〈ゲーム業界リレーインタビュー〉第2回 小俣泰明(アルサーガパートナーズ株式会社 代表取締役社長) - ガメモ

〈ゲーム業界リレーインタビュー〉第2回 小俣泰明(アルサーガパートナーズ株式会社 代表取締役社長) - ガメモ

〈ゲーム業界リレーインタビュー〉第2回 小俣泰明(アルサーガパートナーズ株式会社 代表取締役社長) - ガメモ

2016年に設立されたアルサーガパートナーズは、「最高品質を最速で」をコンセプトにスマホアプリからディープラーニングまでIT領域全般を得意とする開発会社。技術力の高いエンジニア集団として、右肩上がりの成長を遂げている。同社の代表兼CTOである小俣泰明氏、そしてゲーム業界で人材事業、ビジネス・マッチング、コミュニティサービスを手掛ける竹下和宏の対談を通じ、アルサーガパートナーズの人材育成方針、高い技術力を支える哲学をひもとく。

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  1. 1好奇心があれば必ず伸びる時代を問わず活躍できる技術者集団を目指して
  2. 2ミスを責めると挑戦を避けるようになる。ミスを否定しない人材育成
  3. 3技術力はいつの時代も需要がある。技術力に特化した集団を目指して
  4. 4ゲーミフィケーションの力でITサービスに変革をもたらしたい
  5. 4.1 〈ゲーム業界リレーインタビュー〉バックナンバー

小俣ひとつのことを突き詰めていくと、ひとつじゃ全然終わらなくなるんですよ。
例えば開発なら、プログラミングだけ書ければいいというわけではなくて。設計する力、ツールを使いこなす力、場合によってはデザインの知識も必要になります。ひとつのことを突き詰めると、いろいろなことに好奇心が湧いてくる。
ですから、高い好奇心を持つ人が強いんです。経営者が、その人の好奇心を強くすることはできません。ですから、採用する時には好奇心があるかどうかを判断基準にしています。

竹下確かに好奇心がある人のほうが、確実に伸びますよね。

小俣もちろん、褒められるから頑張るという人もいるでしょう。でも、それは本当の好奇心ではないんです。要は、やっているかやらされているか。昔は、首根っこをつかんで「お前、徹夜でやれよ」というマネジメントもまかり通っていましたが、それは恐怖政治ですよね。『北斗の拳』のラオウのマネジメントです(笑)。
やる気を掘り起こすのは難しいですが、好奇心があるスタッフなら成長する可能性も非常に高くなります。

竹下そういった方々が、自発的に新しいものを生み出すこともあるのでしょうか。

小俣業務外で、サービスやアプリを作る人は普通にいますね。面白いチャットボットを作った社員がいたので、出資して事業化したケースもあります。

竹下

優秀なエンジニアは、サンデープログラミングで自分の好きなものを開発しますよね。そういう方も、会社として積極的に応援されているのでしょうか。

小俣応援しますよ。僕自身、NTTコミュニケーション時代に作ったスマホアプリが、雑誌やウェブで紹介されたことがあります。趣味でアプリを開発するのも、結局は好奇心の延長線じゃないですか。好奇心もさらに広がりますし、スキルにもつながるので奨励しています。

 ――先ほどマネジメントの話が出ましたが、アルサーガパートナーズではどのようなマネジメント体制を取っているのでしょうか。

小俣上司が2人いる体制にしています。1人は各プロジェクトのマネージャー、もう1人は各部門のマネージャーです。プロジェクトマネージャーはプロジェクトを円滑にする環境を作り、部門のマネージャーは社員がスキルアップできる環境を作りるという感じで、それぞれ目的が違います。
この方式は、けっこう良いんです。弊社ではあまりないことですが、例えばプロジェクトマネージャーと馬が合わなくても、その人には「他のチームに移りたいんです」とは言いづらいじゃないですか。

竹下確かに……。

小俣でも部門のマネージャーに話せば、「じゃあ他のプロジェクトに移そうか」となります。逆にそのプロジェクトが好きで、もっとほかの役割にもチャレンジしたいとなれば、プロジェクトマネージャーに相談することも可能です。2人の上司にチェックされるというよりは、両方を頼れる組織構造になっています。

 ――他にも、小俣さんのマネジメント哲学があれば教えてください。

小俣たくさんあるので、挙げるときりがないのですが……。例えば、マネージャーよりも専任のエンジニアの給料を高くする、とか。

竹下素晴らしいですが、難度が高そうですね。

小俣そういう気持ちを持てる人間じゃないと、マネージャーにはなれないので。

 ──そこには、エンジニア第一という方針があるのでしょうか。

小俣そうですね。

ゲーミフィケーションの力でITサービスに変革をもたらしたい

 ――アルサーガパートナーズは、さまざまなITサービスを手掛けています。ゲームアプリ開発をメインにするお考えはありますか?

小俣ゲームアプリ開発をメインにしたいのですが、3、4年前から日本のスマホゲーム市場が伸びず、ずっと1兆円規模のままという状況があって。AppleやGoogleの仕様が変わり、いわばプレイステーション化しているのがスマホゲーム業界なんです。

──どういう意味でしょう。

小俣

大きなIPでなければ勝てない時代になっているんです。プレイステーションもヒットするのは、シリーズものの続編ですよね。ネームバリューがあるタイトルしか勝てず、新しく入っていくには発明レベルのアイデアがなければ難しい。

黎明期のスマホゲームは群雄割拠で、同じようなゲームをキャラだけ替えて量産してもそれなりに売り上げが上がっていました。それが去年あたりから開発費が数十億という時代になり、大手しか参入できなくなりました。莫大なコストをかけても当たるかどうかわからない、超ハイリスク・ハイリターンな戦いになってきたんです。

その中で、みんなが知っているキャラクターものではない新規タイトルで勝負するのは非常にハードルが高いんですよね。

――それでも挑戦したいという意志はあるのでしょうか。

小俣そうですね。オリジナルで勝負したいという気持ちがずっとあります。模索はしていますが、今はどうにも分が悪くて。次のタイミングを待って、そこで新たな一手を打てるといいのですが。

竹下我々としては、ぜひそこを応援したいんです。それまではゲームクリエイターを育てたり、組織を作ったりして備えたいですよね。

小俣例えばVRデバイスで酔わない状況を実現できる世の中になれば、VRの可能性も広がりますよね。そういう、プラットフォームや技術が変わるタイミングが、次の勝負をする時期なのかなと思います。

竹下アルサーガパートナーズがアプリ開発を受託し、コンフィデンスが人材を提供して……というエコシステムも以前は考えていました。我々としても何かしらの形でお手伝いし、勝負のタイミングが来た時に一緒になって盛り上げていけたらうれしいですね。

小俣スマホゲームの開発は、IT技術の中でも最も難度が高い技術なんです。
例えばみんなでボスを倒す場合、数万人が一斉にアクセスしますし、ちょっとデータがズレるだけで「ボスのダメージがズレたじゃないか」とクレームが来ます。決済システム、セキュリティなどもしっかりできなければなりません。ゲームなんて、ハッキングされてアイテム無限増殖とかされますからね。
ですから、ゲームの開発力がある会社は、実はどんなITサービスでも開発できるくらい実力があるんです。ビジネスの観点から見ても、スマホゲームで面白いと感じさせるテクニックは一般サービスに応用できます。いわゆるゲーミフィケーションですね。ゲームで培ったノウハウを非ゲーム系のITサービスに提供すれば、大きな価値を生み出せます。

 ──ゲーミフィケーション=ゲーム以外の分野に、ゲーム的な要素を応用することですよね。

小俣広告代理店から上がってきたIT企業はゲーミフィケーションという言葉を好んで使いますが、僕らからすると「それはゲーミフィケーションではないな」と思うものも多いんです。

例えば、何か作業をするとキャラクターのレベルが上がる、キャラのコスチュームが増えるサービスってありますよね。でも、それってゲームとしては全然面白くありません。スマホゲームを開発したことのない企業は、「ゲームっぽい雰囲気を適当に出せばゲーミフィケーションになるでしょ」「ミニゲームを入れればいいでしょ」という感じで提案し、ことごとく失敗しています。それは、ゲーミフィケーションの解釈が間違っているからなんですよね。

でも、ゲーム開発をしっかりやってきた経験があれば、どうすればユーザーが楽しいと感じるか、どういうモチベーションでプレイするのかという根幹がわかっています。

そう簡単に作れるものではありませんが、そういう要素をきっちり入れれば非ゲーム系サービスでも本当のゲーミフィケーションを実現できると考えています。

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