『ファミ通』4代目編集長バカタール加藤が語る「あの頃」第4回『ファミ通』編集長になって変えたこと。当時の編集体制やクロスレビューをこう変えた - ガメモ

『ファミ通』4代目編集長バカタール加藤が語る「あの頃」第4回『ファミ通』編集長になって変えたこと。当時の編集体制やクロスレビューをこう変えた - ガメモ

『ファミ通』4代目編集長バカタール加藤が語る「あの頃」第4回『ファミ通』編集長になって変えたこと。当時の編集体制やクロスレビューをこう変えた - ガメモ

ファミ通4代目編集長バカタール加藤氏インタビュー最終回。『週刊ファミ通』の編集長に就任し、どのように『週刊ファミ通』が変わったのか? そして人気企画「クロスレビュー」の当時の採点基準について語ってもらいました。

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  1. 1『週刊ファミ通』4代目編集長に就任! 外から見ていてわかったことと変えたこと
  2. 2『週刊ファミ通』にとって大事なものとはなにか?
  3. 3クロスレビューの担当は希望制? 指名制?
  4. 4「甘くなった」と言われてるクロスレビューの採点基準とは?
  5. 5次回予告!?「バカタール加藤、エロマンガ島に行く」

加藤:だからメーカーが意図してないのに実はとんでもないところが面白くて、これが後々1ジャンルになるくらい実は画期的だったって言うことがあり得るかもしれないです。そういうところを見つけたらそこはそれで勝手に評価しようじゃないかということになっていました。今はわかりませんが、僕が編集長の時はそう言っていました。

これはボクが、『週刊ファミ通』を代表して言っているわけじゃなくて、あくまでもボク個人の意見なんですけど、クロスレビューってメーカーに対しては作っているものが意図したものが作られているかを評価するけど、メディアとしてはメーカーが意図してようがしてなかろうが、自分がこれは面白いって感じたものには絶対に理由があるから、その理由を元に点数をつけよう。なるべくそれを書こうってスタッフには言っていました。

クロスレビューのスペースの都合で伝えきれないこともあるけど「これってもしかして画期的なんじゃね!?」って思ったら、他の部分はクソでもその部分を評価して10点でも良いよって僕は言っていました。

それが何で10点でも良いかっていうと、それが後々、ゲームの歴史、進化に影響を与えるかもしれないからです。それをファミ通が最初に評価したって10年後に言われるかもしれないんだったら、他の部分は捨てていい。そのせいで叩かれてもいいってボクは言っていたんです。ボク個人のゲームに対する見方としてはそれが重要だと思っています。

竹下:ダメな部分よりもゲームとして画期的な部分を積極的に評価するんですね。

加藤:たとえ「クソクソなのにこんな点数つけてファミ通バカじゃね?」って言われても、メーカーが意図した画期的なものは失敗したけど、でもここは斬新でおもしろいよ!っていうのがあったらそこを評価して10点でも良いんです。

ボク個人がスゲー面白い。なんかハマっちゃったっていうなら、後の9人がつまんないって言うかもしれないけど、それは薄々わかっているけど、ボクの中に起きたこの化学変化は絶対に「面白さ」だからそれは10点でいい。それがゲームに人生を捧げているレビュアーがやるべきことだと思います。

だから、これはあくまでもぼく個人の考えですが、「このレビュアーはクソを良いって言っている」って言われるのは良しなんですよ。逆にクソだって言ったやつが後々、名作として評価されたらメディアとして終わりだから、それだけは起きないようにするべきなんです。それが一番メディアとして致命的でしょ? 

画期的なもの、新しいものをもしかしたら可能性のあるものをボクらは評価しないとダメなんだから、そこは最大限評価しましょう。メーカーには意図したものができているかって聞いているけど、本当にいちばん大事なのは、ゲームの歴史の中で何か革命を起こすかもしれないっていう可能性をちゃんと評価することです。それがボクの考えです。

竹下:クロスレビューは評価基準の他にもレビュワーの感じた「面白さ」も加えて評価するから点数が高くなるんですね。

加藤:小林秀雄さん※3が「批評とはほめること」だって言ってるんですけど、突き詰めると、モノを書く仕事は、いいものをいいって言うことだと思います。けなすことは不要です。けなすヒマがあったら、いいものを見つけて、いいということが絶対的に大事だと思っています。いいところをほめることがいちばん大事なことで、突き詰めるとそれしか残らないと思います。
※3:日本の近代文芸評論を確立した文芸評論家。

次回予告!?「バカタール加藤、エロマンガ島に行く」

竹下:この他にも聞きたいお話があったのですが、「エロマンガ島の3人」のお話や配信していた番組のお話とか、必ず、機会を設けますのでまたお話を伺えますか。

加藤:もちろんいいですよ。今回のインタビューででてきたエピソードをWikipediaに載っけて欲しいんですよ。内容がスッカスッカなんで。エロマンガ島とスクランブル交差点のこたつの話しか載ってないんですよ。『ファミ部』の話とかも載っけて欲しいですね。それから『バカ総研』のネタとかもまったく載ってないのが不満なんです。「こんな〇〇はイヤだ!」とかって、『バカ総研』でいちばんやってたネタで、芸人の鉄拳さんより先だったと思うんですけどね(笑)。

竹下:コスプレとかもなさっていましたよね。

加藤:コスプレって「Walker47」のときですね。でも今考えると、「アバタールへの道」ってコスプレ企画でしたね。まだコスプレって言葉がこんなに普及する前の企画でしたけど(笑)。

竹下:加藤さんのインタビューは1回きりで終わるより、定期的にお話いただいたほうがいいですね。エロマンガ島に行ったお話も面白そうなのに聞けてないですし。

加藤:そうですね。まだまだ話してないことってたくさんありますしね。ちなみに、エロマンガ島ってバヌアツ共和国にあるんですけど、バヌアツってバンジージャンプ発祥の地なんですね。

元々、何でこの企画が始まったかっていうとハドソンさんが『桃太郎電鉄』でエロマンガ島をマップに出していた時があって、ゲームの中で飛行機でハワイとかグァムとかに行くんですけど、その中にエロマンガ島があったんです。それでその時、ハドソンさんから「加藤さん、桃鉄にエロマンガ島って入っているから取材に行きませんか?」って聞かれて「いいっすね! 行きましょうよ!」って……。

竹下:それ以上はまた次回にお話しいただくまでとっておいてください(笑)。今回は本当にありがとうございました。

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