バトルプランナー|戦闘のバランスを設計するゲーム開発の仕事とは
バトルプランナーとは、ゲーム開発における職種の一つで、ゲーム中の「戦闘(バトル)」全般を設計します。
この記事では、バトルプランナーについて知りたい、なりたい人に向けて、
どういった職業なのか、その仕事内容と必要なスキルなどを解説します。
バトルプランナーとは?
「バトルプランナー」とは、ゲーム開発において「戦闘(バトル)」の「設計・企画(プランニング)」を担当する仕事で、ゲームプランナーの一種です。
戦闘の要素には、対戦も含まれており、多くのジャンルのゲームに搭載されています。
アクションゲームはもちろん、RPG、シューティングゲーム、シミュレーションゲーム、スポーツゲーム、レースゲーム、ボードゲームなど、対人・対AIどちらにせよ、なにかしらの相手と競うことがゲームの肝です。
戦闘要素は、遊んでいて楽しいと思えるバランスが必要であり、強すぎても弱すぎてもいけません。そういった難易度のバランスを調整するのがバトルプランナーの役割です。
レベルデザイナーとの違い
レベルデザインを担当する「レベルデザイナー」と、「バトルプランナー」は役割が非常に似ています。
役割自体の違いとしては、「レベルデザイン」とは、ステージ全体の構成をギミックなども含めてまとめて考えることであり、「バトルデザイン」とは、ステージのギミックなども考慮して戦闘の難易度やバランスを考えることです。
呼び方としても「バトルプランナー」は、「バトルデザイナー」「バトルディレクター」「エネミーデザイナー」とも呼ばれることがあります。
対して、「レベルデザイナー」も、「レベルプランナー」と呼ばれることがあります。
会社によって、同じ職種名でも仕事内容は異なる場合や、求人広告でも混同されている場合があるので、注意が必要です。
担当範囲の近さからレベルデザイナーとバトルプランナーの双方を兼任することも多いですが、違う役割なので覚えておきましょう。
対戦格闘ゲームでは特に重要な職種
バトルプランナーは、特に対戦格闘ゲームの界隈でよく話題に上がる職種です。
格闘ゲームを含むアクションゲーム、とくに対戦ゲームでは、戦闘がメインコンテンツであり、ユーザー同士の対戦がエンドコンテンツであるためです。
複数の種類のキャラクターがいればそこには差が生じ、有利不利が生まれます。そこからキャラクターの強さの序列が生まれてしまい、不公平感を感じられてしまうと、ゲームそのもののバランスの是非が取り沙汰されやすいからです。
そのため、対戦ゲームはバランス調整にひときわ気をつけないといけないゲームジャンルであり、バトルプランナーの責任は重くなりがちです。
例外的な用法
例外的な用法になりますが、eスポーツの大会など、「対戦ゲームの会場を用意するプランナー」のことも、バトルプランナーと呼ぶことがあります。
バトルプランナーの仕事とは?
バトルプランナーは、前述の通りゲーム中の戦闘に関するバランスを設計することが仕事であり、企画職と開発職のどちらとも言えます。上位の役職と現場の橋渡しをしつつ、開発を進め、戦闘要素の品質を管理することが必要です。
以下、バトルプランナーが具体的にどのようなことを行っているのかを説明します。
企画・プランニング
バトルプランナーも他のプランナー陣と同じく、企画段階からゲーム開発に携わります。戦闘の要素は、プレイヤーのゲーム体験において大きな比率を占める部分なので、重要な役割です。
バトルプランナーもプランナー職なので、ゲームとしての面白さを追求しつつ、どういった面白さがあるバトルシステムなのかを、わかりやすく人に説明できなければいけません。
仕様書の作成・基礎設計
ゲームの企画が通りプロジェクトが始まったら、制作スタッフへ渡す仕様書・設計書を作成します。ここでも、何が求められているのかをわかりやすく説明しなければいけません。
企画職と開発職の橋渡しをしつつ、時には自身の手で設計を行う必要もあります。
制作管理
戦闘周りの全てを統括するのがバトルプランナーですが、制作するゲームの規模が大きくなれば、一人で全てをまかなうことは困難です。適切な人員配置と、コストを振り分ける管理スキルが求められます。
リード職といわれるリードプランナー(プランナー陣のまとめ役)やプロデューサー、ディレクターとも連携しつつ、各プログラマー班やデザイナー班ともこまめに進展を確認しあいます。
また、バトルプランナーは開発そのものにも携わります。
キャラクターのモーション、攻撃や防御の数値、戦闘の演出、ゲームバランスの調整など、指示をするだけでなく自分でも作成することがあります。
実装・テストプレイ・調整
ゲームのプログラムが完成したあとにも、バトルプランナーの仕事は続きます。
実際のゲームバランスは想定とは違う挙動や、予想していなかった動作によって変動してしまいます。そのため、販売開始までに十分なデバッグや、テストプレイが必要不可欠です。
また販売開始してからも不具合の修正やバランス調整のため、アップデートを繰り返す必要もあります。
バトルプランナーに必要なスキルとは?
バトルプランナーとして就任する際に必須となる資格はありません。
しかし、ゲーム開発の経験は重要になってくるため未経験者に簡単に務まるポジションでもありません。
ゲーム開発に携わった経験と、経験を元にした判断や企画の進行能力などのスキルが求められます。
以下、バトルプランナーに必要なスキルの代表例3つを詳しく紹介します。
コミュニケーション能力
名前にプランナーとついている通り、バトルプランナーも企画・管理職の一種であり、コミュニケーション能力は必要不可欠です。
ゲーム制作はチームワークが大切です。特にプランナーはチームの中心となって現場を指揮し、時には上層部との架け橋にもなる必要があります。
今の進捗がどうなっているのか、現場で足りないものはなんなのかといった問題の早期発見、そして解決のためにも、日頃からのコミュニケーションが大切です。
想像力
バトルプランナーには、ユーザーの反応を想像する能力も必要です。
戦闘要素の楽しさや面白さは、ゲームを作る側がいくら想定していても、実際に体験して感じるのはゲームを遊ぶ側であるユーザーになります。
バトルプランナーとユーザーとの認識が乖離しており、ゲームバランスが崩壊していれば、悪い評判となって返ってきてします。
戦闘のバランスについてユーザーがどう感じるのか、どう考えるのかを事前に的確に想定するためには、今までの反応などのリサーチにもとづいて想像する能力が必要です。
バランス感覚
ゲームバランスの調整は、バトルプランナーの主な仕事です。敵のレベル、ステータスの数値、難易度の設定などには、適切なバランスがあります。
ゲーム初心者でも投げ出さずにクリアできるように、ゲーム熟練者にはすぐに飽きられないように、適切なバランスを維持する必要があります。
まとめ
バトルプランナーとは、ゲーム内の戦闘要素全てに携わる仕事です。戦闘や対戦要素がメインとなるゲームは非常に多いため、ゲーム開発においては非常に重要な職種と言えます。
ゲーム開発は、プレイヤーにゲームを楽しんでもらうことを目的としており、戦闘はそのための重要なパートです。
戦闘がつまらないゲームは、そのまま面白くないゲームという評価になってしまいます。
そのため、面白いゲームを作るために、バトルプランナーに求められるハードルは高いものになります。
しかし、その反面、バトルプランナーという職業の知名度は低く、なかなか話題に上がりません。
バトルプランナーが話題に上がりやすい格闘ゲーム以外でも、面白いゲームをクリアした時、誰が作ったのかをスタッフロールなどで気にかけてみましょう。