スクリプターとは?|未経験でも始められる仕事内容などを解説

スクリプターとは?|未経験でも始められる仕事内容などを解説

スクリプターとは?|未経験でも始められる仕事内容などを解説

ゲーム開発に興味がある人が未経験でも始められると言われている職業に「スクリプター」があります。この記事では、スクリプターについて、どのような仕事をするのかや、必要なスキルなど気になる点を詳しく解説していきます。

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  1. 1スクリプターとは
  2. 1.1スクリプト言語とは
  3. 1.2プログラマーとの違い
  4. 2スクリプターの仕事とは
  5. 2.1テキストの入力
  6. 2.2数値の入力
  7. 2.3マップやオブジェクトの形成
  8. 2.4エフェクトの合成
  9. 2.5キャラクターの表情や動作データの入力
  10. 2.6フラグの管理
  11. 2.7難易度の設定
  12. 3スクリプターに必要なスキルとは
  13. 3.1基礎的なPCのスキル
  14. 3.2基本的なプログラミングの知識
  15. 3.3ゲームの知識
  16. 3.4コミュニケーション能力
  17. 3.5継続力
  18. 4スクリプターへのなり方
  19. 5まとめ
  20. 6関連リンク

スクリプターとは

作業

「スクリプター」とは、ゲーム業界で就職したいという人が未経験でも始められる仕事の一つです。同じ様に、初心者からでも始められる下積みとして有名な仕事には「デバッガー」があります。
スクリプターの仕事内容は、主にデータの入力作業です。

ここで言う「スクリプター」は、映画や映像業界で使われる「script(台本)」からできた和製英語の「Scripter」、「記録係としてのスクリプター」とは全く違う職業になります。

ゲーム業界の「スクリプト」は「スクリプト言語」のことを指しており、「スクリプト言語を使って仕事をする人」として「スクリプター」もしくは「ゲームスクリプター」と呼ばれています。

スクリプト言語とは

「スクリプト言語」とは、簡略化されたプログラミング言語のことを指します。「Java Script」や「Python」、「Lua」等がスクリプト言語に該当します。

通常のプログラミング言語は、コンパイルという機械語から英語に翻訳する処理が必要です。その処理を自動で行ってくれるため、コードを書いてすぐに使用できるのが「スクリプト言語」です。
また、スクリプト言語で書かれたコードそのものを「スクリプト」とも呼びます。

ゲーム業界の「スクリプター」は「スクリプト言語」を使う人を指しますが、スクリプト言語を自由自在に扱える人というわけではありません。「誰でも使えるようにわかりやすくされた開発ツールを使い、マニュアル化された仕事」を行うのが「スクリプター」です。

スクリプターが、プログラミングスキルが不要で、未経験でも始められる職と言われるのはこのためです。
作業をシンプルにし、出来ることを限定することで、覚えやすい簡単な仕事内容にされています。

プログラマーとの違い

スクリプターもプログラミング言語を扱うという点ではプログラマーと似ています。しかし、専門のゲームプログラマーではないことに注意が必要です。
ゲームプログラマーはプログラミングによって、ゲームの基礎を構築する仕事ですが、スクリプターは、ゲームプログラマーが作った基礎の上に、ゲームとしての肉付けをしていくのが仕事です。

例えば、3Dでオブジェクトが落下する物理演算をゲームに組み込むのはゲームプログラマーの仕事ですが、オブジェクトひとつひとつの接触判定や、道端の岩や手に取るアイテムの重さ、テクスチャを設定するのはスクリプターの仕事です。

家の工事で例えると、ゲームプログラマーは開発の初期工程で基礎や骨組みを作り、スクリプターは後期工程で外壁や内装を細かく作っていく作業をします。

スクリプターの仕事とは

プログラミング

スクリプターの業務は主に、仕様書を元にデータ数値などの入力作業を行うこです。
例としては、以下のような内容があります。

  • テキスト:設定や会話などの文章データ。
  • 数値:キャラクターのステータスやアイテムの数値。
  • マップ:オブジェクトの判定など。
  • エフェクト:能力・特技・必殺技などにつかわれる映像エフェクトを合成。
  • キャラクター:表情の変化。2Dでは絵の差し替え、3Dでは形状の変更。
  • フラグ:移動制限や進行フラグなどの設定。
  • 難易度:敵のレベル、攻撃力や防御の数値、攻撃頻度などのバランス設定。

これら以外にも、ゲームのジャンルや、現場の状況によっても作業内容は変わります。
数と種類が非常に多く、作業量も膨大になるため、専任のスクリプター以外にも、イラストレーターやシナリオライター、プログラマーなどが兼任することも多いです。

テキストの入力

ゲーム内のテキスト入力は、非常に膨大な作業量になります。
テキストボックスの動作、ストーリーの進行、NPCと会話した時、アイテムの説明欄など、抜けや誤字に注意してひとつひとつテキストデータを埋めていかなければいけません。

特にテキストアドベンチャーでは、文章を読ませることをメインコンテンツとしているため、ミスがあると目立ってゲームの質を下げることになってしまいます。

単純作業ですが、作業量が多いため、ミスをなくすためにシナリオライターとの連携が必要です。

数値の入力

数値の入力は、テキストの入力と似た作業ですが、ゲーム性に直結する部分です。
キャラクターのステータス、アイテムの攻撃力、商店で販売されているお金など、ゲームの世界は数値で管理されています。

例えば、初期装備の弱い武器と、物語の後半で手に入る強い武器の違いは、主に攻撃力の数値です。一桁でも間違えてしまうと、ゲームバランスが崩壊してしまうため、特に注意が必要な部分です。

決められた数字を入力するだけの単純作業でも、人の手で行っている限りミスはあります。そのため複数回のチェックを重ねる必要があります。

マップやオブジェクトの形成

マップの形成作業は、2Dと3Dで大きく作業量が変わる部分です。
背景の設定、判定の設定、画像の貼り付けなど、目に見える部分に影響します。

2Dの場合は、ドット絵のテクスチャを重ねるだけで容量も少なく済みます。しかし、3Dではテクスチャの破綻や、物理演算の判定などに大きく注意を払う必要があります。

通常では行けない場所に行けたり、キャラクターの振った攻撃が当たっているように見えるのに当たらなかったりするバグは、この作業のチェックが甘い場合に多く起こる現象です。

エフェクトの合成

キャラクターの動作に特殊な画像を追随させ、動きを強調するのが「エフェクト」です。
例として、キャラクターが魔法や特技を使った際に、出現する炎や風などがエフェクトになります。

「スクリプト」という単語を、ゲームのプレイ動画や何かで聞いたことがある人は、このエフェクト関連であることが多いです。
「エフェクトのスクリプト」が正常に動作していない場合、画面にピンクの下敷きのようなものが出現するので、バグとして目にすることがあります。

キャラクターの表情や動作データの入力

ゲームのキャラクターの動作を設定をしなけば、キャラクターは動く仕草をすることもできません。
1枚の立ち絵を設定しただけでは、キャラクターを移動させようとしても、絵が横にスライドするだけです。
動きをつけるためには、歩く、走る、攻撃をする、それぞれの動作に設定を付与する必要があります。

2Dでは、画像を瞬時に入れ替えて表示することで表現をしています。立っているポーズ、歩いているポーズ、走っているポーズと、画像もそれぞれ別々に設定しなければいけません。
表情についても、通常の顔、笑っている顔、怒っている顔など、それぞれの画像を別々に設定します。

3Dでは、モデルにモーションをつける必要があります。モーションそのものは専門のモーションデザイナーがモーションデータを作り、スクリプターは作られたデータをそれぞれの場面に関連付けていきます。
表情の変化も、3Dではモーションで、目、口、眉などのパーツごとの位置を動かして作成されています。

フラグの管理

ゲームでは、「設定された条件を達成した状態」を「フラグ(Flag:旗)が立つ」と表現します。

例えば、会話の選択肢で「はい」を選択することをフラグにすれば、「はい」と答えるまでその先の物語は進行しません。

フラグをいくつも設定することでゲームは成り立っており、ストーリー上の必要不可欠な場面などにプレイヤーを誘導したり、道筋を決めたり、行動範囲を制限したりすることができます。

逆に言うと、フラグは正しく設定しないといけない繊細な物でもあります。
先に進むためのフラグがそもそも取れない場所に置かれてしまったりすると、ゲームの進行ができない致命的なバグになってしまうこともあるからです。

難易度の設定

難易度の設定は、キャラクターや数値の設定と似通っています。
同じ場所で戦う敵でも、プレイ設定や、ストーリーの進み具合によって強さが変わることがあります。それぞれの場合のステータスや挙動についても、ひとつひとつ細かに設定する必要があります。

「難易度設定」と「レベルデザイン」は混同されることがありますが、厳密に言えば、「レベルデザインの中に、敵のレベルなどの難易度設定が入っている」ということです。
レベルデザインの「レベル」は、「キャラクターのLvや難易度の高低という意味ではなく」、「全体の水準や段階のデザイン」という意味で、アイテムやマップなどの地形も含まれた「ステージデザイン」とも呼ばれます。

スクリプターに必要なスキルとは

協力

スクリプターに必須のスキルや資格はありません。業務は基本的にマニュアル化、簡略化されており、単純作業に近い形態です。

しかし、仕事を効率的に進めるために、使用するスキルや、適正として以下のものがあります。

  • 基礎的なPCのスキル:タイピング・ライティングのスキル、Word、Excel、PowerPoint。
  • 基本的なプログラミングの知識:スクリプト言語や、使用する開発ツールの知識。
  • ゲームの知識:ゲーム的なお約束の熟知・適切な演出をできる知識。
  • コミュニケーション能力:チーム制作のための協調性。
  • 継続力:ルーチン作業をつづける粘り強さ。

基礎的なPCのスキル

スクリプターの仕事はPCでの作業となるため、基礎的なPCのスキルは必須です。
キーボードのタイピングや、報告書などを書くためのライティングのスキルは、スクリプターだけではなくどの仕事でも必要になります。

Excel・Word・PowerPointといったMicrosoft Oficeのスキルや資格を持っていると、PCがある程度使用できるという証明にもなります。

基本的なプログラミングの知識

マニュアル化され、簡略化しているとはいえスクリプト言語を扱うので、プログラミングの知識があって損はしません。
使用しているプログラミング言語や、開発ツールの知識を増やすことで業務を効率化できます。
また、エラーが発生した際に対応するためにも、ある程度の知識は必要です。

ゲームの知識

スクリプターの仕事の上で、ゲームの知識が役に立ちます。
例えば、「敵を倒すと経験値がもらえて、経験値が溜まるとレベルが上がる」、といったゲームシステムは、ゲームをプレイしたことがある人には、説明せずともなんとなく理解できるかと思います。

その時々のシーンの状況から、次はこうなる、こうだったら面白いという演出を付け加えやすくなるため、ゲームの知識があり、システムを理解できているほど、スクリプターの仕事はやりやすくなります。

コミュニケーション能力

ゲーム開発はチーム制作の仕事です。プロデューサー、デザイナー、プログラマー、シナリオライターなど複数の人でゲームを作り上げます。チームプレイにはコミュニケーション能力・協調性が必要不可欠です。

特にスクリプターの仕事は、膨大な量のデータ入力を行う必要があるため、一人ではなく何人もの人が作業に当たります。
自分がゲームの何処を担当しているのかを把握していなければ、問題にあたったり、エラーが出てしまったりした時に対応できません。
困った時に同僚に質問をしたり、反対に困っている同僚を助けることができる環境にするためにも、人間関係を上手に作るコミュニケーション能力が必要があります。

継続力

スクリプターの行う作業は、ゲーム開発における作業量の多くを占めています。同じようなデータ入力を延々と続ける持続力・忍耐力・継続力が必要です。

時には、残業や発売日へ間に合わせるための忙しさの中、終わりの見えないルーチン作業を続けられる粘り強さが求められます。

スクリプターへのなり方

考える

スクリプターは、デバッガーと並んでゲーム業界未経験でも始められると言われている職業です。

必須の資格はなく、マニュアルに沿って作業をしますが、ゲーム開発においてその量が膨大なためシナリオライターやプログラマーとして会社に入社してもスクリプターの作業を兼任することもあります。

スクリプターからゲーム業界に入り、他の職種に進むというキャリアが一般的な他、スクリプターを専門に扱っている会社なども存在します。

まとめ

プログラマー

スクリプターは、未経験者からでもできるゲーム業界の職業のひとつで、基礎のシステムができた上に、データを入力してゲームを作り上げていく仕事です。

昔と比べてゲームのボリュームが増えているため、スクリプターの仕事量もそれに合わせて増えています。シナリオライターやプログラマー、デザイナーなど他の仕事との掛け持ちが基本で、ゲームクリエイターの多くが関わる可能性があります。

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