣旨を理解していない
ゲームにおけるUIデザインの目標は、使いやすさのみを追及するものではなく、ゲーム体験の最大化も目標の一つです。その目標の達成のためには、あえてUIを目立たなくしたり、使いづらくすることさえ選択肢の一つに含まれます。
つまり、デザイナーにとって必要な情報は仕様だけではありません。なぜそのUIを必要としているのか、その画面においてどういう体験をさせたいのかといった情報も重要になります。
企画書や仕様書に書かれている内容しか制作中のゲームについて知らない、知る方法がないといった場合は、作業に必要な情報が欠けているといってもよいでしょう。
組織によるもの
デザイナーの裁量が小さい
これは組織的な問題なので簡単に解決できない点ではありますが、UIのクオリティに影響を与えてしまう原因の一つです。
デザイナーに与えられている裁量が小さい場合、プランナーが提示したワイヤーフレームや、仕様書に大きな変更を加えることが困難になります。その結果、そのまま各要素のグラフィック面を良くして終わり、となってしまいます。
この場合、UIの各構成要素の見た目としては良いものができるかもしれません。しかし、UIとして優れたものにはなりません。なぜなら、プランナーはデザインのスペシャリストではないからです。そのため、ユーザーに提示すべき情報をすべて把握していたとしても、それをデザインに落とし込むことは困難です。