【ゲームプロデューサーを目指す学生がクリエイターにインタビュー】会社も組織も結局は人、人間を知るのは大事 ヨコオタロウ#8

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就活でやりたいことを目指すのは難しい
就職活動をしている人にとって、どこの会社にいくかというのは大きなテーマになっているが、仮に落ちたとしても最終的には皆が幸せそうな顔をして生活していると思うからそこまで怯える必要はないのでは、という話をヨコオさんは語っていた。そして、分岐において正解のようなものはないのではないかとも。
福山「みんなの真面目さは、将来どうしようという不安からくる真面目さのような気もしています。」
ヨコオ様(以下、ヨコオと表記)「それは将来の収入が無くなったらどうしようとか、それとも自分がやりたいことをやれなかったらどうしようということですか。」
福山「両方あると思っています。それこそ就職活動が全然上手くいかなくて収入が少ないとか、やりたいことができない会社しか通らなかったらどうしようだったり。」
ヨコオ「やりたいことがやれるかやれないかっていう話って、会社の話もあるんですけれども概ね『人』の話だと思ってるんです。」
ヨコオ「結局会社や組織って人間でできてるので、その権力がある人とかとうまく折り合いがついてその人に意見を通せるかっていうことが重要なんですが、いい人に当たるかどうかは、ほとんど博打だと思うんです。だから就活だけでやりたいことを目指すのは難しい、って感じますね。」
ヨコオ「ただし、これまで見てきた感じでは本当にやりたいことがある人っていうのは本当の意味で尽きることのない欲求がその人にはあって、『やる』んですよね。だから、今就活でやりたいことについて心配するのは意味がないんじゃないのってすごく思います。やる人はいずれやりますし。」
ヨコオ「お金については、正直失業しても食ってはいけるんだよ、っていうこの覚悟があれば大丈夫じゃないですかねっていう気はしますけど......」
福山「聞こうとしたことが、いま急に飛びました......」
ヨコオ「聞こうとしたことが飛びましたとか書いてあるインタビューとかすごい良いですよね(笑)」
─── 本当に何を聞こうとしたんでしょうか。執筆時でさえ思いつかないです。やりこんだゲームの生みの親ということで緊張していたんでしょうか。未熟......
人を知ろう
ヨコオ「ところで福山さんって何大学ですか?」
福山「(某国立)大学の大学院です。」
ヨコオ「学生さんから卒業までの間に何をしたらいいですかという質問をよく受けるんですけど、大体英語か飲食の仕事という話をすごいしています。」
福山「接客のアルバイトのお話ですよね。」
ヨコオ「英語は当然いろんなとこで使えるからなんですけど、接客は世の中いろんな人がいるんで、そういう想像を絶する人がいるっていう状況を理解するのはエンタメ業界では大事だよねという話です。」
ヨコオ「多分福山さんは良い人ばっかりに恵まれてると思うんです。大学に行ってるってことはドロップアウトしてないってことじゃないですか。だからドロップアウトした人たちが今どういう暮らしをしてどういう文化圏で何を思って生きているかも分からないし、女性じゃないから女性が今何を思ってどういうふうに生きているかも当然分からない。」
ヨコオ「ただ、エンタメ業界に入ったらよく分からない人たちに向けても作らないといけないので、そういうたくさんの人に触れ合うのはすごく大事だなと思ってます。結局エンタメビジネスは人間のビジネス、人間をたくさん相手にするお仕事なので、人間を知るのは大事な話だと思いますね。」
福山「人を知るという話の中で、自分がよく理解できない人のことを考えると役に立つことがあるというお話もあったと思います。これはどのように考えていますか。」
ヨコオ「何が好きかより何が嫌いかを考えることが多いです。」
ヨコオ「ゲームって基本的にサービス業だと僕は思ってるんですけども。楽しいとか面白いっていうことは個人的好みの話です。一方で、これが嫌いとかはストレスになります。ストレスは比較的普遍的な感情なので、そこは注目します。」
ヨコオ「『ストレスがない』ということは比較的他に迷惑がかからないんですよね。迷惑というのは、Aさんがストレスに感じることを解消した場合に、Bさんがそれによってストレスを感じることはあんまりないという感じで。ストレスは割とみんな基本的に共通で持っている部分も多いので、その解消は頑張りたいです。」
今回のお話をうけて
いつだったかすら曖昧で、何ならヨコオさんがこの発言をしている過去の記事ですらなかったかもしれませんが、このお話は昔の私にとってかなり印象的でした。自分が認識している範囲が狭いことを自覚するきっかけの一つでした。
実際に接客系のアルバイトも経験したことがありますが、価値観の違う人間を知れる気軽な機会として芸術家やアーティストの個展は良かったなと感じています。
個展は作家個人にフォーカスしていることが多く、その人が何を思って、何に影響を受けて作品を作っているのかの紹介があったりと、その人の価値観を知れる良い環境だなと思っています。良い作品に巡り合えばモチベーションに繋がったりもしますしね。
アルバイトは幅広い層に触れられること、直接人と関われることに強みがあるなと感じています。ただ、責任もありますし、始めるまでのハードルもそれなりにあります。気軽さに振り切ると個展は選択肢として悪くないのではないでしょうか。偏りはありますけどね。
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