基礎から学べるゲームプログラミング初心者ガイド|入門からプロジェクト作成まで
この記事は、ゲームプログラミングの基本概念からプロジェクトの作り方までを解説する記事です。言語選定やツール、学習方法などを提供します。
初心者が独学でプログラミングを習得することは難しいですが、不可能ではありません。この記事を活用し、挑戦してみてください。
ゲームプログラミングの基礎知識
ゲームプログラミングとは、コンピュータ上でゲームを動作させるためのコードを書くことです。
具体的には、「キャラクターの動き」「インタラクション(ユーザー操作に応じた反応をシステムが返すこと)」「ゲームルール」「グラフィックス」「サウンド」などを統合して、1つの作品に仕上げる作業のことです。
以下に、ゲームプログラミングの基礎知識として重要なポイントをいくつか紹介します。
プログラミング言語の選定
ゲーム開発で代表的なプログラミング言語や、初心者におすすめの言語を紹介します。
C++
「C++」は「C言語」を拡張した言語で、高度な処理が必要なゲームに適しています。
高性能で柔軟性が高く、多くの商用ゲームエンジン(Unreal Engineなど)で使用されることが多いです。
メモリ管理が重要となるため、初心者にはやや難易度が高いですが、習得することで広範なゲーム開発が可能になります。
学習方法
「C++」は複雑な言語ですが、オンラインコースや書籍で基礎から学ぶことができます。
初心者はシンプルなプロジェクトから始め、徐々に理解を深めていくことをおすすめします。
C#
「C#」は、Microsoftによって開発された直感的で使いやすい言語です。
オブジェクト指向性(※)が強く、コードの再利用性が高いため、開発効率が良い特徴があります。
Unityエンジンで広く使用されており、初心者にとって学びやすい構文が特徴です。
NETフレームワーク上で動作するため、迅速なプロトタイピングも可能です。
オブジェクト指向
- 処理をオブジェクトとして扱い、それを組み合わせることでプログラムを構築する方法。
学習方法
Unityの公式チュートリアルや、多くのオンラインコース、書籍が利用可能です。
Microsoft公式でもガイドを閲覧できます。
JavaScript(初心者に特におすすめ)
「JavaScript」は、HTML5と組み合わせることで、クロスプラットフォームのゲームを作成できることが特徴的な言語です。
ブラウザゲームや、モバイルブラウザゲームの開発に適しており、比較的軽量なゲームの開発にも使用できます。
学習方法
「JavaScript」は無料のオンライン教材が豊富で、HTML5と組み合わせて学ぶことができます。
簡単なブラウザゲームを作りながら学習を進められるため、効果的です。
必要なソフトウェアとハードウェア
ゲームのプログラミングを行うために必要なソフトウェア(ゲームエンジン※)とハードウェアについて解説します。
ゲームエンジン
- ゲームを開発するためのソフトウェア。プログラムを書くためのツールやグラフィックス、音響、物理演算などの機能が含まれており、ゲーム開発を効率的に行えます。
Unity
「Unity」は、使いやすい強力なゲームエンジンです。
無料版があり、多くのチュートリアルが揃っているため、初心者用としておすすめできます。
2Dおよび3Dゲーム開発に対応しており、豊富なアセットストアも利用できます。
Unreal Engine
「Unreal Engine」は、高度なグラフィックス再現が可能なゲームです。
レンダリング機能(※)が強力なため、大規模な3Dゲームの開発に向いています。
基本的には無料で使用可能ですが、開発した製品の収益額が大きくなると、ロイヤリティの対象となる場合があります。
レンダリング機能
- データを処理または演算することで画像や映像を表示させる作業
Blender
「Blender」は無料の3Dモデリングツールで、キャラクターモデルや背景などの作成に強力な機能を備えています。
オープンソースなため、使いやすいことも特徴です。
Godot
「Godot」はオープンソースのゲームエンジンで、初心者にとって学びやすく、軽量です。
2Dゲームの開発に特に適しています。
ハードウェア
ゲームのプログラミング・開発を始めるには、以下のような構成が推奨されます。
- Windows PC(パソコン)の最低スペック
CPU:Intel Core i5またはAMD Ryzen 5以上
メモリ:8GB以上
グラフィックスカード:NVIDIA GeForce GTX 1060またはAMD Radeon RX 580以上
ストレージ:500GB SSD
- Windows PC(パソコン)の推奨スペック
CPU:Intel Core i7またはAMD Ryzen 7以上
メモリ:16GB以上
グラフィックスカード:NVIDIA GeForce RTX 2060またはAMD Radeon RX 5700以上
ストレージ:1TB SSD
- Mac PC(パソコン)の最低スペック
CPU:Apple M1またはIntel Core i5以上
メモリ:8GB以上
グラフィックスカード:内蔵GPUまたはAMD Radeon Pro 5300M以上
ストレージ:256GB SSD以上
- Mac PC(パソコン)の推奨スペック
CPU:Apple M1 ProまたはIntel Core i7以上
メモリ:16GB以上
グラフィックスカード:Apple M1 Pro GPUまたはAMD Radeon Pro 5600M以上
ストレージ:512GB SSD以上
コストパフォーマンスの高いハードウェア構築
コストパフォーマンスの高いハードウェア構築を紹介します。
以下を参考に開発環境を整えることで、コストを抑えつつ、スムーズなゲーム開発環境を構築できます。初心者用としておすすめです。
CPU
AMD Ryzen 5シリーズは、性能と価格のバランスが良く、多くのゲーム開発環境で十分なパフォーマンスを発揮できます。
メモリ
16GB程度のRAMがあれば、多くの開発ツールを同時に使用できます。
CrucialやCorsairの製品がコストパフォーマンスに優れています。
グラフィックスカード
NVIDIA GeForce GTX 1650やAMD Radeon RX 570は、エントリーレベルの価格帯でありながら、十分なグラフィックス性能を提供できます。
ストレージ
500GB以上のSSDがあれば、OSや開発ツールの高速な読み書きが可能です。
SamsungやWestern DigitalのSSDは信頼性と性能が高いです。
ゲームプログラミングの基本概念と理論
ゲーム開発における基本概念や理論を学び、プログラミングの土台を理解することで、より複雑なプロジェクトにも対応できるようになります。
具体的には、以下の要素です。
- ループ
ゲームループは、ゲームプログラミングの中心となる概念です。
ゲームの動作で繰り返し実行される一連のプロセスで、ゲームの状態を更新し、画面に描画する役割を果たします。具体的には、以下のような処理があります。- 入力処理
プレイヤーの入力(キーボード、マウス、コントローラーなど)を検知し、それに応じたアクションを実行します。
- 更新処理
プレイヤーのアクションやゲーム内のイベントに基づいて、ゲームの状態(キャラクターの位置、スコア、敵の動きなど)を更新します。
- レンダリング処理
更新されたゲームの状態を画面に表示します。
- 入力処理
- 物理演算
物理演算は、ゲーム内のオブジェクトを現実世界の物理法則に従って動作させる技術です。ゲームのリアリティを向上させるために重要な役割を果たします。
具体的には、以下のような要素です。
- オブジェクトに加わる力(重力、摩擦、衝突など)と運動をシミュレーションします。
- オブジェクトが互いに衝突したかどうかを判定し、その結果を処理します。「キャラクターが壁にぶつかると停止する」「弾が敵に当たるとダメージを与える」などがそれに当たります。
- オブジェクトの位置、回転、速度などをシミュレーションし、リアルな動きを再現します。
- フレームレートとパフォーマンス
フレームレートの最適化は、ゲームプレイをスムーズにするために欠かせません。
- デザインパターン
ゲーム開発では、コードの再利用性や保守性を高めるために、特定のデザインパターンを使用します。以下は、ゲーム開発でよく使われるデザインパターンの例です。
- ステートパターン
ゲームの状態をクラスとして表現し、状態遷移を管理するパターンです。
例えば、キャラクターが「歩く」「走る」「ジャンプする」といった異なる状態を持つ場合、それぞれの状態をクラスとして定義します。
- シングルトンパターン
- オブザーバーパターン
インスタンス
- クラスを元にして実際にメモリ上に作成されたオブジェクト。
初心者用の学習方法とステップ
ゲームプログラミングを始める際には、学習方法や学習ステップを明確にしておくことが重要です。
ここでは、初心者におすすめの学習プラットフォームや書籍、学習ステップやロードマップについて解説します。
おすすめの学習サイトと書籍
Codecademy
初心者向けのプログラミング学習サイトです。
日本語版サイトは用意されていないので、翻訳機能を使いながら利用することをおすすめします。
基礎から学べるコースが充実しており、「C#」や「JavaScript」などのゲームプログラミングに役立つ言語の学習もカバーしています。
無料コースと有料コースがあり、無料コースでも十分な学習ができますが、有料コースでは追加の学習資料やプロジェクトが提供されています。
Udemy
幅広い分野のオンライン講座を提供するプラットフォームです。
「Unity」や「Unreal Engine」を使ったゲーム開発が学べるコースが多数あり、動画形式で自分のペースに合わせた学習ができます。
コースごとに料金が設定されていますが、定期的にセールが行われるため、割引価格で購入することも可能です。
Coursera
大学や企業と提携した、本格的なオンライン学習プラットフォームです。
世界中の大学が提供するプログラミングコースを受講でき、修了証も取得できます。
無料コースもありますが、修了証を取得するためには有料のサブスクリプションが必要です。
UnityではじめるC# 基礎編
Unityを使って「C#」の基礎を学ぶための書籍です。
Unityの基本的な使い方から「C#」のプログラミングまでを丁寧に解説しています。
学習ステップとロードマップ
ゲームプログラミング学習を進めるためのステップとロードマップを、「目標」と「アクション」に分けて解説します。
ステップ1|基礎知識の習得
- 目標
プログラミングの基本概念やゲーム開発の基礎知識を理解する。
- アクション
先述のオンラインプラットフォームや書籍を活用し、「C#」や「JavaScript」などの基礎を学ぶ。
ステップ2|簡単な開発
- 目標
基礎知識を応用し、簡単なゲームを実際に開発する。
- アクション
UnityやUnreal Engineのチュートリアルを進めながら、シンプルなゲーム(例えば、2Dのプラットフォーマーやシューティングゲーム)を作成する。
ステップ3|自主プロジェクトの実施
- 目標
オリジナルのゲームプロジェクトを企画し、完成させる。
- アクション
- 自分のアイデアを基にしたゲームを企画し、設計図を作成する。
- 開発環境を整え、プロジェクトを段階的に進める。
- 完成後、ポートフォリオとして保存・公開し、第三者の意見を聞く。
ステップ4|応用知識の習得と技術の深化
- 目標
より高度な技術を学び、ゲームプログラミングのスキルを深化させる。
- アクション
- 複雑なゲーム開発に必要な物理演算やAI、ネットワークプログラミングなどの応用技術を学ぶ。
- チーム開発の経験を積む。
追加の学習情報とコミュニティ
ゲームプログラミングを学ぶ際は、意欲的に情報収集を行ったり、コミュニティへ参加したりすることで、効果的に学習を進められます。
役立つオンラインフォーラムとコミュニティ
Stack Overflow
世界中のプログラマーが質問と回答をし合えるサイトです。
ゲームプログラミングで疑問点がある際や、トラブルシューティングの際に便利です。
過去の質問・回答も掲載されているため、検索するだけで解決策が見つかることも多くあります。
Unity Discussions
Unity公式のコミュニティフォーラムで、初心者からプロまで幅広いユーザーが参加しています。
Unityを使用したゲーム開発に関する情報が豊富で、公式のサポートやユーザー同士の助け合いが期待できます。
Unreal Engine Forums
Unreal Engine公式のフォーラムです。
Unreal Engineを使用したゲーム開発に関するトピックが豊富で、公式のチュートリアルやドキュメントを参照できます。
GitHub
プロジェクトのソースコードを管理・共有するためのプラットフォームです。
オープンソースのゲームプロジェクトやライブラリを参照したり、自分のプロジェクトを公開してフィードバックを得たりできます。
最新の技術トレンドとニュースサイト
ゲームプログラミングの最新トレンドを知れるニュースサイトを紹介します。
日本語に対応していないサイトが多いので、ブラウザの翻訳機能と合わせて活用することを推奨します。
Game Developer
ゲーム開発者向けのニュースサイトで、最新の業界の動向や技術トレンドを取り上げています。
プロのゲーム開発者視点で作成された記事が多く、開発者インタビューなどのコンテンツも充実しています。
GameDev.net
ゲーム開発者向けの情報サイトで、フォーラムやチュートリアル、記事などが掲載されています。幅広いトピックが扱われており、初心者から上級者まで役立つ情報が得られます。
Reddit内のゲーム開発に関するコミュニティです。
最新の技術トレンドやニュース、ユーザーによるプロジェクト紹介や質問など、多様なコンテンツが投稿されています。
Polycount
ゲームアートに特化したコミュニティサイトです。
ゲーム開発における3Dモデリングやアートに関する情報が豊富で、プロジェクトのフィードバックを得ることもできます。
実際の体験談と専門家のアドバイス
初心者からプロへ|成功体験談
プログラミング学習のモチベーションを高め、具体的な目標を設定するためには、インディーズから成功したゲーム開発の例を知ることが良いでしょう。有名な成功例をいくつか紹介します。
Undertale
Toby Fox氏が開発した「Undertale」は、独特のストーリーと革新的なゲームプレイで、世界中のプレイヤーの心を掴みました。
Toby Fox氏はほとんど一人でゲーム開発を行い、個人開発でも素晴らしいゲームを作れることを証明しました。
Stardew Valley
Eric Barone氏が一人で開発した「Stardew Valley」は、クラシックな農業シミュレーターにインスパイアされており、シンプルさと癒しを求めるプレイヤーに大いに評価されました。
Barone氏は数年間の孤独な開発を経て、このゲームを世に送り出したことで、高い評価を受けました。
個人制作でも、よく作り込まれたゲームは評価を得られることを、「Stardew Valley」は証明しています。
専門家からのアドバイス
ゲーム開発経験者や現役のプログラマーからのアドバイスは、学習を進める上で非常に有益となります。専門家のアドバイスの中でも、特に有用なものをピックアップし、以下に紹介します。
- 知識を得たら、実際に手を動かす
初心者はすぐに複雑なプロジェクトに取り組むのではなく、基本的な概念理解や小さなプロジェクト制作から始めるべきです。
例えば、シンプルな2Dゲームの制作からスタートすることで、基本的なプログラミングスキルとゲーム開発の流れを理解できます。
また、コードを書いて試行錯誤することで、理解が深まると同時に問題解決能力も養われるため、「学んだことをすぐに実践すること」も、強く推奨されています。
- 継続的な学習と最新情報のキャッチアップ
定期的に技術ブログやニュースサイトをチェックし、最新のトレンドを追い続けることが勧められています。
- コミュニティに参加する
質問を投げかけたり、他の人の作品を見たりすることで、新しい視点を得ることができます。
また、モチベーションを維持するためにも、同じ目標を持つ仲間との交流は非常に有益です。
まとめ
ゲームプログラミング初心者が基礎的な学習を行い、プロジェクト作成を行えるようになるまでのステップや方法を詳しく解説しました。
主要ポイントを改めて以下に要約します。
- 基礎知識の習得
ゲームループやイベント駆動、物理演算などの基本概念を理解する。
- プログラミング言語とツールの選定
「Unity」や「Unreal Engine」を使用し、「C++」「C#」「JavaScript」などの言語を学ぶ。
- 効率的な学習
オンラインプラットフォームや書籍を活用し、ステップバイステップに学習を進める。
- 継続的な学習
最新の技術トレンドを追い、最新情報をキャッチアップする。
- コミュニティへの参加
フォーラムやコミュニティで情報交換し、専門家のアドバイスを受ける。
- 小さなプロジェクトの実践
実際にコードを書いてプロジェクトを作成し、スキルを磨く。
ゲームプログラミングを学ぶためには積極的な姿勢が不可欠であり、難易度が高いと感じることもあるかと思います。しかし、正しい方法で進めれば必ず成果は得られます。
あまり気負いせず、まずは趣味として始めてみるのも良いでしょう。
今後は「AIによるプログラミングの台頭」なども考えられるため、さらに簡単にプログラミングが行える世界が到来すると予想できます。
ぜひこの記事をきっかけに、プログラミングの魅力を知り、ゲームプログラミングの世界へと足を踏み入れてみてください。
引用:https://cloud.google.com/cpp?hl=ja