【ゲームプロデューサーを目指す学生がクリエイターにインタビュー】生理的欲求に近いことを仕事にできると良い ヨコオタロウ#15

【ゲームプロデューサーを目指す学生がクリエイターにインタビュー】生理的欲求に近いことを仕事にできると良い ヨコオタロウ#15

【ゲームプロデューサーを目指す学生がクリエイターにインタビュー】生理的欲求に近いことを仕事にできると良い ヨコオタロウ#15

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  1. 1ホストの話
  2. 2インタビューという名の雑談、その2
  3. 3今回のインタビューをうけて

ホストの話

ヨコオ様(以下、ヨコオと表記)「ちょっと雑談なんですけど、知り合いから聞いたホストの話で、女の子が歩いているところにホストが『ねーねー、お姉さん』って声かけてて。よくあるじゃないですか、そういうキャッチが。」

ヨコオ「『今ナントカがすごい流行ってるけど、お姉さんの恰好、超流行だよね~』みたいな話をすると、お姉さんが『こんなの流行ってないよ』みたいなことを言うと、『だよね~』って言ってる。その返しがすごくない?という話で。自我はないんだけど、目的には非常に合致してる。そういう接客業務の鏡みたいな。」

ヨコオ「頭が良い人が陥りがちなのって、論理的に正しくあろうとか、自分自身がこうであってその上できちっと立脚して説明しようみたいな。そういう理屈に囚われるんですけど、本当の意味での目的を見据えたときに、それが邪魔になる瞬間ていうのがあって、そういうところの寓話としてホストの話はすごい面白い話だなって思い返しますね。」

福山「今回のインタビューに向けていろいろと調べる中で、自分が気付いてないけど囚われていることあるかもなと本当に思いましたね。」

ヨコオ「それは僕もそうですけどね。」

インタビューという名の雑談、その2

ヨコオ「でもUIの仕事すごい楽しそうでいいですよね。UIは僕の中ですごく生理的な欲求に近くて、こういうUI嫌だなみたいな怒りはすごくある。例えばテレビのリモコン最悪だなとかよく思うんですけど、そういう生理的な欲求ってすごく性欲に近いと思っているから、そういう性欲に近いことを仕事にできるのっていいですね。」

ヨコオ何か欲求がないとやっぱり作れない。穴を埋めたいのは欲求なんですけども、UIは結構欲求がある。なんかストレスを感じることが多いので。」

福山「わかります。私もそれに近い感覚でUIに興味というか仕事としてやりたいなと思います。」

ヨコオ「UIは面白いですけど、大事なところではあると思うんですけど、業務としてはなかなか理解されづらいというか。」

ヨコオ「誤ったUIやすごくストレスのあるUIを直したいっていう強い欲求を持つ人っていうのは一定数いるんですけど、それはやっぱり性癖と一緒で全くそうは思わない人も大量にいて、その中で特殊な人たち、特殊な性癖の人たちであるという自認がないと正義の押しつけになっていく。」

ヨコオ「正義の押しつけになると、エゴむき出しのダメなUIになりますよね。それはそれで面白い未来があるかもしれませんが。例えばUIとしては操作性が良くないんだけど、その良くない操作性に慣れるみたいな違うところにバリューが生まれたりして、そういうのも違ってて面白いなっていう気はするんです。」

ヨコオ「その欲求、自分の思う欲求が正義ではなくて、それを折り合いをつけることを楽しいと思える仕事になればいいですね。」

福山「自分が面白いものを作るという欲求も当然あるんですが、それよりも人がせっかく面白いものを作ったり土台を準備してくれたものがしょうもないところで面白くないって言われる可能性が生まれるのは本当に許せないなという気持ちがすごくあります。そこを仕事としてカバーできるところの一つにUIってあるんじゃないかなと。」

ヨコオ「確かにその通りです。そういう事例とか、今あるゲームのUIをどうしたら良くなるかとか100個ぐらい用意できればそれが仕事になる気がしますけどね。」

ヨコオ「どっちかと言うと本当にやる人はそういうのを許せないから片っ端から直そうとしていくタイプの人で、もし福山さんが本当にそういう人ならそういう仕事になると思います。なぜなら性癖がそうで、それしかできないから。」

ヨコオ「ただ、それよりもお金を儲けて良いタワマンに住んでみたいとかが本当は心の底で好きなことだったりすると、その欲求ではないところでお金を稼がないといけない。どうしたらプレイのリピート率、アテンションが高いUIになるだろうみたいなことにシフトしていくと思うんですけど、それはそれで個人のあるべき未来な気がします。」

ヨコオ「皆さんの未来は、僕には分からないですね。でも面白い話でした。ありがとうございました。」

福山「こちらこそ本当にありがとうございました。」

今回のインタビューをうけて

今回のインタビュー記事はこちらで最後になります。
長々とお付き合いいただきありがとうございます!

最後にインタビューの感想で締めにしたいと思います。

インタビューを終えてのヨコオさんの印象は、「指導教員にはなって欲しいが、指導教員以外の立場として学位論文の発表会にいて欲しくない人」でした。本質を察する能力、説明する能力がとても高い方だと感じ、研究過程において良い指摘を貰えそうだなと思う一方で、成果発表で突かれたくないところを突かれそうだなという恐怖がありました。

この企画の枠組み上、私が感じたことやお話いただいた内容はこういうことかな?という解釈を合わせて書いているのですが、具体例や話の結論を明確に述べられるので、私が何か書いても蛇足にしかならないということが多かったです。ご自身では必要に迫られて始めたと言っているシナリオですが、言葉を扱う仕事で評価されている人の力を感じ続ける時間でした。

インタビューの中身についても触れておくと、質問とそれに対する想定回答を考えた上でのインタビューをしているので、「そんなことは考えてない」「そういうことはしてない」と返されるだろうなと思っていた質問もいくつかありました。

そして、それらは実際にそのような答えだったのですが、お話を聞くまではなぜその回答になったのかという疑問に自分なりの答えを出せないまま当日を迎えていました。改めて自身の視野の狭さと無意識の思い込みや囚われの存在を感じるインタビューでした。これを読者の方にも感じていただけたのならインタビューの意味があるなと思います。

この記事から少しでも得るものがあったのであれば嬉しいです。
改めて最後までお付き合いいただきありがとうございました。

↓初回記事はこちら

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福山
ライター

福山

インターンとして執筆を行っている情報系の大学院生です。ゲーム業界への就職を目指す当事者として、業界に興味を持つ皆様のお役に立つ記事をお届けしていきたいと思います。 大学院ではカラーユニバーサルデザインやデザイン工程でのコミュニケーションについて研究しています。

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