【ゲームプロデューサーを目指す学生がクリエイターにインタビュー】 成功する企画の条件とは、小山順一朗#3

前回のまとめ
メカエンジニアから企画に転向するもゲームセンター事業が下向きになり、仲間も上司も辞めてしまった。
そんな時に小山さんは長井先生、梅澤先生という方に出会い、教えを受ける。
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長井先生、梅澤先生とは
小山さんが先生と呼ぶ長井和久(やすひさ)さん、梅澤伸嘉(のぶよし)さんとはどのような人なのだろうか。
小山様(以下、小山と表記)「長井先生はユニ・チャームという会社でマーケティングを担当し、紙おむつを全国的に使えるようにした伝説のマーケッターです。また、商品開発以外は経営とは言わないよっていうような人です。」
小山「梅澤先生もまた伝説のマーケッターでジャンル問わずの人です。明治乳業のR1やじゃがりこ、ウコンの力などとにかく様々なものをヒットさせてる人です。」
─── 私はお二人の名前をこの時初めて聞きました。しかし、どんなことをされていたのかを聞くと、あまりにも身近な商品たちを世に送り出してきた方々でした。そんなゲームとは異なる畑の方々が小山さんの企画手法に関わっているとは意外でした。
マーケティングとは
小山さんは彼らから次のような教えを受ける。
小山「マーケティングっていうのは販売活動じゃないよ、マーケティングっていうのは需要を作り出して需要を拡大していくことだよって言われました。会社を支える屋台骨である商品を戦略して作ることだよっていうことを言われました。」
─── 私がイメージしていたマーケティングという言葉とは少し異なるお話でした。
商品を売るための活動であるセールスと混同していた部分があったのだと思います。
インタビュー後に調べたところ、現代のマーケティングという活動の中に商品開発は含まれるが、販促などの側面が比較的強いように感じられた。
特にデジタルマーケティング、Webマーケティングといった時にはセールスに近いものを指しているように思える。それ以外には、市場調査などの需要を理解するための活動も含まれるようだ。
それらを踏まえて、発言の趣旨を次のように理解した。
『マーケティングという活動の軸は商品開発である。その商品の開発はちゃんと戦略を持って考えながら取り組みなさい。市場調査などで需要を理解することによって、商品開発のための戦略を立てることができますよ。』
ということなのではないだろうか。
上司の教えとヒットする条件
『商品開発はマーケティングなしで売れるやつが偉いんだ』
『小山お前さ、お客さんに聞いちゃ駄目だぞ。お前の感性はないのか、作家性はないのか。お前には世の中に問いかける何か問題提起はないのか』
小山さんは入社した時にこのような言葉を上司から言われたそうだ。この言葉を受け、頭を悩ませながら企画に取り組んでいた。
それでもヒット作を生み出せていなかった小山さんは梅澤先生に意見を求めた。
すると、これもやり方の一つである。ただし、二つの条件をクリアしてくださいという答えが返ってきた。
1.己の感性で勝負しても良いが、あなたの感性に共感する人がいっぱいいること
2.あなたの感性は独自的なものであること
「簡単な言葉ですけど、みんな欲しがるけど誰も見たことないものを作れってことです。」
まとめ
今回お届けしたお話は、マーケティングという言葉に対しての認識を改める良い機会だったと感じています。ゲームという商品を企画するとなった時に、役に立ちそうな考え方だと思いました。
小山さんが上司から言われた「お客さんに聞いちゃ駄目だぞ」は上司の意図とは異なるかもしれませんが、ある意味で芯をくった言葉だと思います。これに関連した話を#6でお届けする予定です。
「みんな欲しがるけど誰も見たことないものを作れ」
言葉にするとあまりに単純ですね。それが出来たら苦労はしませんが......ということで、どのようなものが「欲しがるけど見たことのないもの」なのかを小山さんにお聞きしました。それについては#4で!
まだまだ続きますので、引き続きよろしくお願いします!