『ファミ通』4代目編集長バカタール加藤が語る「あの頃」第4回『ファミ通』編集長になって変えたこと。当時の編集体制やクロスレビューをこう変えた - ガメモ

『ファミ通』4代目編集長バカタール加藤が語る「あの頃」第4回『ファミ通』編集長になって変えたこと。当時の編集体制やクロスレビューをこう変えた - ガメモ

ファミ通4代目編集長バカタール加藤氏インタビュー最終回。『週刊ファミ通』の編集長に就任し、どのように『週刊ファミ通』が変わったのか? そして人気企画「クロスレビュー」の当時の採点基準について語ってもらいました。

■『ファミ通』4代目編集長バカタール加藤が語る「あの頃」バックナンバー

『ファミ通』4代目編集長バカタール加藤が語る「あの頃」第1回『ファミ通』編集長から自分の会社『ハナペン』を立ち上げるまで - ガメモのイメージ
『ファミ通』4代目編集長バカタール加藤が語る「あの頃」第1回『ファミ通』編集長から自分の会社『ハナペン』を立ち上げるまで - ガメモ
『ファミ通』4代目編集長のバカタール加藤さん。鼻にペンを挿して写真に撮られ、『ファミ通』でゲームにかこつけたオモシロ企画が掲載されていればこの人の企画でした。そんな『ファミ通』時代のエピソードや『ファミ通』編集長から現在の合同会社「ハナペン」の社長になるまで何をしていたかをバカタール加藤さんに存分に語ってもらいました。 とても1回では収まらない内容なので特別に連載の形でお送りいたします。
『ファミ通』4代目編集長バカタール加藤が語る「あの頃」第2回『ファミ通』おバカ企画の思い出『アバタールへの道』と『ファミ部企画』 - ガメモのイメージ
『ファミ通』4代目編集長バカタール加藤が語る「あの頃」第2回『ファミ通』おバカ企画の思い出『アバタールへの道』と『ファミ部企画』 - ガメモ
週刊『ファミ通』4代目編集長バカタール加藤としてよく知られている加藤克明氏。前回のインタビューでは、週刊『ファミ通』の編集長を引退してから現在の合同会社ハナペンの代表になるまでの間、どんなことをしていたのかをお聞きしました。 そして連載2回目となる今回は、週刊『ファミ通』の編集時代に企画した数々のおバカ企画の中から「加藤克明」のWikipediaに載せて欲しい(※)思い出のバカ企画を中心に話していただきました。※加藤氏は対談時、wikipediaに書かれていることが「一面的すぎる!」とか「そこだけ?」と大いに不満を漏らしていました。
『ファミ通』4代目編集長バカタール加藤が語る「あの頃」第3回『ファミ通』副編集長から『ファミ通64+』の編集長へ! 副編集長と編集長の違いとは!? - ガメモのイメージ
『ファミ通』4代目編集長バカタール加藤が語る「あの頃」第3回『ファミ通』副編集長から『ファミ通64+』の編集長へ! 副編集長と編集長の違いとは!? - ガメモ
『ファミ通』4代目編集長バカタール加藤としてよく知られている加藤克明氏。前回のインタビューでは、『ファミ通』の編集時代に企画した数々のおバカ企画について語っていただきました。そして連載3回目となる今回は、『ファミ通』副編集長時代のエピソードと『ファミ通64+』編集長時代のエピソードを語っていただきました。

ハナペン合同会社
加藤克明(バカタール加藤)


早稲田大学を中退した後、1990年にアスキー入社。『ファミコン通信』編集部に配属され、バカタール加藤のペンネームで誌面に登場し、読者の人気を得る。2000年に『ファミ通64+』の編集長に就任。2002年には『週刊ファミ通』編集長に就任。ポータルサイト『Walker47』編集長をはじめ多くの新規事業の立ち上げに力を尽くした後、2018年にカドカワから分社化、設立したGzブレインを退社、ハナペン合同会社を設立。現在はゲーム関連事業をはじめメディア・出版関連事業などを行っている他、「ハナペンニュース」というニュースサイトを運営し、ゲームや野球、激安居酒屋など自身が興味のあるニュースを配信している。

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株式会社コンフィデンス 取締役
竹下和広

 

ゲーム業界黎明期のSNKに入社し、同社欧州事務所代表に就任。その後、サミー、アクレイム、イグニッション・エンターテイメント・リミテッドで海外での実績を重ね、2011年、スタジオマネージャーとして関わった『エルシャダイ』を発表。現在は、コンフィデンスでゲームのトータル・ソリューション事業に携わっている

『週刊ファミ通』4代目編集長に就任! 外から見ていてわかったことと変えたこと

竹下:『週刊ファミ通』編集長代理から編集長になって新しいことは始められたんですか?

バカタール加藤氏(以後、加藤):『週刊ファミ通』はもう売れてて成功してるから大きく変えちゃいけないんです。だから変えようとしたのはそれでも出来ていないこと。だからボクがやったのは完成されている仕組みのあら探しです。
その前の『ファミ通64+』は全然売れてなかったから、全面リニューアルの立て直しが必要だったんですけど、『週刊ファミ通』はゲーム雑誌で一番売れている本だから下手にいじってダメにしちゃいけない。そこは探りながらより良くするために変えていかなくちゃいけないので、その前とは全然違いましたね。

ただ、内部的には、変えたり、見直したりしなきゃいけないことがたくさんありました。その筆頭がDTP※1化でした。当時ファミ通グループの他の雑誌や単行本はだいたいDTP化していたんですが、週刊ファミ通だけは、できてなかったんです。
毎週毎日校了してるから、DTPを導入するタイミングがなかった。なので、他部署ですでにDTPをやっている人たちに協力してもらって、「やる」って宣言して導入しました。週刊ファミ通の場合は、1年に48冊も本作ってるので、これだけで年間、ン千万円の経費削減になったはずです。

※:編集作業をパソコン上で行うこと。

台割※2や記事にするしない、というルールにしても、
編集長が変わったときじゃないと出来ないことというのがあるんですよ。これは「新編集長の方針で変わりました」って。

※2:書籍や雑誌全体の設計図。

じつは、それまでの『週刊ファミ通』では第一報のスクープありきだったので「続報」と呼ばれている追加の情報は、あまり掲載していなかったんです。でも、世の中的には、シリーズ作の固定ファンがどんどん増えてきていたので、そこを取り込む必要があった。ゲームメーカーに対して、今までと違う基準で記事をとりますよ、っていうのは、「編集長が替わった」という理由が必要だったと思います。

竹下:1年ぶりに実際に『週刊ファミ通』に帰ってきてどう思いました?

加藤:僕が『週刊ファミ通』の副編集長だった時は、編集長(浜村さん)が現場の編集部にいない中で3人の副編集長が毎日相談しながら、組織を回して、誌面を作っていたんですよ。それが帰ってきたら中枢を担うべき副編集長やデスクの連携が弱くなっていて、チェックの基準が曖昧になってきてたんですよ。

『週刊ファミ通』として何が大事かを話し合ってその上でみんなが何をするかっていう大本の意識の統一がされてないというか、みんなが好き放題やってるみたいな感じになりかけていました。

それはそれで、現場のスタッフにはエネルギーがあって、やりたいことやってて、面白いもの作ってるぞっていうところはあるんだけど、危うい部分もすごくあるなあ、と感じました。

端的に言うと、「ファミ通として何が大事か」をあまり意識してなくなって、各自が好きなことをやっている、ということです。

『週刊ファミ通』にとって大事なものとはなにか?

竹下:『週刊ファミ通』の大事なものをちゃんとやるためにどんなことをなさったんですか?

加藤:ぶっちゃけ言うと、編集長ができることは、副編集長とデスクと毎週ちゃんと話をすることです。それから、最初の1、2年は極力編集部にいて、現場を見て、コミュニケ―ションを取ることでした。副編集長がデスクの現場への指示を横で聞いていたり、スタッフたちの話を聞いていたり…(笑)。

竹下:編集部の意識は加藤さんが編集長になってどのように変わったんでしょうか。

加藤:『週刊ファミ通』の目指すところは突き詰めると、ゲームファンにとって何が大事で何を届けるべきか、それからゲーム業界が発展していくために何が大事か、ってことだと思います。それをちゃんとスタッフが考えているか。その上で他誌よりも僕らはちゃんと出来ているのかなって考え続けている、ということです。
世の中やゲームを取り巻く状況が変わっても、それをいつも考えていないとダメだよね、ってみんなで考えようということだったと思います。

たとえば、ゲームの記事って手を抜こうと思えばいくらでも抜けるんですよ。紹介記事の画面写真も最初の10分で撮影して終わりってできるんですよ。でも、やり込んでないってこととか、そのゲームに対して愛がないってことが分かるんですよ。

読者はバカじゃないから「1面の写真しかないじゃん」って「手を抜いてるな」ってわかるんですよ。そのゲームに興味がある読者ほどわかっちゃうからそういうところを見せると、読者の信用をたやすく失うんです。

でも編集部ではそれを言う人と言わない人がいるとしたら、Aさんにチェックしてもらうより、Bさんに見せた方が楽だなってなるので、編集部全体が楽な方に行ってしまいますよね。なので、そうならないように、公平でオープンな組織になるように努力したつもりです。

クロスレビューの担当は希望制? 指名制?

竹下:『ファミ通64+』の編集長の時のエピソードでも出てきましたが、ゲーム会社にとってクロスレビューのプラチナ殿堂って憧れるんですけど。そこを目指してみんな頑張るんですけど、評価する側としてはどんなことを思って点数をつけてたのでしょうか。

加藤:僕が編集長をやっていたのは、もう10年以上も前で、そのあと何人も編集長が変わっているので、あくまでも昔話として聞いてほしいんですけど、

すごく正直なことを言うと、実は僕自身は、現場スタッフだった時、クロスレビューはあまりやりたくなかったんですよ。やりたいってスタッフもいるんですよ。「おもしろそう」「点数つけたい」ってスタッフも。でもボクはそんな責任重大なことはやりたくないと思ってました。それに、副編集長の頃は、バカ総研っていうおバカな記事を毎週自分で書いていたので、クロスレビューを担当する時間がなかった。

なので、ソフトの発売が1年で一番多い年末年始とかに助っ人でレビューをするくらいしか、やってないんです。

竹下:クロスレビューのコーナーって担当するスタッフは裁判の陪審員みたいな感覚なんでしょうか。

加藤:ボクはそこまで自分に対して自信がないですよ。そんな重たい責任を背負ってゲームに点数を付けるなんて、現場にいる時は自信もないし責任も取れないって担当はしたくないなあ、って思っていました(笑)。

竹下:担当する方はみんな希望された方ですか?

加藤:やりたいっていう人もいるし、やってくれって言われてやる人もいます。でも、最終的には編集長が決めて、ちゃんと責任を持ってやってもらえるように、本人と話をしてから、お願いしていました。

『週刊ファミ通』としては、読者のニーズがあるからやっています。読者が参考にしてくれています。だからやる意義はある。そのためには誰かが点数をつけなくちゃいけない。ボクもだんだん立場が上になって誰かがやらなくちゃいけないから長年ゲームもやってきているし、見る目も養われてきたはずだから自分なりに、あるいは担当する人がぞれぞれ精一杯誠実にやりますっていう考え方に変わっていきました。

それで必ず聞かれるのが何時間プレイしましたかですね。それはゲームによって違います。それは明らかにしてませんでしたが、でもみんな自分の名前を出して点数をつけてるし、読者から叩かれたくないからみんな相当な時間をかけてプレイしてるんですよね。だから、当時は毎日徹夜って感じでした。

だけどいろんな事が起こるんです。サンプルから変わっていることとかもあったり、プレイしているとバグがあったりするんですよ。それでバグの報告を受けたメーカーは「製品版ではあのバグはなくなります」って言うんですよ。そう言われたら、あのバグは評価の対象にしちゃいけないんだなってなりますよね。でも発売されるとバグがそのまま。それで「ファミ通はバグ見落としてる」って言われて「バグのあるゲームにいい点数つけてる」ってメチャクチャ叩かれますね。

竹下:クロスレビューの点数ってみんなが何点を付けたかっていうのは、発売されるまでわからないんですか?

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「甘くなった」と言われてるクロスレビューの採点基準とは?

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