【ゲームプロデューサーを目指す学生がクリエイターにインタビュー】UIは人に合わせて進化する? ヨコオタロウ#9

【ゲームプロデューサーを目指す学生がクリエイターにインタビュー】UIは人に合わせて進化する? ヨコオタロウ#9

【ゲームプロデューサーを目指す学生がクリエイターにインタビュー】UIは人に合わせて進化する? ヨコオタロウ#9

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  1. 1両方の欲求を満たせば
  2. 2将来的にUIはもっと発達する
  3. 3社内政治、お金、実はそんなに夢はない
  4. 4今回のお話をうけて

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【ゲームプロデューサーを目指す学生がクリエイターにインタビュー 第3弾!】今から僕が話す話を基本的には信じないでほしい ヨコオタロウ#1のイメージ
【ゲームプロデューサーを目指す学生がクリエイターにインタビュー 第3弾!】今から僕が話す話を基本的には信じないでほしい ヨコオタロウ#1

両方の欲求を満たせば

ストレスの解消はいろんな人に共通してメリットとなる部分という話の中で、反例に近い体験があり、それについて質問してみた。

福山「これはUIに比較的顕著な傾向な気がするんですが、Aさんの不快に思っている所を修正したときに、そもそも不快に感じていなかったBさんがその修正に不快感を感じてしまう可能性が生まれるという感覚があります。これについては許容してもらうということなのでしょうか。」

─── UIの面倒くさくて面白い性質だと思っている慣れの話でもあって、元のUIに慣れているものを変えると、変えた先が優れたUIだったとしても変更した瞬間は使いづらかったり不快感を感じることがあります。

ヨコオ様(以下、ヨコオと表記)「そういうことはあります。僕がよく見る事例というか、今のお話ってAさんとBさんの両方の欲求を満たせば済むだけの話だと思うんですよね。それを最初の段階で設計に上手に組み込んていればいいのになってすごく思います。」

ヨコオ「ゲームのUIとかだと、十字キーとか〇×でメニューを選ばせたりをコンソールではよくするんですが、タブをLRで切り替えられる仕組みがよく入っています。ショートカット的にどこからでもLRでタブが切り替えられると。」

ヨコオ「その時に〇×で操作しているタイプの人を想像するんですけど、本当に十字キーと〇×しか使わない人はLRの存在に気付けないということが多くて。それを解消するために、〇×でもタブに飛べるUI設計を自分は割とするんですよね。」

─── このお話はプラチナゲームズさんのNieR:Automata開発ブログでもう少し詳しく読むことができます。UIに興味がある人間としては面白く読めたのでおすすめです。

『NieR:Automata』のUIデザイン | NieR:Automata 開発ブログ
ビジュアルだけでなく操作設計についても紹介されています

ヨコオ「だから両方に対応するっていうのは決して無理ではないと思うんです。無理な場合も当然あるんですけど、その場合は例えばある特定の操作を習熟してもらうために、楽しくプレゼンテーションするっていうことが必要でそれをやらないといけない。」

将来的にUIはもっと発達する

ヨコオ「UIに関しては僕はもっと進化できる余地はあると思っていて。入力特性から学習してUIのメソッドを作るような仕組みがもうちょっとしたら出てくるんじゃないかと思ってるんですけどね。」

福山「コンソールのゲームに関してはゲームパッドやキーボードが主流ですが、別の物理的なインターフェース、物理的じゃない可能性すらありますが増える可能性はあるなと思いますね。」

─── Wiiリモコンやswitchの加速度センサーを用いたインターフェースもボタン以外の入力ですから、今後としてあり得る話だと思っています。

ヨコオ「昔はそうだったのに今はタッチパネルが出てきて、タッチパネルの性能が良くなったから、それでゲームもできるようになってインターフェースが増えてますからね。そこではまた別のメソッドが必要とされてますけれど、UIはもうちょっと賢くなるんじゃないかなというふうに思ってます。」

ヨコオ「この人はこういう操作をしばらくしてないってことはこういう操作が向いてるから、今からUIはこういうふうに変えてこのプレーヤーに向けたチュートリアルを出しましょうみたいな。このボタンを○○だと定義しますみたいなことを言い出すんじゃないかなと思いますけどね。」

福山「昔、卒業研究のときに同じテーマをしようとして先生にボツって却下されましたね。」

ヨコオ「良いテーマだと思いますよ。」

福山「研究のことを何も分かっていない時期だったので、研究のお作法的な部分や枠組みのところで駄目だったのかなと思っています。」

ヨコオ「たまにあるんですけど、ジャンプボタンとかがチュートリアルででてきたりするじゃないですか。既にジャンプを何回かしているのであれば出さなくていいということであったり、逆に何もしていない場合に一定時間経過したら出しますみたいな感じで、お客様に合わせてプレゼンテーションを変えるっていうのも、いろんなとこでされていると思うんです。それがもっと発達してくる気がします。」

社内政治、お金、実はそんなに夢はない

福山「UIはストレスになりそうな部分をできるだけ排除するという方向性の力が強いと思っていて、そういう性質のものにコストをかけさせてくださいと意見を通すのは難しそうだなと想像しているんですが......」

ヨコオ「どうですかね、分からないです。予算に関してはそういうのを気にしているプロデューサーを引っ張ってくればいいんじゃないのと僕は思うんですけど、UIをどう設計するかと、そのUIに対してどうお金を持ってくるかの両方をやるのは難易度が高いと思うんですよね。」

ヨコオ「僕はお金の事を考えるのが苦手なので、お金を引っ張ってこれるスキルのある人に相談する方がいいと思ってます。逆に、お金儲けしたい人は自分で内容を考えるんじゃなくて売れそうな若手を何人も集めてアイデア出させた方がいいんじゃないのって思いますけど。」

福山「お金の話で言えば、社内政治のお話もよくされていますよね。今回は学生というテーマ的に難しいのかなとも思っていまして。」

ヨコオそんなに夢がないよっていうのを伝えるのは大事なんじゃないですかね。ああ、でも、最初からうまく行く人もいるか。例えば特定のゲーム会社に就職して、自分が想像してる通りの人たちに巡り合って、自分が想像している通りの未来が来るかもしれないので。それは僕にはわからないですね。そうかもしれないですけど、そうじゃないかもしれない。話半分に聞いておいてもらえれば。」

今回のお話をうけて

UIのカスタマイズとかパーソナライズにはずっと興味があり、昔の自分にちゃんと体裁を整えて研究テーマとして渡したいぐらいです。なので、内心ニッコニコでお話を聞いていました。

個々人に合ったUI、コンテンツにしようというムーブメントは既に存在しているので、そんな作品が増えると嬉しいなと無邪気に思っています。easy,normal,hardのような画一的な難易度の分け方ではなく、ゲームプレイから動的に調整しようといった試みもありますし、実はそんなに遠くない未来に実現されるかもしれません。

上記の取り組みについてはレポート記事のリンクを貼っています。興味がある方は是非。

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CEDEC 2024のセッションについてのレポート記事です

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福山
ライター

福山

インターンとして執筆を行っている情報系の大学院生です。ゲーム業界への就職を目指す当事者として、業界に興味を持つ皆様のお役に立つ記事をお届けしていきたいと思います。 大学院ではカラーユニバーサルデザインやデザイン工程でのコミュニケーションについて研究しています。

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