【ゲームプロデューサーを目指す学生がクリエイターにインタビュー】企画書は誰かに見せるもの、その人を満足させよう ヨコオタロウ#4

【ゲームプロデューサーを目指す学生がクリエイターにインタビュー】企画書は誰かに見せるもの、その人を満足させよう ヨコオタロウ#4

【ゲームプロデューサーを目指す学生がクリエイターにインタビュー】企画書は誰かに見せるもの、その人を満足させよう ヨコオタロウ#4

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  1. 1企画書におけるユーザー像
  2. 2面白いと売れるはあまり関係がない?
  3. 3今回のお話をうけて

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【ゲームプロデューサーを目指す学生がクリエイターにインタビュー 第3弾!】今から僕が話す話を基本的には信じないでほしい ヨコオタロウ#1のイメージ
【ゲームプロデューサーを目指す学生がクリエイターにインタビュー 第3弾!】今から僕が話す話を基本的には信じないでほしい ヨコオタロウ#1

企画書におけるユーザー像

ヨコオさんはユーザー像をあまり想像しないという。では、企画書ではどうなのだろうか。

福山「『企画書の書き方』みたいなものでは、どういう人がターゲットで、どういう人なら喜んでくれそうですか?などを考えようという内容はよく見かけるように思います。先ほどのお話を踏まえると、言い方が難しいんですが、ナンセンスというかそもそも何か前提が違う?という感じでしょうか。」

ヨコオ様(以下、ヨコオと表記)「パブリッシャーとかデベロッパーの構造は説明しなくても大丈夫ですかね。」

─── ここでは詳しく説明しませんが、今回の話においてはパブリッシャー=デベロッパーに開発費を出す立場、デベロッパー=開発費を貰ってゲームの中身を作る立場、ぐらいの認識で問題ありません。

ヨコオ「なるほど。その上で回答すると、企画書のターゲットを考えることをナンセンス、とは思わないですね。パブリッシャーの人がいてお金を出しますっていう人がいたら、その人が納得するためのプレゼンテーションとして『ターゲットとするお客様の像が学生さんで女子で、こういうジャンルのものを今まで見てきた人のためにこういうものを今回、次の製品で作ります』ってペルソナを作って書くのは、プロデューサーやパブリッシャーに向けては全然機能するんでいいんじゃないかと思うんですけれど。」

福山「見せる相手のためにやる。」

ヨコオ「そう。企画書なんて誰かに見せるための物ですから。」

ヨコオ「このインタビュー記事もそうなんですけど誰かに見せるためのものですよね。企画書はプロデューサーのために作るものですから、その人が必要だと思うことを書くのは多分意味があるなと思います。プロデューサーはゲームを買ってくださる方、課金してくださるお客様のために作っているので、そのあたりは言及した方がいい気がしますけど。」

面白いと売れるはあまり関係がない?

福山「先ほどは想像上のユーザーの話をお聞きしたんですけど、感性がそれぞれ異なってくるので、自分が面白いと思ってることと、ユーザーや一緒に作っている人が面白いと思うことの誤差はどうやって収める、すり合わせていますか。」

福山「自分は面白いと思って作ったものが、実際には全然周囲の感性と外れていて売れなかった、みたいなことはビジネスとしてやっている以上避けたいことだと思うので。」

ヨコオ「僕はすり合わせないんでよく分からないですね。」

ヨコオ「例えばゲームを作ってみて、発売したけど売れなかった場合。それは副次的な話で別に仕方がないねで終わりです。目的が何なのかっていうことがはっきりしてるのなら、例えば自分が面白いものを作りたいのであれば、別にチームの他の人が面白いと思わなくても、売れなくても、目的は達成されてるので構わない気がしますけどね。」

福山「作るという段階でその人にとっての目的は既に達成されてると。」

ヨコオ「その人が作る事自体を目的にしてればですけど。その人が売り上げを目的にしているのであれば、売り上げのために色んな努力をする必要がありますけど.....そもそも面白い......売り上げのためには面白いってあんまり関係ないと思ってるんですよね。」

ヨコオ「売りたい場合は、面白いという言葉は一旦捨てて、売り上げを上げるためにどうしたらいいのか考えることが大事なんじゃないですかね。目的は人それぞれいろいろ違いますし、その目的が達成されることがまず優先されるとしたら、何が目的であるかっていうのをはっきり定義をすることが大事じゃないかなと思いますけど。」

福山「ヨコオさんは売るために必要なことは何だと考えてらっしゃるんですか?」

ヨコオ「売るために必要なことっていうのは例えばですけれど、大作の続編を作るとか、大手でお金をかけて売り出すとか、コマーシャルをたくさん打つとか、そういうのが売り上げに一番直結しますよね。」

福山「ネームバリューとか知名度だったりとか、期待値がある程度担保されてるっていうところでしょうか。」

ヨコオ「これまでのエンターテイメント市場においてもビジネスの構造を見ると、今後もそうなるだろうっていう予想ですけど。例えばディズニーから出たらそこそこ売れるだろうとかそういうことがわかるので、売れるものを作りたければディズニーに入って作りましょうとかそういう話になると思いますけどね。」

今回のお話をうけて

今回のテーマでは、自分の解像度の低さを改めて感じられたと思っています。

面白いと売れるの関係性が顕著だったと思っているのですが、ゲームが売れるという事象の因果関係に影響する要素は当然ながら複数存在します。そして、その複数の要素を混合して認識していた結果、「面白い→売れる」という関係性で物事を語ってしまったと思います。

そんなに簡単なことじゃないとは分かっているのですが、ちゃんと分解できていないから上手く言葉にできず、雑なまとめ方をしているのだなと感じました。

解像度を上げる。言うのは簡単ですけど、なんだかんだで難易度の高いことだなとこの企画で痛感します。

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【ゲームプロデューサーを目指す学生がクリエイターにインタビュー】全てを満足させることはできない、間違いを認識して作る ヨコオタロウ#3
福山
ライター

福山

インターンとして執筆を行っている情報系の大学院生です。ゲーム業界への就職を目指す当事者として、業界に興味を持つ皆様のお役に立つ記事をお届けしていきたいと思います。 大学院ではカラーユニバーサルデザインやデザイン工程でのコミュニケーションについて研究しています。

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