【ゲームプロデューサーを目指す学生がクリエイターにインタビュー】 チームビルディングで最初にやることは自分のこと? 河野一聡#2

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実際のチームビルディング
福山「ゲーム開発の流れとして、プリプロダクションに至るまでにコアメンバーを集め、遊びとして面白いかを判断してから大規模制作、といった工程で説明されることが多いです。実際はどのように人を探し、どんな人をコアメンバーとして求めているのでしょうか。」
河野様(以下、河野と表記)「チームビルディングを勉強するための本だったり、記事だったりとか、困っている人に読んでもらいたいので、フレームワークとかこういうメソッドがありますよみたいな話が書かれていますよね。」
河野「今日は、現場のチームビルディングをもうちょっと身近な感覚というか、僕の体験からお話しできればと思います。まずチームビルディングって会社の経営目線や事情もあったりするので、気の合う仲間たちを集めてどうこうという話にならないですよね。」
河野「でも実際は、人を探すという意味で言うと、結局はキーマンを固めないといけないですよね。事情や建前はあるにせよ、チームビルディングの面で人を探すとなったとき「仲間」を探さなきゃいけない。」
ディレクターともなるとコアメンバーとなることも多いだろう。その中で、どのようにチームビルディングを行っているのか尋ねると、教科書的な手法というより現実的な観点での答えが返ってきた。
また、チームビルディングに対して、河野さんなりの考え方もあった。
チームビルディングで最初にやること
河野「ちょっと変な話になりますけど、チームビルディングで最初にやらなきゃいけないことは周りより自分のことだと思っています。」
河野「というのも、絶対になんとしてもこれを成し遂げるんだっていう僕の志はそもそも何だっけという所がはっきりしていないとチームビルディングできないと考えているんです。」
河野「それで、結果、僕の場合は人を感動させることだって分かりました。もうちょっと柔らかく言うと、単純に自分たちが作ったものを観て、お客様だったり社内の人でも誰でも良いんですけど、これは凄いわって驚いてくれている瞬間が僕は一番好きなんですね。」
河野「なので、僕はそういう瞬間をとにかく作りたいという志で、この業界でコンテンツを作っているんです。なぜこの話をしたかというと、チームビルディングするときって、この志に対して共感してくれる人たちの集まりであることが必要なんです。」
─── 人を集めてチームとして団結させるのに、最初にやることが自分のことだと言われたとき、少し違和感を持ちましたが、最後まで聞くと納得しました。何によってチームを作るのか、それが河野さんの考えでは「自分の志」だから最初に自分の志を整理する。また、ここでは人を集める側の立場ですが、集められる立場になった時には中核となる人の志を確認すると良いのかもしれません。
志に共感してもらう必要性
河野「現実は、いや僕は全然そういう感動とかいいんだ、与えられたことだけをやりますとか、僕はとにかくお金を儲けたいんですとか、なかなかそんな綺麗に理解してもらえないですよね。でも、その人たちの数年の期間をもらって難局を乗り越え続けて完遂するためには、まずは志に共感してもらわないといけない。」
河野「このプロジェクトで僕は自分の志をどうやって成し遂げるのかという手段を考えていくときに、例えば今だとエースコンバットの新作で世界中の人たちに驚き、感動を与えたい。そのためのゲーム作り、コンテンツ作りだっていう具体的な手段になります。」
河野「もっと具体化すると、何月に世界中にお披露目して、その瞬間に世界の人たちが驚いて感動するという状態を作りたい、手に取って遊んでもらったときに、ここに、ここの瞬間に驚いて感動して、とかが志を実現するビジョンとして決まってくる。それを一生懸命、自分の言葉で話して、共感してくれる人たちの集まりがまずチームのコアになっていく。そうでないと、どうにも上手くいかないんです。」
河野「チームビルディングのために人を探すという意味では、自分の志を具体化したビジョンだったりとか目標だったりとか目的に共感してもらえる人たちを探しています。」
今回のお話をうけて
求人などで、こんな人を探しています!という項目に会社の理念やビジョン、風土に合う人のような文言を見かけることがあります。これに対して、いくらでも言えてしまうことなのでは?と思って、あまり真に受けていませんでした。
河野さんのお話をうけて、企業側がそう言いたくなる理由が理解できた気がしています。完全に共感できる人を見つけ出すことは難しくとも、社員やスタッフの方向性をある程度揃えることで、コミュニケーションやアウトプットに関する課題を最小限にできそうだなと感じます。
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