〈ゲーム業界リレーインタビュー〉第2回 小俣泰明(アルサーガパートナーズ株式会社 代表取締役社長) - ガメモ

〈ゲーム業界リレーインタビュー〉第2回 小俣泰明(アルサーガパートナーズ株式会社 代表取締役社長) - ガメモ

2016年に設立されたアルサーガパートナーズは、「最高品質を最速で」をコンセプトにスマホアプリからディープラーニングまでIT領域全般を得意とする開発会社。技術力の高いエンジニア集団として、右肩上がりの成長を遂げている。同社の代表兼CTOである小俣泰明氏、そしてゲーム業界で人材事業、ビジネス・マッチング、コミュニティサービスを手掛ける竹下和宏の対談を通じ、アルサーガパートナーズの人材育成方針、高い技術力を支える哲学をひもとく。

小俣そうですね。

ゲーミフィケーションの力でITサービスに変革をもたらしたい

 ――アルサーガパートナーズは、さまざまなITサービスを手掛けています。ゲームアプリ開発をメインにするお考えはありますか?

小俣ゲームアプリ開発をメインにしたいのですが、3、4年前から日本のスマホゲーム市場が伸びず、ずっと1兆円規模のままという状況があって。AppleやGoogleの仕様が変わり、いわばプレイステーション化しているのがスマホゲーム業界なんです。

──どういう意味でしょう。

小俣

大きなIPでなければ勝てない時代になっているんです。プレイステーションもヒットするのは、シリーズものの続編ですよね。ネームバリューがあるタイトルしか勝てず、新しく入っていくには発明レベルのアイデアがなければ難しい。

黎明期のスマホゲームは群雄割拠で、同じようなゲームをキャラだけ替えて量産してもそれなりに売り上げが上がっていました。それが去年あたりから開発費が数十億という時代になり、大手しか参入できなくなりました。莫大なコストをかけても当たるかどうかわからない、超ハイリスク・ハイリターンな戦いになってきたんです。

その中で、みんなが知っているキャラクターものではない新規タイトルで勝負するのは非常にハードルが高いんですよね。

――それでも挑戦したいという意志はあるのでしょうか。

小俣そうですね。オリジナルで勝負したいという気持ちがずっとあります。模索はしていますが、今はどうにも分が悪くて。次のタイミングを待って、そこで新たな一手を打てるといいのですが。

竹下我々としては、ぜひそこを応援したいんです。それまではゲームクリエイターを育てたり、組織を作ったりして備えたいですよね。

小俣例えばVRデバイスで酔わない状況を実現できる世の中になれば、VRの可能性も広がりますよね。そういう、プラットフォームや技術が変わるタイミングが、次の勝負をする時期なのかなと思います。

竹下アルサーガパートナーズがアプリ開発を受託し、コンフィデンスが人材を提供して……というエコシステムも以前は考えていました。我々としても何かしらの形でお手伝いし、勝負のタイミングが来た時に一緒になって盛り上げていけたらうれしいですね。

小俣スマホゲームの開発は、IT技術の中でも最も難度が高い技術なんです。
例えばみんなでボスを倒す場合、数万人が一斉にアクセスしますし、ちょっとデータがズレるだけで「ボスのダメージがズレたじゃないか」とクレームが来ます。決済システム、セキュリティなどもしっかりできなければなりません。ゲームなんて、ハッキングされてアイテム無限増殖とかされますからね。
ですから、ゲームの開発力がある会社は、実はどんなITサービスでも開発できるくらい実力があるんです。ビジネスの観点から見ても、スマホゲームで面白いと感じさせるテクニックは一般サービスに応用できます。いわゆるゲーミフィケーションですね。ゲームで培ったノウハウを非ゲーム系のITサービスに提供すれば、大きな価値を生み出せます。

 ──ゲーミフィケーション=ゲーム以外の分野に、ゲーム的な要素を応用することですよね。

小俣広告代理店から上がってきたIT企業はゲーミフィケーションという言葉を好んで使いますが、僕らからすると「それはゲーミフィケーションではないな」と思うものも多いんです。

例えば、何か作業をするとキャラクターのレベルが上がる、キャラのコスチュームが増えるサービスってありますよね。でも、それってゲームとしては全然面白くありません。スマホゲームを開発したことのない企業は、「ゲームっぽい雰囲気を適当に出せばゲーミフィケーションになるでしょ」「ミニゲームを入れればいいでしょ」という感じで提案し、ことごとく失敗しています。それは、ゲーミフィケーションの解釈が間違っているからなんですよね。

でも、ゲーム開発をしっかりやってきた経験があれば、どうすればユーザーが楽しいと感じるか、どういうモチベーションでプレイするのかという根幹がわかっています。

そう簡単に作れるものではありませんが、そういう要素をきっちり入れれば非ゲーム系サービスでも本当のゲーミフィケーションを実現できると考えています。

竹下ゲームの開発、IPの創出とともに、ゲーミフィケーションの力で世の中のITサービスを変革したいという考えもあるのでしょうか。

小俣

そうですね。我々は、ゲームとは無関係の大手不動産会社、大手医療関係企業の案件も受託しています。そういった企業のサービスでも、ゲーミフィケーション要素があったほうが継続率が上がったり、サービスの接触頻度が上がったりします。そういったノウハウを提供することでゲーミフィケーションの真価を知っていただけますし、我々のような会社が生き残る道にもなるのではないかと思っています。

竹下数年後、アルサーガパートナーズがゲームを作るとしたら、どんなタイトルが考えられますか?

小俣ゲーム開発の基本は、運用なんですよね。定期的に改善しつづけないと、ユーザーは離れていってしまいます。運用をしっかりやっていくには、ある程度しっかり利益を生み出さないと成立しません。ですから、一定以上の売り上げが立ち、その費用で運営する人たちの給料をまかなえて、長く運営しつづけられる状況を作りたい。目指すところは、そこですね。

 ――一度、仕組みを作ってしまえば、例えば小俣さんが引退されてもゲームは続くということでしょうか。

小俣いえ、僕は手塚治虫先生を尊敬しているので、引退するのは死ぬ時だと思っています。やっぱり人間らしく生きるって、自分が必要とされている状況だと思っていて。僕らがゲームを作って生活費を稼げて、ユーザーも満足している状況を作りたい。その関係性が、ユーザーにとっても運営にとっても一番幸せだと思うんです。
スマホゲームは、運営とユーザーの戦いみたいなところがあるじゃないですか。そのせめぎ合いが楽しいゲームは面白いし、そこで経済圏も成り立ちます。そういう幸せな状況を作りたいんですよね。

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