魅力的なゲームの企画書の書き方を詳しく解説|制作工程と具体例

ゲーム開発の成功は、優れた企画書から始まります。
企画書は、ゲームのアイデアを明確にし、開発チームやゲーム会社にその価値を伝えるための重要な書類です。
本記事では、ゲームの企画書の基本的な書き方から、具体的な構成要素、AIを活用して企画書を作成する方法について詳しく解説します。
コンテンツ [表示]
- 1ゲームの企画書とは
- 1.1ゲームの企画書の概要
- 1.2ゲームの企画書を書くときのポイント
- 1.3ゲームの企画書を書くための準備
- 2ゲームの企画書の書き方
- 2.1表紙
- 2.2目次
- 2.3ゲームの基本的な情報
- 2.4コンセプト
- 2.5ゲームの概要
- 2.6ゲーム画面のイメージ
- 2.7遊び方、詳細説明
- 2.8世界観、操作方法、セールスポイント
- 3まとめ|アイデアを明確に、基本構成に沿って構築する
- 4AIを活用したゲームの企画書の書き方
- 4.1AIを活用して作成したゲームの企画書の書き方|具体例
- 4.2ChatGPTを活用したゲームの企画書の書き方|アイデア出し
- 4.3ChatGPTを活用したゲームの企画書の書き方|作成方法
- 5まとめ|ゲームの企画書の概要から作成事例まで
ゲームの企画書とは
ゲームの企画書とは、ゲーム開発のプロジェクトの全体像を詳細に記述した書類です。
企画書は、ゲームのコンセプトやストーリー、ゲームプレイの詳細、技術的な仕様、マーケティング戦略などを網羅しており、プロジェクト成功の基盤になります。
ゲームのアイデアを具体的に形にするための最初のステップであり、開発プロセス全体の指針となるものです。
企画書によって会社の上層部やゲームの企画・開発を行うパブリッシャーがゲームの実現可能性を判断し、そのゲームが制作されるか否かを判断します。
ゲームの企画を提案する際には、上層部やパブリッシャーに「売れそう」と思わせる企画書を書くことが重要です。
上層部やパブリッシャーに納得してもらうゲームの企画書には、独創的なアイデアや発想力が求められます。
本記事では、ゲームの企画書の書き方の概要や詳細、書き方の具体的な例、さらにはAIを活用した企画書の作り方をご紹介します。
ゲームの企画書の概要
ゲームの企画書を構成する、以下の項目について簡潔に記述します。
項目 | 説明 |
---|---|
1. 表紙 | 企画書のタイトル、作成者の名前、日付などを記載。 |
2. 目次 | 企画書全体の構成を示し、各項目に簡単にアクセスできるようにする。 |
3. ゲームの基本情報 | ゲームの基本コンセプト、目標、ターゲットユーザー、期待される成果を簡潔に説明。 |
4. ゲームコンセプト | ジャンル: ゲームのジャンルを説明。 ターゲットユーザー: 想定されるプレイヤー層を明確にする。 ゲームの特徴: ゲームの独自性や差別化ポイントを説明。 |
5.ゲームの概要 | ゲームの具体的な特徴を説明。 |
6. 画面イメージ | ゲームの最終系が想像できるように説明。 ゲームのビジュアルスタイルやデザインの方向性を示し、主要キャラクターや重要なシーンのアートワークを紹介。 |
7. 遊び方、詳細説明 | ルールやシステムなど大まかな「遊び方」とその「面白さ」を伝える。 アピールするべき個性的な項目について詳細に説明。 |
8. 世界観、操作方法、セールスポイント | ゲームの舞台となる世界の設定や雰囲気を説明。 プレイヤーがゲーム内でキャラクターやオブジェクトをどのように操作するかを説明。 ゲームの他にはない特徴や強みを記述。 |
ゲームの企画書を書くときのポイント
・ゲーム企画の基本的な理解: 企画の目的や意義をしっかりと把握しているか
・新規性の追求: 企画において何か「新しい」ことにチャレンジする意志が見られるか
・論理的で説得力のある構成: 内容が論理的に整理され、説得力を持っているか
・見やすさと分かりやすさ: ドキュメントが視覚的に見やすく、内容が理解しやすいか
・市場動向の理解: ゲーム市場の動向やトレンドをある程度把握しているか
企画書に目を通すパブリッシャーなどの会社は、概ね上記の項目をチェックしているといわれています。
企画書の適切な枚数とは
- ゲームの企画書を作成する際には、5枚程度に収めるようにします。
多くの企画書に目を通すパブリッシャーや採用担当者に、ゲームの魅力がブレずに分かりやすく伝えるため、シンプルな企画書を意識することが大切です。
ゲームの企画書を書くための準備
ゲーム企画書を作成するためには、主に以下のツールが必要となります。
パソコン
現代の企画書の作成にはパソコンが一般的に使用されています。
パソコンで作成された企画書は、簡単に編集できることが大きな利点です。
電子メールに、企画書ファイルをデータとして添付して送受信できるため、効率的なやり取りが可能です。
多くのゲーム会社では、新卒採用の応募時に紙媒体ではなく、デジタル形式の企画書の提出が求められます。
PowerPoint(Microsoft Office)
企画書をパソコンで作成する場合、一般的に使用されるのは、Microsoft OfficeのプレゼンテーションソフトであるPowerPointです。
PowerPointは、プロジェクターで表示することを前提とした横長のフォーマットで、図や映像を使って視覚的に説明するのに適しています。
特にゲームの企画書では、イラストや図表を多用することが多いため、PowerPointが好まれます。
持っていない場合、無料で使用可能なGoogleスライドでも代用できます。
画像収集・作図・編集
企画書作成において、印象に残る内容を作成するためには、絵や図の活用が不可欠です。
適切な画像や図を使うことで、読む人の理解度や受ける印象が大きく変わります。
企画の意図を明確に相手に伝え、企画書の承認を得るために、特に重要なポイントです。
企画書作成における画像や図の効果的な活用は、読者の理解を深め、企画の意図を明確に伝えるために重要です。
自分で絵を描けるスキルがあれば最適ですが、そうでない場合はインターネットを活用し、適切な画像を見つけることが求められます。
簡単な画像編集スキルを身につけることで、企画書の完成度を高めることができます。
ゲームの企画書の書き方
※本記事は、「吉冨 賢介 (2020) 『ゲームプランナー入門: アイデア・企画書・仕様書の技術から就職まで』 技術評論社」の企画書の書き方を参考にしています。
※記事中にある企画書の図は「藤井 厚志 (2020) 『プロフェッショナルゲームプランナー: ゲームづくりの現場の教科書』 技術評論社」が出典元です。
表紙
表紙はどんな企画書でも絶対に目を通してもらえる重要な項目です。
シンプルなデザインにすることを意識します。
タイトル:
ゲームタイトルは、第一印象を大きく左右するものです。
適切なタイトルは、プレイヤーの興味を引き、ゲームの内容を想像させることができます。
ゲームタイトルを考える際には、以下の点に注意することが重要です。
- 簡潔で覚えやすい
- ゲームの内容を反映している
- ターゲット層に訴求力がある
タイトルはフォント、色に気を配り、可能ならロゴをデザインします。
イラストや背景を付け加えることで、ゲームのイメージを伝えやすくなります。
企画者の氏名、作成した日付を記載します。
目次
冒頭で企画書の大まかな構成を確認出来るようにするために目次を作成します。
記載例:
目次
ページ | 内容 |
---|---|
P3 | 基本情報 |
P4 | コンセプト |
P5 | ゲーム概要 |
P6 | 画面イメージ |
P7 | ゲームの特徴① |
P8 | ゲームの特徴② |
P9 | ゲームの特徴③ |
P10 | 世界設定・ストーリー |
P11 | 操作方法 |
P12 | セールスポイント |
ゲームの基本的な情報
ゲームについての基本的な情報を企画書の冒頭に書きます。
ジャンル、ターゲット、プレイ人数、対応機種などを事前に明示することで、読み手にゲームの方向性を明確に伝えることができ、その後の個性的なゲーム内容を理解しやすくなります。
ジャンル
ゲームジャンルを記載します。
ジャンル名には「アクション」や「RPG」などの一般的な名称を使うこともできますが、コンセプトを際立たせるために独自のジャンル名を作るのも効果的です。
ジャンル名の例:
テーマ+ゲームジャンル
世界観や物語のテーマとゲームジャンルを組み合わせたタイプです。
- 恋愛シミュレーション(『ときめきメモリアル』)
- なつやすみアドベンチャー(『ぼくのなつやすみ』)
- 真実の強さを追うRPG(『テイルズ オブ レイズ』)
遊びの個性を強調
変わった遊ばせ方やアクションを用いる場合、そこで強調して命名します。
- ラバーリングアクション(『海腹川背』)
- ロマンティック転がしアクション(『塊魂』)
- ハイスピード推理アクション(『ダンガンロンパ』)
ターゲット
記載すべきポイントは以下の通りです。
-
性別
-
年齢・年代(小学生低学年、中高生、成人など)
-
地域(日本、米国、欧州、アジアなど)
-
属性/嗜好性(RPGファン、FPSユーザー、ライトユーザー、ホラー好きなど)
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小学校低学年男子
-
JRPGファン
-
FPSユーザー
-
1人
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1~4人(通信プレイ)
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2人協力プレイ専用
-
4人通信対戦専用
記載例
-
PlayStation 5
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Nintendo Switch
-
Windows
-
iOS / Android
コンセプト
企画書の中で「コンセプト」ページは最も重要です。
コンテストの審査員や新卒採用担当者が大量の企画書をチェックする際、表紙とコンセプトページを見て「しっかり見る」企画書か「ボツ」にするかを判断します。
コンセプトのページは、1~3行の簡潔な言葉で「コンセプト」のみを明確に記載します。他の情報は省き、コンセプトをしっかり伝えることに焦点を当てます。
友達と協力して巨大なモンスターを狩るACTゲーム
考案時には多くの要素を考慮すると思いますが、最も重要な個性だけを切り取って、シンプルに伝えます。
例えば、「素材を狩るACTゲーム」と表現しても、『モンスターハンター』の個性は伝わりません。個性以外の要素をコンセプトとして記載しないようにします。
自分の企画の一番アピールしたい部分をしっかりと抜き出し、鋭い一言でコンセプトを表現します。
キャッチコピーとは、コンセプトを短く、洗練された言葉で表現したものです。
例えば、『モンスターハンター』のコンセプト「通信で友達と協力し巨大なモンスターを狩るACTゲーム」を、
このように、コンセプトを短く、洗練された言葉にすることで、楽しさをより強く伝えられます。
「一狩り行こうぜ!」は実際に『モンスターハンター』シリーズで使われているキャッチコピーで、「仲間と協力して狩りをするゲーム」というコンセプトが的確に、楽しく伝わります。
ゲームの概要
『ゲーム概要』では、ゲームの特徴を3つ程度の項目に分けて説明します。
各項目は「見出し」「絵・図」「本文」で構成して、1ページにまとめるのが理想です。
これにより、読み手にとって見やすく、理解しやすい企画書になります。
・見出し
インパクトのあるフォントを使い、本文よりも大きなサイズで目立たせることがポイントです。
読み手がスムーズに読めるよう、シンプルなフォントを使用します。
可能であれば、ゲームのスクリーンショットを利用するのも効果的です。
フリー画像や手描きのイラストでも構いませんので、視覚的にわかりやすく伝える工夫をします。
出典:プロフェッショナルゲームプランナー/藤井厚志