〈ゲーム業界リレーインタビュー〉第2回 小俣泰明(アルサーガパートナーズ株式会社 代表取締役社長) - ガメモ

〈ゲーム業界リレーインタビュー〉第2回 小俣泰明(アルサーガパートナーズ株式会社 代表取締役社長) - ガメモ

〈ゲーム業界リレーインタビュー〉第2回 小俣泰明(アルサーガパートナーズ株式会社 代表取締役社長) - ガメモ

2016年に設立されたアルサーガパートナーズは、「最高品質を最速で」をコンセプトにスマホアプリからディープラーニングまでIT領域全般を得意とする開発会社。技術力の高いエンジニア集団として、右肩上がりの成長を遂げている。同社の代表兼CTOである小俣泰明氏、そしてゲーム業界で人材事業、ビジネス・マッチング、コミュニティサービスを手掛ける竹下和宏の対談を通じ、アルサーガパートナーズの人材育成方針、高い技術力を支える哲学をひもとく。

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  1. 1好奇心があれば必ず伸びる時代を問わず活躍できる技術者集団を目指して
  2. 2ミスを責めると挑戦を避けるようになる。ミスを否定しない人材育成
  3. 3技術力はいつの時代も需要がある。技術力に特化した集団を目指して
  4. 4ゲーミフィケーションの力でITサービスに変革をもたらしたい
  5. 4.1 〈ゲーム業界リレーインタビュー〉バックナンバー

好奇心があれば必ず伸びる時代を問わず活躍できる技術者集団を目指して

アルサーガパートナーズ株式会社
代表取締役社長 CEO/CTO小俣泰明


日本ヒューレット・パッカードやNTTコミュニケーションズなどの大手ITベンダーで技術職を担当し、システム運用やネットワーク構築などのノウハウを習得。その後、2009年にソーシャルゲーム開発において業界トップクラスであり、東証JASDAQに上場の大手IT企業(クルーズ株式会社)に参画し、同年6月に取締役に就任。翌年5月同社技術統括担当執行役員に就任。CTOとして大規模WEBサービスの開発に携わる。2012年6月に退任、2012年からITベンチャー企業を創業。代表として3年で180名規模の会社にする。2015年辞任。2016年ITサービス戦略開発会社アルサーガパートナーズ株式会社を設立。

株式会社コンフィデンス 取締役
竹下和広

 

ゲーム業界黎明期のSNKに入社し、同社欧州事務所代表に就任。その後、サミー、アクレイム、イグニッション・エンターテイメント・リミテッドで海外での実績を重ね、2011年、スタジオマネージャーとして関わった『エルシャダイ』を発表。現在は、コンフィデンスでゲームのトータル・ソリューション事業に携わっている

ミスを責めると挑戦を避けるようになる。ミスを否定しない人材育成

竹下僕は初めて小俣さんとお会いした時から、発する言葉、生きざまにすっかり惚れこみました。今回こうした形で、あらためてお話をおうかがいしたいと思います。小俣さんは現在アルサーガパートナーズを経営されていますが、学生時代はマンガ家志望だったそうですね。

小俣そうですね、小中学校から20歳前まではマンガを描いていました。でも、マンガが成功しなかったのでこっちの道に進みました(笑)。

 ──IT系には元々ご興味があったのでしょうか。

小俣どちらかというと、ITは手段として捉えていて。マンガや作曲などクリエイティブなことをやりたくて勉強していたら、いつのまにかコンピュータが得意になったという感じですね。

 ──就職されてからは、日本ヒューレット・パッカードやNTTコミュニケーションズなどの大手ITベンダーで技術職を担当されたそうですね。

小俣新人の頃、所属していた大手IT会社の有名なエンジニアの方から「難しいことを難しく説明するエンジニアは2流」「難しいことを簡単に説明してこそ1流」だと言われて感銘を受けました。今も、この教えは大切にしています。

竹下その後、ベンチャー企業も経験されていますよね。

小俣そうですね。1年で倒産するような会社で後悔もしましたが、それでもベンチャーのほうが断然面白いなと思って。やっぱりやりがいが違うんですよね。大手企業って、自分がいなくてもいくらでも替えがいます。でも、ベンチャーは自分の替えはいないし、自分が動かなければならない。そこにやりがいを感じました。

 ──その後いくつかのベンチャー企業を経験し、現在上場しているIT企業に入社して3ヵ月で取締役になりました。現在も経営者でありトップエンジニアという立場ですが、目線は変わりましたか?

小俣いや、それほど変わっていません。経営側の立場になっても、良いものを作るという熱意だけで動いています。

竹下僕としては、トップエンジニアであり経営者であるという点が小俣さんの魅力であり、ひいてはアルサーガパートナーズの魅力だと思っています。コミュニケーション能力に非常に長けていますよね。いろいろなスキルをお持ちで、なおかつわかりやすく説明できる方はなかなかいません。やはり新人時代の「難しいことを簡単に説明してこそ一流」という言葉を意識されているからでしょうか。

小俣それはありますね。

竹下アルサーガでパートナーズは、経験の浅い方、文系の方でもポテンシャルがあれば採用して育てていますよね。だからこそ、難しいことを簡単に説明するのが重要なのではないかと思います。人材を育成するうえで、大切にしていることは?

小俣バグは否定しないということですね。

 ──どういうことですか?

小俣より良いものを作ろうとすれば、ミスをすることもあります。そこで怒られたら、ミスを恐れて挑戦しなくなりますよね。ミスを否定したら、安全に動くプログラムをコピーするだけで済ませようという心理状態になっていくんです。そうなると、会社組織は崩壊します。

 ──とはいえ、やる気を損なわないよう正しい方向に導くのも大変そうですが。

小俣そのやり方が失敗だったと気づけば、次はどうしようかと考え、成長につながるんです。だから失敗はたくさん経験させる。そして次は失敗しないようにと考えてもらう。それが「自分自身で動く」ということだと思います。

竹下ある程度は、あえて失敗を経験してもらうんですね。

小俣経営もゲームと一緒だとう思うんです。『スーパーマリオブラザーズ』でクリボーを倒したらクリアという簡単なステージばかりだったら、ユーザーは飽きてしまいます。逆に難しくしすぎて、何百回やっても絶対クリアできないステージがあったとしたら、それもつまらないですよね。
経営も同じこと。その人に対して、ちょうどいい難易度のステージを用意してあげられるかどうか、すごく意識しますね。ゲーミフィケーション的なマネジメントを心がけています。

 ───ひとりひとりに合わせてちょうどいい難易度のプロジェクトを任せるのは、大変そうです。

小俣ありがたいことに、アルサーガパートナーズは成長し続けているため、どんどん新しい挑戦に出くわす状況になっています。自分自身もレベルアップしつつ、会社も成長している。良い相乗効果が生まれています。

竹下我々も人材事業を手掛けているので、非常に参考になりますね。そういったマネジメントを実現できるのも、小俣さんのコミュニケーション能力あってのことだと思います。

小俣相手に伝わらないコミュニケーションでは、意味がありませんから。

竹下例えばアルサーガパートナーズが開発の仕事を受託する際、相手先のフロントに立つ方や経営者の中にはあまりITに詳しくない方もいると思います。その方々にわかりやすい説明をしつつ、実際に開発に入ったら社内の方々にも先方の要求を伝えていく。

つまり、先方の意思決定層の希望を引き出してサービスとして提案する要素と、社内のオペレーションを両方担っています。スキルはもちろん、こうした高度なコミュニケーション能力はどのように培われたのでしょう。

小俣心がけているのは、質問しないこと。我々はITのプロですから、開発を依頼されたら「どんなものがいいですか?」と質問することはしません。回答の選択肢は無限大ですから。
そうではなく、「こうしたほうがいいんじゃないですか?」もしくは「この2案があります。どちらが良いですか」と提示したほうが、先方も選択しやすいですよね。「どうしたらいいですか?」と全部聞いてしまえば楽ですが、それでは我々の価値がない。
質問せず、プロとしての提案をするよう心がけています。

技術力はいつの時代も需要がある。技術力に特化した集団を目指して

 ――アルサーガパートナーズが目指すビジネスモデルについてお聞かせください。

小俣死ぬまで開発しつづけることを目指しています。というのも、ITサービスって7年くらいで大体廃れてしまうんです。でも、技術力はいつの時代も需要がありますよね。我々はあくまで技術力に特化した集団として、技術を磨き続ける。それが、やりがいのある仕事にたどりつくための最善の方法だと思っています。

 ――スタッフ採用時に最も重視していることは?

小俣ひと言で言うと、好奇心ですね。入社前から、ウチの会社に思い入れもないのに「会社に貢献します」なんて言われてもピンとこないじゃないですか。それよりも「ガンダムの型式全部言えます」みたいな、オタクと紙一重なくらいの好奇心を持った方を採用したいと思っています。

 ――ひとつのことを突き詰める好奇心でしょうか。それとも、幅広くいろいろな物事に興味を持つという意味での好奇心でしょうか。

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ゲーミフィケーションの力でITサービスに変革をもたらしたい

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