【ゲームプロデューサーを目指す学生がクリエイターにインタビュー】 みんな欲しがるけど誰も見たことないゲーム、小山順一朗#4

【ゲームプロデューサーを目指す学生がクリエイターにインタビュー】 みんな欲しがるけど誰も見たことないゲーム、小山順一朗#4

【ゲームプロデューサーを目指す学生がクリエイターにインタビュー】 みんな欲しがるけど誰も見たことないゲーム、小山順一朗#4

前回のまとめ

小山さんはヒット作を作れず悩んでいたところ、梅澤先生から「みんな欲しがるけど誰も見たことないものを作れ」と言われました。
みんな欲しがるけど誰も見たことないものとは、いったいどんなものなのでしょうか。

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  1. 1既存のゲームを分類してみる
  2. 2配置されたタイトルでの例
  3. 3会社を支える天才商品を作れ
  4. 4まとめ
  5. 5余談(実際に図に当てはめてみた)
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前回のまとめ メカエンジニアから企画に転向するもゲームセンター事業が下向きになり、仲間も上司も辞めてしまった。 そんな時に小山さんは長井先生、梅澤先生という方に出会い、教えを受ける。

既存のゲームを分類してみる

小山様(以下、小山と表記)「この画像を撮って流されると私多分この業界で生きていけないものです(笑)」
そんな画像を見せてもらえた。ゲーム名が配置された図の画像だった。
ここではゲーム名を配置していない図をお見せする。

この図は、珍しい・珍しくないという軸と、欲しい・欲しくないという軸の2軸で作られている。この図の4つの象限の中に、自分の感性でゲームタイトルを当てはめる。
右上は珍しくて欲しいというタイプ、反対に左下はありふれているしいらないタイプということだ。

小山さんはこの図に当てはめる際の観点として、そのタイトルが出た瞬間にどこにあったかで考えていた。

配置されたタイトルでの例

「みんな欲しがるけど誰も見たことないもの」とは何なのか、図の中に当てはめた既存のタイトルを例に説明してくれた。

小山「私、ドラゴンクエストをファミコン版でやったときに稲妻の衝撃を受けました。なんだこのゲームは、やったことない、なんだこの面白さはって。1をあっという間にクリアして1年後ぐらいにでた2もしゃぶり尽くしてしまって、やることがないなというときに出たのがFFです。」

小山ファイナルファンタジー、ドラクエっぽいゲームが出たぞ。スクウェアって会社から出たぞって思って買ったら、『これはもしかしたら、スリプルってラリホーのことか』という風にファイナルファンタジーの魔法をドラクエに翻訳しながら遊んでました。」
*当時、DQを発売したエニックスとFFを発売したスクウェアは別会社

図の中では、どちらも欲しいタイトルのため上側になる。そこに出た瞬間の珍しさを加味すればドラゴンクエストは右上、ファイナルファンタジーはドラゴンクエストより左側に位置する。
 

会社を支える天才商品を作れ

梅澤先生は各象限に対して以下のように呼んだ。

小山「さらに、こうも言われました。右上はずっと手をかけていけばロングセラーになるそうです。ゼルダの伝説もドラゴンクエストシリーズもずっとこのヒットですし、ドラクエなんて新しくない3をリメイクしてもまだ売れてますからね。」

小山「それを追っかけていく商品(左上:凡人商品)っていうのはロングセラーの2番手で存在してるんだけど、1番手を超えられない。ただ手を抜くとどんどん離されていくので維持にお金がすごいかかるわけです。」

小山「右下は変人商品、奇ゲーと呼ばれるもので、左下はごくつぶし(廃棄物)。」

天才商品を作り出さなければ会社が傾くと言われたが、「珍しくて多くの人が欲しい」というキーワードで物を作るのは難しかったという。
梅澤先生に相談したところ「感性に頼って再現性のあるやり方をしないからだよ」と返されたそうだ。

「『科学的じゃないからだよ、科学的とは不可逆ではなく可逆性のあるものですよ』と、今こうやってインタビューしてるのをみんな読むかもしんないですけど、それに感化されても大体は偉人伝に近い自慢話だったりするので、そういうのを見ても何も意味がないですよって言われました。」

「それで、特別な才能がなくてもヒット作が生み出せるんですよというMIP理論を授けていただいたわけです。」

まとめ

「インタビューとか書籍を読んで、偉人伝のような自慢話に感化されても意味がない」という言葉はインタビューをした身でありながら、痛いところを突かれたなと感じます。
この企画では偉人伝とならないように、その人の技術や方法論といったことを引き出していきたいと思います。

ドラクエとFFにおけるラリホーとスリプルの例のように、「別作品で翻訳できる」はありふれてる度を測る指標の一つだなと思いました。
物心ついた時にはスクウェア・エニックスに合併していたので、私の中ではドラクエとFFが同じ位置にいるのですが、リアルタイムで流れを見ていると変わるものですね。

ヒット作を生み出す理論、MIP理論について教えていただきましたので、#5ではMIP理論の概要とその中で重要となるニーズについてお届けします。
次回もよろしくお願いします!

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前回のまとめ 「珍しくて欲しい」という天才商品を作らないと会社が傾いてしまうと言われたものの、実際に作るのは難しい。梅澤先生に感性に頼らず再現性のあるやり方ではないことが原因だと指摘された小山さん。 特別な才能がなくてもヒット作を生み出せるMIP理論とは?
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プロデューサーやディレクターとしてゲーム業界で働いてこられた方の経験や考え、メッセージを、ゲーム業界を目指す学生たちに向けて発信するためのインタビュー企画。 ゲーム業界を目指している学生をインタビュアーとし、先達からのメッセージを学生目線を通じてお届けします。 その第一弾として、元バンダイナムコのプロデューサー、小山順一朗氏にインタビューさせていただきました。

余談(実際に図に当てはめてみた)

……余談ですが、小山さんと8番出口がどこに当てはまるのかについて話した内容を載せておきます。皆さんもこんな感じで色んなタイトルをあてはめてみてください!

小山「ちなみに8番出口ってどこになると思いますか?」

福山「そうですね......結構珍しい側だと思います。ブームになってからもう何回か跳ねるみたいな瞬間的じゃなかったというところもあって、う〜ん。」

小山「8番出口はパクリもいっぱい出たじゃないですか」
*8番ライクと呼ばれる類似作品が多数制作されている、新幹線0号など

福山「上まで行ききらないが、欲しいも結構ある印象はあります」

小山「もしかしたら珍しくて欲しいこっちの天才に入るかもしれませんよね。
これはこれで仲間とやったりしたら面白いとおもいませんか?
 

福山
ライター

福山

インターンとして執筆を行っている情報系の大学院生です。ゲーム業界への就職を目指す当事者として、業界に興味を持つ皆様のお役に立つ記事をお届けしていきたいと思います。 大学院ではカラーユニバーサルデザインやデザイン工程でのコミュニケーションについて研究しています。

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